『エスタックイブ®』の成分と効果【薬剤師が解説】

今回は「エスタック」シリーズで書き忘れていた『エスタックイブ』について。

これは個人的に考える「常備薬として適している総合感冒薬」のうちに入るかな?
症状特化型ではありません。

内容を見ていこうと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

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目次

エスタックイブの基本情報

製造会社:エスエス製薬

主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
イブプロフェン450mg熱をさげ、痛みを和らげる
ジヒドロコデインリン酸塩24mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
クロルフェニラミンマレイン酸塩7.5mg鼻水、くしゃみを抑える
無水カフェイン75mg頭痛・頭重感を和らげる
チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩)24mgビタミン補給
アスコルビン酸(ビタミンC)300mgビタミン補給

包装
・『エスタックイブ』(錠剤):30錠、45錠、60錠(瓶包装)
・『エスタックイブ顆粒』(顆粒):10包

製品の公式ホームページはこちら:https://www.ssp.co.jp/product/all/ste-t/

※このリンクはアフィリエイトリンクです。

それぞれの成分の解説

自然な素材と医薬品の成分をイメージした色とりどりの薬剤が木のスプーンや陶器の皿に並べられ、淡い色合いの背景に配置されている様子を描いたイラスト。情報提供目的で使用される図解表現。

この製品には主な成分が7種類入ってます。

それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。

それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
 製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。

イブプロフェン

クリック・タップで開きます。

分類:いわゆる「解熱鎮痛剤」です。
50年ほど前から使われていて実績は十分ですね。

効果:体内で痛みや炎症の原因となる特定の物質の作用を抑えることによって、頭痛や筋肉痛などの痛みを和らげる効果があります。
また、熱を下げるのを助ける作用もあります。

一般的な解熱鎮痛剤は小児に使えない事が多いのですが、これは小児にも適応があり使いやすいですね。
よく小児の頭痛などに処方されます。
国際的にも小児の解熱にはこのイブプロフェンかアセトアミノフェンが推奨されています。
(日本では小児の解熱には適応がありません。痛み止めとしてだけです。)

臨床での使用例:いろいろな痛みや発熱に使えます。他の解熱鎮痛剤と同じですね。
ただ、あまり成人の方に処方されてるのは見ないかな?医師の好みもあると思いますが。
やっぱりどちらかと言うと小児に使う事の方が多いと思います。

副作用と注意点:一番は胃に負担がかかる、という事でしょうか。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍には禁忌となってます。
風邪のように短期間の使用であれば問題になることはないと思いますが、空腹時には飲まないようにした方が良いと思います。

あと、喘息をもってる方も注意してください。「アスピリン喘息」を誘発する可能性があります。

普段から痛み止めを飲んでいる方は、これを一緒に飲むと飲みすぎになる可能性があります。薬局で相談してみるといいでしょう。

長期間の服用は腎臓に負担がかかりますが、風邪のときに使うように短期間であれば問題ありません。

妊娠後期(28週以降)の方には禁忌となっています。胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものした方が良いかと思います。

薬物相互作用:作用機序は不明ですが、ジドブジンというHIV感染症に使う薬とは併用禁忌になっています。血友病患者さんで出血しやすくなったとか。

イブプロフェンは、他の薬と一緒に使うときに注意が必要な成分があります。
特に、血をサラサラにする薬一部の心臓病や高血圧の治療薬、そして特定の感染症や痛み・炎症を治療する薬との併用は、副作用のリスクを高めることがあります。
これらの薬をすでに使用している方は、イブプロフェンを含む製品を使う前に、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。

イブプロフェンの併用注意の一覧です。少し多いので折り畳み。
(クリック・タップで開きます)
ワルファリンワルファリンの作用を増強するおそれがあります。
アスピリンアスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告があります。
抗凝血剤
ワルファリン等
抗血小板剤
クロピドグレル等
選択的セロトニン
再取り込み阻害剤(SSRI)

フルボキサミン、
パロキセチン等


消化管出血が増強されるおそれがあります。
炭酸リチウムリチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告があります。
チアジド系利尿薬
ヒドロクロロチアジド
ループ利尿薬
フロセミド
これら利尿薬の作用を減弱するとの報告があります。
ACE阻害剤
エナラプリル等
β遮断剤
プロプラノロール等
降圧作用が減弱するおそれがあります。
タクロリムス水和物急性腎障害があらわれたとの報告があります。
ニューキノロン系抗菌剤
エノキサシン水和物等
他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で併用により痙攣があらわれたとの報告があります。
メトトレキサートメトトレキサートの作用を増強するおそれがあります。
コレスチラミン本剤の血中濃度が低下するおそれがあります。
スルホニル尿素系血糖降下剤
クロルプロパミド、
グリベンクラミド等
血糖降下作用を増強(低血糖)することがあります。
CYP2C9阻害作用を有する薬剤
ボリコナゾール、フルコナゾール
イブプロフェンの血中濃度が上昇するおそれがあります。

製品内含量(成人):この製品の1回分には150mg入っています。1日450mg
医療用で使う場合は1日600mgなのでちょっと少なめ。

ジヒドロコデインリン酸塩

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分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性麻薬性鎮咳薬」に分類されます。

効果咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
あとは消化管の動きを抑制する効果もあります。

臨床での使用例:基本的には強い咳に対して使います。できれば痰の絡んでない乾いた咳の時がいいです。
あと消化管の動きを抑制するので下痢止めとしても使いますね。
ただ、どちらの使い方でもあまり長期間は使いません。頓服という感じで症状が強い時だけ使います。

副作用と注意点:この成分は効果的な鎮咳薬ですが、使用には慎重さが求められます。
特に、以下の副作用や注意点に留意する必要があります。

まず、痰が絡んだ咳に対しては使いにくいです。痰を硬くするので余計に痰が出しにくくなる可能性があります。
副作用としては、便秘麻痺性イレウス(腸閉塞)悪心・嘔吐排尿障害依存性眠気呼吸抑制気管支痙攣などがあります。この中でも便秘(下痢止めとしても使うので)、眠気、悪心・嘔吐は出やすいです。

小児には使えません。12歳未満には禁忌となっています。
海外において、死亡を含む重篤な呼吸抑制のリスクが高いとの報告があるそうです。

あと、以前から問題になっている「オーバードーズ(過剰摂取)」の大半はこのコデインのようです。
市販で買えるとは言え麻薬の一種には変わりありません。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。

薬物相互作用:他の薬と一緒に飲むことで副作用が出やすくなる事があるので、普段飲んでる薬がある方は薬局で相談してみてください。
下に相互作用の表を載せておきます。

フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β-遮断剤
アルコール


呼吸抑制低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあります。
ワルファリンワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。
抗コリン作動性薬剤麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがあります。

製品内含量(成人):この製品の1回分には8mg入っています。1日24mg
病院では1回10mg、1日3回まで使います。
市販の風邪薬は大体1日24mgですね。

dl-メチルエフェドリン塩酸塩

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分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経に働くものです。

効果:交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体があって、メチルエフェドリンはその両方を刺激します。
さらに「β受容体」は「β1」「β2」などいくつかタイプがあります(今分かっているのは「β3」まで)。

メチルエフェドリンを風邪薬として使う場合は、主に「β2刺激薬」として使います。

気管支には交感神経のβ2受容体というのがあって、そこにメチルエフェドリンがくっつくと気管支が拡張して呼吸が楽になります。

ただ、交感神経の受容体は全身のあちこちにあるので、思わぬ副作用が出ることがあります。

あとメチルエフェドリンには中枢性の鎮咳作用もあるようですね。

臨床での使用例:気管支喘息や気管支炎、結核、風邪の咳など、咳や呼吸の症状に使います。
あと抗アレルギー作用も持っていて蕁麻疹や湿疹にも適応がありますが、これらに使ってるのは見た事がありません。

副作用と注意点:副作用としては、動悸が出やすいかと思います。
あとは手の震えが出ることもあります。どちらも薬を止めると症状も治まるはずです。
ただ、過度に使用すると不整脈からの心停止をする事もあり、注意が必要です。通常使う量ならまず問題にはならないですね。心疾患のある方は注意してください。

あと、甲状腺の機能を亢進させたり、血圧が上がったり、血糖値が上がったりすることもあります。
甲状腺機能亢進症高血圧糖尿病の方は注意してください。

薬物相互作用カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)とは併用禁忌になります。この辺は循環不全の急性期(いわゆるショック)に使うものなので、あまり通常は使われるものではありません。

併用注意もいくつかあるので載せておきます。

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤
セレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩
サフィナミドメシル酸塩
作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。
甲状腺製剤
チロキシン
リオチロニン等
作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。
キサンチン誘導体
テオフィリン
ステロイド剤
プレドニゾロン
利尿剤
アミノフィリン

血清カリウム値が低下するおそれがあります。
併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察して、用量について注意してください。

喘息を治療中の方は、これに似た系統の成分をすでに服用してる可能性があるので注意してください。飲み薬としてではなく、吸入薬の中に入っていることが多いです。

製品内含量(成人):この製品の1回分には20mg入っています。1日60mg
医療用では、1日に75~150mg使われます。
1日60mgは他の一般的な市販薬と同じ量ですね。60mgを超えるのは今のところ見た事がありません。

クロルフェニラミンマレイン酸塩

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分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
細かく言うと「ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第一世代)」となります。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。

あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
この製品に入っているのはd体とl体の両方が入ってるものですね。d体だけのものもあります。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットはありません。

効果:気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水くしゃみ痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません

この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。

抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。

臨床での使用例アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。

病院ではあまりファーストチョイスにはならないかな?第二世代が効かない場合に使うといった感じです。
それに使うにしてもd体のみの薬がメインになって、あんまりdl体は使わないと思います。

副作用と注意点抗コリン作用により眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)

出やすい副作用としては眠気口渇があります。

特に眠気には注意してください。
この製品の添付文書にも「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」と記載があります。

ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。

口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。私はですが。

薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。

バルビツール酸系薬剤等
アルコール
相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。
モノアミン酸化酵素阻害剤相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物
アトロピン硫酸塩水和物等
相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。
ドロキシドパ
ノルアドレナリン
血圧の異常上昇を来すおそれがあります。

併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。

製品内含量(成人):この製品の1回分には2.5mg入っています。1日7.5mg
医療用では1回2~6mg、1日2~4回使うので最高で1日24mg使います。
それと比較すると少なめかもしれませんが、副作用の出やすさを考えると妥当かもしれませんね。
他の市販薬も1日量は同じですね。

無水カフェイン

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※「無水カフェイン」と「カフェイン水和物」というのがありますが似たようなものなので、ここでは同じものとして扱います。

分類:薬効分類でいえば「中枢興奮・鎮痛剤」になります。「中枢性呼吸刺激薬」にもなります。「キサンチン誘導体」というものの一種でもあります。

効果:カフェインは、頭をすっきりさせたり、エネルギッシュな気分にさせたりする効果があります。それによって、心臓が活発に動いて血の流れが良くなるので、結果としてトイレに行く回数が増えることがあります。
また、カフェインは頭の中の血管を少し狭めることで、頭痛を和らげる効果もあります。
あと気管支を拡張させる作用があるので、昔はコーヒーを喘息の特効薬として使ってたみたいですね。

臨床での使用例:そもそもあんまり使われないのですが、一番使われるのは頭痛でしょうか。脳血管を収縮させるので、血管拡張型の頭痛に使います。
一応眠気や倦怠感にも適応があるのですが、それ目的で処方されたことは一度も経験ありません。
でも医療用ではなく一般的には眠気やだるさに対してが一番使われるでしょうね。
「無水カフェイン」は「早産・低出生体重児における原発性無呼吸症」に適応があります。

市販薬に入ってることが多いですが、これは眠気防止かなと思います。あとは「元気になった気にさせる」といったところでしょうか。エナジードリンクが良い例ですね。

副作用と注意点:副作用として不眠や振戦(手の震え)、動悸などがあります。
あと胃酸の分泌が増えるので消化を助けますが、空腹時に飲むと胃が荒れます。コーヒーには牛乳を入れましょう。ブラックを飲むなら食後にどうぞ。

薬物相互作用:併用注意のものがいくつかあります。禁忌ではないです。

・他のキサンチン系薬剤
アミノフィリン水和物
ジプロフィリン
テオフィリン等
・中枢神経興奮薬
エフェドリン塩酸塩
マオウ等


過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。
・MAO阻害剤
セレギリン塩酸塩
ラサギリンメシル酸塩
サフィナミドメシル酸塩

頻脈、血圧上昇等が現れることがあります。
シメチジン過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。

カフェインもキサンチン系になるので、同じ系統を摂取すると過量投与になります。喘息ある人は服用してる可能性があるので注意してください。
マオウは漢方薬に入ってることが多いです。知らずに摂ってることがあるのでこれも注意を。
MAO阻害薬はパーキンソン病に使うので、パーキンソンの方は注意してください。
シメチジンは胃薬ですね。今はあんまり使われないですが、飲んでる方は注意を。
でもどれもあまり気にしなくて良いかと思います。症状が出るようならカフェインを減量してください。

カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれているので、農林水産省のサイトにあった表を載せておきます。

農林水産省のサイトより引用

カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれていますが、その含有量は製品やブランド、調理法によって大きく異なります。ここで紹介するのはあくまで一般的な平均値または範囲であり、正確なカフェイン含有量については、各製品のラベルやメーカーの情報を参照してください。

製品内含量(成人):この製品の1回分には25mg入っています。1日75mg
医療用では、頭痛に使う場合は1回100~300mgくらいでしょうか。
1日75mgは、他の一般的な市販の風邪薬と同じ量ですね。

厚生労働省のサイトによると、「悪影響のない一日当たりの最大摂取量」の目安というのは個人差が大きく、日本でも国際的においても明確に設定はされていないようです。
例えば、
・カナダでは健康な成人だと1日400mg妊娠中の方、授乳中の方は1日300mgまで。
・イギリスでは妊娠中、授乳中の方は1日200mgまでとなっています。

厚生労働省のサイトにもカフェインの過剰摂取についての記事があるので興味のある方は目を通してみてください。(厚生労働省のサイト→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)

チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩)

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分類:「ビタミン剤」ですね。その中の「水溶性ビタミン」になります。

ビタミンには脂溶性と水溶性がありますが、水溶性は摂り過ぎた場合でもおしっこの中に出てしまうので副作用というものはほぼありません。

ビタミンB1にはいくつかありますが、「チアミン」と付いてるのは全部ビタミンB1だと思って良いかと思います。

効果糖からエネルギーを作り出すのに必要なビタミンです。
ビタミンB1が不足すると食欲不振、疲労、だるさなどの症状が出てきます。
さらに不足すると、脚気(足のむくみ、しびれ、動悸・息切れ)や、脳症などの症状が出ます。
重篤な場合は死亡する事もあるので、かなり重要なビタミンですね。

玄米ではなく精白米を食べるようになった時代に脚気が流行ったのは有名な話ですね。

臨床での使用例:医療用でももちろんあるのですが、外来ではあんまり使われるものでもないんですよね。
大体の方は通常の食事で足りてるわけで、あえてこれを処方する意味があるのかな?と思います。
処方されてる人も「なんか疲れやすくて」と先生に話したら処方された、という感じです。

ただ、TPN(中心静脈栄養)と呼ばれる高カロリーの輸液を投与する場合は必須になります。

副作用と注意点:医療用のビタミンB1である「アリナミンF」の添付文書を見ると、一応副作用として「発疹、そう痒感、悪心、胸やけ、胃痛、胃部不快感、下痢、口内炎」があるのですが…
副作用というものの注意点として「臨床試験の間に出たものすべてを記録しないといけない」というのがあります。
その薬を飲んでる間に出た症状、と言う事になりますが、薬によるものではないものも含まれてしまいます
ビタミンB1はいろんな食材にも含まれているものですし、ここに関しては心配しなくていいかと思います。

あと、先にも書きましたがビタミンB1は「水溶性ビタミン」になるので摂り過ぎても排泄されます。
基本的に、過剰摂取による過剰症というものがありません

1日10g以上のチアミン塩酸塩を2週間程度摂取し続けた場合に、頭痛やいらだち、不眠、速脈などの症状が確認されているのですが…
1日10gって相当な量ですね。まず気にしなくて良いと思います。

ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意です。

薬物相互作用:ビタミンB1にはありません。

似たものでビタミンB6というのがありますが、こちらは「レボドパ」というパーキンソン病に使う薬の効果を弱めることがあります。
パーキンソン病を治療中の方が市販薬を使う場合は、ビタミンB6が入っていないかどうかを確認してください。
通常の食事から摂取する程度では問題になりませんので、そこは安心してください。

製品内含量(成人):この製品の1回分には8mg入っています。1日24mg
医療用では1日5~100mgとなってます。
まあ、なくても良いと思いますけど…あっても邪魔にはならないですね。

アスコルビン酸(ビタミンC)

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分類:「ビタミン剤」ですね。その中の「水溶性ビタミン」になります。

ビタミンには脂溶性と水溶性がありますが、水溶性は摂り過ぎた場合でもおしっこの中に出てしまうので副作用というものはほぼありません。

効果コラーゲンの合成に関わっています。

コラーゲンとは血管とか骨とかを構成するたんぱく質ですが、これを合成するのにビタミンCが必要になります。
「じゃあコラーゲンそのものを摂取すればいいじゃない」と思いますが、コラーゲンはそのままの形では吸収されません。一度アミノ酸に分解されてから吸収されます。
そのアミノ酸は体の中でエネルギーになったりタンパク質になったりするので、飲んだコラーゲンが全部コラーゲンとして利用されるわけじゃないんですね。
「コラーゲン食べた(飲んだ)からお肌プルプル!」というのはウソなので、そういった商品は買わない方が良いですね。気分的なものです。
最近は「低分子コラーゲンだから吸収される!」と謳ってるメーカーもありますが、低分子といっても分子量1,500~1,800です。小腸は600くらいまで、大腸は300くらいまでしか吸収できないので、どちらにしてもウソですね。

ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成が低下して、骨、皮膚、血管、歯などが弱くなります
ビタミンC欠乏が数週間から数ヵ月続くと壊血病を引き起こします。
でもこれは極端に不足した場合です。1日10mg程度摂っていればいれば壊血病防止になるようですが、日本人は平均してその10倍は摂っています。

あと、メラニン色素の生成を抑制したり、抗酸化作用などもありますね。

一応「風邪の症状の持続時間を短縮される効果があった」という報告もあるようです。
ただ、予防効果については否定されていますね。

臨床での使用例:あんまり処方されてるのを見ないのですが、皮膚科では肝斑(シミ)とか炎症後の色素沈着とかで出ます。

あと、鉄分の吸収を良くするので、鉄欠乏性貧血の方に鉄剤と一緒に処方されたりしますね。

副作用と注意点:水溶性ビタミンなので基本的には過剰症というのは出にくいのですが、大量に摂取した後に急に中止すると「リバウンド壊血病」というのが出ることがあるようです。

あと、ビタミンCを過剰摂取すると血清シュウ酸値が上昇します。
このため、「ビタミンCをたくさん摂ると尿路結石(シュウ酸カルシウム)ができやすくなる」という話がありますが…これは今では否定されています。むしろ、ビタミンCがシュウ酸とカルシウムの結合を阻止していると。

ただ、長期大量投与ではシュウ酸症による腎障害などがあるようです。

どんなものでも摂り過ぎには注意しましょう。普通に摂る分には問題ありません。

ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意です。

薬物相互作用:特にありません。

製品内含量(成人):この製品の1回分には100mg入っています。1日300mg
医療用では1日50~2,000mgとなっています。
あってもなくてもどっちでも良いですね。食事が摂れている方であればまず不足する事はありませんし。

エスタックイブの主要成分の効果と注意点のまとめ

7種類の成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。

  1. イブプロフェン
    • 解熱鎮痛剤。痛みや炎症を抑え、風邪の不快感を軽減します。
    • 副作用として胃に負担がかかることがあり、アスピリン喘息の誘発などのリスクにも注意が必要です。
  2. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制して咳を抑えます。
    • 乾いた咳や下痢に対して使用されますが、痰を硬くする可能性や依存性、眠気などの副作用に注意が必要です。
  3. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
  4. クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
  5. 無水カフェイン
    • 中枢興奮・鎮痛剤として、覚醒作用を持ち、頭痛や眠気防止に効果的です。
    • 副作用には不眠や振戦、動悸があり、他のキサンチン系薬剤や中枢神経抑制剤との併用に注意が必要です。
  6. チアミン硝化物(ビタミンB1硝酸塩)
    • 水溶性ビタミンで、糖からエネルギーを作り出すのに必要です。
    • 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
  7. アスコルビン酸(ビタミンC)
    • 水溶性ビタミンで、コラーゲンの生成に関与しています。風邪への効果は疑問。
    • 摂り過ぎても尿として排泄されるため、長期・大量摂取しなければ過剰症のリスクはありません。

用法・用量と注意点

薬の服用時間や方法を象徴的に表現したイラスト。時計、カプセル、錠剤、薬の効果時間を示すグラフなどが淡い色調でデザインされており、服薬管理やタイミングの重要性を視覚的に伝える内容。

エスタックイブの用法・用量

エスタックイブ』(錠剤)
15歳以上1回3錠1日3回

エスタックイブ顆粒』(顆粒)
15歳以上1回1包1日3回

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

イブプロフェンの入ってるものは15歳未満は禁忌になっていますが、これはライ症候群を警戒してだと思います。

ライ症候群
極めてまれですが、小児がインフルエンザや水痘・帯状疱疹にかかってる間にアスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛剤を飲むと発症する事があります。
症状は、脳浮腫や頭蓋内圧の上昇によって激しい吐き気・嘔吐、けいれん、意識障害、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖などが短期間に発現して、死に至ることもあります。
特別は治療法はなく、急性期を乗り越えても後遺症が生じることが少なくありません。

イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。

国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。

15歳未満の方は解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンだけが入ってるものにしましょう。

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

食後の服用: 「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
でもあまり心配は要らないです。
食欲がなくてご飯が食べられなくても、薬が飲めるなら飲んでOKです。

眠気に注意クロルフェニラミンやジヒドロコデインで眠気が出やすい方もいるので注意してください。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
ただ、全然眠くならない方もいるので、そういう方は問題ないですね。

喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、イブプロフェンではなくてアセトアミノフェンが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。

喘息治療中の方:気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。

ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は禁忌となっています。(イブプロフェン)
(製品の添付文書には書いてないですけど)

服用期間: 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いかと思います。
ジヒドロコデインのオーバードーズの問題もあります。
この製品の添付文書にも「5日間を超えて服用しないでください」と書いてありますね。

妊娠中の方

妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の添付文書には「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)

イブプロフェンによって胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものにした方が良いかと思います。
アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)

あとジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECというオーストラリアの危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こすことがある、という事もありそうです。

妊娠してる(可能性のある)方はこの薬は避けた方が無難かと思います。
他に使える風邪薬はありますしね。

あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(と言うか、必ず受診してください)

授乳中の方

この薬の添付文書には「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」と書いてあるのですが…
こちらについては特に問題ないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この風邪薬に入ってる成分の中で一番リスクの高いもので「L3(概ね適合)」となっています。
(ジヒドロコデインとクロルフェニラミンがL3)

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは安全に使用可能となっています。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが…生後3ヵ月から使える製品も存在します。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

あと、この製品を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

エスタックイブの特徴と利点と個人的な感想

普通の総合感冒薬ですね。
何かに特化したものではないですし、特徴もありません。

強いて言えば咳止め(ジヒドロコデイン)と気管支拡張剤(メチルエフェドリン)が入っているので咳には効果的かもしれません。
ただ、この2種は他の風邪薬にもよく配合されています。

解熱鎮痛剤はイブプロフェンですが、量は少なめですね。
効果に関しては人それぞれですが、これならアセトアミノフェン900mg/日の方が使いやすいかもしれません。
アセトアミノフェンなら年齢制限もないし、妊婦さんや授乳中でも使えますしね。

なんていうか、一般的な風邪薬に入っている成分だけが入ってる、という感じですね。
総じて、特徴がない普通の風邪薬です。
特別使いにくくもないので常備薬としては良いかもしれませんね。

あと、以前書いた『ベンザブロックIP』とビタミン以外は内容が同じになっています。
(『ベンザブロックIP』はヘスペリジン)
値段は『エスタックイブ』の方が安いですね。

使用した方の口コミ・レビュー・値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

まず良い評価の方は、

「ひきはじめに飲むと 一回飲むだけで 楽になる」
「のどが痛いかなぁ〜くらいのタイミングで飲んでおくと次の日にはなんともない」
「我が家にいつも常備してる」

といった具合。

否定的な意見としては、

「効いてるかイマイチ分からない。特に鼻づまりが。」
「粒が大きい。喉が痛くて腫れてたから余計に飲み込みづらかった。」
「あまり効かなかった」

といった感じ。

「常備薬として」と書いてる方が多かったですね。内容的には丁度良いのかも。

効果に関しては肯定的な意見がかなり多かったですね。
特に「のどの痛み」について。
これが効くなら他の風邪薬でも効くかと思います。

飲みやすさについては「小さくて飲みやすい」「大きくて飲みにくい」の両方がありました。
このへんはひとそれぞれの感覚なので何とも言えないかな?

値段に関しては、Yahooショッピング(送料含まず)で見ると、
30錠ので900~1,000円くらい。1日270~300円くらい。
60錠ので1,400~1,700円くらい。1日200~250円くらい。

総合感冒薬の中では安い方に入るでしょうか。

まとめ

明るく穏やかな風景を描いたイラスト。柔らかな日差しが広がる空には白い雲と飛び交う鳥たち、そして温かみのある色合いで描かれた川や木々、草花が春の訪れを感じさせる。画面の下部には手を広げて自然を満喫する人のシルエットが描かれており、心地よい外出を楽しむ様子が伝わる。

この記事では『エスタックイブ』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。

どんな風邪薬にも入っている成分だけが入ってる風邪薬ですね。
特徴らしき特徴はありません。

逆に言うと、何かに特化しているわけではないので常備薬には適していると思います。

イブプロフェンやジヒドロコデインが入っていて子どもや妊婦さんには使いにくいので「誰でも使える」というものではありませんが、そうでない人の常備薬としては悪くないと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページを参照してください。

製品の公式ホームページはこちら:https://www.ssp.co.jp/product/all/ste-t/

皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。

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