『プレコール®持続性せき止めカプセル』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は持続性であり、1日2回の服用で良いというのが特徴ですね。
1回1カプセルの服用でいいですし、楽ではあると思います。

夜間に咳が出て困る、という時には使いやすいかもしれませんね。

ただ、全体的な成分量は他の製品と比べると少なめです。

また、他の咳止めと同じく、痰の絡まない咳に使用した方が良いかと思います。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

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目次

基本情報

製造販売元:佐藤薬品工業
(販売元は第一三共ヘルスケア)

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
デキストロメトルファン
臭化水素酸塩水和物
60mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
クロルフェニラミンマレイン酸塩8mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
アレルギー性の咳を抑える
グアヤコールスルホン酸カリウム135mg痰を出しやすくする
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
デキストロメトルファン
臭化水素酸塩水和物
60mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
クロルフェニラミン
マレイン酸塩
8mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
アレルギー性の咳を抑える
グアヤコールスルホン酸
カリウム
135mg痰を出しやすくする

・包装

カプセル剤:10カプセル・20カプセル
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『プレコール持続性せき止めカプセル』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
    • 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります(とされていますが、急性上気道炎に対する有効性は示されていません)。
    • 吐き気や眠気、めまいなどの副作用が出る可能性があります。重大な副作用として呼吸抑制あり。
    • セロトニン症候群の危険性あり。パーキンソン病薬や抗うつ剤を服用中の方は注意してください。
    • 乱用による死亡例あり。通常用量であれば心配いりません。適正な使用を。
  2. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  3. クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • この製品にはアレルギー性の咳を抑える目的で配合されているようです。
    • 眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  4. グアヤコールスルホン酸カリウム
    • 気道の分泌を増やすことで痰を薄めて出しやすくします。
    • 弱い消毒作用もあるそう。
    • 特に注意点はありません。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上1カプセル2回(朝・夕)

「食後」の指定はありません。

1日2回タイプとなっています。服用間隔は6~8時間程度空ければ良いでしょうね。
持続性のため頓用での使用には向いてません。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
成分自体は小児でも使用可能ですが、15歳以上が1回1カプセルのため量の調節ができないからですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
    • 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
  • MAO阻害薬・SSRIを服用中の方:製品の説明書には書いてないですが、セロトニン症候群があらわれることがあります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • SSRIは抗うつ剤です(「パロキセチン」「エスシタロプラム」「セルトラリン」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、興奮・意識障害震え・けいれん発汗・発熱などがあれば中止して受診してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用回数:「5~6 回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師等に相談を」となっています。
    • こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
    • オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

薬物乱用について

他のところにも書いてるので折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

近年、ジヒドロコデインに変わって乱用が増加してきているのが、このデキストロメトルファンです。
(ジヒドロコデインも咳止めです)

デキストロメトルファンは通常使う量であれば安全な成分ですが、高用量を摂取オーバードーズ)することで多幸感幻覚作用解離性作用を引き起こすことがあります。

特に若年層の間で薬物乱用の報告があり、一部の国では販売規制が設けられています。

乱用は重篤な副作用を引き起こす可能性があり、特に呼吸抑制意識障害セロトニン症候群横紋筋融解症(筋肉の壊死により急性腎不全を起こす)などが発生するリスクがあります。
日本でも急性中毒による死亡例があります。

必ず用法・用量を守って使用してください

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

デキストロメトルファンは
豪州ADEC基準A(多数の妊婦に使用経験あるけど、有害事象が増えたという証拠はない)
Briggs基準適合1(妊娠中の投与に適する)
となっています。

他の成分についても影響は少ないとされています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、あまり心配は要らないかと思います。

ただ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • デキストロメトルファン
  • クロルフェニラミン

の2つがL3(概ね適合)となっています。

デキストロメトルファンは生後3ヵ月から使えます。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

とはいえ、「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は一時的に粉ミルクを利用する方法もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は持続性であることですね。

市販の鎮咳去痰薬の分類だと、1日2回の製品は調べた限りでは5製品のみでした。
風邪薬では1日2回の製品はそれなりにありますが、咳止めでは珍しいようですね。

中枢性鎮咳薬はデキストロメトルファンが配合されています。市販薬としての最大量の60mg/日。
(『メジコンせき止め錠Pro』はなぜか1日90mgとなってます。医療用と同じですね)

ジヒドロコデインと比べると効果は劣りますが、安全性は高めです。妊娠中や授乳中の方に咳止めを使うときは、基本的にはデキストロメトルファンが処方されることが多いですね。

気管支拡張薬のメチルエフェドリンは60mg/日となっていて、咳止めの製品としてはちょっと少なめ。
ですが、75mg/日・1日3回タイプの製品よりも1回の量は多くなっています。

去痰薬はグアヤコールスルホン酸が135mg/日ですが、これは他の一般的な製品の半分の量です。
あまり効果は期待しない方が良いでしょうね。

抗ヒスタミン薬としてクロルフェニラミンが8mg/日。
鎮咳去痰薬として多くはないのですが、一般的な総合感冒薬よりは多い量です。眠気には注意してください。

なんていうか、持続性という以外は際立った特徴は少ない印象ですね。

他の製品と比べると、全体的な成分量は少なめとなっています。
咳止めの効果としては弱いかもしれません。

こういう中枢性の鎮咳薬が入っている薬は症状が酷い時だけ使用する方が良いのですが、持続性ということでそういう使い方にはあまり向いてないかもしれません。
夜間に咳が出て目が覚めてしんどい、というときには使えるでしょうか。

一応「服用後すぐに溶けて効く顆粒(速溶性顆粒)と、あとから溶けて効く顆粒(遅溶性顆粒)の組み合わせ」ということなので、飲んだらすぐに効くようにはなっているようですね。

他の咳止めと同じく、痰の絡まない咳に使用してください。
中枢性の鎮咳薬や抗ヒスタミン薬は痰を硬くして出しにくくします。痰が絡む咳に使うと症状が悪化する可能性があります。
去痰薬は入っているのですが、量が少なくあまり効果は期待できません。

こういった中枢性の鎮咳薬はあくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。

製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。

痰の絡む咳が出る方はこの製品は選択肢には入らないと思います。
効果は弱いかもしれませんが、去痰薬だけの製品を使った方がまだ良いでしょうね。

去痰薬はグアヤコールスルホン酸の他に以下のような成分があります。
解説記事にその成分を含む製品一覧も載せてるので興味があれば見てみてください。
カルボシステイン
アンブロキソール
ブロムヘキシン
グアイフェネシン

去痰薬だけの製品はこんなのがあります。

カルボシステインとブロムヘキシンは作用が違うため、合わせて使うとより効果的です。

あと、カルボシステインだけの製品もありますね。
これはちょっと値段が高いのであまりお勧めできませんけど。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「咳止め効果はしっかり感じられた」
「朝夕に一錠ずつでいいのでたくさん飲まなくて良い」
「痰が吐き出しやすくなり咳の回数も減った」

といった具合。

否定的な意見としては、

「眠気が強く出やすいと感じた」
「カプセルだから少し飲みずらい」
「飲んでもどんどん咳がひどくなってきた」

といった感じ。

効果に対する評価は高いですね。
意外なのは、痰にも効果があると書いてる方が結構いました。この薬に入っている去痰薬は他の製品の半分くらいなんですけどね。

他の咳止めよりも全体的に成分量は少なめなのに評価が高いのが不思議ですね。
こういう口コミを見てると、ホントに人それぞれだな、と思います。

また、症状に合わせて青と紫を使い分けてる、という人がチラホラといました。
青いのは総合感冒薬ですね。青の方には解熱鎮痛剤とカンゾウ(喉の炎症を抑える)が入っていて、去痰薬が入ってません。
下に記事を貼っておきます。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

10カプセル1,650円
20カプセル2,475円

となっていました。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
10カプセル837~1,400円167.4~280円
20カプセル1,700~2,500円170~250円

※1日分のは1日2カプセルで計算
※2025年5月時点です。

こんな感じでした。Amazonや楽天だと違うかもしれません。
箱のデザインは3種類くらいありますが、もちろん中身は全部同じです。この記事の最初にある画像のが一番新しいデザインみたいです。

値段は普通でしょうか。成分量から考えると、安いってわけではないですけど。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『プレコール持続性せき止めカプセル』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は持続性であり、1日2回の服用で良いというのが特徴ですね。
1回1カプセルというのも何気に良いですね。錠剤のだと1回4錠とかのもありますし。

中枢性鎮咳薬はデキストロメトルファンですが、ジヒドロコデインよりは効果は劣ります。その分安全性は高く、よく妊婦さんや授乳中の方にも使われますね。

ただ、他の咳止めと同じく「痰の絡まない咳」だけにした方が良いかと思います。

中枢性鎮咳薬や抗ヒスタミン薬は痰を硬くして出しにくくします。
この製品には去痰薬としてグアヤコールスルホン酸が入っていますが、量も少ないしこれ単体だとあまり効果は期待しない方が良いでしょう。症状が悪化する可能性もあります。

デキストロメトルファンのような中枢性の鎮咳薬は長期で使用するものではありません。
一時的な症状緩和が目的であり、根本治療ではありません。

過量服用・長期連用はしないでください。
用法・用量は必ず守って服用するよう、お願いいたします。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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