
『新コンタック総合かぜ薬トリプルショット』はACE処方というのが売りみたいです。
ACE処方とは、
・アセトアミノフェン(A)
・カフェイン(C)
・エテンザミド(E)
を組み合わせたものです。
トリプルショットという名前もここからきてるのかな?名前長すぎませんか?
この組み合わせは解熱鎮痛剤ではよく見ますね。風邪薬では珍しいかもしれません。
あとこの製品は7歳から使えます。お子さんのいる家庭でも使えますね。
…が、残念ながらこの「ACE処方」も「7歳から使える」というのも、メリットにはなっていない、と感じます。
「この薬が好き!これしか買わない!」という人以外は、この薬が買うに値するのかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。
基本情報
・製造販売元:テイカ製薬
(発売元はグラクソ・スミスクライン)
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 500mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
エテンザミド | 400mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 40mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 500mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
エテンザミド | 400mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 40mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
- カプセル剤:36カプセル、48カプセル
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『新コンタック総合かぜ薬トリプルショット』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- アセトアミノフェン
- 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
- エテンザミド
- 痛みや炎症を抑えます。アスピリンと似たような成分。
- 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
- 単独で使われることはなく、他の解熱鎮痛剤と一緒に使います。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2カプセル | 3回 |
7~14歳 | 1カプセル | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
胃に負担がかかることがあるので一応食後の方が良いかと思いますが、そこまで心配しなくても大丈夫です。
7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
単純に量の問題だと思います。
また、15歳未満についてですが、
「水痘(水ぼうそう)若しくはインフルエンザにかかっている又はその疑いのある乳・幼・小児(15歳未満)」は
「医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
となっています。
通常、エテンザミドのようなNSAIDsは15歳未満の水ぼうそう・インフルエンザには使用しません。
ごく稀ですが、ライ症候群を発症する危険性があります。
エテンザミドはアスピリンと同じサリチル酸系になります。
禁忌ではないのですが、一応注意してください。
基本的に、こどもでも大人でも、解熱剤としてはアセトアミノフェンのみが入っている薬を使用した方が良いかと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息:エテンザミドによって喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- 喘息治療中の方:気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
5つの成分の中で問題になるかもしれないのがエテンザミドですね。
この薬自体にはデータがないのですが、
・同じ系統の薬で胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告があり、
・サリチル酸系製剤(アスピリン等)には動物実験で催奇形作用が報告されているものがあります。
低用量では問題はなさそうですが、その「低用量」の基準も不明です。
メチルエフェドリンは催奇形性の報告はありませんが、胎児が頻脈を起こす可能性があります。
妊娠中の方はあえてこの製品を使う必要はないと考えます。
他に使える薬はありますしね。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
こちらに関しては特に問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- クロルフェニラミン
が「L3(概ね適合)」となっています。
エテンザミドにはデータがないのですが、同じサリチル酸系のアスピリンはL2(概ね適合)で「児への有害報告なし」となっています。
メチルエフェドリンもデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えるとあまり心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の売りは「ACE処方」ということらしいですが、これは主に解熱鎮痛剤として販売されているものに多いですね。風邪薬では珍しいかもしれません。
アセトアミノフェンは確かに安全性は高いですが、それだけだと痛みが治まらない人もいるでしょう。
エテンザミドがそれを補ってるわけですね。
エテンザミドはアスピリンと似ていますが、アスピリンよりは胃への負担も少なくなっています。
製品のパッケージにも「胃にやさしい」と書いてますね。アセトアミノフェン単独の薬よりは胃に負担がかかるとは思いますが。
ただ、アセトアミノフェン、エテンザミドともに成分量が多いわけではありません。
この製品の1回分には、
・アセトアミノフェン:167mg
・エテンザミド:133mg
配合されていますが、解熱鎮痛剤として販売されているものだと1回分が、
・アセトアミノフェン:300mg
・エテンザミド:500mg
のものもあります。
というか、解熱鎮痛剤ではこの製品と同じくらいの成分量の製品はありません。すべての製品がもっと多く入っています。
7歳~14歳の用量をまとめて成人の半分にしてしまっているので、成分量を少なくせざるを得なかったのでしょうね。
例えば「7~10歳」「11~14歳」「15歳以上」と分けて用量設定をすればまだ良かったのですが。
大人が使う場合、解熱・鎮痛の効果は弱いと思って良いでしょう。
鼻水に効く成分については他の風邪薬と同等の成分量です。
ちなみに、鼻づまりには効果はないと思います。
咳についてはメチルエフェドリンのみ。これはどちらかと言うと気管支拡張剤ですけど。
他の風邪薬と比べると成分量は少なめです。この製品は1日40mgですが、他は大体1日60mg入ってます。
ACE処方ということを強調していますが、内容は大したものではありません。
「こどもでも使える」という事以外は、この薬を選ぶメリットはないかな、と思います。
逆に、「こどもでも使える」ようにしたことで全てが中途半端になってますね。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
なんていうか…他の風邪薬と比べるとレビューが薄いというか、あっさりしてます。
あんまり人気ないのかな?
「子供でも飲めるのが良い」という意見がチラホラ。
最近の風邪薬は15歳以上しか使えないのも多いですからね。イブプロフェンのせいですけど。
7歳から使えるというのは意外と少ないです。
効果に関する評価は「まあまあ」といった感じでしょうか。
結局のところ、自分の症状に合ってるかどうかですね。
否定的な意見の2番目の人は、痰がひどい咳があるのにこの風邪薬を買ったみたいなので選択を間違えてます。
問題は、この製品の効能の一つに「たん(痰)」と書いてあることですね。でも去痰薬は入っていません。
「メチルエフェドリンが咳を抑え痰の排出を助けます」的な事が書かれていますが、メチルエフェドリンにそういった効果はあまり期待しない方が良いでしょうね。
自分がどういう症状なのかをハッキリさせて、それに合った成分が入っているか、成分量はどうなのかを自分でも分かるようにしておいた方が良いでしょう。
パッケージに書かれている事が本当に正しいかどうか、自分で判断できるように。
お店の人が勧めるのは患者さんの症状に合った薬ではなくて、お店側が売りたい商品です。
値段について
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
36カプセル | 1,200~1,500円 | 200~250円 |
48カプセル | 1,640円 2,980円 | 205円 373円 |
※1日分のは、1日6カプセルで計算
※2025年1月時点です。
こんな感じでした。なぜか48カプセルの方は2件しかありませんでした。
36カプセルのも少なめ。あまり人気ないのかな?
1日200円くらいであれば、風邪薬としては高くはないですね。普通かな?
といっても、この成分量で見ると割高かと思います。もっと成分量が多くて安いのはありますしね。
この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『新コンタック総合かぜ薬トリプルショット』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴としては、
- 名前が長い(市販の風邪薬としてはたぶん最長)
- ACE処方(風邪薬では珍しい)
- 7歳から使える
といったところでしょうか。
ACE処方は解熱鎮痛剤として販売されているものに多いですが、風邪薬では珍しいかもしれません。
アセトアミノフェン・エテンザミド・カフェインの3つが入っていれば名乗れるみたいですが、成分量は関係ないようですね。
この薬に入っている量はかなり少なめです。
7歳から使えるのは良いのですが、おかげで全部中途半端です。
他の製品ではこどもから大人まで使えて、もっとバランスの良いものがあります。
最終的には「自分に合っているかどうか」になりますが、あえてこの薬を使うメリットはないでしょう。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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