風邪の季節になると、多くの方が手に取るのが「パブロン」シリーズです。
「早めのパブロン♪」でおなじみ。
市販薬の中でも特に人気の高いこのシリーズは、その効果の幅広さと信頼性で知られています。
今回は、その中でも特に注目されている「パブロンSゴールドW」に焦点を当て、どういう症状に対してどのように効果を発揮するのか、薬剤師の視点から詳しく解説します。
市販薬を選ぶ際の一助となるよう、この記事では成分や効能、適切な使用法まで、重要な情報を網羅していきたいと思います。
パブロンSゴールドWの基本情報
・製造会社:大正製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
アンブロキソール塩酸塩 | 45mg | 痰を出しやすくする |
カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水やくしゃみを抑える |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg | ビタミンの補給 |
・包装
- 錠剤:30錠、42錠、60錠(瓶包装)
- 微粒:12包、24包
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それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が6種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
アンブロキソール塩酸塩
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・分類:いわゆる「去痰薬」の中の「気道潤滑薬」です。
・効果:気道や肺表面の活性物質の分泌を促進したり、線毛(粘膜の表面にある毛みたいな細胞。異物を喉の方に運ぶ)の動きを良くして痰を出しやすくすることで、咳を抑えたり呼吸を楽にします。
・臨床での使用例:痰が絡む咳とか、慢性の気管支炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)によく使われます。
あと、痰だけではなくて、副鼻腔炎にも膿を出すのに使われます。
・副作用と注意点:副作用は胃部不快感くらいでしょうか。これはどの薬でも有り得るので仕方ないですね。
ただ、副作用が出た人は私はあまり見た事がありません。薬疹が出る方がたまにいますが。
小児から高齢者まで使いやすい薬だと思います。
でもこの成分に対してアレルギーがある方はもちろん避けてください。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には15mg入っています。1日45mg。
これは病院で処方されるときと同じ量になりますね。量としては十分だと思います。
カルボシステイン
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・分類:これも「去痰薬」になります。その中の「気道粘液修復薬」になります。
・効果:痰そのものをサラサラにしたり、粘膜を正常化して線毛の運動を改善することで痰を出しやすくします。
水道管を流れるヘドロに例えると、アンブロキソールは水道管の中をコーティングして滑りやすくして、カルボシステインはヘドロを水っぽくして流しやすくする、という感じでしょうか。
・臨床での使用例:アンブロキソールと同じく、痰が絡む咳とか、慢性の気管支炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)によく使われます。
あとこちらも副鼻腔炎によく使われますね。小児だと滲出性中耳炎の排膿にも使われます。
排痰・排膿だと真っ先に使われる薬ですね。
・副作用と注意点:カルボシステインは一般的に非常に安全性が高いと考えられています。実際私の経験としても、何千人もの患者さんにこの薬を渡していますが、副作用が報告された例はほとんどありませんでした。ただし、ごく稀に薬疹が出る方もいますので、使用に際しては注意が必要です。特に、過去に風邪薬で副作用を経験したことがある方は、使用前に医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には250mg入っています。1日750mg。
医療用としては1日750~1,500mg使います。アンブロキソールも入っているので量としてはまぁ十分かなと思います。
ジヒドロコデインリン酸塩
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・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
あとは消化管の動きを抑制する効果もあります。
・臨床での使用例:基本的には強い咳に対して使います。できれば痰の絡んでない乾いた咳の時がいいです。
あと消化管の動きを抑制するので下痢止めとしても使いますね。
ただ、どちらの使い方でもあまり長期間は使いません。頓服という感じで症状が強い時だけ使います。
・副作用と注意点:この成分は効果的な鎮咳薬ですが、使用には慎重さが求められます。
特に、以下の副作用や注意点に留意する必要があります。
まず、痰が絡んだ咳に対しては使いにくいです。痰を硬くするので余計に痰が出しにくくなる可能性があります。
副作用としては、便秘、麻痺性イレウス(腸閉塞)、悪心・嘔吐、排尿障害、依存性、眠気、呼吸抑制、気管支痙攣などがあります。この中でも便秘(下痢止めとしても使うので)、眠気、悪心・嘔吐は出やすいです。
あと、以前から問題になっている「オーバードーズ(過剰摂取)」の大半はこのコデインのようです。
市販で買えるとは言え麻薬の一種には変わりありません。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。
・薬物相互作用:他の薬と一緒に飲むことで副作用が出やすくなる事があるので、普段飲んでる薬がある方は薬局で相談してみてください。
下に相互作用の表を載せておきます。
モノアミン酸化酵素阻害剤 三環系抗うつ剤 β-遮断剤 アルコール | フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
抗コリン作動性薬剤 | 麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には8mg入っています。1日24mg。
病院では1回10mg、1日3回まで使います。
パブロンSゴールドWに含まれる量は一般的に使用される量と比較して適切であり、安全で効果的な範囲内であると考えて良いかと思います。
アセトアミノフェン
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・分類:いわゆる「解熱鎮痛剤」ですね。ただ、「解熱鎮痛剤」はたくさんあるのですが、このアセトアミノフェンは少し独特です。代表的な解熱鎮痛剤で「ロキソニン」というのがありますが、あの種類ともまた少し違います。
・効果:解熱鎮痛剤としてはかなり古い歴史があるのですが、いまだに作用機序は明らかになっていません。
医薬品の添付文書にはこう書いてあります。
「中枢神経系に作用し、プロスタグランジン合成、カンナビノイド受容体系又はセロトニン作動系などに影響を及ぼすと考えられている」
なんのこっちゃですが…
一般的な鎮痛剤(NSAIDsといいます)は末梢において効果を発揮しますが、このアセトアミノフェンは中枢で働く、と考えられています。
中枢(脳や脊髄)において痛みを感じにくくしたり熱を下げたりしますが、平熱より下がる事はありません。
あと、NSAIDsと違い抗炎症作用はほぼありません。
・臨床での使用例:小児から高齢者まで、あらゆる痛み・解熱に使っています。
作用機序が分からないのにもかかわらず、使われてる歴史が長く、その安全性・危険性はほぼ分かってて使いやすいからでしょうね。
「痛みや熱があったらまずはこれ。ダメなら違う薬」という感じです。
誰しも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
・副作用と注意点:安全性は高いとされていますが、副作用が全くないというわけではありません。
一番問題になるのは肝障害です。一番というか、ほぼこれです。
市販薬でも病院から出た場合でも、決められた用量を守っていれば安全性は高いです。
ただ、この成分はいろいろな市販薬に入っているので、自分でも気が付かないうちに過剰摂取してる、という事があります。
アルコールの摂取でも肝障害のリスクが高まります。
あと、アスピリン喘息に対してはNSAIDsよりは安全性が高いとされていますが高用量では喘息発作が誘発される可能性があります。喘息を持っている方は低用量から少しずつ増やす、という方法を取った方が良いかと思います。
NSAIDsと比べると胃への負担は軽めです。病院でも胃薬なしで処方されることが多いですね。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
炭酸リチウム | 他の鎮痛剤(インドメタシン、イブプロフェン等)で、 リチウムとの併用によりリチウムの血中濃度が上昇し、 リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
チアジド系利尿剤 | 他の鎮痛剤(インドメタシン等)で、 チアジド系利尿剤の作用を減弱することが報告されています。 |
アルコール | アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ 肝不全を起こしたとの報告があります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド | これらの薬剤の長期連用者は、肝薬物代謝酵素が誘導され、 肝障害を生じやすくなるとの報告があります。 |
特にアルコールに関しては、常飲者が多量のアセトアミノフェンを服用して急性肝不全で死亡した例があります。
通常の用量では問題にはならないと思いますが注意してください。
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には300mg入っています。1日900mg。
安全性は高いと思いますが大人にはちょっと少なめかもしれないですね。微熱であれば下がると思います。
病院では短期間であれば1回500~600mgほどで使うことが多いですね。
(最高では1日4,000mg使うことがありますが、1日1,500mgを長期で使う場合は定期的に肝機能検査をする必要があります)
クロルフェニラミンマレイン酸塩
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・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
細かく言うと「ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第一世代)」となります。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。
あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
この製品に入っているのはd体とl体の両方が入ってるものですね。d体だけのものもあります。少しマニアックな話。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットありません。
・効果:気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水やくしゃみ、痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません。
(製品の説明書には「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりの症状をおさえます」と書いてますけど)
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
「抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。これにより、リラックスしたり眠くなったりする効果もあるため、使用時にはこれらの点に注意が必要です。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
病院ではあまりファーストチョイスにはならないかな?第二世代が効かない場合に使うといった感じです。
それに使うにしてもd体のみの薬がメインになって、あんまりdℓ体は使わないと思います。
・副作用と注意点:この成分は注意点が多いです。
抗コリン作用というものにより眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。私はですが。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
バルビツール酸系薬剤等 アルコール | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物 アトロピン硫酸塩水和物等 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
ドロキシドパ ノルアドレナリン | 血圧の異常上昇を来すおそれがあります。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には2.5mg入っています。1日7.5mg。
病院では1回2~6mg、1日2~4回使うので最高で1日24mg使います。
それと比較すると少なめかもしれませんが、副作用の出やすさを考えると妥当かもしれませんね。
リボフラビン(ビタミンB2)
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・分類:そのまんま「ビタミン剤」ですね。その中でも「水溶性ビタミン」となります。
ビタミンには脂溶性と水溶性がありますが、水溶性は摂り過ぎた場合でもおしっこの中に出てしまうので副作用というものはほぼありません。
ちなみに、栄養剤などのビタミン剤を飲んでおしっこが黄色くなるのはこれのせいです。
・効果:糖やたんぱく質、脂質の代謝(体の中の化学反応により物質が変化する事)、エネルギー産生の補酵素として働きます。
皮膚や爪、髪の毛の細胞の産生にも関わっています。
不足すると口唇炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などを起こします。
・臨床での使用例:上に書いてますが、不足すると出てくる症状(口唇炎、口角炎、舌炎、皮膚炎、結膜炎、角膜炎)があればとりあえず使っておく、という感じです。飲みすぎても悪いものではないですし。
あと脂質の代謝にも関わっているということで、高コレステロール血症にも適応はありますが、こちらではほぼ使われません。
昔はよく「風邪をひいたらビタミン剤の点滴」をしていたようですが、今はダメみたいですね。
値段は高いものではないですが、風邪ひいた人がみんなそれをやっていたら医療費がバカにならないですしね。
・副作用と注意点:一応、副作用として「下痢、悪心・嘔吐、胃膨満、腹部膨満」があるのですが…
副作用というものの注意点として「臨床試験の間に出たものすべてを記録しないといけない」というのがあります。
その薬を飲んでる間に出た症状、と言う事になりますが、薬によるものではないものも含まれてしまいます。
ビタミンB2はいろんな食材にも含まれているものですし、ここに関しては心配しなくていいかと思います。
あと、先にも書きましたがビタミンB2は「水溶性ビタミン」になるので摂り過ぎても排泄されます。
過剰摂取による過剰症というものがありません。
ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意です。
・薬物相互作用:ビタミンB2にはありません。
・製品内含量(成人):パブロンSゴールドWの1回分には4mg入っています。1日12mg。
病院で口角炎や皮膚炎に使う場合は1日5~20mgでしょうか。
まあこんなもんかな?という感じですね。別になくてもいいけど、とは思いますけど。
パブロンSゴールドWの主要成分の効果と注意点のまとめ
6つの成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- アンブロキソール塩酸塩
- 去痰薬の中の気道潤滑薬で、気道の滑りを良くし痰を出しやすくします。
- 慢性気管支炎やCOPDなどで使用され、副作用は少なく幅広い年齢層に使いやすい成分です。
- カルボシステイン
- 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
- 痰が絡む咳や慢性気管支炎などに使用され、副作用は非常に少ないですが、稀に薬疹が出ることがあります。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制して咳を抑えます。
- 乾いた咳や下痢に対して使用されますが、痰を硬くする可能性や依存性、眠気などの副作用に注意が必要です。
- アセトアミノフェン
- 解熱鎮痛剤で、痛みや熱を中枢神経系で抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあり、特にアルコールとの併用には注意が必要です。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- リボフラビン(ビタミンB2)
- 水溶性ビタミンで、体内の代謝やエネルギー産生に関与します。
- 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがありますが、摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
用法・用量と注意点
パブロンSゴールドWの用法・用量
- 錠剤: 15歳以上の方は、1回2錠・1日3回
12~14歳の方は、1回1錠・1日3回 - 顆粒: 15歳以上の方は、1回1包・1日3回
12~14歳の方は、1回1/2包・1日3回
15歳以上の方でも眠気などが出る方はもちろん1回1錠で大丈夫です。
逆に14歳とかでも体重が50㎏くらいあれば1回2錠でも良いかと思います。
「食後なるべく30分以内に」とは書いてありますが、特別問題になるものは入ってないので食後でなくてもOKです。
ただ、間隔は4~5時間ほど空けた方が良いかと思います。
注意してほしいこと
年齢制限があり、12歳未満の方は服用しないこと、となっています。
12歳未満がダメなのは咳止めのジヒドロコデインが入っているからですね。
これが無ければ12歳未満でも使えたのに。
風邪薬全般に言えることですが、風邪薬というのは風邪を治すものではありません。
あくまで症状を少し緩和する、という程度のものです。
ただの風邪なら3~4日もすれば良くなってくると思いますが、良くならないのであれば肺炎などを起こしてる可能性もあるので受診した方が良いです。
妊娠中の方
妊娠している方については、気になるのはやっぱりジヒドロコデインなのですが、医薬品の添付文書にはこう記載されています。
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。類似化合物(コデイン)の動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。
分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。
分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれるとの報告がある。」
薬全般に言えることですが、妊娠中にその薬を飲んで胎児にどんな影響があるかを実験するわけにはいかないので、データそのものが少ないんです。
添付文書に書いてある感じでは「できれば飲まない方が良いよ」という事なのですが…それは別に妊娠しててもしてなくても同じです。
豪州ADECというオーストラリアの危険度分類があるのですが、それによればジヒドロコデインの分類はAとなり、
「多くの妊婦と妊娠可能年齢の女性によって服用されており、それによって先天奇形の発症率の上昇や、間接・直接の胎児に対する有害作用が確認されていない」
ということで、今までの使用経験上では大丈夫だったよ、ということになります。
ただ、違う基準(Briggs基準)によると「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
あと授乳中の方ですが、この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください」
と、赤字で書いてあります。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは安全に使用可能となっています。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
あと、この薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
パブロンSゴールドWの特徴と利点と個人的な感想
いわゆる「総合感冒薬」ですね。
発熱、頭痛、のどの痛み、咳、痰、鼻水などいろいろな症状に効果があるかと思います。
特徴としては去痰剤がアンブロキソールとカルボシステインの2種類が入っている事でしょうか。
他の総合感冒薬をざ~っと見た感じ、この2種類の両方が入ってるのはあまりないですね。
入っていても大抵は1種類です。
病院ではこの2種類を併用することは多いです。というか、痰が絡んでる患者さんにはほぼマストです。
作用機序の違うものを併用するとより効果が高まりますしね。
痰が絡んだ咳が出る方には良い選択かなと思います。
使用した方の口コミ・レビュー
@cosmeというサイトの口コミです。
といった具合で、効果を感じてる方が多い印象です。
ただ、眠気を感じる方も多いようです。
否定的な意見としては、
といった感じ。ただ、意外と「全然効かない!」といったのは無かったですね。
あと「常備薬にしとくか」みたいな声が多かったです。
具合悪くなってから買いに行くのもしんどいですもんね。
個人的には正直「この成分量でそんなに効果あるかな?」といった感じです。
公式ホームページでは「臨床試験で98.4%が軽度改善以上」となっています。
のどの痛み、くしゃみ、頭痛に特に効果があったようですね。
これの売りは「去痰剤が2種類入ってる」という事なのに…。
まとめ
この記事では『パブロンSゴールドW』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
特に、この製品は去痰剤としてアンブロキソールとカルボシステインの両方が含まれている点が特徴的です。
コデインやデキストロメトルファンなどの咳止めが入っているものは確かに咳は止まるかもしれませんが、痰を硬くするという作用があります。
痰が原因で咳が出る、という人には逆効果になることがあるんですね。
ただ「咳が出る」からといって咳止め入りのを買うのではなくて、「この風邪薬はどういう咳に効くのか」を確かめてから買うと良いかと思います。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
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