「カフェイン」についての簡単な解説です。
※「無水カフェイン」と「カフェイン水和物」は成分の形式が異なるだけで、効果や用途に大きな違いはありません。
このため、この記事では両者を同じものとして扱います。
カフェインを含む市販薬の製品一覧
解説記事を書いたことのある製品を載せています。
風邪薬(総合感冒薬)
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製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。
製品名 | 1日あたりの成分量 |
---|---|
エスタックイブ | 75mg |
エスタック総合感冒 | 75mg |
エスタックEXネオ | 75mg |
新コンタックかぜ総合 | 75mg |
新コンタックかぜ EX持続性 | 75mg |
新コンタック総合かぜ薬 トリプルショット | 120mg |
新ルルAゴールドDXα | 60mg |
新ルルAゴールドs | 75mg |
新ルル-A錠s | 75mg |
ストナアイビージェルEX | 75mg |
ストナジェルサイナスEX | 75mg |
ストナプラスジェルEX | 50mg |
パイロンPL | 144mg |
パイロンPL Pro | 240mg |
パブロンゴールドA | 75mg |
プレコール持続性カプセル | 75mg |
ベンザブロックIP | 75mg |
ベンザブロックIP プレミアム | 75mg |
ベンザブロックL | 75mg |
ベンザブロックL プレミアム | 75mg |
ベンザブロックS | 75mg |
ベンザブロックS プレミアム | 75mg |
ルルアタックCX | 75mg |
ルルアタックCX プレミアム | 75mg |
ルルアタックEX プレミアム | 75mg |
ルルアタックFxa | 75mg |
ルルアタックNX | 75mg |
ルルアタックNX プレミアム | 75mg |
市販の風邪薬では1日最大150mgとなっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
ただ、メチルエフェドリンが1日60mg入っている製品では、カフェインは1日75mgが限度となっていますね。
『パイロンPL Pro』は1日240mgになっていますが、これは医療用の『PL配合顆粒』と同じ量ですね。
1日最大量というのは、あくまで基準という事かな?
鼻炎薬(飲み薬)
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製品名 | 1日あたりの成分量 |
---|---|
アネトン アルメディ鼻炎錠 | 90mg |
コルゲンコーワ鼻炎 ジェルカプセルα | 120mg |
新コンタック600プラス | 100mg |
ストナリニ・サット | 80mg |
パブロン鼻炎カプセルSα | 100mg |
市販の鼻炎薬では1日最大300mgとなっています。
(「鼻炎用内服薬の製造販売承認基準について」より)
分類・作用機序
無水カフェインの化学構造式
※「カフェイン水和物」は、上のやつに水分子(H2O)が一つ付いてます。
分類
「中枢興奮・鎮痛剤」となります。
「キサンチン誘導体」の一つです。
作用機序
カフェインは、体や脳を「覚醒状態」にする働きを持つ成分です。
具体的には、眠気を引き起こす「アデノシン」という物質の働きをブロックします。
その結果、脳が活発に働くようになり集中力や注意力が高まります。
また、カフェインは体内でエネルギーを伝える信号(cAMPやcGMP)が分解されにくくなるようにして、エネルギーの供給をスムーズにします。
これにより体が「動きやすく」なり、疲れにくくなる効果もあります。
まとめると、
・眠気を妨げる:アデノシンの「休もうよ」という信号を止める。
・体を活発にする:エネルギーを効率よく使えるようにする。
という事です。
また、脳の動脈を収縮させ脳血流量を減少させる作用もあります。
頭痛に使うのはこっちの方ですね。
よく言われる利尿作用については、アデノシン拮抗作用により、
- 腎血管の拡張による腎血流量の増加
(腎臓の血管が拡張することで腎血流量が増えて尿がたくさんできる) - 尿細管での水分とナトリウムの再吸収の抑制
(近位尿細管での水分の再吸収が妨げられるため尿量が増加する)
の2つの作用が考えられます。
カフェインのアデノシン拮抗作用は臓器によって異なる効果を発揮するみたいですね。
脳では血管収縮を引き起こす一方で、腎臓では血管拡張を引き起こします。
これは、アデノシン受容体の種類や分布密度が臓器によって異なるためのようです。
効果や使用方法
効果
- 眠気やだるさを改善
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の痛みを抑える
といった効果があります。
市販薬ではよく「頭の重い感じをやわらげます」みたいに書いてますね。
抗ヒスタミン薬が入っていると眠気が出る場合があるので、それを抑える目的もあるのかもしれません。
あとは「元気になった気にさせる」といったところでしょうか。エナジードリンクが良い例ですね。
気管支を拡張させる効果や呼吸促進作用もあるため、昔はコーヒーを気管支喘息の薬としても使っていたみたいですね。(気管支喘息の薬の「テオフィリン」は、カフェインと同じ「キサンチン誘導体」です。)
医療用の使用例
風邪薬の「PL配合顆粒」や「ペレックス配合顆粒」、鎮痛剤の「SG配合顆粒」に「無水カフェイン」が入っているので、これらが一番使われているのかなと思います。
つまり、市販の風邪薬や痛み止めと同じ使い方ですね。
「カフェイン水和物」単体では頭痛に使う事がありますが、あまり見かけませんね。
これが好きな医師もいますけど。
「無水カフェイン」単体だと「レスピア」という薬があるのですが、これの適応は「早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)」となっていて、用途が限られます。
用法・用量
市販薬では、風邪薬だと
1回25mg・1日3回(1日75mg)
が多いでしょうか。
一応1日150mgまでは入れられるのですが、ルール上、咳止めのメチルエフェドリンが1日60mg入っていると、カフェインは150mgの半分の75mgまでしか入れられない事になっています。
メチルエフェドリンが入っている風邪薬はかなり多いです。
カフェインが75mgまでしか入ってない製品が多いのはこのためですね。
医療用では、「カフェイン水和物」の場合は
1回100~300mgを1日2~3回
となっています。
「無水カフェイン」の方はいろいろな薬に配合されていますが、大体は
1回30~60mg・1日3~4回
という感じですね。
使用上の注意点
医療用の「カフェイン水和物「VTRS」原末」の添付文書の内容を書いておきます。
副作用
副作用としては、
- 不眠
- 振戦(手の震え)
- 動悸
- めまい
などがあります。
あと、胃酸の分泌が増えるので消化を助けますが、空腹時に飲むと胃が荒れます。
コーヒーにはミルクを入れましょう。ブラックを飲むなら食後にどうぞ。
他には利尿作用でしょうか。副作用といって良いのか分かりませんが。
ただ、これもかなり個人差があると思います。
「一度に250mg以上摂らないと利尿作用はない」と書いてるものもありますが、私の母はコーヒー1杯でもトイレが近くなると言いますし。
相互作用
併用注意
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
他のキサンチン系薬剤 アミノフィリン水和物 ジプロフィリン テオフィリン等 中枢神経興奮薬 エフェドリン塩酸塩 マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがある。 | 併用薬の代謝・排泄を遅延させることがある。 |
MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 頻脈、血圧上昇等が現れることがある。 | 機序は不明である。 |
シメチジン | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがある。 | 本剤の代謝・排泄を遅延させることがある。 |
カフェインもキサンチン系になるので、同じ系統を摂取すると過量投与になります。
喘息がある人はこれらの薬を服用してる可能性があるので注意してください。
マオウは漢方薬に入ってることが多いです。知らずに摂ってることがあるのでこれも注意を。
MAO阻害薬はパーキンソン病に使われる薬ですね。
シメチジンは胃薬なのですが、胃薬としてよりは石灰沈着性腱板炎に使う方が多いかな?
今はあんまり使われないですが、飲んでる方は注意を。
でもどれもあまり気にしなくて良いかと思います。症状が出るようならカフェインを減量してください。
一般的な飲み物のカフェイン含量など
また、カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれているので、農林水産省のサイトにあった表を載せておきます。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれていますが、その含有量は製品やブランド、調理法によって大きく異なります。
ここで紹介するのはあくまで一般的な平均値または範囲であり、正確なカフェイン含有量については各製品のラベルやメーカーの情報を参照してください。
厚生労働省のサイトによると、「悪影響のない一日当たりの最大摂取量」の目安というのは個人差が大きく、日本でも国際的においても明確に設定はされていないようです。
例えば、
・カナダでは健康な成人だと1日400mg、妊娠中の方、授乳中の方は1日300mgまで。
・イギリスでは妊娠中、授乳中の方は1日200mgまでとなっています。
厚生労働省のサイトにもカフェインの過剰摂取についての記事があるので興味のある方は目を通してみてください。(厚生労働省のサイト→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)
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