「クレマスチン」の解説 
作用・使用上の注意・製品一覧

「クレマスチン」についての簡単な解説です。

目次

クレマスチンを含む市販薬の製品一覧

解説記事を書いたことのある製品を載せています。

※ここでご紹介している製品がすべてではありません。
あと、すでに製造中止になっている製品もあるかもしれません。
そのへんはご了承くださいますようお願い申し上げます。

風邪薬(総合感冒薬)

クリック・タップで開きます。

製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。

製品名1日あたりの成分量
新ルルAゴールドDXα1.34mg
新ルルAゴールドs1.34mg
新ルル-A錠s1.34mg
ルルアタックEX1.34mg
ルルアタックFxa1.34mg
ルルアタックNX1.34mg

※上記の量は「クレマスチンフマル酸塩」の量です。
クレマスチンフマル酸塩1.34mg=クレマスチン1mg」になります。

市販の風邪薬に配合できる最大用量が1日1mgになります。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)

大体の製品には1mg/日入っていますね。

総合感冒薬(かぜ薬)の一覧表もあるので見てみてください。
製品ごとの主要成分も載せています。

分類・作用機序

クレマスチンフマル酸塩の化学構造式

「タベジール」の添付文書より

分類

第一世代抗ヒスタミン薬H1受容体拮抗薬)」となります。

抗ヒスタミン薬には第一世代と第二世代がありますが、1983年以降に発売されたものが第二世代となります。

ヒスタミンの受容体はH1~H4が知られていますが、この系統の薬はH1受容体の働きを抑えます。
(H2受容体遮断は胃薬、H3受容体遮断は眩暈に使ったりします)

単に「抗ヒスタミン薬」といった場合は、通常はこの「H1受容体拮抗薬」の事をいいます

クレマスチンは「タベジール」として1970年に発売されているので、なかなか古い薬ですね。

作用機序

花粉などのアレルゲンがマスト細胞などを刺激すると、そこからヒスタミンという物質が出てきます。

そのヒスタミンが気管支や血管の平滑筋、血管内皮細胞、知覚神経などにあるH1受容体にくっつくと、鼻水やくしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状が出てきます。

抗ヒスタミン薬はこのH1受容体を競合的にブロックします。
図にするとこんな感じ。

きつね作です。

H1受容体はヒスタミンがなくてもある程度活性化しているのですが、抗ヒスタミン薬は逆作動薬(インバース・アゴニスト)として、この働きも抑えます。

効果や使用方法

効果

鼻水やくしゃみ、かゆみなどのアレルギー症状を緩和します。

ただ、鼻づまりには効果はほぼありません。
第二世代の方は鼻づまりにも多少効果があるとされています(弱いと思いますけど)。

また、第一世代特有ですが、抗コリン作用、抗嘔吐作用、中枢神経作用、局所麻酔作用などがありますね。
でも抗コリン作用はこの薬においては副作用扱いなので、無い方がいいですね。

抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。

※抗コリン作用には「分泌を抑える」という作用もあるため、鼻水の分泌抑制の目的であえて抗コリン薬を入れている風邪薬や鼻炎薬もあります。

あと、第一世代は第二世代と比べると効果の発現が早めのものが多いですが、この成分は効き目が遅く長いタイプですね。
最高血中濃度到達時間が約4時間、半減期が約22時間

医療用の使用例

この系統はアレルギー性疾患全般に使われています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。

とにかく鼻水やくしゃみ、痒みがあればこの系統を使いますね。

ただ、鼻水や痒みには第一選択にはならないかと思います。
第二世代が効かなかった場合に使う感じですね。

クレマスチンは今はあんまり見ることがないですね。
第一世代だとクロルフェニラミン(ポララミン)の方が圧倒的に多く使われていると思います。

用法・用量

市販薬だとほとんどの製品はクレマスチンとして
1回0.33mg1日3回(1日1mg)
となっていますね。
クレマスチンフマル酸塩1.34mg=クレマスチン1mg

医療用では、
1回1mg1日2回(1日2mg)
となっています。

市販薬は医療用の半分の量ですね。

使用上の注意点

医療用の「タベジール」の添付文書・インタビューフォームに記載されてる事を書いておきます。

禁忌

抗コリン作用が問題になるので、

  • 閉塞隅角緑内障
  • 前立腺肥大等下部尿路に閉塞性疾患
  • 狭窄性消化性潰瘍又は幽門十二指腸閉塞

の疾患・状態にある方は禁忌となっています。

上2つは他の第一世代抗ヒスタミン薬と同じですが、3番目のが禁忌となっているのはあまりありません。
(クレマスチンを除けばシプロヘプタジン(「ペリアクチン」)くらい?)

他の抗ヒスタミン薬と比べても抗コリン作用が強いのかもしれませんね。
抗コリン作用により消化管運動が抑制されるので、消化管閉塞が起こりやすくなります。

また「消化管の運動抑制に基づく胃内容排泄の遅延をもたらし、停滞した胃内容物の刺激により胃酸分泌が増加し、症状が悪化する恐れがある」との記載があります。
ただ、ここに関してはどうでしょうか?
抗コリン薬は胃酸分泌を抑制するため、消化性潰瘍に適応がある薬があります。

気を付けるべきは閉塞の方ですね。

閉塞隅角緑内障や前立腺肥大に関してはおそらく治療されている方が多いと思うのであまり気にしなくて良いと思いますが、過去に腸閉塞などをやった事がある方はこの成分は避けた方が無難かもしれません。
できれば第二世代の抗ヒスタミン薬にした方が良いですね。

副作用

出やすい副作用としては

  • 眠気(9.2%)
  • 倦怠感(1.7%)
  • 口渇(0.7%)

があります。

⚠️特に眠気には注意してください
この成分が入っている薬は基本的には
服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と記載があるはずです。

ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。
それでも最初に飲んだ時は注意してください。

あと、稀に肝機能障害や黄疸があらわれる事があります。
肝機能が良くない方は一応注意してください。

口渇が0.7%とそれほど多くないところを見ると、抗コリン作用はそれほど強くないのかもしれませんね。

相互作用

併用禁忌のものはありませんが、いくつか併用注意のものがあります。

スクロールできます
薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
 鎮静剤
 催眠剤等
アルコール
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。いずれも中枢神経抑制作用を有するため。
抗コリン剤
 アトロピン等
MAO阻害剤
抗コリン作用が増強されることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。作用を増強させるため。

併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。

他の成分についてはこちらから。
成分の一覧表

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