「イソプロピルアンチピリン」についての簡単な解説です。
イソプロピルアンチピリンを含む市販薬の製品一覧
解説記事を書いたことのある製品を載せています。
解熱鎮痛剤
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※個別の解説記事は書いていません。
製品名 | 1回あたりの成分量 | その他の解熱鎮痛剤 |
---|---|---|
サリドンA | 150mg | エテンザミド:250mg |
サリドンWi | 150mg | イブプロフェン:50mg |
セデス・ハイ | 150mg | アセトアミノフェン:250mg |
セデス・ハイ プロテクト | 150mg | アセトアミノフェン:250mg |
セデス・ハイG | 150mg | アセトアミノフェン:250mg |
セミドン顆粒 | 150mg | アセトアミノフェン:250mg |
※上記の成分量は1回量になります。
『サリドンWi』は1日2回まで、それ以外は1日3回までとなっています。
- 「IPA」+「アセトアミノフェン」
- 「IPA」+「イブプロフェン」
- 「IPA」+「エテンザミド」
の3つの組み合わせの製品があります。
というか、IPAに関してはこれ以外の組み合わせは認められていないようですね。
IPA単独の解熱鎮痛剤もないようです。
こちらの記事の下の方にも書いています。
成分ごとの特徴・使用方法・製品一覧 リクエストがあったので、今回は「解熱鎮痛剤」について紹介しようと思います。 解熱鎮痛剤は、風邪の時に熱を下げたり、頭痛や筋肉痛、関節痛、生理痛、歯痛など、薬の…
風邪薬(総合感冒薬)
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製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。
製品名 | 1日あたりの成分量 | その他の解熱鎮痛剤 |
---|---|---|
プレコール持続性カプセル | 300mg | アセトアミノフェン:450mg |
ルルアタックFxa | 300mg | アセトアミノフェン:450mg |
「かぜ薬の製造販売承認基準について」によると、
「イソプロピルアンチピリンの1日量は300mg、同時に配合されるアセトアミノフェンは1日450mgに限る」
という文言(省略してます)があるので、これ以外の成分量・組み合わせは認められていないようですね。
分類・作用機序
イソプロピルアンチピリンの化学構造式
分類
ピラゾロン系(ピリン系)の「解熱鎮痛剤」です。
厳密には「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」には含まれません。
作用は似てる部分もあるんですけどね。
作用機序
NSAIDsと同じくプロスタグランジンの合成を抑えることで、比較的強い解熱・鎮痛作用があるとされています。
ただ、抗炎症作用が弱いようです。このためNSAIDsには含まれないのかな?
どちらかというとアセトアミノフェンのように中枢に働くとされていますね。
(アセトアミノフェンの作用機序は今のところ不明ですが)
(下の記事にアセトアミノフェンやNSAIDsの作用機序を書いています)
効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回からは解熱鎮痛剤の各主成分について詳しく解説していこうと思います。 まずは「アセトアミノフェン」について。 おそらく解熱鎮痛剤としては一番使われているであ…
効果や使用方法
効果
他の解熱鎮痛剤と同じく、解熱やいろいろな痛みに使います。
が、現在はこれ単独で使用する事はないかと思います。
他の解熱鎮痛剤と組み合わせて使いますね。
医療用の使用例
医療用でもIPA単独の薬はありません。
- 解熱鎮痛剤の「SG配合顆粒」
- 頭痛治療薬の「クリアミン配合錠」
この二つの薬に配合されていますが、これらもあまり使われてないですね。
SGの適応は感冒の解熱、耳痛、歯痛、咽頭痛などがありますが、使うとしてもほぼ頭痛にしか使われてません。
クリアミンは使うとしたら片頭痛なのですが、片頭痛の薬も今は他にありますしね。
この薬は第一選択にはなりません。
解熱鎮痛剤は今はいろいろと出てますし、あえてIPAを使うメリットはないかと思います。他の薬が効かないときに試してみるくらいでしょうか。
用法・用量
市販薬の場合ですが、
・解熱鎮痛剤(最大1日量として)
これらの組み合わせしかありません。
(その他の成分については、それぞれの解説記事を見てください)
上2つは、1回にIPA150mg・その他250mg、1日3回まで
イブプロフェンのは、1回にIPA150mg・イブプロフェン50mg、1日2回まで
となっています。
・かぜ薬(最大1日量として)
IPA | アセトアミノフェン |
---|---|
300mg | 450mg |
この組み合わせしかありません。
基本的にはIPA単独で使う事はありません。
医療用では、「SG配合顆粒」と「クリアミン配合錠」にIPAが配合されています。
・SG配合顆粒:通常1回150mg・1日3~4回
・クリアミン配合錠:通常1回300mg・1日2~3回
となっています。
市販の解熱鎮痛剤である「セデス・ハイ(錠剤)」と「セデス・ハイG(顆粒)」は、医療用の「SG配合顆粒」と全く同じ組成ですね。
使用上の注意点
医療用の「SG配合顆粒」の添付文書から、IPAに関係のある部分だけを書いておきます。
禁忌
- ピラゾロン系(ピリン系)に対して過敏症の既往歴
- アスピリン喘息又はその既往歴
ちなみにですが、「アスピリン」はピリン系ではありません。
アスピリンは商標名であって、成分名は「アセチルサリチル酸」となります。
(でも日本薬局方ではアスピリンが正式名称となってます。ややこしい。)
アスピリン喘息はというのはアスピリンに限った事ではなく、他の解熱鎮痛剤でも起こり得るので注意してください。
痛み止めのシップで喘息発作が誘発される方もいます。
副作用
重篤な副作用として
- 血液障害(無顆粒球症、再生不良性貧血、血小板減少症など)
- 腎障害
- ショック(アナフィラキシー)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)
- 中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)
などがあってこの薬が製造・販売中止になった国もあるようですが、決して頻度が高いわけではないですね。
また、「ピリン疹」と呼ばれる発疹が出る場合があります。
胃腸障害は他の解熱鎮痛剤と同じです。
できれば食後に服用した方が良いでしょう。
「ピリン系」というだけで使いたがらない人も多いかと思いますが、この薬に対してアレルギーがなければ特に問題になる事はありません。
大事なのは自分に合っているかどうかですね。
他の痛み止めが効かないときは選択肢の一つにはなるでしょう。
相互作用
IPA自体には特にありません。
ただ、IPAは基本的に単独で使われる事は無く必ず他の解熱鎮痛剤とセットになっているので、そちらの成分の方では相互作用が問題になる事があります。
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