
『ルルアタックFXa』は発熱が主な症状の人に向けた製品のようですが、その内容は何とも言い難いです。
成分の構成は独特です。他の風邪薬とはちょっと違う感じ。
でもそれが良いというわけでもなく。
なんというか、全体的に分かりにくい製品です。どういう人を対象にしているのか。
ピリン系の解熱鎮痛剤が入っているので、ピリン系にアレルギーを持つ方は使えません。
「ピリン系じゃないとイヤだ!」という人以外はこれを選ぶ理由はないような気がします。
基本情報
・製造販売元:第一三共ヘルスケア
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イソプロピルアンチピリン | 300mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
アセトアミノフェン | 450mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
ショウキョウ末 | 200mg | 発汗を促し、熱をさげる |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
グリチルリチン酸 | 39mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
チペピジンヒベンズ酸塩 | 75mg | 咳を抑えたり、痰を出しやすくする |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
アスコルビン酸(ビタミンC) | 300mg | ビタミン補給 |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イソプロピル アンチピリン | 300mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
アセトアミノフェン | 450mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
ショウキョウ末 | 200mg | 発汗を促し、熱をさげる |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
グリチルリチン酸 | 39mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
チペピジンヒベンズ酸塩 | 75mg | 咳を抑える、痰を出しやすくする |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
アスコルビン酸 (ビタミンC) | 300mg | ビタミン補給 |
・包装
・錠剤:12錠、24錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ルルアタックFXa』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- イソプロピルアンチピリン
- 痛みや炎症を抑えます。抗炎症作用は弱めとされています。
- ピリン系です。アレルギーのある方は避けてください。「NSAIDs」には含まれません。
- 単独で使われることはなく、他の解熱鎮痛剤と一緒に使います。
- アセトアミノフェン
- 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
- ショウキョウ末
- 体を温めたり、胃腸の働きを良くしたりする効果があります。
- 血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固薬の効果を高めてしまう可能性がありますが、風邪薬に含まれている程度の量では心配はいらないでしょう。
- クレマスチンフマル酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 他の第一世代抗ヒスタミン薬と比べると持続的。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- グリチルリチン酸
- 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- 甘草(カンゾウ)が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
- チペピジンヒベンズ酸塩
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑えたり痰を出しやすくします。
- 副作用があまりなく依存性もないとされています。
- おしっこが赤くなることがありますが、気にしなくて大丈夫です。
- ノスカピン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
- 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- アスコルビン酸(ビタミンC)
- 水溶性ビタミンで、コラーゲンの生成に関与しています。
- 風邪症状の期間短縮の報告はありますが、その効果は疑問あり。
- 摂り過ぎても尿として排泄されるため、長期・大量摂取しなければ過剰症のリスクはありません。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2錠 | 3回 |
7~14歳 | 1錠 | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
イソプロピルアンチピリンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
でもあまり心配は要らないです。
7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
単純に量の問題だと思います。
ルルアタックのシリーズでは唯一7歳から使える製品ですね。
他のは全部イブプロフェンが入ってるので15歳未満は禁忌になっています。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- ピリン系:イソプロピルアンチピリンがピリン系の解熱鎮痛剤になるので、ピリン系にアレルギーがある方は飲まないでください。
- 喘息:喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- 喘息治療中の方:気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- 漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。漢方薬を服用中の方は注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
短期間の使用であれば問題ないと考えます。
イソプロピルアンチピリンについては、この成分自体の催奇形性などの報告は見当たりません。
ただ、他の一般的な解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン除く)では胎児の腎機能障害や動脈管の収縮などの報告もあるので、一応注意はしておいた方が良いでしょう。
(イソプロピルアンチピリンはNSAIDsには含まれませんが、作用は似たようなものです)
あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性はありますが、量が少ないのでそれほど心配しなくても良いと思います。
ただ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
こちらについてもそれほど問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- クレマスチン:「L4(悪影響を与える可能性あり)」
となっています。
でもクレマスチンって1歳未満でも使えるんですよね。小児用のシロップもあるし。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品は「特に熱で体力が奪われてつらいかぜ症状に」ということで、発熱に重点を置いているようです。
成分の内容は、総合感冒薬としてはちょっと他の製品とは違う感じですね。独特。
発熱に重点を置いているということで、熱を下げる成分は
- イソプロピルアンチピリン
- アセトアミノフェン
- ショウキョウ末
の3つが入っています。
アセトアミノフェンとショウキョウ末は良いのですが、イソプロピルアンチピリン(以後、IPA)については正直よく分かりません。
医療用でIPAが入っている薬は「SG配合顆粒」と「クリアミン」があります。
「クリアミン」は頭痛にしか使いませんが、「SG配合顆粒」は解熱にも適応があります。
といっても、「SG」も頭痛くらいにしか使われないんですよね。
アセトアミノフェン1日900mgやイブプロフェン1日600mgの製品で解熱の効果が弱いのであれば試してみる価値はあるかと思いますが、最初からこれを選ぶ必要はないかと思います。
IPAはイブプロフェンと違って15歳未満でも使えるのはメリットかもしれませんが、小児であればなおさら解熱鎮痛剤はアセトアミノフェン単独の方が良いかと思います。
原則、小児(15歳未満)の解熱にはアセトアミノフェンのみ、と思っていただいて良いです。
咳止めも独特で、チペピジンが入ってますね。
チペピジンは医療用では「アスベリン」という名前です。小児によく使われる咳止めですね。
市販薬でも主に子ども用の薬に使われています。
ジヒドロコデインやデキストロメトルファンと違い常習性はないとされてて安全性は高いと思いますが、この成分単独で見た場合は効果に関しては疑問ありです。
ただ、咳止めとしては他にノスカピンとメチルエフェドリンも入っています。
全体で見ればそれなりかな?
咳がひどい人がこの製品を買うことはないと思いますが(パッケージに「咳」の文字がないし)。
あとグリチルリチン酸も入ってますね。これは喉の炎症を抑える目的のようです。
グリチルリチン酸は甘草という生薬の主成分であり、甘草単独の漢方薬「甘草湯」は激しい咳や喉の痛みに使われます。
ただ、市販薬に配合できる量が少ないんですよね。効果に関してはあまり期待しない方が良いでしょう。
あとビタミンCが入ってるのも珍しいですね。B₁やB₂が入っているのは多いのですが。
ビタミンCやカフェインも入れると全部で10種類の成分が入っていますが、個人的には「何に重点をおいてるのかいまいち分からない」という感じです。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効果に対する評価は悪くないですね。
「効かなかった」という人は少なめでした。
というか、レビューの数自体が少なかったです。
否定的な意見では「値段が高い」というのがチラホラ。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
12錠 | 1,320円 |
24錠 | 2,200円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
12錠 | 1,000~1,400円 | 500~700円 |
24錠 | 1,300~2,200円 | 325~550円 |
※1日分のは、1日6錠で計算
※2025年2月時点です。
高いですね。
あえてこれを選ぶ理由はないでしょうね。
この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ルルアタックFXa』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
何が特徴かというとちょっと難しいですが、成分の構成は独特ですね。他の風邪薬とはちょっと違います。
それが良いとは言わないけど。
解熱だけが目的であればアセトアミノフェンだけの薬を使った方が良いと思います。
これは総合感冒薬ということで、他の症状もある人が対象なわけですが…
「こういう症状の人におすすめですよ」って言えない製品ですね。
なんかすべてが「ん~…」という感じ。語彙力が乏しくて申し訳ありません。
この薬ほど「どういう人を対象にしたのか分からない」のは他にありませんでした。
「ピリン系じゃないとイヤだ!」という人以外はこれを選ぶ理由はないかと思います。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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