『エピックせきどめ錠』と『コフジススーパー』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この2製品は全く同じものなので、まとめて一つの記事にします。
(製造販売元も同じ)

この製品はいろんな成分が入っているのが特徴ですね。
解熱鎮痛剤が入っていたら総合感冒薬になってしまうくらい。

咳止めとして使う成分は市販薬としては最大量入っています。効果は期待できるかと。
ただ、他の咳止めと同じく「痰が絡まない咳」に対して使用してください。
去痰薬も入ってますが、量が少なくあまり効果は期待できないでしょう。

咳がひどくて夜眠れない、風邪の後に咳だけが続いてる、という場合には頓用で使用することをおすすめします。
長期連用するものではありません。

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

目次

基本情報

製造販売元:福地製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
dl-メチルエフェドリン塩酸塩75mg気管支をひろげ、咳を鎮める
カフェイン水和物90mg眠気防止
グアイフェネシン150mg痰を出しやすくする
クロルフェニラミンマレイン酸塩12mgアレルギー性の咳を抑える
ジヒドロコデインリン酸塩30mg咳を抑える
カンゾウ末1,000mg咳を鎮め、のどや鼻の
粘膜の炎症を鎮める
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
75mg気管支をひろげ、咳を鎮める
カフェイン水和物90mg眠気防止
グアイフェネシン150mg痰を出しやすくする
クロルフェニラミン
マレイン酸塩
12mgアレルギー性の咳を抑える
ジヒドロコデイ
ンリン酸塩
30mg咳を抑える
カンゾウ末1,000mg咳を鎮め、のどや鼻の
粘膜の炎症を鎮める

・包装

錠剤:40錠
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『エピックせきどめ錠』『コフジススーパー』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  2. カフェイン水和物
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
  3. グアイフェネシン
    • 痰を薄めて出しやすくしたり、咳を抑える作用があります。
    • 特に注意点はありません。
  4. クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • この製品にはアレルギー性の咳を抑える目的で配合されているようです。
    • 眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  5. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  6. カンゾウ末
    • 咳を鎮めたり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
    • 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
    • いろいろな漢方薬に含まれているので併用には注意を。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上3錠3回
12~14歳2錠3回

「食後に」となっていますが、あまり気にしなくても良いでしょう。

「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
4時間程度空けて「1日3回まで」ですね。調節して服用してみてください。

12歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
    • 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息治療中の方
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
  • カンゾウ(甘草):過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。
    • 漢方薬を飲んでる方は注意してください。カンゾウが入っていないものであれば問題ありません。
    • カンゾウの解説記事にカンゾウが含まれる漢方薬(109種類)を載せているので、気になる方は見てみてください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用回数:「過量服用・長期連用しないでください」となっています。
    • こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
    • オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

薬物乱用について

近年、市販薬による薬物乱用が増えていますが、その筆頭がこの製品にも入っているジヒドロコデインのようです。
(73.5%がジヒドロコデイン含有製品というデータも)

市販薬は医療用医薬品と違い、店頭やネットで簡単に買えますしね。

一時的に多幸感があったり気分が落ち着いたり疲労感がなくなったりしますが、同じ量を服用していても効き目が薄くなっていき、服用量が増えていきます。

大量に飲めば麻薬と同じです。
オーバードーズ(過剰摂取)」というやつですね。
死亡例もあります

使われている製品は鎮咳去痰薬として売られているものが圧倒的に多いようです。
風邪薬よりも1日に使える成分量が多くなっています(1回10mg・1日30mg)。

ジヒドロコデイン単体でも薬物依存が形成されますが、風邪薬や鎮咳去痰薬の場合は他にも
・抗ヒスタミン薬
・プソイドエフェドリンのようなエフェドリン類
・カフェイン
などが入っていて、依存形成を助長します。
(この製品も上3つが配合されていますね)

ただ、通常用量で問題になる事はまずないと思います。
必ず用法・用量を守って使用してください

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECという基準ではAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、あまり心配は要らないかと思います。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン
  • クロルフェニラミン
  • グアイフェネシン

の3つが「L3(概ね適合)」となっています。

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、咳止め以外にもいろいろと入っている、という事でしょうか。
解熱鎮痛剤が入っていたら、もう総合感冒薬ですね。

総合感冒薬(風邪薬)と鎮咳去痰薬のそれぞれに配合できる1日最大量と、この製品の成分量を表にしてみました。

成分総合感冒薬鎮咳去痰薬この製品
ジヒドロコデイン24mg30mg30mg
メチルエフェドリン60mg75mg75mg
グアイフェネシン250mg300mg150mg
クロルフェニラミン7.5mg12mg12mg
カフェイン150mg300mg90mg
※カンゾウも以前は基準があったのですが、今はないようです。

ジヒドロコデイン、メチルエフェドリン、クロルフェニラミンの3つが鎮咳去痰薬としての最大量が入っています。総合感冒薬の基準を超えた量ですね。
つまりこの3つについては、総合感冒薬として販売されているどの製品よりも成分量が多くなっていますし、鎮咳去痰薬として販売されている製品でこの製品を超えるものはありません(同じ量のはあります)。

去痰薬のグアイフェネシンはなぜか少なめ。一般的な総合感冒薬よりも少ないですね。「鎮咳去痰薬」の区分の薬なので、ここはもうちょっと入れてほしかったところ。
この量だとあまり効果は期待できないかと思います。

カンゾウ(甘草)は生薬です。カンゾウ単独の漢方薬「甘草湯」というのがあり、これは「激しい咳や咽頭痛の寛解」に使います。
なのでこれも咳に使えるのですが、量が少なめ。
甘草湯は1日量として8gのカンゾウを含みますが、この製品は1gです。補助的な位置づけだと思います。

クロルフェニラミンですが、こういう抗ヒスタミン薬は鼻水や痒み以外でも、確かにアレルギー性の咳に使います。
ただ、咳が出るといってこれを使うかな?とも思いますが。

とりあえず咳に使える成分をいろいろ入れた、という感じですね。

この製品に入っているクロルフェニラミンは12mg/日ですが、これは鼻炎薬に配合できる最大量と同じ量です。
眠気はもちろんのこと、抗コリン作用にも注意してください。

抗コリン作用」は、抗ヒスタミン薬では基本的に副作用として扱われます。
鼻水や涙を抑える効果がある一方で、口が渇いたり、便秘、排尿がしづらくなる、眼圧が上がるといった作用があります。

抗コリン作用は分泌全体を抑えてしまうので、痰が硬くなる可能性があります。
クロルフェニラミンのような第一世代の抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が強く、痰の絡む咳が出る場合はあまり使わない方が良いでしょう。

また、アレルギー性の咳の場合は痰はあまり出ないはずです。痰が出るようなら他の疾患の可能性があります。

中枢性鎮咳薬のジヒドロコデインと気管支拡張薬のメチルエフェドリンが市販薬として最大量入っているので、咳止めとしての効果は期待できると思います。この2つの成分量がこの製品よりも多いものはありません。

クロルフェニラミンは個人的には咳止めに入れないで欲しいですが、鼻水が出る人には良いかもしれないですね。
風邪をひいた時、熱や痛みがないのであれば、総合感冒薬ではなくてこういった製品でも良いかもしれません。
咳止めや鼻水の成分は総合感冒薬よりも多いですしね。

ただ、痰の絡まない咳だけに使用した方が良いかと思います。
去痰薬が入っているとはいっても量が少ないです。痰が出しにくくなって、逆に症状が悪化する可能性があります。

中枢性の鎮咳薬は、あくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。

製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。

風邪の他の症状がほぼ良くなったのに咳だけが続いてる(感染後咳嗽)ときなどには使えます。
風邪をひいた時の咳に使う場合も、できれば頓用の方が良いでしょう。夜に咳が出て寝付けない時とか。
クロルフェニラミンは眠気が出やすいので眠れない時に良いかもしれないですね。それ目的で配合してるわけではないと思いますが。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。
『エピック』の方しかありませんでした。

良い評価としては、

「よく効く」
「他のせきどめ錠より安い」

といった具合。

否定的な意見としては、

「効くけど眠くなる」
「あまり効かなかった」

といった感じ。

口コミ自体が全然なくてよくわかりませんでした。

あまり売れてないのかな?

値段について

『コフジス』のメーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

40錠1,485円

ということでした。『エピック』は不明。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

『エピックせき止め錠』は

包装値段1日分に換算
40錠880~1,120円198~252円

※1日分のは1日9錠で計算
※2025年4月時点です。

『コフジススーパー』は

包装値段1日分に換算
40錠690~1,170円155~264円

※1日分のは1日9錠で計算
※2025年4月時点です。

こんな感じでした。Amazonや楽天だと違うかも。

『コフジススーパー』の690円のは送料無料になってますが、「2980円以上で注文可能」という罠があります。

成分量が多い分、ちょっと高めかな?
でも総合感冒薬でこの製品よりも成分量が少なくてもっと高いのもあるので微妙なところ。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

『エピックせき止め錠』がこちら。

『コフジススーパー』がこちら。

まとめ

この記事では『エピックせきどめ錠』『コフジススーパー』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は、

  • ジヒドロコデイン:30mg/日
  • メチルエフェドリン:75mg/日
  • クロルフェニラミン:12mg/日

この3つの成分が市販薬として最大量入っています。

咳止めとしての効果は高いでしょうね。
クロルフェニラミンが邪魔ですが、鼻水も出る人には良いかもしれません。

ただ、「痰の絡まない咳」だけにした方が良いと思います。
ジヒドロコデインやクロルフェニラミンは痰を硬くして出しにくくする可能性があります。
去痰薬が入っているとはいっても量が少なく、効果はあまり期待できないでしょう。

ジヒドロコデインのような中枢性の鎮咳薬は長期で使用するものではありません。
咳がひどくて眠れない、風邪の後に咳だけが長引いてる、といったときに頓用で使用するべきものです。

製品の説明書にも書いてある通り、過量服用・長期連用はしないでください。
ジヒドロコデイン高用量での乱用による中毒・死亡例も報告されています。
用法・用量は必ず守ってください

咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

『エピックせき止め錠』がこちら。

『コフジススーパー』がこちら。

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