
この製品は鎮咳去痰薬の分類なのですが、個人的には「咳症状を重視した解熱鎮痛剤の入ってない総合感冒薬」という印象でした。
痰を硬くするジヒドロコデインや抗ヒスタミン薬は他の咳止めと比べると少なめ、去痰薬も一応入っているので多少の痰があっても使いやすいかもしれません。
ただ、他の製品と比べると値段がかなり高めです。ネットでは買わない方が良いかと。
基本情報
・製造販売元:協和薬品工業
・主な成分
| 成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
|---|---|---|
| ジヒドロコデインリン酸塩 | 18mg | 咳を抑える |
| dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 40mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
| ノスカピン | 60mg | 咳を抑える |
| クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える アレルギー性の咳を抑える |
| グアイフェネシン | 300mg | 痰を出しやすくする |
| 無水カフェイン | 150mg | 頭痛・頭重感を和らげる 眠気防止 |
| 成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
|---|---|---|
| ジヒドロコデイン リン酸塩 | 18mg | 咳を抑える |
| dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 40mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
| ノスカピン | 60mg | 咳を抑える |
| クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える アレルギー性の咳を抑える |
| グアイフェネシン | 300mg | 痰を出しやすくする |
| 無水カフェイン | 150mg | 頭痛・頭重感を和らげる 眠気防止 |
・包装
カプセル剤:18カプセル・24カプセル・36カプセル
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ノスポール鎮咳カプセル』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- ノスカピン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
- 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- この製品にはアレルギー性の咳を抑える目的で配合されているようです。
- 眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- グアイフェネシン
- 痰を薄めて出しやすくしたり、咳を抑える作用があります。
- 特に注意点はありません。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
| 年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
|---|---|---|
| 15歳以上 | 2カプセル | 3回 |
| 12~14歳 | 1カプセル | 3回 |
「食後」の指定はありません。
1日3回となっていますが、症状が酷い時だけ使用する方が良いかと思います。
1日3回まで、ですね。
12歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
- 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息治療中の方
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用回数:「過量服用・長期連用しないでください」となっています。
- こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
- オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
薬物乱用について
他のところにも書いてるので折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
近年、市販薬による薬物乱用が増えていますが、その筆頭がこの製品にも入っているジヒドロコデインのようです。
(73.5%がジヒドロコデイン含有製品というデータも)
市販薬は医療用医薬品と違い、店頭やネットで簡単に買えますしね。
一時的に多幸感があったり気分が落ち着いたり疲労感がなくなったりしますが、同じ量を服用していても効き目が薄くなっていき、服用量が増えていきます。
大量に飲めば麻薬と同じです。
「オーバードーズ(過剰摂取)」というやつですね。
死亡例もあります。
使われている製品は鎮咳去痰薬として売られているものが圧倒的に多いようです。
風邪薬よりも1日に使える成分量が多くなっています(1回10mg・1日30mgまで)。
ジヒドロコデイン単体でも薬物依存が形成されますが、風邪薬や鎮咳去痰薬の場合は他にも
・抗ヒスタミン薬
・エフェドリン類
・カフェイン
などが入っていて、依存形成を助長します。
(この製品には3とも配合されています)
ただ、通常用量で問題になる事はまずないと思います。
必ず用法・用量を守って使用してください。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECという基準ではAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
他の成分については影響は少ないとされています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、あまり心配は要らないかと思います。この製品に入っている量は特に少なめですしね。
ただ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
- グアイフェネシン
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。
クロルフェニラミンやグアイフェネシンはあまり気にしなくて大丈夫です。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
とはいえ、「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は一時的に粉ミルクを利用する方法もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品はいろいろと成分が入っているのですが、どの症状に重きを置いた製品なのか少し分かりにくく感じます。
それぞれの成分量と、市販の咳止めに配合できる最大量を表にしてみます。
カフェインはどうでもいいので除いてます。
| 成分 | この製品 | 咳止めに配合 できる最大量 |
|---|---|---|
| ジヒドロコデイン | 18mg | 30mg |
| ノスカピン | 60mg | 60mg |
| メチルエフェドリン | 40mg | 75mg |
| グアイフェネシン | 300mg | 300mg |
| クロルフェニラミン | 7.5mg | 12mg |
中枢性の鎮咳薬はジヒドロコデインとノスカピンの2つ。
ノスカピンの鎮咳作用の強さはジヒドロコデインの約半分(ラットにおいて)となっています。となると、ジヒドロコデインに換算すると30mgとなりますね。
ジヒドロコデインは18mg入っているので、ノスカピンと合わせると48mg程度の鎮咳作用、ということになります(目安です)。
気管支拡張薬はメチルエフェドリンですが、量はちょっと少なめ。
去痰薬のグアイフェネシンは最大量ですね。ただこれ1種類だけだとあまり効果は実感できないでしょうね。
抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンは7.5mgと中途半端ですが、これは風邪薬の基準最大量になります。
風邪薬でも眠気が出る方は注意してください。
なんていうか、全体的に中途半端でどう評価していいのか、という感じ。
ノスカピンは中枢性鎮咳薬ですが、痰を硬くしないという特性があるようです。
そして去痰薬も1成分ですが一応最大量入っていますし、ちょっと痰があっても使いやすくはあるでしょうか。
咳止めというよりも、解熱鎮痛剤の入ってない総合感冒薬、という印象ですね。
風邪をひいたときに熱や痛みがないのであれば、こういう製品でも良いかもしれませんね。
基本的に中枢性の鎮咳薬はあくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。
製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。
痰の絡む咳が出る方は、効果は弱いかもしれませんがなるべく去痰薬だけの製品を使った方が良いかと思います。
去痰薬はグアイフェネシンの他に以下のような成分があります。
解説記事にその成分を含む製品一覧も載せてるので興味があれば見てみてください。
・カルボシステイン
・アンブロキソール
・ブロムヘキシン
・グアヤコールスルホン酸
去痰薬だけの製品はこんなのがあります。

カルボシステインとブロムヘキシンは作用が違うため、合わせて使うとより効果的です。
あと、カルボシステインだけの製品もありますね。
これはちょっと値段が高いのであまりお勧めできませんけど。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効きめに対する評価は高めですね。
副作用について書いてる人はほとんどいませんでした。眠気があるとのことですが、他の咳止めはもっとクロルフェニラミンの量が多いので、この製品はまだ眠気は少なめな方でしょうか。
値段について
希望小売価格はオープン価格となっていました。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
| 包装 | 値段 | 1日分に換算 |
| 18カプセル | 1,848円 | 616円 |
| 24カプセル | なし | |
| 36カプセル | 3,278円 | 546円 |
※1日分のは1日6カプセルで計算
※2025年5月時点です。
こんな感じでした。
Yahooだと18・36カプセル、Amazonと楽天は18カプセルのみでした。24カプセルはどこにもなかったです。
マツモトキヨシのプライベートブランドみたいですね。
さすがに高すぎですね。成分量から考えてもかなり割高だと思います。
マツキヨの店舗で買えばちょっとは安いのかな?
この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ノスポール鎮咳カプセル』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
成分量はどうも中途半端です。
別にそれが悪いってことではないのですが、どういう症状に使えばいいのかちょっと分かりにくいですね。
ジヒドロコデインやクロルフェニラミンの量が他の製品と比べると少なめなので、多少痰があっても使いやすくはあるでしょうか。一応去痰薬も入ってますし。
風邪をひいたときに熱や痛みがなければこの製品でも良いかな、という感じ。
ただ値段が高すぎですね。ネット通販では買わない方が良いかと思います。
また、ジヒドロコデインのような中枢性の鎮咳薬は、量が少なめであったとしても長期で使用するものではありません。
一時的な症状緩和が目的であり、根本治療ではありません。
過量服用・長期連用はしないでください。
用法・用量は必ず守って服用するよう、お願いいたします。
咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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