
『新コンタックかぜEX持続性』の特徴は、1日2回の服用でいい、という事くらいでしょうか。
同じ「コンタック」シリーズの『新コンタックかぜ総合』も1日2回の服用ですが、『かぜ総合』の方は7歳から使えます。こちらの『かぜEX』は15歳以上ですね。
「EX」とついてますが、特に「EX」な感じはありません。
解熱・鎮痛に関してはこちらの方が弱いかと思います。
鼻水にはこちらの方が良いかな?くらい。
市販薬においては、名前がゴージャスでも中身が伴わないことが多々ありますね。
惑わされないようにしてください。
基本情報
・製造販売元:佐藤薬品工業
(発売元はグラクソ・スミスクラインとなってます)
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 400mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ヨウ化イソプロパミド | 5mg | 鼻水を抑える |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 3.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
デキストロメトルファン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 400mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ヨウ化イソプロパミド | 5mg | 鼻水を抑える |
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 3.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
デキストロメトルファン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
・包装
- カプセル剤:12カプセル、24カプセル、36カプセル
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『新コンタックかぜEX持続性』の6種の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- イブプロフェン
- NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
- 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- ヨウ化イソプロパミド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- デキストロメトルファン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。とされていますが、急性上気道炎に対する有効性は示されていません。
- 吐き気や眠気、めまいなどの副作用が出る可能性があります。重大な副作用として呼吸抑制あり。
- セロトニン症候群の危険性あり。パーキンソン病薬や抗うつ剤を服用中の方は注意してください。
- 乱用による死亡例あり。通常用量であれば心配いりません。適正な使用を。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2カプセル | 2回(朝・夕) |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃に負担がかかることもあるので一応注意してください。それほど心配しなくても大丈夫です。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。(メフェナム酸は微妙)
国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- 喘息治療中の方:気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
- イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
- この製品の添付文書には記載がないですが、医療用のイブプロフェンはジドブジンとの併用は禁忌となっています。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 服用期間:「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- デキストロメトルファンのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の説明書では「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンにより胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
28週以前でもヨウ化イソプロパミドやメチルエフェドリンによって、胎児が頻脈を起こす可能性はあります。
ただ、この2つは入っているとは言え量も少なめです。こちらに関してはあまり心配は要らないかと思います。
とはいえ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
こちらに関しては特に問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- デキストロメトルファン
- クロルフェニラミン
の2つが「L3(概ね適合)」となっています。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
ただ、ヨウ化イソプロパミドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は、1日2回の服用でいい、という事くらいでしょうか。
製品の説明書にはこういう記載があります。
TTP(Tiny Time Pill)テクノロジーで安定した効果が持続
先に効く速放性の粒と、後に効く徐放性の粒を配合したTTP(Tiny Time Pill)テクノロジーで、イブプロフェンの安定した効果が、朝・夕1日2回の服用で持続します。
だそうです。
それは良いのですが、肝心のイブプロフェンの量が少ないです。1日400mg。
今は1日600mg入っている製品も少なくないですし、これだとちょっと物足りないですね。
これならアセトアミノフェンが1日900mg入っている薬の方が、解熱・鎮痛の効果は高いかもしれません。
というか、こういった持続性の技術は他のメーカーでもありますし、今さら強調するようなものでもないですね。
咳止めはデキストロメトルファンとメチルエフェドリンの2つです。
中枢性の鎮咳薬をジヒドロコデインではなくデキストロメトルファンにする理由としては、小児でも使えるように、という事が大きいと思います(ジヒドロコデインは12歳未満は禁忌)。
が、この製品はイブプロフェンが入っていて15歳未満は使えません。
そしてデキストロメトルファンは、成人における鎮咳作用はほぼないとされています。
デキストロメトルファンにするメリットはあまり無いかと思います。
せめて去痰薬が入っていれば良かったのですが、それも無いですね。
メチルエフェドリンが入っているのは良いのですが、そもそも市販の風邪薬に配合できる量が少ないんですよね。医療用で使う半分以下となります。これは他の風邪薬でも同じです。
鼻水にはd-クロルフェニラミンとヨウ化イソプロパミド。
クロルフェニラミンが「d-体」だけなのは良いと思います。「l-体」はデメリットしかありません(単に「クロルフェニラミン」と書かれているのは全て「l-体」を含むものです)。
抗コリン薬のヨウ化イソプロパミドも鼻水を抑えます。医療用では通常こういう使い方はしませんが、効果は確かにあります。短期間の使用であれば副作用もそれほど問題になることはないでしょう。口は渇くと思いますけど。
鼻水が出て、1日3回飲むのがめんどくさい、という人には良いでしょうか。
ちなみに、鼻づまりへの効果は期待できません。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
ん~、評価はまあまあといったところでしょうか。
「効いてるのかわからない」といった声がいくつか。これはどんな薬も人によるので仕方ないですね。
持続性の薬は効果の発現がゆっくりなので、いつの間にか楽になってる、という感じです(効果があれば)。
同じ成分量でも1日3回にした方が「効いてる!」という感じはするかもしれませんね。
とはいえ、この製品は「TTPテクノロジー」だかで早めに効くようにもなってるはずなんですけどね。
成分量自体が少なめなので、そもそも効果が弱いって事もあるかもです。
あと薬全般に言えることですが、体重によって効き目は変わります。
成人でも40kgの人もいれば100kgの人もいます。
この2人が同じ量を飲んで同じような効果を感じるか?というと、それは難しいでしょう。
小児だと体重によって使う量が変わりますしね。
この辺が「効き目は人によって違う」という要因の一つですね。他にもあるけど。
値段について
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
12カプセル | 1,000~2,000円 | 333~667円 |
24カプセル | 1,300~2,500円 | 217~417円 |
36カプセル | 1,500~3,000円 | 167~333円 |
※1日分のは、1日4カプセルで計算
※2025年2月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
安いのと高いのでは倍くらい違いますね。
12カプセルのだと高いですが、36カプセルのだとそれなりですね。
36カプセル(9日分)で2000円だと1日220円くらいなので、市販の風邪薬としては普通だと思います。
まとめ
この記事では『新コンタックかぜEX持続性』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴は、持続性で1日2回の服用でいい、という事くらいでしょうか。
製品サイトの最初に大きく「イブプロフェン200mg配合 ※1回量」なんて書かれていますが、1日400mgしか入ってないので他の製品よりも少ないんですよね。だまされないようにしてください。
解熱・鎮痛の効果は弱いと思います。これならアセトアミノフェンが1日900mg入っているものの方が良いかも。
咳に関しては去痰薬が入ってない時点であまりお勧めしたくはありません。
痰のからまない咳が出る方であれば良いと思いますが、それならジヒドロコデインの方が効果は高いでしょうね。
鼻水には良いかな、と思います。抗コリン薬が入っているので、前立腺肥大や緑内障の方は一応注意してください。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
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