「エテンザミド」についての簡単な解説です。
エテンザミドを含む市販薬の製品一覧
解説記事を書いたことのある製品を載せています。
解熱鎮痛剤
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※解熱鎮痛剤は個別の解説記事は書いていません。
少し多いので、解熱鎮痛剤の組み合わせごとの表にしておきます。
(解熱鎮痛剤以外の成分は載せていません)
〇エテンザミド+アセトアミノフェン
製品名 | エテンザミドの1回量 | アセトアミノフェンの1回量 |
---|---|---|
アルドミン錠A | 266.7mg | 300mg |
アロピラリンS | 317mg | 200mg |
オピス錠 | 450mg | 300mg |
ニューカイテキ錠F | 500mg | 300mg |
確力救痛 | 500mg | 300mg |
カルリラ | 350mg | 300mg |
クイックロコ錠 | 500mg | 200mg |
恵快ACE | 500mg | 300mg |
コンジスイとんぷく | 500mg | 300mg |
サブロン顆粒 | 300mg | 266.7mg |
サリゲンS | 380mg | 200mg |
シオノギ解熱鎮痛薬 ACE | 400mg | 160mg |
スグナ顆粒 | 120mg | 300mg |
スグナ錠 | 500mg | 300mg |
ズバリ(頭歯利) | 500mg | 300mg |
ズバリ錠X | 500mg | 300mg |
ズバリタイムII | 350mg | 200mg |
新セデス錠 | 400mg | 160mg |
セデスV | 400mg | 160mg |
大正トンプク | 350mg | 300mg |
チンツーミン錠 | 500mg | 300mg |
トルピタン | 400mg | 160mg |
ナロン顆粒 | 300mg | 265mg |
ナロン錠 | 300mg | 265mg |
ノーエチS | 250mg | 150mg |
ノーエチW顆粒 | 100mg | 300mg |
ノーシン | 120mg | 300mg |
ノーシン錠 | 160mg | 300mg |
ノーシンホワイト錠 | 380mg | 300mg |
ノノン錠 | 266.7mg | 300mg |
ハイタミン錠 | 500mg | 300mg |
ハッキリエースa | 230mg | 230mg |
新パトシック錠 | 250mg | 150mg |
ビタトレール クイックA錠 | 200mg | 300mg |
ビタトレール ハレルミンA [ハレルミンA] | 500mg | 300mg |
ヒラミン | 500mg | 300mg |
ペインサール顆粒 | 100mg | 300mg |
ホームラン | 380mg | 200mg |
メルレン顆粒 | 450mg | 300mg |
新モートサン | 150mg | 300mg |
ユニー | 500mg | 300mg |
ユニー錠 | 500mg | 300mg |
龍風散 | 300mg | 300mg |
〇エテンザミド+イブプロフェン
製品名 | エテンザミドの1回量 | イブプロフェンの1回量 |
---|---|---|
ナロンエースT | 84mg | 144mg |
ナロンエースプレミアム | 500mg | 150mg |
〇エテンミド+イソプロピルアンチピリン
製品名 | エテンザミドの1回量 | イソプロピルアンチピリンの1回量 |
---|---|---|
サリドンA | 250mg | 150mg |
エテンザミド単独の解熱鎮痛剤はないようです。
市販の解熱鎮痛剤に配合できる最大用量は、1回500mg、1日1500mgとなっています。
(「解熱鎮痛薬の製造販売承認基準について」より)
こちらの記事の下の方にも書いています。
成分ごとの特徴・使用方法・製品一覧 リクエストがあったので、今回は「解熱鎮痛剤」について紹介しようと思います。 解熱鎮痛剤は、風邪の時に熱を下げたり、頭痛や筋肉痛、関節痛、生理痛、歯痛など、薬の…
風邪薬(総合感冒薬)
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製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。
製品名 | 1日あたりの成分量 | その他の解熱鎮痛剤 |
---|---|---|
新コンタック総合かぜ薬 トリプルショット | 400mg | アセトアミノフェン:500mg |
市販の風邪薬に配合できる最大用量は1日1500mgになります。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
他に解熱鎮痛剤が入っている場合は、その量に応じて入れられる量が変わります。
分類・作用機序
エテンザミドの化学構造式
分類
「解熱鎮痛剤」です。
いわゆる「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」の一種です。
その中でもサリチル酸系というのに含まれます。
体内で代謝されてサリチルアミドというのになるのですが、これが作用本体ですね。
アスピリンと同じような薬です(アスピリンについては下の記事を見てみてください)。
効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回は「アスピリン」について解説します。 解熱鎮痛剤の代名詞のような薬ですね。今は医療用では痛み止めとして使うことはほとんどありませんが、市販薬としてはまだよ…
作用機序
※詳しくは上のアスピリンの記事に書いているので、ここでは簡単に。
シクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害する事でプロスタグランジン(以下、PG)の合成を抑えます。
PGは腫れや熱感などの炎症反応に関わっているのと、ブラジキニンなどの発痛物質の働きを強める作用があります。
また、風邪などによって発熱の情報を持つPGが作られると、それが脳の視床下部の体温調節中枢というところを刺激して体温が上昇します。
NSAIDsはPGの働きを抑えることで炎症やブラジキニンによる疼痛を抑え、発熱を抑える作用を持ちます。
効果や使用方法
効果
解熱やいろいろな痛みに使います。
が、現在はこれ単独で使用する事はないかと思います。他の解熱鎮痛剤と組み合わせて使いますね。
アセトアミノフェン(A)+カフェイン(C)+エテンザミド(E)
この3つを組み合わせたACE処方なんていうのが今でも使われてます。
上の解熱鎮痛剤の一覧のアセトアミノフェンとエテンザミドの組み合わせの製品には、ほぼ全てカフェインも入っていますね。
医療用の使用例
医療用では一応「エテンザミド「ヨシダ」」というのがあるようですが、自分は見たことがありません。
これの添付文書を見ると、
効能又は効果:解熱鎮痛剤の調剤に用いる
用法及び用量:解熱鎮痛剤の調剤に用いる
と書いてあって、なんだか普通じゃありません。
単独ではなく、他の解熱鎮痛剤との併用が前提の薬みたいですね。
それにも関わらず、添付文書にはこういう事が記載されています。
「用法及び用量に関連する注意:他の消炎鎮痛剤との併用は避けることが望ましい」
どういうこっちゃ?ですけど。
とにかく医療用で使われる事はまずないですね。
用法・用量
医療用では使われないので市販薬に関してのみ書いておきます。
解熱鎮痛剤でも風邪薬でも、1日最大1500mgとなっています。
解熱鎮痛剤においては、1回の最大量が500mgという決まりもあります。
エテンザミドは基本的には単独で使われる事はなく、他の解熱鎮痛剤と一緒に入っているのですが、そちらの成分量に応じてエテンザミドの配合量も変わってきます。
個人的な考えでは、解熱鎮痛剤は単独の成分の製品の方が使いやすいと思います。
副作用が出た場合、何が原因か分からなくなるという事もありますし。
使用上の注意点
医療用の「エテンザミド「ヨシダ」」の添付文書に書いてる事をそのまま載せておきます。
禁忌
- 消化性潰瘍
- 重篤な血液の異常
- 重篤な肝機能障害
- 重篤な腎機能障害
- 重篤な心機能不全
- アスピリン喘息、またはその既往歴
以上のような疾患、または状態にある方は禁忌となっています。
他のNSAIDsと同じですね。エテンザミド特有のものはないようです。
肝機能障害以外に該当する人は、解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンが無難かと思います。
また、成人に使うには問題ないのですが、原則15歳未満の水痘やインフルエンザの解熱には使用しません。
ライ症候群の可能性がゼロではない、ということです。
エテンザミドはアスピリンと同じくサリチル酸系となります。
他の解熱鎮痛剤よりも可能性は高いと思っておいた方が良いでしょう。
副作用
何がどのくらい、というデータはありません。
NSAIDs全般的に「嘔気・悪心」「食欲不振」「胃痛」「胃部不快感」などの消化器症状は起きやすいので、この辺の症状があったら減量してみてください。
アスピリンよりは胃に負担がかかりにくいとされていますが、全くないというわけではありません。
アセトアミノフェンに変更しても良いと思います。
また、エテンザミドの作用本体はサリチルアミドであり、これはアスピリンと似たようなものです。
アスピリンには抗血小板作用があり、抗血栓薬として使用します。
エテンザミドの抗血小板作用はどの程度のものかデータがありませんが、出血傾向がある人は避けた方が良いかもしれません。
発疹や浮腫(むくみ)が出た場合は中止してください。
相互作用
併用禁忌はありません。併用注意がいくつかあります。
併用注意
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
クマリン系抗凝血剤 ワルファリン | クマリン系抗凝血剤(ワルファリン) の作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝血剤と置換し、遊離させる。 |
リチウム製剤 | 血中リチウム濃度を上昇させ、リチウム中毒を起こすおそれがあるので血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量すること。 | 本剤は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、腎血流量を減少させることにより、リチウムの腎排泄を低下させる。 |
チアジド系利尿剤 | チアジド系利尿剤の作用を減弱するおそれがある。 | 本剤は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、チアジド系利尿剤の作用を減弱させることがある。 |
併用注意についての簡単な説明
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・ワルファリンは脳梗塞や心筋梗塞に使われる薬です。
(医療用では「ワーファリン」「ワルファリン」など)
出血傾向が見られたら、エテンザミドを減量または中止した方が良いでしょう。
・リチウム製剤は気分安定剤です。躁病や双極性障害などに使われます。
(医療用では「リーマス」「炭酸リチウム」など)
NSAIDsを使ってはダメという事はないのですが、
・手が震える
・意識がぼんやりする
・眠くなる
・めまいがする
・言葉が出にくくなる
・吐き気がする
・下痢をする
・食欲がなくなる
・口が渇く
・お腹が痛くなる
などの複数の症状が出た場合はリチウム中毒の可能性もあります。
腎機能が低下している方は注意してください。
・チアジド(サイアザイド)系利尿剤は高血圧や浮腫に使われます。
(医療用では「ヒドロクロロチアジド」「フルイトラン」「トリクロルメチアジド」など。他にも高血圧の薬に配合されているものがあります)
血圧が上がってきた、浮腫みが出てきた、息切れするなどの症状が出てきたらエテンザミドは中止してください。
ここに書いてあることはあまり気にしなくて大丈夫ですが、上記の薬を服用中の方は「一応そういう可能性もあるんだな」と思っておいてください。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)について
市販の解熱鎮痛剤を頭痛に使う方も多いかと思います。
たまになら良いのですが、連用していると薬が効かなくなってきたり、頭痛が慢性化することがあります。
その場合、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。
市販薬では「アスピリン」、「アセトアミノフェンとカフェインの併用」などが原因となることが多いですが、他の鎮痛剤が原因になる事もあります。
以下の症状に当てはまる場合は注意が必要です。
・頭痛が月に15回以上ある
・月に10回以上頭痛薬を飲んでる
・薬を飲んでも効かなくなってきた
・朝起きた時から頭痛がある
これらが当てはまる人は、頭痛外来や脳外科などを受診してみてください。
他の疾患の可能性もあるので、頭痛が続いてる場合は必ず医師に相談してください。
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