「第二世代抗ヒスタミン薬」を含む市販の鼻炎薬一覧

以前「フェキソフェナジン」や「エピナスチン」の製品の記事を書きましたが、
第二世代の抗ヒスタミン薬の特徴は大体どれも同じなので、まとめて一つの記事にすることにしました。

第二世代抗ヒスタミン薬は、市販の鼻炎薬としては
・アゼラスチン
・エピナスチン
・ケトチフェン
・セチリジン
・フェキソフェナジン
・ベポタスチン
・メキタジン
・ロラタジン
の8種類がありました(きつね調べ)。
(以前は「エバスチン」という成分の市販薬もありましたが、現在は販売中止になっているようです)

この記事では第二世代抗ヒスタミン薬の特徴の簡単な説明と、上記の成分が含まれる製品を紹介していきます。

第一世代抗ヒスタミン薬の鼻炎薬は他の成分もいろいろと含まれていることが多いので、製品ごとの記事にしたいと思います。

※ここでご紹介している製品がすべてではないかもしれません。
あと、すでに製造中止になっている製品もあるかもしれません。
そのへんはご了承くださいますようお願い申し上げます。

目次

第二世代抗ヒスタミン薬の特徴

第二世代抗ヒスタミン薬はアレルギー症状を抑える薬です。
第一世代よりも眠気などの副作用が少ないことが特徴ですね。

第一世代に比べて持続効果が長めで、日常生活への影響を抑えながら症状をコントロールできるようになっています。

作用としては、気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水やくしゃみ、痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます。

また、ヒスタミン受容体はヒスタミンがくっつかなくても活性化してしまうのですが、それも抑制します。

主な作用はこの「抗ヒスタミン作用」なのですが、ロイコトリエンなどアレルギーに関係する他の化学伝達物質の働きを抑える作用も持っています。

第一世代は鼻づまりにはあまり効果がないのですが、第二世代は鼻づまりにも多少効果があるとされています。

あと、第一世代と比べると抗コリン作用が少なめです。

「抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘や排尿障害などの副作用を引き起こすことです。

ちなみに、ヒスタミンの受容体にはH2受容体というのもあり、こちらは胃酸の分泌に関わっています。
なのでH2受容体をブロックするものは胃薬として使われています(「ガスター」とか)。

各成分の比較(個人的な評価)

この系統の薬の効きめは個人差が大きくて、単純に「これが一番強い!」とも言い切れません。
ただ、一応の傾向みたいなものはありまして、個人的な評価ですが表にしてみました。

成分名(五十音順)効きめ眠気1日の服用回数(成人)
アゼラスチン強めあり2回
エピナスチン中間くらい少なめ1回
ケトチフェン強めあり2回
セチリジンやや強めあり1回
フェキソフェナジン弱め?少なめ2回
ベポタスチン中間くらいややあり2回
メキタジン強めあり2回
ロラタジン弱め?少なめ1回

こんな感じでしょうか。

個人的な印象ですが、効果が強いものは眠気もある気がします。
効果の弱いものを効果が出るまで増やしたら眠気も出ますし。単純に使う量の問題もあるでしょうね。

ただ医療用のビラノア(ビラスチン)は効果が強めで眠気が少ない、となっていますね。

また、抗ヒスタミン薬は第一世代も第二世代も「眠気」が問題になりますが、成分によっては添付文書に自動車運転の注意記載がないものがあります。

自動車運転の注意記載がないものは医療用だと
「フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)」
「ビラスチン(同:ビラノア)」
「ロラタジン(同:クラリチン)」
「デスロラタジン(同:デザレックス)」
があります。

市販薬だと「フェキソフェナジン」と「ロラタジン」ですね。

他のアレルギーの薬で眠気がひどい方は、こういう薬を試してみると良いかと思います。

各成分の製品一覧

アゼラスチン

製品一覧

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
アスミンガードAZ1mg1回1錠・1日2回
アレジンAZ錠0.5mg1回2錠・1日2回
アレマンエース1mg1回1錠・1日2回
ノスウェイALソフトカプセル1mg1回1錠・1日2回
ムヒAZ錠1mg1回1錠・1日2回

『アレジンAZ錠』だけ1錠あたりの成分量が少なめになっていますね(1回2錠なので1日量は同じ)。

医療用の場合、鼻水や痒みには1回1mg・1日2回となっていますが、気管支喘息には1回2mg・1日2回使用します。
市販薬だと鼻水や痒みにしか適応はないですね。

アゼラスチンは比較的古めの薬ですね。
医療用ではあまり使われてない印象です。

薬自体が苦いため、飲んだ後に苦みや味覚障害が出るかもしれません。

エピナスチン

製品一覧

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
アレジオン2020mg1回1錠・1日1回寝る前
エピナスチン20RX20mg1回1錠・1日1回寝る前
エピナスチン錠20「AL」20mg1回1錠・1日1回寝る前
エピナスチン錠20「EX」20mg1回1錠・1日1回寝る前
トキワ アレブロック10mg1回1錠・1日1回寝る前
ナブルシオン2020mg1回1錠・1日1回寝る前
ポジナールEP錠20mg1回1錠・1日1回寝る前

『トキワ アレブロック』のみ1日量が10mgになっていますが、1回2錠飲めばいいと思います。

市販薬の用法は「寝る前」の指定がありますが、処方される場合は「朝食後」の事も多いですね。
医療用の方は特に飲む時間の指定はありません。
眠気が出やすい方は寝る前に服用した方が良いでしょうね。

エピナスチンについてはこちらの記事でも説明しています。

ケトチフェン

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
アスミン鼻炎薬1mg1回1錠・1日2回

ケトチフェンの製品は一つだけですね。他にもあったらすみません。

この薬は比較的古めですね。医療用が出たのが1983年です。
1983年以降に出た抗ヒスタミン薬を「第二世代」というので、これは最初期の第二世代抗ヒスタミン薬になりますね。

てんかんの既往がある方は禁忌となっています。
痙攣発作が出やすくなるので注意してください。

セチリジン

製品一覧

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
新コンタック鼻炎Z10mg1回1錠・1日1回寝る前
ストナリニZジェル10mg1回1錠・1日1回寝る前

基本は1日10mgですが、医療用は最大1日20mgまで使用できます。

医療用のは今はそれほど使われてないかな?
光学異性体の「レボセチリジン(ザイザル)」が出てきてからは特に。

この成分は重度腎障害のある方は禁忌となっています。
重度でなくても血中濃度が高くなりやすくなります。腎機能が低下してる方は注意してください。

フェキソフェナジン

「成人用」「小児用」「フェキソフェナジン以外を含む製品」の3つに分けています。

フェキソフェナジンのみを含む成人用の製品

製品数が多いので折り畳みにしておきます。

製品一覧

クリック・タップで開きます。
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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
FX鼻炎錠アルファ60mg1回1錠・1日2回
アレキラFX鼻炎錠60mg1回1錠・1日2回
アレグラFX60mg1回1錠・1日2回
アレジークHI60mg1回1錠・1日2回
アレルビ60mg1回1錠・1日2回
エメロットFXソフトカプセル60mg1回1錠・1日2回
ケアビエン60mg1回1錠・1日2回
ジキナ鼻炎錠<FX>60mg1回1錠・1日2回
スカイブブロンHI60mg1回1錠・1日2回
ノスポール鼻炎錠FX60mg1回1錠・1日2回
ハリー鼻炎FX60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠「ST」a60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠α60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠AG60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠ALG60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠RX60mg1回1錠・1日2回
フェキソフェナジン錠「SX」60mg1回1錠・1日2回

全て1回60mg・1日2回となっています。

人気があるのか知りませんが、製品数が多いですね。
効果はそれなり、眠気が少なめで使いやすいのかも?

フェキソフェナジンは自動車運転の注意記載がないものの一つですね。
といっても、眠気が出る方は出るので注意してください。

フェキソフェナジンについてはこちらの記事にも書いています。

フェキソフェナジンのみを含む小児用の製品

製品一覧

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
7~11歳
用法・用量
12~14歳
アレグラFXジュニア30mg1回1錠・1日2回1回2錠・1日2回
エメロット「FX」錠ジュニア30mg1回1錠・1日2回1回2錠・1日2回
フェキソフェナジン錠ALGジュニア30mg1回1錠・1日2回1回2錠・1日2回
フェキソフェナジン錠RXジュニア30mg1回1錠・1日2回1回2錠・1日2回

第二世代抗ヒスタミン薬では唯一小児用の製品が出ています。
(他にもあったらすみません)

7~11歳は1回30mg、12~14歳は1回60mgとなっています。

なので、12歳以上であればあえてこれを使う必要はありません。
成人用の1錠60mgのを1回1錠でも同じになります。

フェキソフェナジン以外の成分を含む製品

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製品名1錠あたりの
フェキソフェナジン量
1錠あたりの
プソイドエフェドリン量
用法・用量
アレグラFXプレミアム30mg60mg1回2錠・1日2回

要指導医薬品となります。今のところは薬剤師のいる店舗でしか買えません。ネットもダメ。

『アレグラFXプレミアム』には、鼻の粘膜の充血をとり鼻づまりを解消する「プソイドエフェドリン」が入っています。

第二世代抗ヒスタミン薬は一応鼻づまりにも効果があることになっていますが、単独だとやっぱりちょっと弱いです。
プソイドエフェドリンを配合することで鼻水・鼻づまりの両方にきちんと効果が出るようしたものですね。

プソイドエフェドリンが入っていることで、禁忌がいくつかあります。
重症の高血圧
重症の冠動脈疾患
閉塞隅角緑内障
尿閉がある
交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴
以上は医療用の『ディレグラ』の禁忌ですが、『アレグラFXプレミアム』はこの他に、
甲状腺機能障害
糖尿病
も禁忌となっています。

こういった症状や既往歴がある方は使えないので注意してください。

あと、この製品は長期間服用するものではないですね。
鼻づまりが酷い時だけ短期間使用するものになります。

この製品を使うのも良いのですが、基本は抗ヒスタミン薬単独の製品を使いつつ鼻づまりが酷い時だけ血管収縮剤の点鼻薬を使う、という方法もあるかと思います。
(ただ、血管収縮剤の点鼻薬は「点鼻薬性鼻炎」に注意してください)

血管収縮剤入りの点鼻薬は、例えば下のようなものがあります。

ベポタスチン

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
タリオンAR10mg1回1錠・1日2回

ベポタスチンの製品は一つだけでした。他にもあったらすみません。

これも医療用のはかなり使われていますね。
『タリオン』という薬を処方してもらった事がある方も多いのではないでしょうか。

「15歳未満の方は服用しないでください」とはなっていますが、医療用のは7歳から成人と同じ1回10mg・1日2回使えます

禁忌もないですし、使いやすい薬かと思います。

メキタジン

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製品名1錠あたりの
成分量
その他の成分
(1錠あたり)
用法・用量
ジンマート錠2mgリボフラビン:6mg
ピリドキシン:15mg
ニコチン酸アミド:30mg
1回1錠・1日2回
ピロットA錠1mgリボフラビン:3mg
ピリドキシン:7.5mg
ニコチン酸アミド:15mg
1回2錠・1日2回
ボジナールM錠2mg1回1錠・1日2回
ロート アルガードクイックチュアブル1.33mgフェニレフリン塩酸塩:5mg
ベラドンナ総アルカロイド:0.133mg
無水カフェイン:30mg
1回1錠・1日3回
ロート アルガード鼻炎内服薬ゴールドZ1.33mg塩酸プソイドエフェドリン:25mg
dl-メチルエフェドリン:25mg
シンイエキス:8mg
ベラドンナ総アルカロイド:0.133mg
無水カフェイン:36.7mg
1回1C・1日3回

メキタジンの製品はその他の成分が含まれているのが多いですね。
それぞれの成分の効果を下に書いておきます。

・リボフラビン:ビタミンB2
・ピリドキシン:ビタミンB6
・ニコチン酸アミド:ビタミンB3
・フェニレフリン:血管収縮剤(鼻づまり解消)
・ベラドンナ総アルカロイド:抗コリン剤(涙や鼻水を抑える)
・プソイドエフェドリン:血管収縮剤(鼻づまり解消)
・メチルエフェドリン:血管収縮剤(鼻づまり解消。風邪薬では気管支拡張剤として使用)
・シンイエキス:鼻づまり解消

『ジンマート錠』と『ピロットA錠』にはビタミン剤が入っていますが、別に鼻炎には関係ありません。
皮膚疾患の方に重点を置いてるようですね。
鼻炎で使う場合、この二つは「メキタジン単体」と考えて良いでしょう。

『ポジナールM錠』はメキタジン単体。1回1錠・1日2回だし、一番シンプルで使いやすいですね。

『ロート アルガードクイックチュアブル』は血管収縮剤が入っているので鼻づまりにも効果が期待できます。
ベラドンナ総アルカロイドは鼻水だけではなくて涙の分泌も抑えるので、鼻炎で涙が出る方にも良いかもしれませんね。口は渇くと思いますけど。

『ロート アルガード鼻炎内服薬ゴールドZ』は鼻づまり解消の成分が3つも入ってます。
ただ、メチルエフェドリンは基本的には気管支拡張剤で、医療用の『dl-メチルエフェドリン』には鼻づまりの適応はありません。効果はあるのかな?
プソイドエフェドリンの量は少なめですね。
この製品は前立腺肥大・高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病には禁忌となっています。

「ロート」の2つはいろいろと入っていて鼻づまりには期待できますが、短期間の使用にとどめておいてください。
血管収縮剤は長期間服用するものではありません
血管収縮剤は交感神経を刺激するため血圧が上昇したり、心拍数が増加することがあります。
高血圧や心疾患がある方は注意が必要です。

使いやすいのは成分単独の『ポジナールM錠』ですが、お好みでビタミン剤入りのにしても良いでしょう。

医療用のメキタジンは鼻炎や痒みには1回3mg・1日2回使います(1日6mg)が、市販薬はちょっと少なめの1日4mgになっていますね。
他の成分のは大体医療用と同じ用法・用量なのに。

あと、一つ注意点として、
医療用のメキタジンは、第二世代抗ヒスタミン薬の中で唯一前立腺肥大と閉塞隅角緑内障に禁忌となっています。
(市販薬は禁忌にはなっていません。医師等に相談となっています)

抗コリン作用が他の第二世代と比べて強いのでしょうね。
第二世代の中では最初期の頃のものですし。

特に「ロート」の二つには血管収縮剤(交感神経刺激薬)が入っています。
前立腺肥大や緑内障がある方は避けた方が良いでしょう。

抗コリン作用とは、副交感神経の働きを抑える作用、すなわち副交感神経遮断を意味します。
副交感神経が抑制されると、交感神経が相対的に優位になります。
つまり、副交感神経遮断と交感神経刺激は結果として似たような反応を引き起こすことがあり、これらの作用を持つ薬を同時に使用すると効果が強く出る可能性があります。

ロラタジン

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製品名1錠あたりの
成分量
用法・用量
エナジーロラタジン鼻炎薬10mg1回1錠・1日1回
クラリチンEX10mg1回1錠・1日1回
ロラタジンAG10mg1回1錠・1日1回
ロラタジンEX10mg1回1錠・1日1回
ロラタジンRX10mg1回1錠・1日1回
ロラタックス10mg1回1錠・1日1回

すべて同じ用法・用量ですね。医療用とも同じになっています。
ちなみに、医療用のは7歳以上は1回10mg・1日1回で使用できます。市販薬は15歳以上限定ですね。

他の成分で1日1回のもの(エピナスチンやセチリジン)は寝る前の指定があるのですが、この成分の市販薬にはその指定はありません。医療用のは「食後」の指定がありますけど。
朝でも夜でも良いのですが、毎日大体同じ時間に飲んだ方が良いでしょうね。

ロラタジンには自動車運転の注意記載がありません
眠気は比較的少なめとなっています。

また、第二世代の中では妊娠中・授乳中の安全性が高めとなっています。
(といっても、妊娠中の方は必ず病院で薬を処方してもらってください)

禁忌もない、眠気も少ない、子どもでも使える、など使いやすい薬かと思います。

まとめ

第二世代抗ヒスタミン薬について簡単に紹介させていただきました。

この系統は人によって効き方が全然違うんですよね。
なので、一つ使ってみて効果に満足できなければ他のを使ってみると良いでしょうね。
自分に合った薬を探してみると良いかと思います。

市販でこの系統が気軽に買えるようになったのは良いのですが、基本的には最初は病院で医師に相談して処方してもらった方が良いと思います。
自分に合った薬がすでに分かっていて、病院に行く時間がない時に市販薬でつなぐ、という使い方が良いと思います。

市販薬はどうしても高くなってしまいますからね。
短期間なら良いのですが、例えば90日分とかだと処方してもらった方が安くなるかと思います。たぶん。

どの製品を使うにしても、自分の症状や体調に合ったものを選び、適切に使用することが大切です。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。

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