『アスクロン』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は成分構成が独特です。
咳止めというよりは、気管支拡張がメインでしょうか。

ゴホゴホと咳が出る時ではなく、息苦しくてゼーゼーと呼吸が荒くなる時に、ですね。

ジヒドロコデインは入ってませんが抗ヒスタミン薬が入っているので、やっぱりちょっと痰が硬くなる可能性があります。
去痰薬も入ってはいるのですが、なるべくなら痰が絡まない症状に使用した方が良いでしょう。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

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目次

基本情報

製造販売元:大正製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
メトキシフェナミン塩酸塩150mg気管支をひろげ、呼吸を楽にする
ノスカピン60mg咳を抑える
カンゾウ粗エキス198mg
(原生薬:990mg)
咳を鎮め、のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める
グアヤコールスルホン酸カリウム270mg痰を出しやすくする
無水カフェイン150mg頭痛・頭重感を和らげる
眠気防止
マレイン酸カルビノキサミン12mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
アレルギー性の咳を抑える
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
メトキシフェナミン
塩酸塩
150mg気管支をひろげ
呼吸を楽にする
ノスカピン60mg咳を抑える
カンゾウ粗エキス198mg
(原生薬:990mg)
咳を鎮め、のどや鼻の
粘膜の炎症を鎮める
グアヤコールスルホン酸
カリウム
270mg痰を出しやすくする
無水カフェイン150mg頭痛・頭重感を和らげる
眠気防止
マレイン酸
カルビノキサミン
12mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
アレルギー性の咳を抑える

・包装

散剤:24包

各成分の効果・注意点

『アスクロン』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. メトキシフェナミン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えなどがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 高血圧、糖尿病、甲状腺機能障害がある方も注意を。
  2. ノスカピン
    • 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
    • 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
    • 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
  3. カンゾウ粗エキス
    • 咳を鎮めたり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
    • 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
    • いろいろな漢方薬に含まれているので併用には注意を。
  4. グアヤコールスルホン酸カリウム
    • 気道の分泌を増やすことで痰を薄めて出しやすくします。
    • 弱い消毒作用もあるそう。
    • 特に注意点はありません。
  5. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
  6. マレイン酸カルビノキサミン
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • この製品にはアレルギー性の咳を抑える目的で配合されているようです。
    • 眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上1包3回
8~14歳1/2包3回

一応「食後」となっていますが、あまり気にしなくて良いでしょう。

粉薬となっています。味が苦手ならオブラートを使ってみてください。

8歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
    • 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメトキシフェナミンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
  • カンゾウ(甘草):過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。
    • 漢方薬を飲んでる方は注意してください。カンゾウが入っていないものであれば問題ありません。
    • カンゾウの解説記事にカンゾウが含まれる漢方薬(109種類)を載せているので、気になる方は見てみてください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用回数:「5~6 回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師等に相談を」となっています。
    • こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

この製品に入っている成分はほとんど妊娠中の服用に関するデータがありませんが、それぞれの類似薬のデータから考えると、それほど影響のあるものはなさそうです。

メトキシフェナミンは、添付文書には
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書かれています。

他のβ刺激薬だと特に問題になるものはないので、おそらくはメトキシフェナミンもそれほど問題はないかな、とは思います。
ただ、この成分が含まれている市販薬はそれほどないので、あえてこの製品を使う必要もないかと思います。

ノスカピンやカンゾウ、グアヤコールスルホン酸については特に気にしなくて良いでしょう。

マレイン酸カルビノキサミンもデータはないのですが、他の抗ヒスタミン薬で妊娠中に問題になるものは少ないですね。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には、授乳に関しては何も記載がありません。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • カフェイン:「L2(概ね適合)

となっています。

というか、他の成分についてはデータがありません。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思いますが、母親に何か副作用が出ている場合はやめた方が良いかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は一時的に粉ミルクを利用する方法もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、

  • 中枢性鎮咳薬がノスカピンのみ
  • 気管支拡張薬がメトキシフェナミン
  • 抗ヒスタミン薬がマレイン酸カルビノキサミン
  • 粉薬

といったところでしょうか。

全体的にちょっと変わってる感じ。他ではあまり見かけない成分構成ですね。

中枢性鎮咳薬がノスカピンのみ、という製品は他にもあるのですが、大体の製品はジヒドロコデインと一緒になっていることが多いですね。
ノスカピンだけだとちょっと弱いかな、と思いますが、ジヒドロコデインで眠気や吐き気、便秘などが気になる方には良いかもしれません。

気管支拡張薬はメトキシフェナミンが入っていますが、この成分を配合してる市販薬は2製品しかありませんでした(きつね調べ)。もう一つは『パブロンせき止めトリプル錠』という製品です。

メトキシフェナミンはメチルエフェドリンと同じ系統の気管支拡張薬(β刺激薬)ですが、メチルエフェドリンよりも心臓への影響が強く出る(動悸や頻脈)可能性があります。心配な方はメチルエフェドリンが入っている製品の方が無難だと思います。

また、メチルエフェドリンと違い中枢性の鎮咳作用があるかどうかは確認できませんでした。
インタビューフォームにも記載がなく、海外の文献も調べましたが見当たりませんでした。

抗ヒスタミン薬はマレイン酸カルビノキサミンを配合していますが、マイナーなものを入れてますね。
これを使っている市販薬はそう多くありません。
(きつね調べでは、鎮咳去痰薬が2製品、鼻炎薬が1製品だけでした。もう少しあるとは思いますが)

抗ヒスタミン薬は特に人によって効果が違うので、他の成分が合わなかった人は試してみる価値はあると思います。

第一世代の抗ヒスタミン薬のため抗コリン作用には注意してください。

抗コリン作用」は、抗ヒスタミン薬では基本的に副作用として扱われます。
鼻水や涙を抑える効果がある一方で、口が渇いたり、便秘、排尿がしづらくなる、眼圧が上がるといった作用があります。

抗コリン作用は分泌全体を抑えてしまうので、痰が硬くなる可能性があります。
第一世代の抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が強く、痰の絡む咳が出る場合はあまり使わない方が良いでしょう。

ただし、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患には吸入の抗コリン薬は使用します。吸入に使われる抗コリン薬は気管支拡張作用が強く、分泌も抑えはするのですが痰への影響はほぼ気にならないそう。むしろ気道が広がることで痰が出しやすくなるみたいですね。痰が気になる人にはもちろん去痰薬も使われますけど。

抗ヒスタミン薬はアレルギー性の咳に使いますが、アレルギー性の咳の場合は痰はあまり出ないはずです。痰が出るようなら他の疾患の可能性があります。

全体的に見て、この製品は咳止めとしてはちょっと弱いかなと感じます。
どちらかというと、気管支拡張の方がメインでしょうか。
咳が出るのではなく、ちょっと息苦しくてゼーゼーするときですね。

個人差もありますが、最も鎮咳効果が強いとされるのはジヒドロコデインですね。
医療用のでも他のはあんまり効果がないことが多いです。

ただ、咳ではなくてゼーゼーするときなどはジヒドロコデインが入った製品は使わない方が良いと思います。
気管支を収縮する作用があるので症状が悪化する可能性があります。

メトキシフェナミンはあまり使われてなく実績に乏しいです。副作用のことを考えるとちょっと使いにくいですね。
普通にメチルエフェドリンが入っている製品で良いかと思います。

この製品の説明書には「喘鳴(ぜーぜー、ひゅーひゅー)をともなうせき、たんに」と書いてますが、季節性のものでなかったり、気管支喘息の確定診断を受けたことがない人は喘鳴があるなら受診してください(もちろん喘息の方も症状が治まらないなら受診を)。
喘鳴があるということは、気道が狭くなっているということです。放っておいていい状態ではありません。

診断を受けていない人が「喘息っぽい」症状で自己判断で使うのも避けてください。

喘鳴の原因はいろいろあります。気管支喘息の他に、肺がん、気管支拡張症、うっ血性心不全など重大な疾患が隠れている場合もあります。
気管支喘息もちゃんと治療しないと命にかかわることがある病気です。現在でも多くの方が喘息で亡くなっています。

製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば原因をはっきりさせるためにも一度受診した方が安心ですね。喘鳴があるならなおさらです。

カンゾウを入れているのは咳止めの効果を補う役割でしょうが、量が少なめです。これはどちらかというと、喉の炎症に対して配合してる感じですね。

あと、この製品は粉薬ですね。それもちょっと珍しいですね。生薬が主体の製品だと粉のものもありますが。
錠剤やカプセルが苦手、という人には良いかもしれません。味は何とも言えないけど。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「夜中に咳がとまるので楽になり寝やすい」
「30分ほどで胸のあたりのモヤモヤがすーっと消えて呼吸がしやすくなった」
「痰が出やすくなり喘鳴小さくなった」

といった具合。

否定的な意見としては、

「味はかなーり苦い」
「余計に呼吸が苦しくなって救急へ行く羽目に」
「においは土、味はスパイシーな土…」

といった感じ。

効果は人それぞれですね。

気管支拡張がメインということで、咳というよりは皆さん喘鳴に使用しているようです。
メチルエフェドリンが合わない、効果がなかった、という人には良いかもしれません。

ほとんどの人が「苦い」「不味い」と。錠剤のもあると良かったんですけどね。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

24包2,442円

となっていました。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
24包1,350~1,900円169~238円

※1日分のは1日3包で計算
※2025年6月時点です。

こんな感じでした。Amazonや楽天だとまた違うと思いますけど。
(楽天で1,100円というのがありました。送料は別ですけど)

咳止めとしては高くはないと思います。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『アスクロン』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は成分構成が独特ですね。
気管支拡張がメインで、軽い咳止め効果を補助的に持つ感じです。
息苦しく、ゼーゼーと呼吸が荒くなる時には使えると思います。

ノスカピンは中枢性の鎮咳薬ですが、痰を硬くしないという性質があるようです。
ただ、抗ヒスタミン薬のマレイン酸カルビノキサミンは痰を硬くする可能性があります。
去痰薬も入っていますが、なるべくなら痰の絡まない症状に使用した方が良いでしょうね。

粉薬なので錠剤やカプセルが苦手な人には良いのですが、味がかなり独特なようです。

似たようなアプローチの薬としては『アストフィリンS』という製品があります。
粉薬が苦手な方はそっちを試してみるのも良いかもしれません。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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