今回も『コンタック』シリーズです。ついでに書いておきます。
前々回は『新コンタック総合かぜ薬トリプルショット』。
前回は『新コンタックかぜ総合』。
今回は『新コンタックかぜEX持続性』について書こうと思います。
コンタックシリーズの風邪薬はこの3つですね。
「EX」とはたぶん「Extra」の略だと思います。「特別な」とか「余分な」とかの意味がありますね。
他と比べて特別な風邪薬なのか、それとも余分な成分が入っているのか…詳しく見ていこうと思います。
新コンタックかぜEX持続性の基本情報
・製造会社:GSK(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
イブプロフェン | 400mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ヨウ化イソプロパミド | 5mg | 鼻水を抑える |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 3.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
デキストロメトルファン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
・包装
- カプセル剤:12カプセル、24カプセル、36カプセル
(PTP包装)
※このリンクはアフィリエイトリンクです。
それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が6種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
イブプロフェン
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・分類:いわゆる「解熱鎮痛剤」です。
50年ほど前から使われていて実績は十分ですね。
・効果:体内で痛みや炎症の原因となる特定の物質の作用を抑えることによって、頭痛や筋肉痛などの痛みを和らげる効果があります。
また、熱を下げるのを助ける作用もあります。
一般的な解熱鎮痛剤は小児に使えない事が多いのですが、これは小児にも適応があり使いやすいですね。
よく小児の頭痛などに処方されます。
国際的にも小児の解熱にはこのイブプロフェンかアセトアミノフェンが推奨されています。
(日本では小児の解熱には適応がありません。痛み止めとしてだけです。)
・臨床での使用例:いろいろな痛みや発熱に使えます。他の解熱鎮痛剤と同じですね。
ただ、あまり成人の方に処方されてるのは見ないかな?医師の好みもあると思いますが。
やっぱりどちらかと言うと小児に使う事の方が多いと思います。
・副作用と注意点:一番は胃に負担がかかる、という事でしょうか。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍には禁忌となってます。
風邪のように短期間の使用であれば問題になることはないと思いますが、空腹時には飲まないようにした方が良いと思います。
あと、喘息をもってる方も注意してください。「アスピリン喘息」を誘発する可能性があります。
普段から痛み止めを飲んでいる方は、これを一緒に飲むと飲みすぎになる可能性があります。薬局で相談してみるといいでしょう。
長期間の服用は腎臓に負担がかかりますが、風邪のときに使うように短期間であれば問題ありません。
妊娠後期(28週以降)の方には禁忌となっています。胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものした方が良いかと思います。
・薬物相互作用:作用機序は不明ですが、ジドブジンというHIV感染症に使う薬とは併用禁忌になっています。血友病患者さんで出血しやすくなったとか。
イブプロフェンは、他の薬と一緒に使うときに注意が必要な成分があります。
特に、血をサラサラにする薬、一部の心臓病や高血圧の治療薬、そして特定の感染症や痛み・炎症を治療する薬との併用は、副作用のリスクを高めることがあります。
これらの薬をすでに使用している方は、イブプロフェンを含む製品を使う前に、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
イブプロフェンの併用注意の一覧です。少し多いので折り畳み。
(クリック・タップで開きます)
ワルファリン | ワルファリンの作用を増強するおそれがあります。 |
アスピリン | アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告があります。 |
・抗凝血剤 ワルファリン等 ・抗血小板剤 クロピドグレル等 ・選択的セロトニン 再取り込み阻害剤(SSRI) フルボキサミン、 パロキセチン等 | 消化管出血が増強されるおそれがあります。 |
炭酸リチウム | リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
・チアジド系利尿薬 ヒドロクロロチアジド ・ループ利尿薬 フロセミド | これら利尿薬の作用を減弱するとの報告があります。 |
・ACE阻害剤 エナラプリル等 ・β遮断剤 プロプラノロール等 | 降圧作用が減弱するおそれがあります。 |
タクロリムス水和物 | 急性腎障害があらわれたとの報告があります。 |
・ニューキノロン系抗菌剤 エノキサシン水和物等 | 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で併用により痙攣があらわれたとの報告があります。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの作用を増強するおそれがあります。 |
コレスチラミン | 本剤の血中濃度が低下するおそれがあります。 |
スルホニル尿素系血糖降下剤 クロルプロパミド、 グリベンクラミド等 | 血糖降下作用を増強(低血糖)することがあります。 |
CYP2C9阻害作用を有する薬剤 ボリコナゾール、フルコナゾール | イブプロフェンの血中濃度が上昇するおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):この製品の1回分には200mg入っています。1日400mg。
1回分は医療用と同じなのですが、1日量がちょっと少なめ。
微熱に使う程度かな?痛みには少し弱いかもしれません。
無水カフェイン
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※「無水カフェイン」と「カフェイン水和物」というのがありますが似たようなものなので、ここでは同じものとして扱います。
・分類:薬効分類でいえば「中枢興奮・鎮痛剤」になります。「中枢性呼吸刺激薬」にもなります。「キサンチン誘導体」というものの一種でもあります。
・効果:カフェインは、頭をすっきりさせたり、エネルギッシュな気分にさせたりする効果があります。それによって、心臓が活発に動いて血の流れが良くなるので、結果としてトイレに行く回数が増えることがあります。
また、カフェインは頭の中の血管を少し狭めることで、頭痛を和らげる効果もあります。
あと気管支を拡張させる作用があるので、昔はコーヒーを喘息の特効薬として使ってたみたいですね。
・臨床での使用例:そもそもあんまり使われないのですが、一番使われるのは頭痛でしょうか。脳血管を収縮させるので、血管拡張型の頭痛に使います。
一応眠気や倦怠感にも適応があるのですが、それ目的で処方されたことは一度も経験ありません。
でも医療用ではなく一般的には眠気やだるさに対してが一番使われるでしょうね。
「無水カフェイン」は「早産・低出生体重児における原発性無呼吸症」に適応があります。
市販薬に入ってることが多いですが、これは眠気防止かなと思います。あとは「元気になった気にさせる」といったところでしょうか。エナジードリンクが良い例ですね。
・副作用と注意点:副作用として不眠や振戦(手の震え)、動悸などがあります。
あと胃酸の分泌が増えるので消化を助けますが、空腹時に飲むと胃が荒れます。コーヒーには牛乳を入れましょう。ブラックを飲むなら食後にどうぞ。
・薬物相互作用:併用注意のものがいくつかあります。禁忌ではないです。
・他のキサンチン系薬剤 アミノフィリン水和物 ジプロフィリン テオフィリン等 ・中枢神経興奮薬 エフェドリン塩酸塩 マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
・MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 頻脈、血圧上昇等が現れることがあります。 |
シメチジン | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
カフェインもキサンチン系になるので、同じ系統を摂取すると過量投与になります。喘息ある人は服用してる可能性があるので注意してください。
マオウは漢方薬に入ってることが多いです。知らずに摂ってることがあるのでこれも注意を。
MAO阻害薬はパーキンソン病に使うので、パーキンソンの方は注意してください。
シメチジンは胃薬ですね。今はあんまり使われないですが、飲んでる方は注意を。
でもどれもあまり気にしなくて良いかと思います。症状が出るようならカフェインを減量してください。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれているので、農林水産省のサイトにあった表を載せておきます。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれていますが、その含有量は製品やブランド、調理法によって大きく異なります。ここで紹介するのはあくまで一般的な平均値または範囲であり、正確なカフェイン含有量については、各製品のラベルやメーカーの情報を参照してください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には37.5mg入っています。1日75mg。
医療用では、1回100~300mg、1日2~3回となっています。
厚生労働省のサイトによると、「悪影響のない一日当たりの最大摂取量」の目安というのは個人差が大きく、日本でも国際的においても明確に設定はされていないようです。
例えば、
・カナダでは健康な成人だと1日400mg、妊娠中の方、授乳中の方は1日300mgまで。
・イギリスでは妊娠中、授乳中の方は1日200mgまでとなっています。
厚生労働省のサイトにもカフェインの過剰摂取についての記事があるので興味のある方は目を通してみてください。(厚生労働省のサイト→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)
ヨウ化イソプロパミド
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・分類:「抗コリン薬」の分類になります。その中でも「四級アンモニウム化合物」というものになります。
「抗コリン薬」は「抗コリン作用」を持つ薬のことですが、「抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して副交感神経の働きを抑え、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。
ただ、この副作用を逆手にとって、薬としてもよく使われます。
薬とはすなわち毒ですね。使い方次第でどちらにもなり得ます。
・効果:抗コリン作用、つまり副交感神経の働きを抑えることで、いろいろな効果を示します。
唾液の分泌や鼻水を抑えたり、胃や腸の動きを抑えたり、心拍数を上げたり、膀胱を緩めたりなど。
・臨床での使用例:このヨウ化イソプロパミドは医療用医薬品としては存在しません。
「四級アンモニウム」の医療用医薬品はあるのですが、これは基本的には胃腸の過剰な動きを抑えたり胃酸を抑えたりと、胃腸に使う事が多いですね。
市販の風邪薬には鼻水を抑える目的で配合してることが多いみたいです。
・副作用と注意点:やっぱり問題になるのは「抗コリン作用」です。作用であり、副作用でもあります。
作用と副作用は相反するものでもなくて、作用が強く表れると副作用となる事もあります。
まず、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大、重篤な心疾患、麻痺性イレウスがある方には禁忌となのですが、この製品では「医師・薬剤師又は登録販売者に相談」となってますね。
出やすい副作用としては、口の渇き、便秘などでしょうか。
・薬物相互作用:このヨウ化イソプロパミドの情報はないのですが、一般的に抗コリン薬は下のような薬とは併用注意になるので参考として載せておきます。
・三環系抗うつ剤 アミトリプチリン イミプラミン 等 ・フェノチアジン系薬剤 プロクロルペラジン クロルプロマジン 等 ・MAO阻害剤 ・抗ヒスタミン剤 クロルフェニラミン ジフェンヒドラミン 等 | 本剤の作用が増強されることがあるので、併用する場合は減量するなどしてください。 |
・製品内含量(成人):この製品の1回分には2.5mg入っています。1日5mg。
この成分は医療用医薬品としては存在しません。
ただ、日本製薬団体連合会(日薬連)というところの資料では、1回3mg、1日2~3回となっています。
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
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・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
その中でも第一世代と呼ばれるものですね。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。
あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
他の製品ではd体とl体の両方が入ってるものが多いのですが、この製品にはd体だけを入れてるみたいですね。珍しいです。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットはありません。
・効果:アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の働きをブロックします。
これにより、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー症状を緩和します(抗ヒスタミン作用)。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません。
(製品の説明書には「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状をおさえます」と書いてますけど)
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
あと、第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
病院ではあまりファーストチョイスにはならないかな?第二世代が効かない場合に使うといった感じです。
でもこのd体だけのは今でも結構使われてますね。眠気などは出やすいですが効果も強い印象です。
・副作用と注意点:この成分は注意点が多いです。
抗コリン作用により眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。私はですが。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
バルビツール酸系薬剤等 アルコール | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物 アトロピン硫酸塩水和物等 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
ドロキシドパ ノルアドレナリン | 血圧の異常上昇を来すおそれがあります。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には1.75mg入っています。1日3.5mg。
医療用では1回2mgので1日1~4回、または1回6mgので1日2回使います。1日8~12mgですね。
3.5mgはちょっと少ないかな?でも眠気なども出やすいので少なくしてるのかもしれないですね。
デキストロメトルファン
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・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性非麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
で、この「非麻薬性」というのが曲者でして…「麻薬じゃないですよ~」という事ではあるのですが、実際は「分類的には麻薬には入れてないけど麻薬と似てますよ」という事です。
麻薬性鎮咳薬のリン酸コデインの構造式と比べてみるとこんな感じ。
似てますよね?
医薬品にはよくこの「非○○」というのがあるのですが、これは「似ているもの」ということになります。
もちろん作用や副作用も似たものになります。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。
ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
・臨床での使用例:風邪の咳にはよく使われますね。かなり一般的なものだと思います。
風邪、気管支炎、肺炎、気管支拡張症など、いろいろな咳に使います。
・副作用と注意点:眠気は出やすいかもしれません。あとは吐き気や便秘でしょうか。
この辺は麻薬性の咳止めと同じですね。
あと、近年のオーバードーズ(過剰摂取)はこのデキストロメトルファンを使うことが増えてきてるようです。
法的には麻薬に分類されてないですが、作用は麻薬と同じです。
過剰に摂取すると、嘔気、嘔吐、尿閉、運動失調、錯乱、興奮、神経過敏、幻覚、呼吸抑制などいろいろな症状が出ます。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。
普通に使う場合は全然怖くない薬なんですけどね。
・薬物相互作用:併用禁忌はありません。併用注意がいくつかあるので載せておきます。
・選択的MAO-B阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | セロトニン症候群があらわれることがあります。 |
・薬物代謝酵素(CYP2D6) を阻害する薬剤 キニジン アミオダロン テルビナフィン等 | デキストロメトルファンの血中濃度が上昇することがあります。 |
・セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)等 | セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあります。 |
・製品内含量(成人):この製品の1回分には24mg入っています。1日48mg。
医療用では、1回15~30mg、1日1~4回使います。最高で1日120mg。
ただ、通常は1回15mg1日3回(1日45mg)で処方される事も多いので、この製品に入ってる量は少なくはないですね。十分な量と言えるのではないでしょうか。
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
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・分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経に働くものです。
・効果:交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体があって、メチルエフェドリンはその両方を刺激します。
さらに「β受容体」は「β1」「β2」などいくつかタイプがあります(今分かっているのは「β3」まで)。
メチルエフェドリンを風邪薬として使う場合は、主に「β2刺激薬」として使います。
気管支には交感神経のβ2受容体というのがあって、そこにメチルエフェドリンがくっつくと気管支が拡張して呼吸が楽になります。
ただ、交感神経の受容体は全身のあちこちにあるので、思わぬ副作用が出ることがあります。
あとメチルエフェドリンには中枢性の鎮咳作用もあるようですね。
・臨床での使用例:気管支喘息や気管支炎、結核、風邪の咳など、咳や呼吸の症状に使います。
あと抗アレルギー作用も持っていて蕁麻疹や湿疹にも適応がありますが、これらに使ってるのは見た事がありません。
・副作用と注意点:副作用としては、動悸が出やすいかと思います。
あとは手の震えが出ることもあります。どちらも薬を止めると症状も治まるはずです。
ただ、過度に使用すると不整脈からの心停止をする事もあり、注意が必要です。通常使う量ならまず問題にはならないですね。心疾患のある方は注意してください。
あと、甲状腺の機能を亢進させたり、血圧が上がったり、血糖値が上がったりすることもあります。
甲状腺機能亢進症、高血圧、糖尿病の方は注意してください。
・薬物相互作用:カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)とは併用禁忌になります。この辺は循環不全の急性期(いわゆるショック)に使うものなので、あまり通常は使われるものではありません。
併用注意もいくつかあるので載せておきます。
・モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・甲状腺製剤 チロキシン リオチロニン等 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・キサンチン誘導体 テオフィリン ・ステロイド剤 プレドニゾロン ・利尿剤 アミノフィリン | 血清カリウム値が低下するおそれがあります。 併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察して、用量について注意してください。 |
喘息を治療中の方は、これに似た系統の成分をすでに服用してる可能性があるので注意してください。飲み薬としてではなく、吸入薬の中に入っていることが多いです。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には約30mg入っています。1日60mg。
医療用では、1日に75~150mg使われます。
1日60mgは一般的な市販の風邪薬に入っている量ですね。
新コンタックかぜEX持続性の主要成分の効果と注意点のまとめ
6つの成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- イブプロフェン
- 解熱鎮痛剤。痛みや炎症を抑え、風邪の不快感を軽減します。
- 副作用として胃に負担がかかることがあり、アスピリン喘息の誘発などのリスクにも注意が必要です。
- 無水カフェイン
- 中枢興奮・鎮痛剤として、覚醒作用を持ち、頭痛や眠気防止に効果的です。
- 副作用には不眠や振戦、動悸があり、他のキサンチン系薬剤や中枢神経抑制剤との併用に注意が必要です。
- ヨウ化イソプロパミド
- 抗コリン作用により鼻水を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大など特定の疾患を持つ方は使用に注意が必要です。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- デキストロメトルファン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 眠気や過剰摂取による副作用に注意が必要です。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
用法・用量と注意点
新コンタックかぜEX持続性の用法・用量
15歳以上:1回2カプセル・1日2回(朝・夕)
15歳未満の方は服用しないでくださいということになっています。
今までいくつか風邪薬について書いてますが、
イブプロフェンの入ってるものは15歳未満は飲まないで、となってますね。
ライ症候群を警戒して、という事だと思いますが…
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
仕方ないので15歳未満の方は大人しくアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
・食後の服用: 「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
・眠気に注意:クロルフェニラミンやデキストロメトルファンで眠気が出やすい方もいるので注意してください。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
カフェインもちょっと入ってますし。
・喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、イブプロフェンではなくてアセトアミノフェンが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
・ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は禁忌となっています。
・服用期間: 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いかと思います。
デキストロメトルファンのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もありますしね。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この風邪薬の添付文書には「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンによって胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こすことがある、という事もありそうです。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
この薬の添付文書には「医師、薬剤師又は登録販売者に相談」と書いてあります。
こちらに関しては特に問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この風邪薬に入ってる成分の中で一番リスクの高いものでも「L3(概ね適合)」となっています。(デキストロメトルファンとクロルフェニラミンがL3)
ただ、メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが…生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
新コンタックかぜEX持続性の特徴と利点と個人的な感想
発熱・のどの痛み、関節・筋肉痛、鼻水、くしゃみ、咳、痰に効果のある成分が入っていますね。
いわゆる「総合感冒薬」です。
鼻づまりには大した効かないと思いますけど。
特徴としては、クロルフェニラミンが「d体」だけな事でしょうか。
他の市販薬は「d体」と「l体」の両方が入ってる事が多いです(「l体」は副作用だけあってメリットがないです)。
ここは『新コンタックかぜ総合』と同じですね。
やっぱりアピールは控え目ですけど。
あとは「持続性」という事で1日2回で良いのもメリットですね。昼に飲むのを忘れる人も多いでしょうし。
製品の公式ホームページにはこういう記載があります。
TTP(Tiny Time Pill)テクノロジーで安定した効果が持続
先に効く速放性の粒と、後に効く徐放性の粒を配合したTTP(Tiny Time Pill)テクノロジーで、イブプロフェンの安定した効果が、朝・夕1日2回の服用で持続します。
だそうです。
でもこういった技術は他のメーカーも取り入れていて、特に目新しさはないかな…と。
あと『新コンタックEX持続性』という名前なのですが…どのへんが「EX」なのかな?
イブプロフェンが入っていることを強調してるようですが、イブプロフェンは他の風邪薬でもよく使われてます。
というか、この製品の成分量は少なめなんですよね。
他のは1日450mg~600mg入ってますが、これは1日400mgです。
あと、ヨウ化イソプロパミドとクロルフェニラミンが入っている事もアピールしてますが、それも他にそういうのがあります。
(例えば『エスタックEXネオ』。こっちにも「EX」が付いてますね)
ということで、どのへんが「EX」なのかはよく分かりませんでした。
『新コンタックEX持続性』と『新コンタックかぜ総合』の比較
この2つが店舗で並んでいた場合、どっちにしたらいいか迷うよな~と思いまして簡単な比較をしてみたいと思います。
まずどちらも1日2回の内服でいいですね。そこは同じ。
成分を比較してみると…
『新コンタックかぜEX持続性』 | 『新コンタックかぜ総合』 | |
解熱鎮痛剤 | イブプロフェン:400mg | アセトアミノフェン:900mg |
鼻水の薬 | d-クロルフェニラミン + ヨウ化イソプロパミド:5mg | d-クロルフェニラミン のみ |
咳止め | デキストロメトルファン + メチルエフェドリン:60mg | デキストロメトルファン + メチルエフェドリン:40mg |
痰の薬 | 入ってない | ブロムヘキシン:8mg |
という感じです。他は全部同じです。
・解熱鎮痛剤が違う:これについては何が効くかは人それぞれです。アセトアミノフェン900mg/日の方が効果があるいう人もいるでしょうね。
イブプロフェン400mg/日はちょっと少ないし。
・ヨウ化イソプロパミドの有無:鼻水がひどい人は『新コンタックEX持続性』ですね。
ただ、ヨウ化イソプロパミドは分泌全般を抑えるので、のどがカラカラになるかもしれません。
・メチルエフェドリンの量:ちょっと『新コンタックかぜEX持続性』の方が多いですが…効果の違いを実感できるほどか?と訊かれると何とも言えない感じ。正直、大差はないと思います。
・痰の薬:痰のからむ咳が出る人は、メチルエフェドリンの量がちょっと少なくても『新コンタックかぜ総合』の方が良いかと思います。
風邪をひいてる最中は痰が出ることも多いので、できれば痰の薬が入ってるのをお勧めしたいです。
痰が切れることで咳も少なくなるでしょうし。
ということで…
鼻水がひどいなら『新コンタックかぜEX持続性』
咳・痰がひどいなら『新コンタックかぜ総合』
という結論です。あくまで自分はですけど。
あとは値段でしょうか。
使用した方の口コミ・レビューなど
『ものログ』というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
ん~、評価はまあまあといったところでしょうか。
「効いてるのかわからない」といった声がいくつか。まあ人によりますよね…。
痛み止めとかでもそうなのですが、速く効く(キレが良い)薬の方が「効いてる!」っていう感じはありますよね。
持続性のものは血中濃度の上がり方が緩やかなので、いつの間にか症状が改善してても「効いてる!」という感じはしにくいかもしれません。
とは言っても、この製品は「TTPテクノロジー」だかで早めに効くようにもなってるはずなんですけどね。
成分量自体が少なめだからかな?
あと、薬全般に言えることですが…
薬って「成人(15歳以上)は1回〇錠・1日〇回」となっていて、成人であれば一括りで「1日〇mg」となります。
でも、もちろん体重によって血中濃度が変わります。
成人でも40kgくらいの人もいれば100kgくらいの人もいます。
この2人が同じ量を飲んで同じような効果を感じるか?と言うと、それはあり得ません。
小児だと体重によって使う量が変わりますしね。
この辺が「効き目は人によって違う」という要因の一つですね。他にもあるけど。
値段に関しては、
Yahooショッピングで見ると、12カプセルので1,000~1,300円といったところでしょうか。
成人は1日4カプセルだから12カプセルだと3日分。1日330~430円くらい。
『新コンタックかぜ総合』よりちょっと安いんですね。他の包装だとまた変わるかな?
まとめ
この記事では『新コンタックかぜEX持続性』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
特徴としては、持続性であること、クロルフェニラミンが他の多くの市販薬と違って「d体」だけなことでしょうか。
同じシリーズの『新コンタックかぜ総合』と似た成分構成ではありますが、
『かぜ総合』の方は咳・痰に、
『かぜEX持続性』の方は鼻水に重点を置いてる感じですね。
症状によって製品を選ぶと良いでしょうね。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページを参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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