『フルナーゼ点鼻薬』の成分と効果【薬剤師が解説】

前回は血管収縮剤が入った『パブロン点鼻』について書きました。

あの種類の点鼻薬は即効性もあり鼻づまりがひどい時には良いのですが、長期で使うべきものではありません。

前回書いた通り、アレルギー性鼻炎の治療の基本は飲み薬やステロイドの点鼻薬になります。

ということで、今回はステロイドの点鼻薬である『フルナーゼ点鼻薬』について書こうと思いますが、これは医療用医薬品でも同じものがあります。十分実績のあるものですね。

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目次

フルナーゼ点鼻薬の基本情報

製造販売元:GSK(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)

・成分

成分名100mL中はたらき
フルチカゾンプロピオン酸エステル51mgステロイド
(ここでは鼻水・鼻づまり・くしゃみを抑える目的)

・包装

8mL

製品の公式ホームページはこちら:https://www.flunase.jp/feature/

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成分の解説

自然な素材と医薬品の成分をイメージした色とりどりの薬剤が木のスプーンや陶器の皿に並べられ、淡い色合いの背景に配置されている様子を描いたイラスト。情報提供目的で使用される図解表現。

この製品には成分としては1種類のみ入っています。
1種類だけなのですが、少し長くなったので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。

フルチカゾンプロピオン酸エステル

クリック・タップで開きます。

分類:「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」となります。
ステロイドには様々な作用がありますが、ここでは点鼻薬に関する事のみ書かせていただきます。

効果:ステロイドは炎症やアレルギー反応を抑える作用が強く、この2つの目的で使われる事が多いですね。
この点鼻薬も直接鼻の中にステロイドを噴霧することで、鼻水・鼻づまり・くしゃみなどを抑えます

臨床での使用例:医療用医薬品でも「フルナーゼ」という点鼻薬があり、内容も同じです。
アレルギー性鼻炎や血管運動性鼻炎に使われます。
鼻づまりがあるアレルギー性鼻炎、花粉症では重症度に関わらず使用されていますね。
海外では副鼻腔炎にもよく使われているようです。日本では適応がないですが。

鼻炎には飲み薬の抗ヒスタミン薬がよく使われますが、抗ヒスタミン薬は鼻づまりにはあまり効果がありません。
ステロイド点鼻薬は鼻の炎症を抑えることで血管を収縮させる効果もあるので、鼻づまりにも効果があります。
といっても、いわゆる「血管収縮剤」とは違い、クセになるという事はありません。
逆に、ある程度長期間使うことが多いですね。

血管収縮剤と違って、使ってすぐに鼻づまりが解消するわけではないのですが、3日ほど使っていると鼻づまりも良くなってくると思います。

副作用と注意点:飲み薬のステロイドだと血糖値が上がったり骨がもろくなったり、いろいろと副作用が出るのですが、点鼻薬の場合はそういう全身性の副作用は少なめです。

医療用の「フルナーゼ」のインタビューフォーム(医薬品解説書)を見ると、副作用で一番多かったのが鼻内刺激感で0.19%、次に不快臭が0.13%となっています。
適正な使用をしていれば全身の副作用が出ることはほぼないかと思います。

とはいえ、ステロイドです。注意点がいくつかあります。

医療用のフルナーゼでは、
有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者」には禁忌になっています。

ステロイドには「免疫力を下げる」という作用があります。感染症がある場合、それが悪化してしまう可能性があります。

あと、「細胞の増殖を抑制する」という作用があるので傷が治りにくくなります。
鼻血が出やすい人は注意してください。

この成分はアレルギー症状を抑えるものなのですが、この成分に対してアレルギー症状が出る方がいます。
滅多にないのですが、医療用のフルナーゼでアナフィラキシー様症状(呼吸困難等)が出た報告があるので注意してください。

この製品の添付文書では他に、
本剤は、他のステロイド点鼻薬の使用期間も合わせて、1年間に3ヵ月以上を超えて使用しないでください
との記載があります。
基本的にステロイド点鼻薬は長期で使用するのですが、使用してても改善しない場合は他の疾患の可能性がある、ということですね。
1週間ほど使用しても改善が見られない場合は耳鼻科を受診してください。

こういうステロイド点鼻薬は、耳鼻科でアレルギー性鼻炎の診断を受けた方が使用するべきものかと考えます。
他の疾患の場合でも鼻づまりなどの症状が軽減することがあると思いますが、症状は良くなってても病状は悪化してる可能性があります

薬物相互作用:併用注意が一点あります。
HIV感染症に使うものですが、リトナビルを含む薬(商品名:ノービアカレトラパキロビット)と併用すると、フルチカゾンの分解が阻害されて全身性の副作用が出る場合があります。

製品内含量:1mL中に0.51mg入っています(8mL中に4.08mg)。
医療用の「フルナーゼ点鼻液50μg 56噴霧用」と同じですね。

用法・用量と注意点

薬の服用時間や方法を象徴的に表現したイラスト。時計、カプセル、錠剤、薬の効果時間を示すグラフなどが淡い色調でデザインされており、服薬管理やタイミングの重要性を視覚的に伝える内容。

フルナーゼ点鼻薬の用法・用量

15歳以上:基本は1回1噴霧・1日2回
となっていますが、1日最大4回(8噴霧)まで使用可能となっています。
その場合は3時間以上空けるようにしてください。

15歳未満の方は使用しないでくださいとなっています。

医療用のフルナーゼには小児用もあるのですが、濃度は同じですが1回の噴霧量が半分になっています。
この製品は小児には使わないようにしてください。

花粉症のように季節性のものであれば、症状がひどい時に回数を増やして使うと良いでしょう。
時季が過ぎれば徐々に減量して様子をみてください。

注意してほしいこと

成分の解説のところと重複することもありますが改めて書いておきます。

  • 感染症の方:ステロイドには免疫を抑制する作用があり、感染症が悪化する可能性があります。
    耳鼻科を受診して薬を処方してもらった方が良いでしょうね。
  • 過量投与:点鼻薬は全身性の副作用が少ないとは言え、使いすぎるともちろん副作用も出てきます。
    飲み薬のステロイドを飲んでるのと同じになるので、使いすぎには注意してください。
  • 使用期間:ステロイドの点鼻薬は基本的にはある程度長期間使用するものですが、あくまで医師の診断・処方のもとでの話です。
    この製品を1週間ほど使用しても改善しないようであればアレルギー性鼻炎ではない可能性もあるので、耳鼻科を受診してください。
    他のステロイドなら効果がある、ということもありますしね。
  • 鼻づまりのひどい方:鼻が完全につまってる人だと、薬が鼻の奥まで届かない事もあります。
    そういうときは先に血管収縮剤の点鼻薬を使って鼻の通りを良くしてからステロイド点鼻薬を使っても良いと思いますが、血管収縮剤の方は短期間の使用にとどめておいてください。

妊娠中の方

妊娠中の使用については製品の添付文書には、
「妊婦又は妊娠していると思われる人」は使用しないでくださいと記載されています。

医療用のフルナーゼの添付文書では「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されています。

これは、全身投与(飲み薬や注射)のステロイドでは奇形発生、胎児の発育抑制などがあるからという事なのですが…
点鼻薬については、適正な使用であればほぼ心配いりません。
医療用フルナーゼの添付文書では「14日間連続鼻腔内投与した場合、血中濃度は検出限界以下」との事でした。
つまり、ほぼ血中に移行しないという事ですね。

医療用フルナーゼのBriggs基準は「適合1」で、「過去の妊婦への投与経験から、胎児への危険性はないか、あってもごくわずかと考えられ、妊娠中の投与に適する」となっています。

ということで、妊娠中の方が使用しても特に問題ないと考えます。

ただ、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。

授乳中の方

あと授乳中の方ですが、この製品の添付文書では
「医師、薬剤師又は登録販売者に相談」ということになっています。

医療用の方では「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」となっていますね。

ただ、授乳に関しては特に問題ないと考えます。

Mothers’ Milk基準では「L3(概ね適合)」となっていて、「児に不都合な影響が出る可能性がある。またはごく軽微で危険性のない有害作用しか示されていない」となっています。

さきほど書いたように、血中にはほとんど移行しません。
そもそもステロイドの内服でも授乳にはそれほど問題ないので、点鼻薬なら尚更ですね。

ということで、授乳に関してはあまり気にしなくて良いかと思います。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

フルナーゼ点鼻薬の特徴と利点と個人的な感想

医療用のフルナーゼは30年ほど前から使われていますし、実績はありますね。
ステロイドの点鼻薬って種類が少ないんですよね。昔からあるもので効果が十分あるからでしょうね。

この製品は1日2回の使用が基本になりますが、1日1回で良い物もあります。
1日1回で良いのは市販ではまだ出てないかな?

鼻水やくしゃみがひどい方は飲み薬も良いのですが、眠気が出やすい人は点鼻薬の方が良いでしょうね。
ステロイドには眠気の副作用はありませんし。

重症のアレルギー性鼻炎には内服のステロイドも使われますが、どの重症度においてもステロイド点鼻薬は推奨されています。必須と言ってもいいですね。

鼻水・鼻づまり・くしゃみなどアレルギー性鼻炎の症状全般に効果がありますが、使った初日から効果があるってわけでもありません。人によりますが。
鼻づまりのひどい方は血管収縮剤の使用も考えた方が良いでしょう。ただ、短期の使用に限ります。

あと、血管収縮剤の点鼻薬を何年もの長期間使用してる方も少なくないのですが…
鼻づまりがひどくてずっと血管収縮剤の点鼻薬を使ってる人は点鼻薬性鼻炎になってる可能性が高いです。
そういう方は一度ステロイドの点鼻薬も考えた方が良いと思います。
ある程度使って改善すれば「点鼻薬を手放せない」という状況から抜け出せるかもしれません。

まずは耳鼻科を受診して、ちゃんと診断を受けた方が良いと思います。

使用した方の口コミ・レビュー

「ものログ」というサイトの口コミです。

まず良い評価の方は、

・「3日目だけど深夜に鼻水が洪水状態になってしんどいのは改善されてきてる」
・「花粉症の鼻水にはとてもよく効く。朝晩2回の点鼻でいいので持ち運びしなくていいのがいい」
・「病院で処方されているのと同じなので安心」

といった具合。

否定的な意見としては、

・「価格が高い」
・「液だれが気になる人もいると思うが、自分としてはそれよりも独特の匂いが気になる」
※否定的な意見がこれくらいだったので、2件だけです。

といった感じ。

「効果がない」という意見はなかったですね。医療用でも使われていますしね。
あと抗ヒスタミン薬と違って、人によって効果がまちまちという事もないかと思います。

「薬剤師がいないと買えない」と書いてる人もいたのですが、これは指定第二類医薬品になるのでその必要はないはずです。ネットでも買えますしね。

値段に関しては、
Yahooショッピングで見ると、8mL1個で1,300~2,000円くらいですね。
8mLで56噴霧になるので、両鼻に1噴霧ずつ1日2回使うと14日分(1日あたり92~142円くらい)。

季節性の鼻炎で短期間しか使わないなら市販のでも良いかと思います。
でも長期で使うってなると…病院で処方してもらった方が安くなりますね。後発品(ジェネリック)も出てますし。

まとめ

明るく穏やかな風景を描いたイラスト。柔らかな日差しが広がる空には白い雲と飛び交う鳥たち、そして温かみのある色合いで描かれた川や木々、草花が春の訪れを感じさせる。画面の下部には手を広げて自然を満喫する人のシルエットが描かれており、心地よい外出を楽しむ様子が伝わる。

この記事では『フルナーゼ点鼻薬』の主要成分の効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。

医療用でも同じものが昔から使われていて安心感がありますね。

ステロイドの点鼻薬は全身性の副作用もほぼなく、妊娠してる方や授乳中の方で安心して使えます。

飲み薬も良いですが、症状が鼻だけであれば有力な選択肢になるでしょう。
血管収縮剤と違ってクセになるものでもないですしね。

ただ、アレルギー性鼻炎の方は喘息を合併してる方が少なくありません。
そういう方は市販薬を使うのではなくて、耳鼻科で包括的に治療してもらった方が良いかと思います。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

詳細な情報やご購入を検討される方は、
公式ホームページ【https://www.flunase.jp/feature/】を参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。

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この記事を書いた人

きつねと申します。40代の現役薬剤師として、臨床経験をもとに市販薬の効果と安全な使用法をわかりやすくお伝えすることを目指しています。健康な毎日のためのお手伝いができれば幸いです。

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