
この製品には喉の炎症を抑えるトラネキサム酸が入ってますね。
鎮咳去痰薬の製品としては珍しいと思います。
でも量が少なめ。「無いよりは良いかな?」くらいのものなので、あまり効果は期待しない方が良いでしょう。
また、去痰薬が1種類入っています。これも入ってないよりは良いでしょうね。
去痰薬だけの製品もあるので、そういうのを足して飲んでみても良いかもしれません。
咳止めとしては強めです。咳がひどくて夜眠れない、風邪の後に咳だけが続いてる、という場合には頓用で使用することをおすすめします。
長期連用するものではありません。
基本情報
・製造販売元:テイカ製薬
(発売元は杏林製薬)
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
ジヒドロコデインリン酸塩 | 30mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 75mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
トラネキサム酸 | 420mg | 喉の腫れや痛みを抑える |
L-カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 12mg | アレルギー性の咳を抑える |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 30mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 75mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
トラネキサム酸 | 420mg | 喉の腫れや痛みを抑える |
L-カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を 正常な状態に近づける |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 12mg | アレルギー性の咳を抑える |
・包装
錠剤:18錠・30錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『クールワンせき止めGXプラス』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- トラネキサム酸
- 抗炎症作用があり、喉の腫れや痛みを軽減します。
- 腎機能に問題がある方は用量の調整が必要です。透析を受けている方で痙攣の報告あり。
- できた血栓が残りやすくなる可能性があります。血液凝固に関わる疾患がある方は注意を。
- L-カルボシステイン
- 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
- 上気道炎や気管支炎、気管支喘息や副鼻腔炎などに使用されます。
- 副作用は非常に少ないですが、内服後数日経ってから固定薬疹が出ることが稀にあります。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- この製品にはアレルギー性の咳を抑える目的で配合されているようです。
- 眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2錠 | 3回 |
12~14歳 | 1錠 | 3回 |
「食後に」となっていますが、あまり気にしなくても良いでしょう。
「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
4時間程度空けて「1日3回まで」ですね。調節して服用してみてください。
12歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
- 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息治療中の方
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- 血栓:血栓が溶けにくくなるので、血栓症の方は注意を。
- また、ピル(特にエストロゲンを含む低用量ピル)との併用は血栓のリスクを高める可能性があるので注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用回数:「過量服用・長期連用しないでください」となっています。
- こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
- オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
薬物乱用について
他のところにも書いてるので折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
近年、市販薬による薬物乱用が増えていますが、その筆頭がこの製品にも入っているジヒドロコデインのようです。
(73.5%がジヒドロコデイン含有製品というデータも)
市販薬は医療用医薬品と違い、店頭やネットで簡単に買えますしね。
一時的に多幸感があったり気分が落ち着いたり疲労感がなくなったりしますが、同じ量を服用していても効き目が薄くなっていき、服用量が増えていきます。
大量に飲めば麻薬と同じです。
「オーバードーズ(過剰摂取)」というやつですね。
死亡例もあります。
使われている製品は鎮咳去痰薬として売られているものが圧倒的に多いようです。
風邪薬よりも1日に使える成分量が多くなっています(1回10mg・1日30mg)。
ジヒドロコデイン単体でも薬物依存が形成されますが、風邪薬や鎮咳去痰薬の場合は他にも
・抗ヒスタミン薬
・プソイドエフェドリンのようなエフェドリン類
・カフェイン
などが入っていて、依存形成を助長します。
(この製品も上3つが配合されています)
ただ、通常用量で問題になる事はまずないと思います。
必ず用法・用量を守って使用してください。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECという基準ではAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、あまり心配は要らないかと思います。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
- トラネキサム酸
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
トラネキサム酸は1歳未満でも使いますね。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は、トラネキサム酸が入っているという事でしょうか。
市販の鎮咳去痰薬を70製品ほどリストにまとめたのですが、トラネキサム酸が入っているのは4製品のみでした。
そのうち420mg/日のは2製品、他2製品は280mg/日でした。
トラネキサム酸は喉の炎症を抑えるのに使います。医療用でも「喉が痛い」という時に使うのはこれくらいです。
咳をすることで喉も荒れますし、この成分は入っていた方が良いでしょうね。
ただ、420mg/日はちょっと少なめ。
市販の咳止めに配合できる最大量は750mg/日なのですが、15歳未満も使える製品については420mg/日までという基準があります。この製品は12歳から使えるので420mg/日まで、ということですね。
医療用のだと成人は通常1回500mg・1日3回で1,500mg/日使います(最大2,000mg/日)。
これでも効いた感じはあまりしません。420mg/日だと効果は期待できないでしょうね。
無いよりは良いかな、くらい。
他の成分はすべて、鎮咳去痰薬としては最大量入っています。特に、
・ジヒドロコデイン
・メチルエフェドリン
・クロルフェニラミン
の3つについてはこの製品を超える市販薬はありません(同じ量のはあります)。
例外として、カルボシステインは「鎮咳去痰薬の製造販売承認基準」では最大750mg/日となっていますが、1,500mg/日入っている製品が現時点(2025年4月)で一つだけあります(『ムコダイン去たん錠Pro500』)。
クロルフェニラミンが12mg/日入っている市販の咳止めは多いのですが、通常の咳にはこういう抗ヒスタミン薬は使わないのでちょっと違和感はありますね。確かにアレルギー性の咳には使いますけど。
鼻炎薬に配合できる最大量と同じ量が入っているので、鼻水も出てる人には良いのではないでしょうか。
ただ、眠気はもちろんのこと、抗コリン作用にも注意してください。
抗コリン作用は分泌全体を抑えてしまうので、痰が硬くなる可能性があります。
クロルフェニラミンのような第一世代の抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が強く、痰の絡む咳が出る場合はあまり使わない方が良いでしょう。
また、アレルギー性の咳の場合は痰はあまり出ないはずです。痰が出るようなら他の疾患の可能性があります。
カルボシステインが750mg/日入っていますが、やっぱりこれだとちょっと少なめ。基準通りなので仕方ないのですが。
カルボシステイン750mg/日+ブロムヘキシン12mg/日だけの製品があるので、そういうのを足して飲んでも良いでしょうね(⇒「カルボシステイン+ブロムヘキシン」だけの市販の去痰薬一覧と比較【薬剤師が解説】)。
中枢性鎮咳薬のジヒドロコデインと気管支拡張薬のメチルエフェドリンが市販薬として最大量入っているので、咳止めとしての効果は期待できると思います。
ただ、痰の絡まない咳だけに使用した方が良いかと思います。
去痰薬が入っているとはいっても量が少ないです。痰が出しにくくなって、逆に症状が悪化する可能性があります。
中枢性の鎮咳薬は、あくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。
製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。
風邪の他の症状がほぼ良くなったのに咳だけが続いてる(感染後咳嗽)ときなどには使えます。
風邪をひいた時の咳に使う場合も、できれば頓用の方が良いでしょう。夜に咳が出て寝付けない時とか。
クロルフェニラミンは眠気が出やすいので眠れない時に良いかもしれないですね。それ目的で配合してるわけではないと思いますが。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
評価はまちまち。効く人もいれば効かない人もいます。
「咳が出る」といっても症状は様々ですしね。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
18錠 | 1,430円 |
30錠 | 2,310円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
18錠 | 820~1,500円 | 273~500円 |
30錠 | 1,230~2,300円 | 246~460円 |
※1日分のは1日6錠で計算
※2025年4月時点です。
こんな感じでした。Amazonや楽天だと違うかもしれませんが。
ん~、ちょっと高いですね。
風邪薬でもそうですが、トラネキサム酸が入っているとなんか高くなるんですよね。大した量じゃないのに。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『クールワンせき止めGXプラス』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
この製品は、
- ジヒドロコデイン:30mg/日
- メチルエフェドリン:75mg/日
- クロルフェニラミン:12mg/日
この3つの成分が市販薬として最大量入っています。
(カルボシステインは基準としては最大量ですが、1,500mg/日の製品もあります)
また、トラネキサム酸とカルボシステインも入っていますが、量がちょっと少なめ。
無いよりは良いかな、くらい。これらのおかげで値段も高くなっています。
咳止めとしての効果は高いでしょうね。
クロルフェニラミンが邪魔ですが、鼻水も出る人には良いかもしれません。
ただ、「痰の絡まない咳」だけにした方が良いと思います。
ジヒドロコデインやクロルフェニラミンは痰を硬くして出しにくくする可能性があります。
去痰薬が入っているとはいっても量が少なく、効果はあまり期待できないでしょう。
ジヒドロコデインのような中枢性の鎮咳薬は長期で使用するものではありません。
咳がひどくて眠れない、風邪の後に咳だけが長引いてる、といったときに頓用で使用するべきものです。
製品の説明書にも書いてある通り、過量服用・長期連用はしないでください。
ジヒドロコデインは高用量での乱用による中毒・死亡例も報告されています。
用法・用量は必ず守ってください。
咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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