『セピー®せき止めカプセル』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は、余計な成分が入っていないのがメリットですね。
抗ヒスタミン薬やカフェインは含まれていません。純粋に咳に使う成分のみが配合されています。

抗ヒスタミン薬が入っていないので、風邪薬などで眠くなる人でも使いやすいと思います。

ただ、ジヒドロコデインの量は20mg/日と少なめ(他の製品は30mg/日が多い)。
他の咳止めを使っていた方にはちょっと物足りないかもしれません。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

目次

基本情報

製造販売元:ゼリア新薬工業

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
ジヒドロコデインリン酸塩20mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩75mg気管支をひろげ、咳を鎮める
グアヤコールスルホン酸カリウム270mg痰を出しやすくする
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
ジヒドロコデイン
リン酸塩
20mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
75mg気管支をひろげ、咳を鎮める
グアヤコール
スルホン酸カリウム
270mg痰を出しやすくする

・包装

カプセル剤:30カプセル
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『セピーせき止めカプセル』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  2. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  3. グアヤコールスルホン酸カリウム
    • 気道の分泌を増やすことで痰を薄めて出しやすくします。
    • 弱い消毒作用もあるそう。
    • 特に注意点はありません。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2カプセル3回
12~14歳1カプセル3回

「食後に」となっていますが、あまり気にしなくても良いでしょう。

基本は「1日3回」なのですが、症状がひどい時だけ使用するというのでも良いでしょうね。

12歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
    • この製品は抗ヒスタミン薬が入っておらず、ジヒドロコデインの量も少なめです。眠気は少ない方だとは思いますが、一応注意してください。
  • 喘息治療中の方
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
  • 服用回数:「過量服用・長期連用しないでください」となっています。
    • こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
    • オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

薬物乱用について

他のところにも書いてるので折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

近年、市販薬による薬物乱用が増えていますが、その筆頭がこの製品にも入っているジヒドロコデインのようです。
(73.5%がジヒドロコデイン含有製品というデータも)

市販薬は医療用医薬品と違い、店頭やネットで簡単に買えますしね。

一時的に多幸感があったり気分が落ち着いたり疲労感がなくなったりしますが、同じ量を服用していても効き目が薄くなっていき、服用量が増えていきます。

大量に飲めば麻薬と同じです。
オーバードーズ(過剰摂取)」というやつですね。
死亡例もあります

使われている製品は鎮咳去痰薬として売られているものが圧倒的に多いようです。
風邪薬よりも1日に使える成分量が多くなっています(1回10mg・1日30mgまで)。

ジヒドロコデイン単体でも薬物依存が形成されますが、風邪薬や鎮咳去痰薬の場合は他にも
・抗ヒスタミン薬
・エフェドリン類
・カフェイン
などが入っていて、依存形成を助長します。
(この製品にはメチルエフェドリンが配合されています)

ただ、通常用量で問題になる事はまずないと思います。
必ず用法・用量を守って使用してください

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECという基準ではAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

他の成分については影響は少ないとされています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、あまり心配は要らないかと思います。

ただ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。

ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン:L3(概ね適合)

となっています。

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

とはいえ、「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
可能なら症状がひどい時だけ頓用で使用する方が良いでしょう。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、あっさりしてる、という事でしょうか。
決して悪い意味ではありません。

配合されているのは、

  • 中枢性鎮咳薬(ジヒドロコデイン)
  • 気管支拡張薬(メチルエフェドリン)
  • 去痰薬(グアヤコールスルホン酸)

の3つです。咳に関するものだけですね。

市販の鎮咳去痰薬の多くには、なぜか抗ヒスタミン薬(アレルギーを抑える薬)が配合されています。

それらの製品の説明書には「アレルギー性の咳を抑えます」なんて書かれていますが、本来なら鎮咳去痰薬には必要のない成分です。

抗ヒスタミン薬は確かに一部のアレルギー性の咳に使います。
ただ、抗ヒスタミン薬が効くアレルギー性の咳なら抗ヒスタミン薬だけでよく、ジヒドロコデインのような中枢性の鎮咳薬は必要ありません。むしろ副作用のリスクを増やすだけになる場合もあります。
(病院だとステロイドの吸入を使ったりもします)

逆に、抗ヒスタミン薬で改善しない咳であれば、アレルギー以外の原因が考えられるため、抗ヒスタミン薬は意味を持ちません。

つまり、両者を一緒に配合した製品は少し方向性が曖昧になっていると思います。

もちろん「原因がわからないからとりあえずいろいろ試す」という考えもあるかもしれませんが、原因が分からないのであれば受診した方が安心でしょう。

その点、この製品は必要最低限って感じですね。
抗ヒスタミン薬もカフェインも入っていません。

メチルエフェドリンは最大量の75mg入っていますが、ジヒドロコデインは20mgと少なめ(最大で30mg/日)。
他の製品よりはちょっと効果は弱いかもしれないですね。

ただやっぱり、ほかの咳止めと同じく痰が絡んでない咳に使用するのが良いでしょうね。
ジヒドロコデインの量は少なめですが、それでも痰を硬くして出しにくくする可能性があります。

去痰薬はグアヤコールスルホン酸が使われています。
これは咳止めやトローチに入っていることが多いですね。

気道の分泌を増やすことで痰を薄めて出しやすくします。
ただ、これはあくまでジヒドロコデインの副作用軽減が目的であるかと思います。

痰の絡んだ咳にこの製品を使うと、総合的には痰が硬くなる可能性があるので注意してください。
もちろん、去痰薬が入ってない製品よりは良いと思います。

中枢性の鎮咳薬は、あくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。

製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。

風邪の他の症状がほぼ良くなったのに咳だけが続いてる(感染後咳嗽)ときなどには使えます。
風邪をひいた時の咳に使う場合も、できれば頓用の方が良いでしょう。

眠気の出やすい抗ヒスタミン薬が入ってないので、日中使うにも良いかもしれませんね。

痰の絡む咳が出る方はこの製品は選択肢には入らないと思います。
効果は弱いかもしれませんが、去痰薬だけの製品を使った方がまだ良いでしょうね。

去痰薬はグアヤコールスルホン酸の他に以下のような成分があります。
解説記事にその成分を含む製品一覧も載せてるので興味があれば見てみてください。
カルボシステイン
アンブロキソール
ブロムヘキシン
グアイフェネシン

去痰薬だけの製品はこんなのがあります。

カルボシステインとブロムヘキシンは作用が違うため、合わせて使うとより効果的です。

あと、カルボシステインだけの製品もありますね。
これはちょっと値段が高いのであまりお勧めできませんけど。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価として、

「喉の乾燥、咳に良く効く」

がありましたが、良いのも悪いのもこれだけでした。
そもそもあまり売れてないっぽいです。

ジヒドロコデインが少ないからかな?
30mg/日の製品が多い中、20mg/日だとやっぱりちょっと見劣りしますね。

全体的には悪い製品ではないと思いますけどね。
余計な成分が入ってないのはメリットです。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

30カプセル1,650円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
30カプセル880~1,100円176~220円

※1日分のは1日6カプセルで計算
※2025年5月時点です。

こんな感じでした。Amazonや楽天だと違うかもしれません。

ん~、成分量で考えるとちょっと割高な気もしますね。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『セピーせき止めカプセル』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は、余計な成分が入っていないのが特徴でありメリットですね。
抗ヒスタミン薬やカフェインは含まれていません。純粋に咳に使う成分のみです。

ジヒドロコデインの量は少なめです。他の咳止めで効果が弱かった、という方がこれを使ってもあまり効果は感じられないかもしれません。

抗ヒスタミン薬が入っていないので、風邪薬などで眠気が出やすい方は使いやすいですね。

ただし、「痰の絡まない咳」だけにした方が良いかと思います。

中枢性鎮咳薬は痰を硬くして出しにくくします。
この製品には去痰薬としてグアヤコールスルホン酸が入っていますが、これ単体だとあまり効果は期待しない方が良いでしょう。

できれば咳が酷い時だけ頓用で使用するようにしてください。

ジヒドロコデインのような中枢性の鎮咳薬は長期で使用するものではありません。
一時的な症状緩和が目的であり、根本治療ではありません。

製品の説明書にも書いてある通り、過量服用・長期連用はしないでください。
用法・用量は必ず守って服用するよう、お願いいたします。

他の咳止めについては一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鎮咳去痰薬の一覧表

咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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