普通の記事を書くのに少し飽きてきたので、今回は趣向を変えて比較記事を書いてみました。
風邪薬(総合感冒薬)は様々な症状に効く成分が含まれていますが、各メーカーからは特定の症状に特化した製品も販売されています。
例えば、咳がつらい人には咳止めが多く含まれたもの、鼻水がつらい人には鼻水・鼻づまりに効く成分が多く含まれたものなどですね。
市販薬に使える成分が限られているため、どのメーカーでも似たような製品になるのは仕方ありませんが、それでも各製品には独自の特徴があります。
今回は「のどの痛み」に重点を置いた製品を比較してみたいと思います。
比較対象
「のどの痛みに」と謳っている風邪薬(総合感冒薬)はいくつかありますが、今回はメジャーな3つのシリーズである「ルル」「パブロン」「ベンザ」を比較してみます。
これらのシリーズはいずれも多くの人々に利用されており、それぞれに特徴があります。
具体的な比較対象は以下の3つの製品です:
・『ルルアタックEXプレミアム』(第一三共ヘルスケア)
・『パブロンセレクトT』(大正製薬)
・『ベンザブロックLプレミアム』(アリナミン製薬)
これらの製品は、いずれも「のどの痛み」に重点を置いた作りになっています。
次の項目では各製品の成分を詳細に比較してみましょう。
成分の比較
それぞれの成分を見てみます。
ルルアタックEXプレミアム』 (以下:ルル) | 『パブロンセレクトT』 (以下:パブロン) | 『ベンザブロックLプレミアム』 (以下:ベンザ) | 『|
熱・痛み | イブプロフェン:600mg | イブプロフェン:450mg | イブプロフェン:600mg |
喉 | トラネキサム酸:750mg | (グリチルリチン酸二カリウム:40mg) | トラネキサム酸:750mg |
痰 | なし | アンブロキソール:45mg カルボシステイン:750mg | カルボシステイン:750mg |
咳 | ジヒドロコデイン:24mg メチルエフェドリン:60mg | ジヒドロコデイン:24mg メチルエフェドリン:60mg | ジヒドロコデイン:24mg |
鼻水 | d-クロルフェニラミン:3.5mg | dl-クロルフェニラミン:7.5mg | d-クロルフェニラミン:3.5mg |
鼻づまり | なし | なし | プソイドエフェドリン:135mg |
カフェイン | 75mg | なし | 75mg |
ビタミン剤 | B1:25mg B2:12mg | B2:12mg | なし |
こんな感じ。
3つとも似てはいますが、少しずつ違いがありますね。
それぞれの項目について見ていきます。
熱・痛み
3つともイブプロフェンですが、
・『ルル』と『ベンザ』は600mg/日
・『パブロン』は450mg/日
となっています。
『パブロン』だけ量が少なめ。
ここは単純に量が多い方が良いですね。服用後の解熱・鎮痛にダイレクトに関わってきます。
医療用では通常600mg/日使います。『ルル』と『ベンザ』がそれと同量ですね。
『パブロン』の450mg/日は市販薬としては一般的な量ですが、「のどの痛みに」というにはやっぱり少なく感じますね。
イブプロフェンで胃が痛くなる方は食直後に服用するようにしてみてください。
喉
ここも『ルル』・『ベンザ』と『パブロン』で分かれてますね。
・『ルル』と『ベンザ』はトラネキサム酸
・『パブロン』はグリチルリチン酸
『パブロン』のグリチルリチン酸は「喉」の薬としてはやや微妙です。
個人的な考えから他の記事や風邪薬一覧の方では「その他」に分類してます。メーカーとしては喉の炎症を抑える目的のようですが。
上のイブプロフェンは「抗炎症」と言うよりは「鎮痛」が目的で使用されます。
喉の炎症を抑えるのはトラネキサム酸がメインになりますね。
『ルル』と『ベンザ』のトラネキサム酸の量は、市販薬としての最大用量である750mg/日です。
本当はこの倍は欲しいところですが仕方ないですね。
トラネキサム酸には抗炎症作用の他に止血作用があります。医療用としても止血剤としてよく使われますね。
自分はコロナ感染時に喉から血が出たのですが、そういうときにも効果があるはずです。
熱や痛み、喉に効く成分を見ると、『パブロン』は選択肢から外れる感じですが…
痰
ここはそれぞれ違いが出ています。
・『ルル』は去痰剤なし
・『パブロン』はアンブロキソールとカルボシステイン
・『ベンザ』はカルボシステインのみ
アンブロキソールとカルボシステインの違いは、
・アンブロキソールは痰のすべりを良くする
・カルボシステインは痰そのものを軟らかくする
という感じでしょうか。
特にカルボシステインは気道の炎症を抑制したり気管支の粘膜を正常化するという作用もあります。
痰を出すために咳をすることで喉の炎症が悪化しますし、去痰剤は入っていた方が良いですね。
ただ、喉の痛みに対しては補助的な位置づけになりますね。
咳
・『ルル』と『パブロン』はジヒドロコデインとメチルエフェドリン
・『ベンザ』はジヒドロコデインのみ
ジヒドロコデインは中枢性の咳止め、メチルエフェドリンは気管支を拡張して呼吸を楽にします。
咳をすることで喉の炎症が悪化するという事を考えると、咳止めは入っていた方が良いとは思います。
ただし、ジヒドロコデインのような中枢性鎮咳薬は痰を硬くし排出を難しくします。
なので出来れば痰の絡まない咳が出る時に使うのが良いでしょう。
と言っても、ほぼ全ての風邪薬に中枢性の鎮咳薬が含まれています。
痰が絡む咳が出る方は去痰剤が入っているものを選ぶと良いですね。
鼻水
・『ルル』と『ベンザ』はd-クロルフェニラミン(d体)
・『パブロン』はdl-クロルフェニラミン(dl体)
クロルフェニラミンマレイン酸には「dl(ディーエル)体」と「d(ディー)体のみ」があります。
単に「クロルフェニラミンマレイン酸」と書かれているものは「dl(ディーエル)体」です。
l(エル)体には眠気などの副作用だけがあるので、入っていることにメリットはありません。
d-クロルフェニラミンマレイン酸はこのl体を取り除いてるので眠気などの副作用が少なめです。
とは言えやっぱり眠気は出ますけど。
あまり違いは感じないと思いますが、d体のみの方が良いですね。
鼻づまり
喉には関係ないのですが、『ベンザ』にはプソイドエフェドリンが入っています。
これは「鼻が詰まると口呼吸になり喉が乾燥するから」という理由かもしれません。
無いよりは良いかな?
余談ですが、
この「喉からの風邪に」の『ベンザブロックLプレミアム』にはプソイドエフェドリンが入ってるのに、「鼻からの風邪に」の『ベンザブロックSプレミアム』にはプソイドエフェドリンが入っていません。
不思議。
カフェイン
・『ルル』と『ベンザ』には75mg入ってる
・『パブロン』には入ってない
となっています。
これに関してはどちらが良いとは言えません。人それぞれですね。
風邪薬で日中眠気が出るという方は多少でもカフェインが入っている方が良いかもしれません。
逆に、カフェインで夜眠れなくなるという方は入ってない方が良いでしょう。
ただ、75mgというのはコーヒー1杯に入ってる量と同等かそれ以下なので、どちらにせよ大きな影響はないかもしれませんね。
ビタミン剤
・『ルル』にはB1とB2
・『パブロン』にはB2のみ
・『ベンザ』には入ってない
となっています。
B1もB2もエネルギー産生に関わるビタミンですが、特にB2の方は口角炎や口唇炎などに使いますね。
喉の痛みに有用かと言われると…なくても良いかもしれませんが、入っていても邪魔にはならないですね。
総合評価
各成分ごとの評価をしてきましたが、総合的にみると、
・バランスが良いのは『ベンザブロックLプレミアム』
・のどの痛みが強く乾いた咳が出る人は『ルルアタックEXプレミアム』
・のどの痛みはそれほどでもないけど痰が絡む咳が出る人は『パブロンセレクトT』
という感じでしょうか。あくまで個人的な評価です。
『ベンザ』はイブプロフェンとトラネキサム酸が市販薬の最大用量入ってますし、去痰剤のカルボシステインも含まれています。
「のどからの風邪に、銀のベンザ」に相応しい成分構成になっていると思います。
鼻づまりのプソイドエフェドリンについてはよく分かりませんけど。
『ルル』は『ベンザ』と同じくイブプロフェンとトラネキサム酸が最大用量入っていますが、去痰剤が入っていないのがもったいないですね。
『ベンザ』には無いメチルエフェドリンが入っているので、痰の絡まない咳が出る人には良いと思います。
『パブロン』については「のどの痛みに」という感じではありません。イブプロフェンの量も少ないし。
どちらかというと「つらい咳に」という感じですね。
去痰剤が2種類入っているので痰が絡む咳が出る人には良いと思います。
まとめ
今回は、のどの痛みに特化した風邪薬(総合感冒薬)3種類を比較しました。
それぞれの製品には特徴があり、症状や好みに応じて選ぶことが重要です。
『ルルアタックEXプレミアム』は、のどの痛みが強く、乾いた咳が出る場合に適していますね。
去痰剤が含まれていないのが残念。
『パブロンセレクトT』は、痰が絡む咳が出る場合に有効ですが、のどの痛みにはやや効果が薄いかもしれません。
『ベンザブロックLプレミアム』は、バランスの良い成分構成で、特にのどの痛みや鼻づまりにも効果的です。
ご自身の症状に最も適した製品を選ぶことで、風邪の症状を効果的に和らげることができます。
どの製品を選ぶにしても、使用方法を守り、適切な量を服用することが大切です。
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