
『ルルアタックCXプレミアム』は咳に特化した製品ですね。
特徴としては、
- 咳・痰に関する成分が4種類入ってる
- グリチルリチン酸が入ってる
- 値段が高い
ということになるかと思います。
普通の『ルルアタックCX』との違いは、
- イブプロフェンの量がちょっと多い(450→600mg/日)
- 鼻水の薬が劣化
の2点です。咳に関する成分は何も変わりません。
「名前に『プレミアム』って付いてるし、普通の『ルルアタックCX』よりも咳に効きそう~」と思う人もいると思いますが、全然そんなことはありません。コスパがより悪くなっただけ。
安価で代替可能な薬が他にあるので、そちらにした方が良いかと思います。
基本情報
・製造販売元:第一三共ヘルスケア
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 600mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける |
グリチルリチン酸 | 39mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体) | 25mg | ビタミン補給 |
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 600mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける |
グリチルリチン酸 | 39mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ベンフォチアミン (ビタミンB1誘導体) | 25mg | ビタミン補給 |
・包装
・錠剤:18錠、36錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ルルアタックCXプレミアム』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- イブプロフェン
- NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
- 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- ノスカピン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
- 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- カルボシステイン
- 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
- 上気道炎や気管支炎、気管支喘息や副鼻腔炎などに使用されます。
- 副作用は非常に少ないですが、内服後数日経ってから固定薬疹が出ることが稀にあります。
- グリチルリチン酸
- 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- 甘草(カンゾウ)が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体)
- 水溶性ビタミンで、糖からエネルギーを作り出すのに必要です。
- 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 3錠 | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。(メフェナム酸は微妙)
国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
- イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
- この製品はジドブジンとの併用は禁忌となっています。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- 喘息治療中の方
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。漢方薬を服用中の方は注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の説明書では「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンにより胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
また、ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性はあります。
とはいえ量も少なめです。あまり心配は要らないかと思います。
あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
ただ、この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
の2つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
咳に特化した製品ということで、製品のサイトには「夜も眠れない、しつこいせきのかぜに」と書かれています。
この製品の特徴は、
- 咳・痰に関する成分が4種類入ってる
- グリチルリチン酸が入ってる
ということでしょうか。
咳・痰に関しては、
- 中枢性の鎮咳薬がジヒドロコデインとノスカピンの2つ
- 気管支拡張剤としてメチルエフェドリン
- 去痰薬としてカルボシステイン
ですね。
ジヒドロコデインとノスカピンの組み合わせは「ルル」に多い気がします。あとは「ストナ」?
大体の風邪薬では中枢性鎮咳薬はジヒドロコデイン単独ですね。ノスカピンは補助的な感じでしょうか。
去痰薬としてカルボシステインを入れてるのは良いかと思いますが、1日750mgは医療用で使う半分の量なんですよね。
市販の風邪薬には1日750mgしか入れられないので仕方ないですね。
グリチルリチン酸は生薬の甘草の主成分です。風邪薬には喉の炎症を抑える目的で配合されているようですね。
グリチルリチン酸自体は医療用では主に肝機能改善目的で使いますが、甘草単独の漢方薬「甘草湯」は激しい咳や喉の痛みに使われます。
ただ量は少なめ。効果はあまり期待できないでしょうね。
で、プレミアムではない普通の『ルルアタックCX』と比較してみます。
『ルルアタックCXプレミアム』 | ルルアタックCX』 | 『|
解熱鎮痛剤 | イブプロフェン:600mg | イブプロフェン:450mg |
咳止め | ジヒドロコデイン:24mg ノスカピン:48mg メチルエフェドリン:60mg | ジヒドロコデイン:24mg ノスカピン:48mg メチルエフェドリン:60mg |
鼻水の薬 | クロルフェニラミン:7.5mg | d–クロルフェニラミン:3.5mg |
痰の薬 | カルボシステイン:750mg | カルボシステイン:750mg |
その他 | グリチルリチン酸:39mg | グリチルリチン酸:39mg |
ビタミン剤 | ビタミンB₁:25mg | ビタミンB₁:25mg |
カフェイン | 75mg | 75mg |
プレミアム』 | 『ルルアタックCXルルアタックCX』 | 『|
解熱鎮痛剤 | イブプロフェン:600mg | イブプロフェン:450mg |
咳止め | ジヒドロコデイン:24mg ノスカピン:48mg メチルエフェドリン:60mg | ジヒドロコデイン:24mg ノスカピン:48mg メチルエフェドリン:60mg |
鼻水の薬 | クロルフェニラミン:7.5mg | d-クロルフェニラミン:3.5mg |
痰の薬 | カルボシステイン:750mg | カルボシステイン:750mg |
その他 | グリチルリチン酸:39mg | グリチルリチン酸:39mg |
ビタミン剤 | ビタミンB1:25mg | ビタミンB1:25mg |
カフェイン | 75mg | 75mg |
違う所に青線を引いてみました。
つまり、普通の『ルルアタックCX』との違いは
・イブプロフェンがちょっと多い(450→600mg/日)
・クロルフェニラミンがdl体
という事になります。
まず、イブプロフェンが多いのは良いと思います。1日600mgが成人の使う一般的な量になります。
このくらいはないと効果は実感できないかもしれません。
クロルフェニラミンは劣化しています。
クロルフェニラミンにはd(ディー)体とl(エル)体があり、l体の方には特にメリットはありません。眠気の副作用が強くなるだけです。
単に「クロルフェニラミン」と書かれている場合は「dl-クロルフェニラミン」になるので注意してください。
何か間違えたかな?と思い添付文書を何度も見返してみたのですが、確かにこの2つの違いしかありませんでした。
「咳に」という事をアピールしている製品で『プレミアム』が付いてるにもかかわらず、咳に関する成分は普通の『ルルアタックCX』と同じです。
『ルルアタックCX』では熱とか痛みには弱いな~と思う方は『プレミアム』の方を買うと良いかもしれませんね。
咳の症状に関しては変わらないけど。
あと、他に似たような製品があるのでそちらで良いかと思います。
それに関しては下の値段のところに書いてます。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
咳に対する効果の評価は高めだと思います。
「効かなかった」という人は少なかったですね。
ただ、効果は咳に対してのみ言及してるものばかりでした。
つまり、咳止めが同じであれば他の製品でも効いたはずなんですね。
値段に関しては「高い」という人と「コスパが良い」という人の両方がいました。
店舗にもよるのでしょうね。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
18錠 | 1,650円 |
36錠 | 2,420円 |
ということでした。
楽天(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
18錠 | 1,300~1,800円 | 650~900円 |
36錠 | なし |
※1日分のは、1日9錠で計算
※2025年2月時点です。
18錠のはAmazon、Yahooでは見当たりませんでした。
36錠のはAmazon、Yahoo、楽天のどこにも見当たりませんでした。
十分高いですね。コスパが良いと書いてる人はステマでしょうか?
まとめ
この記事では『ルルアタックCXプレミアム』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
一応この製品の特徴としては、
- 咳・痰に関する成分が4種類入ってる
- グリチルリチン酸が入ってる
- 値段が高い
といったところでしょうか。
普通の『ルルアタックCX』のイブプロフェンの量をちょっとだけ増やして、鼻水の薬をちょっと悪くして、値段を高くしたというだけですね。
内容自体はそれほど悪いとは思わないですけど、値段が高すぎて買う気にならないですね。
もし咳がひどくて「ルル」が良いというのであれば『新ルル-A錠s』か『新ルルAゴールドs』で良いかと思います。
『ルルアタック』『ルルアタック・プレミアム』のシリーズはどれもコスパが悪いですね。
いずれ消えていくと思います。(あくまで個人的な見解です)
通販サイトであまり販売されてないのも納得ですね。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
おすすめはしませんが、この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
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たぶん楽天しか売ってないと思います(2025年2月時点で)。
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