鼻炎薬は飲み薬だけではなくて、鼻に直接噴霧する点鼻薬も多いですね。
点鼻薬のメリットは、
・全身性の副作用が少ない
ということでしょうか。
(即効性があるというのもありますが、これは入ってる成分の種類によります)
飲み薬は目のかゆみや涙、くしゃみなど鼻以外の症状にも効果がありますが、どうしても眠気やだるさなどの副作用があります。
そういう副作用が出てしまう方、主な症状が鼻水・鼻づまりの方は点鼻薬もかなり有力な選択肢になるかと思います。
ということで、今回は私の常備薬でもある『パブロン点鼻』について書いていこうと思います。
ちなみに20年くらい愛用してます。昔は名前が違ったような気もしますけど。
パブロン点鼻の基本情報
・製造販売元:大正製薬
・成分
成分名 | 100mL中 | はたらき |
ナファゾリン塩酸塩 | 0.05g | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 0.5g | 鼻水を抑える |
※この製品の添付文書では「ベンゼトニウム塩化物」も成分として書かれていますが、これは殺菌消毒剤なのでこの記事では省略します。
・包装
15mL、30mL
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各成分の解説
この製品には主な成分が2種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
ナファゾリン塩酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経の方に働くものですね。
交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体がありますが、ナファゾリンは血管平滑筋のα受容体に作用します。
・効果:鼻の粘膜の血管にあるα受容体を直接刺激することで、血管が収縮して鼻粘膜の充血や腫脹を軽減します。
そうすることで鼻づまりを改善します。
・臨床での使用例:医療用では「プリビナ液」というのがあります(こちらはナファゾリン硝酸塩)。
この製品と同じように、鼻づまりがひどい時に使われます。
あと「上気道粘膜の表面麻酔時における局所麻酔剤の効力持続時間の延長」というのもあるみたいですが、こちらではあまり見た事ないかな?
抗ヒスタミン薬は鼻水やくしゃみは抑えますが、鼻づまりを解消する効果はあまりありません。
血管収縮剤を一緒に配合することで、鼻水・鼻づまりの両方に効果を発揮するんですね。
鼻づまりがひどいアレルギー性鼻炎には効果的ですね。
・副作用と注意点:飲み薬と違って全身性の副作用は少なめですが、使いすぎるとやっぱり血圧上昇などの副作用が起きるので注意してください。
あと、医療用の「プリビナ液」の添付文書にはこのような記載があります。
「点鼻薬性鼻炎」というやつです。血管収縮剤の入った点鼻薬を使い続けるとクセになってしまって、「薬を使わないと常に鼻がつまる」という状態になってしまいます。
自分もこれになってしまい、抜け出すのにかなり時間がかかりました。
医療用の「プリビナ液」のインタビューフォームには次のような記載があります。
本剤の連続投与中に生じた鼻粘膜の二次充血、腫脹は、たとえ長期常用者の場合であっても投与中止により 7~10 日間位で消失するといわれている。
使うのをやめれば7~10日間で戻るって事ですが…
鼻がつまって苦しいのに薬を全く使わないっていうのが心理的にかなり難しいのです。使えば楽になりますしね。
とにかく鼻づまりの症状がひどい時だけの使用にとどめておいた方が良いと思います。
この血管収縮剤は鼻づまりへの効果は強いですが、あくまで一時的な対症療法です。原因を治すわけではありません。
・薬物相互作用:併用禁忌があります。
・MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩 (エフピー) ラサギリンメシル酸塩 (アジレクト) サフィナミドメシル酸塩 (エクフィナ) | 急激な血圧上昇が起こるおそれがあります。 (MAO阻害剤がナファゾリンの分解を抑えてしまうので) |
点鼻薬は飲み薬と違うと言っても、鼻粘膜から吸収されて全身に作用します。注意してください。
・製品内含量:パブロン点鼻のナファゾリンの濃度は0.05%です。
医療用の「プリビナ液」も0.05%なので同じですね。
クロルフェニラミンマレイン酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
その中でも第一世代と呼ばれるものになります。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。
あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
この製品に入っているのはd体とl体の両方が入ってるものですね。d体だけのものもあります。少しマニアックな話。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットありません。
・効果:アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の働きをブロックします。
これにより、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー症状を緩和します(抗ヒスタミン作用)。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが鼻づまりの方にはあまり効きません。
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
・臨床での使用例:飲み薬の方はアレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
ただ、医療用の点鼻薬でこの成分が入ってるものはありません。
・副作用と注意点:飲み薬の場合は眠気や口の渇き、抗コリン作用などが問題になるのですが、点鼻薬の場合はそれらは気にしなくて大丈夫です。点鼻薬のメリットですね。
ただ、使いすぎると全身性の副作用も出てくると思うので注意してください。
・薬物相互作用:飲み薬では併用注意のものがあるので一応載せておきます。
バルビツール酸系薬剤等 アルコール | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物 アトロピン硫酸塩水和物等 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
ドロキシドパ ノルアドレナリン | 血圧の異常上昇を来すおそれがあります。 |
ただ、やっぱり点鼻薬の場合は特に気にしなくて大丈夫です。
・製品内含量:パブロン点鼻のクロルフェニラミンの濃度は0.5%ですね。
医療用にはこの成分が入ってる点鼻薬はないので、残念ながら比較はできません。
一応計算してみると、1回の噴霧は大体0.1mlなので1回0.5mg。
パブロン点鼻の最高量は1回2噴霧ずつ・1日6回なので、両鼻合わせると1日24噴霧で…12mgですね。
医療用の飲み薬では最高で1日24mg使います。
噴霧したものが全て血中に移動したとしても、医療用で使う最高用量の半分ですね。これなら安心ですね。
パブロン点鼻の主要成分の効果と注意点のまとめ
2つの成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- ナファゾリン塩酸塩
- 鼻の粘膜の血管を収縮させて、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、これ単独では鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
注意点に関しては点鼻薬の場合はそれほど気にしなくて大丈夫です。
ただ、使いすぎると全身性の副作用も出てくると思うので注意してください。
用法・用量と注意点
パブロン点鼻の用法・用量
・7歳以上:1回1~2度噴霧・1日6回まで(3時間以上空けて)
となっています。
(製品の添付文書では「成人(15才以上)及び 7才以上の小児」という書き方になっています)
7歳未満の方は使用しないでくださいとなっています。
ナファゾリンは「2歳未満は禁忌」、「2歳以上の幼児、小児は使用しないことが望ましい」となっていますね。
注意してほしいこと
二点だけ注意をお願いします。
- 過量投与:点鼻薬は全身性の副作用が少ないとは言え、使いすぎるともちろん副作用も出てきます。
ナファゾリンの系統の飲み薬は高血圧や心臓病の方には禁忌になるので、そういう持病がある方は特に注意してください。
医療用の「プリビナ液」では「0.5%塩酸ナファゾリン液を点鼻した試験において、35 例中 13 例に収縮期血圧の上昇が認められた」というデータがあります(インタビューフォームより)。 - 長期連用:ナファゾリンは連用するとクセになって、「使っていないと鼻がつまる」という状態になってしまいます(点鼻薬性鼻炎)。
一度こうなると抜け出すのにかなりの時間が必要になります(経験談)。
なるべく短期間(3~5日間)の使用にとどめておいてください。
症状が続くようなら耳鼻科を受診した方が良いでしょう。
この製品は「1日6回まで」となっているのですが、これはあくまで数日だけの短期間の話です。
1日6回を1ヵ月も続けていたらクセになってしまうので注意してください。
以前話した耳鼻科の医師は「せいぜい1日3回まで」と言ってましたね。そのくらいにしておいた方が良いかと思います。
妊娠中の方
妊娠中の使用については製品の添付文書には、
「使用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」としか記載されていません。
クロルフェニラミンに関しては特に問題ありませんが、
ナファゾリンに関しては、医療用の方でもデータがありませんでした。
飲み薬ではないのであまり心配はいらないのですが、あくまで長期連用・過量投与をしないという前提での話です。
ナファゾリンにはデータがないだけで、全く問題がないとは言い切れません。
医療用の「プリビナ液」のインタビューフォームには、
「本剤は子宮筋の緊張を高める傾向があるため、妊婦に対して投与する場合には特に過量投与にならないよう注意が必要である」
という記載があります。
使用するにしても短期間・回数少なめにしておいてください。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
あと授乳中の方ですが、この製品の添付文書には何も記載がありません。
ただ、授乳に関しては特に問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分二つとも「L3(概ね適合)」となっていて、「児に不都合な影響が出る可能性がある。またはごく軽微で危険性のない有害作用しか示されていない」となっています。
少しおっかない表現ですが、使用した分全部が母乳に移行するわけではありません。移行するにしてもかなり微量です。
ということで、授乳に関してはあまり気にしなくて良いかと思います。
パブロン点鼻の特徴と利点と個人的な感想
よくある血管収縮剤入りの点鼻薬ですね。
この製品が対象としているのは、「鼻水が出る人」ではなくて「鼻づまりがひどい人」だと思います。
メインは血管収縮剤、つまり鼻づまり解消です。もちろん鼻水にも効きます。
使った後は結構鼻の中が乾燥しますしね。
飲み薬と違って効きめも早いです。完全に鼻がつまっていても、使用後数分でス~っと通るようになります。
かなり快感です。
でもこの快感がクセになる原因の一つでもあるんですよね。気を付けてください。
自分の場合は片方の鼻だけ使うという使い方をよくします。
片方だけでも鼻が通っていれば鼻呼吸はできますからね。
あまり症状が酷くない時に使うと鼻がツ~ンとします。ワサビを食べ過ぎた時のような。ちょっと違うけど。
用法は1回1~2噴霧となっていますが、とりあえず1回噴霧してみて、数分しても改善しないときだけもう1回噴霧する、という方が良いかと思います。
自分は、自宅に一つ、持ち歩く用にカバンに一つ入れてます。
飲み薬と違っていつでも使えるのが利点でもありますね。
ただ繰り返しますが、長期連用・過量投与はしないようにしてください。
使っても1日3回程度にしておいた方が良いかと思います。
アレルギー性鼻炎の治療の基本は飲み薬やステロイドの点鼻薬になります。
こういう血管収縮剤の点鼻薬は鼻づまりがひどい時の頓用という形で使用した方が良いでしょうね。
使用した方の口コミ・レビュー
「ものログ」というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
「効果がない」という意見は、否定的な意見の3つ目の人くらいでしたね。
この方は「鼻づまり」ではなくて「鼻水」で使用したっぽいので、そっちに関しては効果は人それぞれですね。
「鼻づまりに効果がなかった」という意見は一つもありませんでした。
ただ皆さん仰ってるのは、やっぱり依存性に関してです。
おそらくこれを長年使用してる方は、点鼻薬性鼻炎になっている方が少なくないと思います。
使用する際は、短期間・頓用ということを忘れないようにお願いします。
値段に関しては、
Yahooショッピングで見ると、小さい方の15mLので送料込みで700~800円ですね。
1回の噴霧で約0.1mL使うとすると150噴霧ですね。
使用量は人それぞれですが、1回両鼻に1噴霧ずつ、1日3回使うと25日分くらいですね。飲み薬と比べると安いかな?
まとめ
この記事では『パブロン点鼻』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
鼻づまりが酷くて眠れないとか、日中も仕事に集中できないといった時にはかなり有用だと思います。
鼻水に関しては何とも言えません。抗ヒスタミン薬の効果は人それぞれです。
鼻水を抑えるだけが目的であれば、血管収縮剤入りの点鼻薬は使用しない方が良いかと思います。
強調しておきたいのは、アレルギー性鼻炎の治療の基本は抗アレルギー薬の飲み薬やステロイド点鼻薬です。
血管収縮剤はあくまで鼻づまりがひどい時だけの頓用にとどめておいた方が良いでしょう。
自分も風邪をひいた時など一時的に使用する程度に抑えるようにしています。
あと、アレルギー性鼻炎の方は喘息を合併してる方が少なくありません。
そういう方は市販薬を使うのではなくて、耳鼻科で包括的に治療してもらった方が良いかと思います。
鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、
公式ホームページ【https://www.catalog-taisho.com/category/02/003/04715/】を参照してください。
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