「ルルアタック」シリーズの第三弾は『ルルアタックFXa』。
正直このシリーズはもういいかな…と思いますが、4つしかないのでついでに書いてしまおうと思います。
「FXa」は熱や寒気に重点を置いた製品のようですね。
あまり期待はしていませんが、一応その内容を詳しく見ていこうと思います。
『ルルアタックFXa』の基本情報
・製造会社:第一三共ヘルスケア
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
イソプロピルアンチピリン (ピリン系) | 300mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
アセトアミノフェン | 450mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
ショウキョウ末 | 200mg | 発汗を促し、熱をさげる |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
グリチルリチン酸 | 39mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
チペピジンヒベンズ酸塩 | 75mg | 咳を抑え、痰を出しやすくする |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
アスコルビン酸(ビタミンC) | 300mg | ビタミン補給 |
・包装
・錠剤:12錠、24錠
(PTP包装)
※Yahooショッピングで探すと18錠包装のも売っていたのですが、公式ホームページでは18錠包装のはありませんでした。以前はあったのかもしれませんね。
※このリンクはアフィリエイトリンクです。
それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が10種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
イソプロピルアンチピリン(ピリン系)
クリック・タップで開きます。
・分類:いわゆる「解熱鎮痛剤」です。
「ピリン系(ピラゾロン系)」と呼ばれるもので、今はあまり使われてないですね。
・効果:体内で痛みや炎症の原因となる特定の物質の作用を抑えることによって、頭痛や筋肉痛などの痛みを和らげる効果があります。
また、熱を下げるのを助ける作用もあります。
・臨床での使用例:医療用医薬品としては、現在はこの成分単独の薬はありません。昔はあったのかな?
今は主に頭痛薬として使う薬の中に配合されていますね。もちろん風邪のときの解熱、喉の痛み、歯の痛みなど、いろいろな痛みや発熱に使えます。
・副作用と注意点:一般的な解熱鎮痛剤と同じではあるのですが、この成分は特に「ピリン系」と呼ばれるもので、過敏症や血液障害が出ることがあります。そういうのがあって今はあまり使われないですね。
市販薬で使われる「ピリン系」は、この「イソプロピルアンチピリン」だけみたいです。過去にこの成分が入ってる薬を飲んで過敏症(発疹や痒み)が出た事のある方は避けてください。
あと、喘息をもってる方も注意してください。「アスピリン喘息」を誘発する可能性があります。
他の解熱鎮痛剤は胃・十二指腸潰瘍には禁忌なのですが、この成分はそれはありません。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には100mg入っています。1日300mg。
医療用だと例えばSG顆粒というのがあるのですが、これだと1回分に150mg、最大で1日600mg使います。
この製品にはアセトアミノフェンも入っているので少なめなのかもしれませんね。
アセトアミノフェン
クリック・タップで開きます。
・分類:「解熱鎮痛剤」ですね。たぶん一番使われている解熱鎮痛剤だと思います。
・効果:解熱鎮痛剤としてはかなり古い歴史があるのですが、いまだに作用機序は明らかになっていません。
一般的な鎮痛剤(NSAIDsといいます)は末梢において効果を発揮しますが、このアセトアミノフェンは中枢で働く、と考えられています。
中枢(脳や脊髄)において痛みを感じにくくしたり熱を下げたりしますが、平熱より下がる事はありません。
あと、一般的な解熱鎮痛剤(NSAIDsと言います)と違い抗炎症作用はほぼありません。
・臨床での使用例:小児から高齢者まで、あらゆる痛み・解熱に使っています。
作用機序が分からないのにもかかわらず、使われてる歴史が長く、その安全性・危険性はほぼ分かってて使いやすいからでしょうね。
「痛みや熱があったらまずはこれ。ダメなら違う薬」という感じです。
誰しも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
・副作用と注意点:安全性は高いとされていますが、副作用が全くないというわけではありません。
一番問題になるのは肝障害です。一番というか、ほぼこれです。
市販薬でも病院から出た場合でも、決められた用量を守っていれば安全性は高いです。
ただ、この成分はいろいろな市販薬に入っているので、自分でも気が付かないうちに過剰摂取してる、という事があります。
アルコールの摂取でも肝障害のリスクが高まります。
あと、アスピリン喘息に対してはNSAIDsよりは安全性が高いとされていますが高用量では喘息発作が誘発される可能性があります。喘息を持っている方は低用量から少しずつ増やす、という方法を取った方が良いかと思います。
NSAIDsと比べると胃への負担は軽めです。病院でも胃薬なしで処方されることが多いですね。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
炭酸リチウム | 他の鎮痛剤(インドメタシン、イブプロフェン等)で、 リチウムとの併用によりリチウムの血中濃度が上昇し、 リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
チアジド系利尿剤 | 他の鎮痛剤(インドメタシン等)で、 チアジド系利尿剤の作用を減弱することが報告されています。 |
アルコール | アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ 肝不全を起こしたとの報告があります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド | これらの薬剤の長期連用者は、肝薬物代謝酵素が誘導され、 肝障害を生じやすくなるとの報告があります。 |
特にアルコールに関しては、常飲者が多量のアセトアミノフェンを服用して急性肝不全で死亡した例があります。
通常の用量では問題にはならないと思いますが注意してください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約150mg入っています。1日450mg。
医療用では、大体1日に900~1,500mg使う事が多いです。
(最高では1日4,000mg使うことがありますが、1日1,500mgを長期で使う場合は定期的に肝機能検査をする必要があります)
これも少なめですが…イソプロピルアンチピリンと一緒なので少ないんでしょうね。
ショウキョウ末
クリック・タップで開きます。
・分類:「漢方」とか「生薬」ですね。
漢字だと「生姜」。つまり「ショウガ」です。
日本人にとってはなじみ深いものですね。
風邪の時には「生姜湯」を飲む方も多いのではないでしょうか?体が温まりますよね~。
・効果:体を温める作用があります。末梢の血液循環を良くすることで発汗を促し、解熱の効果もあります。
あと、その独特な香りと辛味によって胃腸の働きが良くなり、食欲増進や消化促進などの効果もあります。
・臨床での使用例:基本的にはショウキョウ単独では使わなくて、大体は他の生薬と一緒になっています。
いろいろな漢方薬に入っていますね。
胃腸薬やかぜ薬に用いられるのはもちろん、吐き気止めや鎮痛などに使う漢方にも使われています。
・薬物相互作用:特に注意するものはありません。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約66.7mg入っています。1日200mg。
漢方薬の中では、例えば「葛根湯」には1日あたり470mgくらい入っています。
胃腸の方で使われる「六君子湯」という漢方薬には1日あたり100mgくらい入ってます。
漢方薬によっても全然入ってる量が変わってくるので一概には言えないのですが、市販の風邪薬としては十分ではないでしょうか。他に解熱鎮痛剤も入ってますしね。
クレマスチンフマル酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
その中でも「第一世代」と呼ばれるものですね。
(抗ヒスタミン薬には「第一世代」と「第二世代」があります。同じようなものですが、効果や副作用が若干違います)
・効果:アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の働きをブロックします。
これにより、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー症状を緩和します(抗ヒスタミン作用)。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが鼻づまりの方にはあまり効きません。
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
ただ、この成分は今はあんまり使われないかもしれません。もちろん医師の好みもあるのですが…。
この「抗ヒスタミン薬」というのは効き方にとても個人差があるので、いろいろと選択肢があるのは良い事なんですけどね。
・副作用と注意点:この成分は注意点が多いです。
抗コリン作用により眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
もう一つ、他の抗ヒスタミンにはあまりないのですが、この成分に関しては狭窄性消化性潰瘍又は幽門十二指腸閉塞のある方には禁忌となっています。「抗コリン作用によって胃や十二指腸の動きが抑えられて症状が悪化する」というのが理由なのですが、この製品に入ってる量ではそこまで問題にはならないと思います。
この製品の添付文書では「胃・十二指腸潰瘍のある方は医師または薬剤師に相談して」という書き方になっていますので、心配であれば薬局の人に相談してみてください。
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
・中枢神経抑制剤 鎮静剤 催眠剤等 ・アルコール | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量するなどしてください。 |
・抗コリン剤 アトロピン等 ・MAO阻害剤 | 抗コリン作用が増強されることがあるので、減量するなどしてください。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約0.447mg入っています。1日1.34mg。
医療用では1回1mg、1日2回となっています。1日2mg。
副作用のことを考えると、この製品に入ってる量は決して少ない量ではないと思います。
グリチルリチン酸
クリック・タップで開きます。
・分類:いろいろと作用があるのですが…あえて分類すると「肝機能改善薬」でしょうか。
もちろん風邪薬に入っている以上、風邪に効く作用もありますけど。
甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分です。
・効果:抗アレルギー、抗炎症、免疫調節、肝細胞増殖作用などいろいろな効果がありますね。
・臨床での使用例:医療用では「グリチルリチン酸」単独の薬はないと思います。
グリチルリチン酸配合の飲み薬や注射薬があるのですが、飲み薬では「グリチロン」という薬がよく使われます。と言っても今はあまり使われないですけど。
適応としては、慢性肝疾患における肝機能改善、湿疹・皮膚炎、円形脱毛症、口内炎、小児ストロフルスとなっています。
風邪の時に処方されたことは見た事がないです。主に肝機能の改善を目的に使用するものですね。
あと皮膚科でも使われるかな?
・副作用と注意点:カリウムを下げる作用があるので、低カリウム血症の方は注意した方が良いでしょう。
通常使う分にはほとんど副作用はありません。
ただ、多めの量を長期間飲んでると「偽アルドステロン症」といって血圧が上がったり浮腫みが出たりします。
・薬物相互作用:カリウム関係で併用注意があります。
ループ・サイアザイド系の 利尿剤 | 利尿剤とグリチルリチン酸の両方にカリウムを下げる作用があるので、 低カリウム血症(脱力感、筋力低下等)があらわれるおそれがあります。 |
モキシフロキサシン (アベロックス) | グリチルリチン酸によってカリウムが低下した場合、心室性頻拍、QT延長などの不整脈を起こすおそれがあります。 |
あと、先にも書きましたがグリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれている成分です。
この甘草は、かなり多くの漢方薬に配合されています。
漢方薬を常用している方は、ご自身の服用している漢方に甘草が入っていないか確認した方が良いでしょう。
(と言っても、この製品に入ってる量はかなり少ないです)
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約13mg入っています。1日39mg。
医療用では1回50~75mg、1日3回なので1日150~225mg。
小児でも1回25mg、1日3回は使いますが…
ん~、補助的な感じでしょうか?
チペピジンヒベンズ酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性非麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
あと、この成分は気管支の分泌物を増やして痰を薄めたり、気管線毛運動をよくすることで痰を出しやすくする去痰作用も併せ持っています。
ジヒドロコデインやデキストロメトルファンと違って、習慣性はないとされています。
・臨床での使用例:主に小児の咳に使いますね。大人に処方されてるのはあまり見た事がありません。
子どもが風邪をひいて病院に連れて行った経験のある方であれば、一度は見た事があると思います。
小児の咳にはまずこれを使いますね。
・副作用と注意点:副作用が出たという話は聞いた事がないのですが、一応食欲不振、口の渇き、眠気などが出る方もいるようです。
あと、薬の代謝物(体の中で別の物質に変化したもの)によって、おしっこが赤くなることがあります。
問題はないので無視して大丈夫です。
・薬物相互作用:特にありません。使いやすいですね。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には25mg入っています。1日75mg。
医療用では1日60~120mg使います。
他にも咳止めが入ってることを考えると、少なくはないですね。
ノスカピン
クリック・タップで開きます。
・分類:いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性非麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
同じ中枢性の咳止めの「ジヒドロコデイン」や「デキストロメトルファン」と似たようなものですが、こちらは習慣性はないとされています。構造式もかなり違いますね。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
あとこの成分は気管支を拡張する作用も少しあるようですね。
・臨床での使用例:医療用の「ノスカピン」単体のものは存在するようですが、私は見た事がありません。
医療用の総合感冒薬の「アストーマ配合カプセル」という薬に配合されているようですが…これも見た事がないですね。あまりメジャーではないと思います(個人的感想です)。
・副作用と注意点:麻薬性と違い、耐性や依存性もなく使いやすそうですが、稀に眠気、便秘、吐き気などが出るようです。このへんの副作用は麻薬性のものと同じですね。
・薬物相互作用:添付文書によると他の薬との相互作用はないようです。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には16mg入っています。1日48mg。
医療用では1回10~30mg、1日3~4回使います。最高で1日120mgになりますね。
こうして見ると少なく感じますが、この製品には他にも咳止めが入っていますしね。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経に働くものです。
・効果:交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体があって、メチルエフェドリンはその両方を刺激します。
さらに「β受容体」は「β1」「β2」などいくつかタイプがあります(今分かっているのは「β3」まで)。
メチルエフェドリンを風邪薬として使う場合は、主に「β2刺激薬」として使います。
気管支には交感神経のβ2受容体というのがあって、そこにメチルエフェドリンがくっつくと気管支が拡張して呼吸が楽になります。
ただ、交感神経の受容体は全身のあちこちにあるので、思わぬ副作用が出ることがあります。
あとメチルエフェドリンには中枢性の鎮咳作用もあるようですね。
・臨床での使用例:気管支喘息や気管支炎、結核、風邪の咳など、咳や呼吸の症状に使います。
あと抗アレルギー作用も持っていて蕁麻疹や湿疹にも適応がありますが、これらに使ってるのは見た事がありません。
・副作用と注意点:副作用としては、動悸が出やすいかと思います。
あとは手の震えが出ることもあります。どちらも薬を止めると症状も治まるはずです。
ただ、過度に使用すると不整脈からの心停止をする事もあり、注意が必要です。通常使う量ならまず問題にはならないですね。心疾患のある方は注意してください。
あと、甲状腺の機能を亢進させたり、血圧が上がったり、血糖値が上がったりすることもあります。
甲状腺機能亢進症、高血圧、糖尿病の方は注意してください。
・薬物相互作用:カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)とは併用禁忌になります。この辺は循環不全の急性期(いわゆるショック)に使うものなので、あまり通常は使われるものではありません。
併用注意もいくつかあるので載せておきます。
・モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・甲状腺製剤 チロキシン リオチロニン等 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・キサンチン誘導体 テオフィリン ・ステロイド剤 プレドニゾロン ・利尿剤 アミノフィリン | 血清カリウム値が低下するおそれがあります。 併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察して、用量について注意してください。 |
喘息を治療中の方は、これに似た系統の成分をすでに服用してる可能性があるので注意してください。飲み薬としてではなく、吸入薬の中に入っていることが多いです。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約20mg入っています。1日60mg。
医療用では、1日に75~150mg使われます。
1日60mgは他の一般的な市販薬と同じ量ですね。60mgを超えるのは今のところ見た事がありません。
無水カフェイン
クリック・タップで開きます。
※「無水カフェイン」と「カフェイン水和物」というのがありますが似たようなものなので、ここでは同じものとして扱います。
・分類:薬効分類でいえば「中枢興奮・鎮痛剤」になります。「中枢性呼吸刺激薬」にもなります。「キサンチン誘導体」というものの一種でもあります。
・効果:カフェインは、頭をすっきりさせたり、エネルギッシュな気分にさせたりする効果があります。それによって、心臓が活発に動いて血の流れが良くなるので、結果としてトイレに行く回数が増えることがあります。
また、カフェインは頭の中の血管を少し狭めることで、頭痛を和らげる効果もあります。
あと気管支を拡張させる作用があるので、昔はコーヒーを喘息の特効薬として使ってたみたいですね。
・臨床での使用例:そもそもあんまり使われないのですが、一番使われるのは頭痛でしょうか。脳血管を収縮させるので、血管拡張型の頭痛に使います。
一応眠気や倦怠感にも適応があるのですが、それ目的で処方されたことは一度も経験ありません。
でも医療用ではなく一般的には眠気やだるさに対してが一番使われるでしょうね。
「無水カフェイン」は「早産・低出生体重児における原発性無呼吸症」に適応があります。
市販薬に入ってることが多いですが、これは眠気防止かなと思います。あとは「元気になった気にさせる」といったところでしょうか。エナジードリンクが良い例ですね。
・副作用と注意点:副作用として不眠や振戦(手の震え)、動悸などがあります。
あと胃酸の分泌が増えるので消化を助けますが、空腹時に飲むと胃が荒れます。コーヒーには牛乳を入れましょう。ブラックを飲むなら食後にどうぞ。
・薬物相互作用:併用注意のものがいくつかあります。禁忌ではないです。
・他のキサンチン系薬剤 アミノフィリン水和物 ジプロフィリン テオフィリン等 ・中枢神経興奮薬 エフェドリン塩酸塩 マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
・MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 頻脈、血圧上昇等が現れることがあります。 |
シメチジン | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
カフェインもキサンチン系になるので、同じ系統を摂取すると過量投与になります。喘息ある人は服用してる可能性があるので注意してください。
マオウは漢方薬に入ってることが多いです。知らずに摂ってることがあるのでこれも注意を。
MAO阻害薬はパーキンソン病に使うので、パーキンソンの方は注意してください。
シメチジンは胃薬ですね。今はあんまり使われないですが、飲んでる方は注意を。
でもどれもあまり気にしなくて良いかと思います。症状が出るようならカフェインを減量してください。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれているので、農林水産省のサイトにあった表を載せておきます。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれていますが、その含有量は製品やブランド、調理法によって大きく異なります。ここで紹介するのはあくまで一般的な平均値または範囲であり、正確なカフェイン含有量については、各製品のラベルやメーカーの情報を参照してください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には25mg入っています。1日75mg。
医療用では、1回100~300mg、1日2~3回となっています。
厚生労働省のサイトによると、「悪影響のない一日当たりの最大摂取量」の目安というのは個人差が大きく、日本でも国際的においても明確に設定はされていないようです。
例えば、
・カナダでは健康な成人だと1日400mg、妊娠中の方、授乳中の方は1日300mgまで。
・イギリスでは妊娠中、授乳中の方は1日200mgまでとなっています。
厚生労働省のサイトにもカフェインの過剰摂取についての記事があるので興味のある方は目を通してみてください。(厚生労働省のサイト→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)
アスコルビン酸(ビタミンC)
クリック・タップで開きます。
・分類:「ビタミン剤」ですね。その中の「水溶性ビタミン」になります。
ビタミンには脂溶性と水溶性がありますが、水溶性は摂り過ぎた場合でもおしっこの中に出てしまうので副作用というものはほぼありません。
・効果:コラーゲンの合成に関わっています。
ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成が低下して、骨、皮膚、血管、歯などが弱くなります。
ビタミンC欠乏が数週間から数ヵ月続くと壊血病を引き起こします。
でもこれは極端に不足した場合です。1日10mg程度摂っていればいれば壊血病防止になるようですが、日本人は平均してその10倍は摂っています。
あと、メラニン色素の生成を抑制したり、抗酸化作用などもありますね。
一応「風邪の症状の持続時間を短縮される効果があった」という報告もあるようです。
ただ、予防効果については否定されていますね。
・臨床での使用例:あんまり処方されてるのを見ないのですが、皮膚科では肝斑(シミ)とか炎症後の色素沈着とかで出ます。
あと、鉄分の吸収を良くするので、鉄欠乏性貧血の方に鉄剤と一緒に処方されたりしますね。
・副作用と注意点:水溶性ビタミンなので基本的には過剰症というのは出にくいのですが、大量に摂取した後に急に中止すると「リバウンド壊血病」というのが出ることがあるようです。
あと、ビタミンCを過剰摂取すると血清シュウ酸値が上昇します。
このため、「ビタミンCをたくさん摂ると尿路結石(シュウ酸カルシウム)ができやすくなる」という話がありますが…これは今では否定されています。むしろ、ビタミンCがシュウ酸とカルシウムの結合を阻止していると。
ただ、長期大量投与ではシュウ酸症による腎障害などがあるようです。
どんなものでも摂り過ぎには注意しましょう。普通に摂る分には問題ありません。
ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意です。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には100mg入っています。1日300mg。
医療用では1日50~2,000mgとなっています。
あってもなくてもどっちでも良いですね。食事が摂れている方であればまず不足する事はありませんし。
『ルルアタックFXa』の主要成分の効果と注意点のまとめ
10個の成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- イソプロピルアンチピリン
- 解熱鎮痛剤。痛みや炎症を抑え、風邪の不快感を軽減します。
- ピリン系にアレルギーのある方は避けてください。
- アスピリン喘息の誘発などのリスクにも注意が必要です。
- アセトアミノフェン
- 解熱鎮痛剤で、痛みや熱を中枢神経系で抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあり、特にアルコールとの併用には注意が必要です。
- ショウキョウ末
- 体を温めたり、胃腸の働きを良くしたりする効果があります。
- 特に注意点はありません。
- クレマスチンフマル酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- グリチルリチン酸
- 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめます。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- 甘草が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
- チペピジンヒベンズ酸塩
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑えたり痰を出しやすくします。
- 副作用があまりなく依存性もないので使いやすいですね。
- おしっこが赤くなることがありますが、気にしなくて大丈夫です。
- ノスカピン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 無水カフェイン
- 中枢興奮・鎮痛剤として、覚醒作用を持ち、頭痛や眠気防止に効果的です。
- 副作用には不眠や振戦、動悸があり、他のキサンチン系薬剤や中枢神経抑制剤との併用に注意が必要です。
- アスコルビン酸(ビタミンC)
- 水溶性ビタミンで、コラーゲンの生成に関与しています。風邪への効果は疑問あり。
- 摂り過ぎても尿として排泄されるため、長期・大量摂取しなければ過剰症のリスクはありません。
用法・用量と注意点
『ルルアタックFXa』の用法・用量
・成人(15歳以上):1回2錠・1日3回
・7歳以上15歳未満:1回1錠・1日3回
となっています。
ルルアタックのシリーズでは唯一7歳から使える製品ですね。
他のは全部イブプロフェンが入ってるので15歳未満は禁忌になっています。
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
・食後の服用: 「食後なるべく30分以内に」となっています。
イソプロピルアンチピリンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
でもあまり心配は要らないです。
・ピリン系:イソプロピルアンチピリンがピリン系の解熱鎮痛剤になるので、ピリン系にアレルギーがある方は飲まないでください。
・眠気に注意:クレマスチンで眠気が出やすい方もいるので注意してください。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
あと一応この製品にはカフェインが入っています。
・喘息:イソプロピルアンチピリンによって喘息発作が誘発される事があります。
他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンのみが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
・喘息治療中の方:気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
・漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。
漢方薬を飲んでる方は注意してください。カンゾウが入っていないものであれば問題ありません。
・服用期間: 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いかと思います。
妊娠中の方
この製品の添付文書には「医師、薬剤師又は登録販売者に相談」と書いてあります。
イソプロピルアンチピリンについては「妊婦又は妊娠してい る可能性のある女性には投与しないことが望ましい」という書き方になっています。
イソプロピルアンチピリンの類似物質(スルピリン)で、動物実験で催奇形作用の報告があったとのことです。
あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
ただ、この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。
短期間であれば問題はないと思います。
でも、妊娠中の方はあえてこの製品を使う必要はないと考えます。
妊娠してる方でも安心して使える風邪薬は他にあります。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
この製品の添付文書には「医師、薬剤師又は登録販売者に相談」と書いてあります。
ただ、こちらについてはそれほど問題ないと考えます。
クレマスチンがMothers’ Milk基準では「L4(悪影響を与える可能性あり)」となっています。
でもクレマスチンって1歳未満でも使えるんですよね。シロップもあるし。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが…生後3ヵ月から使える製品も存在します。
他の成分は特に問題ないですね。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度は時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
別にこの製品である必要はないと思います。授乳中でも使える薬は他にもありますしね。
あと、薬を服用してる間だけ粉ミルクを使う手もあります。
『ルルアタックFXa』の特徴と利点と個人的な感想
この製品には10種類の成分が入っていますね。多い。
発熱に重点を置いているということで、熱を下げる成分は
・イソプロピルアンチピリン
・アセトアミノフェン
・ショウキョウ末
の3つが入っています。
アセトアミノフェンとショウキョウ末はいいとして、なぜイソプロピルアンチピリンを選んだのか?
イブプロフェンと違って小児でも使えるのは良いんですけどね。
でもそれは適応がどうのって話で、安全性はイブプロフェンの方が高いと思います。
これならイソプロピルアンチピリンをやめてアセトアミノフェンを1,500mg/日にした方が使いやすいと思います。
といっても、市販薬でアセトアミノフェンが1日900mgを超えるのは見た事がないですね。決まりがあるのかな?
咳止めについてはちょっと今までの風邪薬と違います。
大抵の風邪薬にはジヒドロコデインかデキストロメトルファンが入っているのですが、この製品には入っていません。
代わりに珍しくチペピジンが入っています。小児によく使われる咳止めですね。
効果はちょっと落ちるかもしれませんが、安全性は高いですね。常習性もないし。
効果に関しては他にも咳止めを入れてるので問題ないかな?
個人的な全体的な評価としては「何に重点をおいてるのかいまいち分からない」といった感じです。
汎用性はあるかもしれないですが、逆に言えば全部中途半端。
自分はこの製品は買わないと思います。
使用した方の口コミ・レビューなど
『ものログ』というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効果に対する評価は悪くないですね。
「効かなかった」という人は少なめでした。
というか、レビューの数自体が少なかったです。
否定的な意見では「値段が高い」というのがチラホラ。
値段に関しては、
Yahooショッピング(送料込み)で見ると、12錠ので1,100~1,300円くらい、24錠ので1,800~2,000円くらいでした。
1日6錠だから24錠だと4日分。1日450~500円くらい。
ん~、高めですね。
イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェン・ショウキョウ末の3つが入った風邪薬は今まで書いた中ではこの製品しかないのですが、比較対象として『エスタック総合感冒』を挙げておきます。
(この記事) | 『ルルアタックFXa』エスタック総合感冒』 | 『|
熱・痛み (ショウキョウ末は鎮痛作用なし) | イソプロピルアンチピリン:300mg アセトアミノフェン:450mg ショウキョウ末:200mg | アセトアミノフェン:900mg ショウキョウ末:150mg |
咳止め | チペピジン ノスカピン メチルエフェドリン | デキストロメトルファン メチルエフェドリン |
鼻水の薬 | クレマスチン | クロルフェニラミン |
ビタミン剤 | アスコルビン酸 | ヘスペリジン |
カフェイン | 75mg | 75mg |
その他 | グリチルリチン酸 | カンゾウ |
『エスタック総合感冒』は、イソプロピルアンチピリンが入ってない代わりにアセトアミノフェンが900mg/日になっています。
ショウキョウ末は少なめ。
咳止めはデキストロメトルファンですね。
鼻水の薬もちょっと違いますが、効果は人によりけりです。
グリチルリチン酸はカンゾウに含まれている成分なので同じものという認識でOKです。
カフェインは同量。
ビタミン剤はどうでもいいですね。
で、『エスタック総合感冒』はこれで1日100円前後です(100錠入で900~1100円)。
「アセトアミノフェンじゃ効かない!イソプロピルアンチピリンが入ってないとダメだ!」
という人以外は『エスタック総合感冒』で良いのではないかと思います。個人的にですけど。
まとめ
この記事では『ルルアタックFXa』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
これも残念ながらあまりお勧めできるものではありませんでしたね。
もちろん個人的にはですけど。
最初は「症状ごとに特化してるシリーズ」かと思ってましたがそんな事もなく期待外れ。
一応次回は「ルルアタックシリーズ」の最後の一つを書こうと思います。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページを参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
※このリンクはアフィリエイトリンクです。
コメント