風邪の季節、それは「ルル」の季節ですね。
おなじみの「熱・鼻・喉に、ルルが効く♪」のフレーズ、耳にしたことがある人も多いはず。
お菓子で「たけのこの里」と「きのこの山」があるように、
風邪薬の世界には「パブロン派」と「ルル派」があるかもしれません。
どちらも熱烈なファンを持っています。たぶん。
そして今回ご紹介するのは、ルルシリーズの中でも特に力を入れている「新ルルAゴールドDXα」。
名前からして、なにやらゴールデンでデラックスな存在感がありますね。
「新ルルAゴールドDXα」は、その成分の多さと症状に対する幅広い効果で知られています。
この記事では薬剤師の視点から、その複雑な成分を一つ一つ丁寧に解説していきたいと思います。
新ルルAゴールドDXαの基本情報
・製造会社:第一三共ヘルスケア
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.3mg | 鼻水を抑える |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 12mg | 痰を出しやすくする |
トラネキサム酸 | 420mg | 喉の腫れや痛みを抑える |
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
デキストロメトルファン | 48mg | 咳中枢に働き、咳を鎮める |
無水カフェイン | 60mg | 頭痛を和らげる |
・包装
30錠、45錠、60錠、90錠
(瓶包装)
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それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が8種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
クレマスチンフマル酸塩
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・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
細かく言うと「ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第一世代)」となります。
・効果:気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水やくしゃみ、痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます(これが抗ヒスタミン作用)。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません。
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
「抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。これにより、リラックスしたり眠くなったりする効果もあるため、使用時にはこれらの点に注意が必要です。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
ただ、この成分は今はあんまり使われないかもしれません。もちろん医師の好みもあるのですが…。
この「抗ヒスタミン薬」というのは効き方にとても個人差があるので、いろいろと選択肢があるのは良い事なんですけどね。
・副作用と注意点:この成分は注意点が多いです。
抗コリン作用というものにより眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
もう一つ、他の抗ヒスタミンにはあまりないのですが、この成分に関しては狭窄性消化性潰瘍又は幽門十二指腸閉塞のある方には禁忌となっています。「抗コリン作用によって胃や十二指腸の動きが抑えられて症状が悪化する」というのが理由なのですが、この製品に入ってる量ではそこまで問題にはならないと思います。
この製品の添付文書では「胃・十二指腸潰瘍のある方は医師または薬剤師に相談して」という書き方になっていますので、心配であれば薬局の人に相談してみてください。
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
・中枢神経抑制剤 鎮静剤 催眠剤等 ・アルコール | 中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量するなどしてください。 |
・抗コリン剤 アトロピン等 ・MAO阻害剤 | 抗コリン作用が増強されることがあるので、減量するなどしてください。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には約0.447mg入っています。1日1.34mg。
医療用では1回1mg、1日2回となっています。1日2mg。
副作用のことを考えると、この製品に入ってる量は決して少ない量ではないと思います。
一般的に使われる範囲内の量なので安全性も問題ないですね。
ベラドンナ総アルカロイド
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・分類:「抗コリン薬」の分類になります。
ベラドンナという植物の根から抽出されたいろいろな有機化合物(アルカロイド)をまとめて「ベラドンナ総アルカロイド」と呼びます。
医療用では「ロートエキス」とか「アトロピン」というものがありますが…これは鼻水に使う事はなくて、下痢止めとして使う事の方が多いですね(適応は「痙攣性便秘」となっててややこしいですが、腸の働きを抑えるので下痢止めになります)。
ちなみに、「ベラドンナ」とはイタリア語で「美しい女性(bella donna)」という意味だそうですね。
「抗コリン薬」は「抗コリン作用」を持つ薬のことですが、「抗コリン作用」とは上の「クレマスチンフマル酸塩」でも書いてる通り、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。
ただ、この副作用を逆手にとって、薬としてもよく使われます。
薬とはすなわち毒です。使い方次第でどちらにもなり得ます。
・効果:抗コリン作用、つまり副交感神経の働きを抑えることで、いろいろな効果を示します。
唾液の分泌や鼻水を抑えたり、胃や腸の動きを抑えたり、心拍数を上げたり、膀胱を緩めたりなど。
あとはパーキンソンにも使いますね。
・臨床での使用例:抗コリン薬はいろいろな薬があるのですが、このベラドンナ総アルカロイドは医療用としては「ロートエキス」「アトロピン」くらいだと思います。
ロートエキスの適応は「胃酸過多、胃炎、消化性潰瘍、痙攣性便秘」となっていますが、実際には下痢止めくらいにしか使われません。
アトロピンはそれ以外にも「胆管・尿管の疝痛、徐脈・房室伝導障害、夜尿症」など。
この製品の場合では鼻水を抑える目的で配合されてますね。
・副作用と注意点:やっぱり問題になるのは「抗コリン作用」です。しつこいですけど。
作用と副作用は相反するものでもなくて、作用が強く表れると副作用となる事もあります。
まず、閉塞隅角緑内障、前立腺肥大、重篤な心疾患、麻痺性イレウスがある方には禁忌となっていますが、この製品に入ってる量はかなり少なめなので「医師・薬剤師に相談」となってますね。この製品の量だと問題になる事はないと思いますが注意をお願いします。
出やすい副作用としては、口の渇き、便秘などでしょうか。
・薬物相互作用:併用注意があります。禁忌はありません。
・三環系抗うつ剤 アミトリプチリン イミプラミン 等 ・フェノチアジン系薬剤 プロクロルペラジン クロルプロマジン 等 ・MAO阻害剤 ・抗ヒスタミン剤 クロルフェニラミン ジフェンヒドラミン ・イソニアジド | 本剤の作用が増強されることがあるので、併用する場合は減量するなどしてください。 |
・強心配糖体製剤 ジゴキシン等 | 強心配糖体製剤の毒性を増強するおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には0.1mg入っています。1日0.3mg。
市販薬の最大用量が1日0.6mgですが、それの半分ですね。補助的な位置づけでしょうか。
ブロムヘキシン塩酸塩
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・分類:「去痰薬」の中の「気道粘液溶解薬」になります。
・効果:気道の粘膜からサラサラな粘液の分泌を増やしたり、痰の中に含まれる成分を溶かして痰そのものをサラサラにする、他には気道の線毛というものの動きを良くして痰を出しやすくする作用があります。
一時的に痰の量が増えることがあります。
「去痰薬」全般に言えることですが、痰の量そのものを減らす薬というのはありません。あくまで痰を切れを良くして出しやすくする薬ですね。
・臨床での使用例:錠剤以外にも注射や吸入があるので、幅広い病態に使えますね。
気管支炎や結核、塵肺症、手術後の去痰など、内服が困難な人にも使えます。
・副作用と注意点:悪心、胃部不快感、頭痛などが出ることがあります。
あと作用上仕方ないのですが、上にも書いた通り最初は痰の量が増えることがあります。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には4mg入っています。1日12mg。
医療用のと同じ量を使うようですね。
他の風邪薬もそうですが、去痰薬に関しては医療用と同じ量が入ってるのが多いですね。
副作用があまり無く、使いやすいからかな?
トラネキサム酸
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・分類:「抗プラスミン薬」というものになります。
・効果:この薬は「プラスミン」というものの働きを抑えることで作用を発揮しますが、主に2つの効果を示します。
止血作用:体内でプラスミンという物質が活発になりすぎると、血液が固まりにくくなってしまい出血しやすくなります。このプラスミンが血液の固まり(フィブリン)を分解してしまうのを、トラネキサム酸が防ぐことで出血を止めます。
抗アレルギー・抗炎症作用:トラネキサム酸にはアレルギーや炎症を抑える効果もあります。プラスミンは、体の防御反応として炎症やアレルギーを引き起こすキニンという物質を増やす役割がありますが、トラネキサム酸はプラスミンの働きを抑えることで、これらの炎症やアレルギー反応を和らげることができます。
風邪薬として使う場合は、後者の抗炎症作用を期待してるわけですね。
・臨床での使用例:止血、抗炎症の両方でよく使われますね。
特に風邪の時季は喉の痛みでたくさん処方されます。喉が痛かったらこの薬、という感じ。
以前は喉の痛みには違う薬も使われていたのですが、それらは「利益より不利益の方が高い」という事で販売中止になってしまいました。
このトラネキサム酸はちゃんと効果があるって事で残ってますね。
・副作用と注意点:副作用についてはあまり聞いた事がありません。
一応、吐き気や下痢などがあるようですが、1%未満となっています。
あと、腎機能が悪い方は少し量を減らす必要があります。
・薬物相互作用:トロンビンという止血剤とは併用禁忌になっています。
これを使ってる人が市販の風邪薬を買いに来ることはまずないと思いますが。
併用注意がいくつかあるので載せておきます。
・ヘモコアグラーゼ | 大量併用により血栓形成傾向があらわれるおそれがあります。 |
・バトロキソビン | 血栓・塞栓症を起こすおそれがあります。 |
・凝固因子製剤 エプタコグアルファ等 | 口腔等、線溶系活性が強い部位では凝固系がより亢進するおそれがあります。 |
血栓ができやすくなる、という事ですね。このへんはあまり一般的ではないですが、とにかく他に止血剤や血をサラサラにする薬を飲んでる人は一応相談してみてください。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には140mg入っています。1日420mg。
医療用では、大体1日に750~1,500mg使う事が多いです。最大で1日2,000mg。
ん~…ハッキリ言ってしまえば、ちょっと物足りないかな?というところ。
ただ、アセトアミノフェンも一緒に入っているので「日常的な風邪の症状に」という事であれば問題ないかな?
腎機能が悪い人は1日500mgまでという事もあるし、それを考えると「誰でも使える量」とも言えますね。
アセトアミノフェン
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・分類:「解熱鎮痛剤」ですね。たぶん一番使われている解熱鎮痛剤だと思います。
・効果:解熱鎮痛剤としてはかなり古い歴史があるのですが、いまだに作用機序は明らかになっていません。
一般的な鎮痛剤(NSAIDsといいます)は末梢において効果を発揮しますが、このアセトアミノフェンは中枢で働く、と考えられています。
中枢(脳や脊髄)において痛みを感じにくくしたり熱を下げたりしますが、平熱より下がる事はありません。
あと、一般的な解熱鎮痛剤(NSAIDsと言います)と違い抗炎症作用はほぼありません。
・臨床での使用例:小児から高齢者まで、あらゆる痛み・解熱に使っています。
作用機序が分からないのにもかかわらず、使われてる歴史が長く、その安全性・危険性はほぼ分かってて使いやすいからでしょうね。
「痛みや熱があったらまずはこれ。ダメなら違う薬」という感じです。
誰しも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
・副作用と注意点:安全性は高いとされていますが、副作用が全くないというわけではありません。
一番問題になるのは肝障害です。一番というか、ほぼこれです。
市販薬でも病院から出た場合でも、決められた用量を守っていれば安全性は高いです。
ただ、この成分はいろいろな市販薬に入っているので、自分でも気が付かないうちに過剰摂取してる、という事があります。
アルコールの摂取でも肝障害のリスクが高まります。
あと、アスピリン喘息に対してはNSAIDsよりは安全性が高いとされていますが高用量では喘息発作が誘発される可能性があります。喘息を持っている方は低用量から少しずつ増やす、という方法を取った方が良いかと思います。
NSAIDsと比べると胃への負担は軽めです。病院でも胃薬なしで処方されることが多いですね。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
炭酸リチウム | 他の鎮痛剤(インドメタシン、イブプロフェン等)で、 リチウムとの併用によりリチウムの血中濃度が上昇し、 リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
チアジド系利尿剤 | 他の鎮痛剤(インドメタシン等)で、 チアジド系利尿剤の作用を減弱することが報告されています。 |
アルコール | アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ 肝不全を起こしたとの報告があります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド | これらの薬剤の長期連用者は、肝薬物代謝酵素が誘導され、 肝障害を生じやすくなるとの報告があります。 |
特にアルコールに関しては、常飲者が多量のアセトアミノフェンを服用して急性肝不全で死亡した例があります。
通常の用量では問題にはならないと思いますが注意してください。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には300mg入っています。1日900mg。
医療用では、大体1日に900~1,500mg使う事が多いので、同じくらいですね。
高熱には少し足りないかもしれませんが、そういう人は市販の風邪薬ではなくてちゃんと受診してくださいね。
(最高では1日4,000mg使うことがありますが、1日1,500mgを長期で使う場合は定期的に肝機能検査をする必要があります)
dl-メチルエフェドリン塩酸塩
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・分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経に働くものです。
・効果:交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体があって、メチルエフェドリンはその両方を刺激します。
さらに「β受容体」は「β1」「β2」などいくつかタイプがあります(今分かっているのは「β3」まで)。
メチルエフェドリンを風邪薬として使う場合は、主に「β2刺激薬」として使います。
気管支には交感神経のβ2受容体というのがあって、そこにメチルエフェドリンがくっつくと気管支が拡張して呼吸が楽になります。
ただ、交感神経の受容体は全身のあちこちにあるので、思わぬ副作用が出ることがあります。
あとメチルエフェドリンには中枢性の鎮咳作用もあるようですね。
・臨床での使用例:気管支喘息や気管支炎、結核、風邪の咳など、咳や呼吸の症状に使います。
あと抗アレルギー作用も持っていて蕁麻疹や湿疹にも適応がありますが、これらに使ってるのは見た事がありません。
・副作用と注意点:副作用としては、動悸が出やすいかと思います。
あとは手の震えが出ることもあります。どちらも薬を止めると症状も治まるはずです。
ただ、過度に使用すると不整脈からの心停止をする事もあり、注意が必要です。通常使う量ならまず問題にはならないですね。心疾患のある方は注意してください。
あと、甲状腺の機能を亢進させたり、血圧が上がったり、血糖値が上がったりすることもあります。
甲状腺機能亢進症、高血圧、糖尿病の方は注意してください。
・薬物相互作用:カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリン塩酸塩等)とは併用禁忌になります。この辺は循環不全の急性期(いわゆるショック)に使うものなので、あまり通常は使われるものではありません。
併用注意もいくつかあるので載せておきます。
・モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・甲状腺製剤 チロキシン リオチロニン等 | 作用が増強されるおそれがあるので、減量をするなどしてください。 |
・キサンチン誘導体 テオフィリン ・ステロイド剤 プレドニゾロン ・利尿剤 アミノフィリン | 血清カリウム値が低下するおそれがあります。 併用する場合には定期的に血清カリウム値を観察して、用量について注意してください。 |
喘息を治療中の方は、これに似た系統の成分をすでに服用してる可能性があるので注意してください。飲み薬としてではなく、吸入薬の中に入っていることが多いです。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には20mg入っています。1日60mg。
医療用では、1日に75~150mg使われます。
医療用と比べると少なめではありますが、この風邪薬には他に咳止めも入ってますし、副作用の事も考えると十分かと思います。
デキストロメトルファン
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・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性非麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
で、この「非麻薬性」というのが曲者でして…「麻薬じゃないですよ~」という事ではあるのですが、実際は「分類的には麻薬には入れてないけど麻薬と似てますよ」という事です。
麻薬性鎮咳薬のリン酸コデインの構造式と比べてみるとこんな感じ。
似てますよね?
医薬品にはよくこの「非○○」というのがあるのですが、これは「似ているもの」ということになります。
もちろん作用や副作用も似たものになります。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。
ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
・臨床での使用例:風邪の咳にはよく使われますね。かなり一般的なものだと思います。
風邪、気管支炎、肺炎、気管支拡張症など、いろいろな咳に使います。
・副作用と注意点:眠気は出やすいかもしれません。あとは吐き気や便秘でしょうか。
この辺は麻薬性の咳止めと同じですね。
あと、近年のオーバードーズ(過剰摂取)はこのデキストロメトルファンを使うことが増えてきてるようです。
法的には麻薬に分類されてないですが、作用は麻薬と同じです。
過剰に摂取すると、嘔気、嘔吐、尿閉、運動失調、錯乱、興奮、神経過敏、幻覚、呼吸抑制などいろいろな症状が出ます。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。
普通に使う場合は全然怖くない薬なんですけどね。
・薬物相互作用:併用禁忌はありません。併用注意がいくつかあるので載せておきます。
・選択的MAO-B阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | セロトニン症候群があらわれることがあります。 |
・薬物代謝酵素(CYP2D6) を阻害する薬剤 キニジン アミオダロン テルビナフィン等 | デキストロメトルファンの血中濃度が上昇することがあります。 |
・セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)等 | セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあります。 |
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には16mg入っています。1日48mg。
医療用では、1回15~30mg、1日1~4回使います。最高で1日120mg。
ただ、通常は1回15mg1日3回で処方される事が多いので、この製品に入ってる量は少なくはないですね。十分な量と言えるのではないでしょうか。
無水カフェイン
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※「無水カフェイン」と「カフェイン水和物」というのがありますが似たようなものなので、ここでは同じものとして扱います。
・分類:薬効分類でいえば「中枢興奮・鎮痛剤」になります。「中枢性呼吸刺激薬」にもなります。「キサンチン誘導体」というものの一種でもあります。
・効果:カフェインは、頭をすっきりさせたり、エネルギッシュな気分にさせたりする効果があります。それによって、心臓が活発に動いて血の流れが良くなるので、結果としてトイレに行く回数が増えることがあります。
また、カフェインは頭の中の血管を少し狭めることで、頭痛を和らげる効果もあります。
あと気管支を拡張させる作用があるので、昔はコーヒーを喘息の特効薬として使ってたみたいですね。
・臨床での使用例:そもそもあんまり使われないのですが、一番使われるのは頭痛でしょうか。脳血管を収縮させるので、血管拡張型の頭痛に使います。
一応眠気や倦怠感にも適応があるのですが、それ目的で処方されたことは一度も経験ありません。
でも医療用ではなく一般的には眠気やだるさに対してが一番使われるでしょうね。
「無水カフェイン」は「早産・低出生体重児における原発性無呼吸症」に適応があります。
市販薬に入ってることが多いですが、これは眠気防止かなと思います。あとは「元気になった気にさせる」といったところでしょうか。エナジードリンクが良い例ですね。
・副作用と注意点:副作用として不眠や振戦(手の震え)、動悸などがあります。
あと胃酸の分泌が増えるので消化を助けますが、空腹時に飲むと胃が荒れます。コーヒーには牛乳を入れましょう。ブラックを飲むなら食後にどうぞ。
・薬物相互作用:併用注意のものがいくつかあります。禁忌ではないです。
・他のキサンチン系薬剤 アミノフィリン水和物 ジプロフィリン テオフィリン等 ・中枢神経興奮薬 エフェドリン塩酸塩 マオウ等 | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
・MAO阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | 頻脈、血圧上昇等が現れることがあります。 |
シメチジン | 過度の中枢神経刺激作用が現れることがあります。 |
カフェインもキサンチン系になるので、同じ系統を摂取すると過量投与になります。喘息ある人は服用してる可能性があるので注意してください。
マオウは漢方薬に入ってることが多いです。知らずに摂ってることがあるのでこれも注意を。
MAO阻害薬はパーキンソン病に使うので、パーキンソンの方は注意してください。
シメチジンは胃薬ですね。今はあんまり使われないですが、飲んでる方は注意を。
でもどれもあまり気にしなくて良いかと思います。症状が出るようならカフェインを減量してください。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれているので、農林水産省のサイトにあった表を載せておきます。
カフェインは一般的な飲み物にもよく含まれていますが、その含有量は製品やブランド、調理法によって大きく異なります。ここで紹介するのはあくまで一般的な平均値または範囲であり、正確なカフェイン含有量については、各製品のラベルやメーカーの情報を参照してください。
・製品内含量(成人):新ルルAゴールドDXαの1回分には20mg入っています。1日60mg。
医療用では、1回100~300mg、1日2~3回となっています。
1日60mgは、コーヒー約100ml分と考えるとそれほど多い量ではないですね。
厚生労働省のサイトによると、「悪影響のない一日当たりの最大摂取量」の目安というのは個人差が大きく、日本でも国際的においても明確に設定はされていないようです。
例えば、
・カナダでは健康な成人だと1日400mg、妊娠中の方、授乳中の方は1日300mgまで。
・イギリスでは妊娠中、授乳中の方は1日200mgまでとなっています。
厚生労働省のサイトにもカフェインの過剰摂取についての記事があるので興味のある方は目を通してみてください。(厚生労働省のサイト→https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html)
新ルルAゴールドDXαの主要成分の効果と注意点のまとめ
8つの成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- クレマスチンフマル酸塩
- アレルギー反応を抑え、鼻水やくしゃみなどの症状を緩和しますが、鼻づまりには効果が限定的です。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大など特定の疾患を持つ方は使用に注意が必要です。
- ブロムヘキシン塩酸塩
- 気道の粘液をサラサラにし、痰を切れやすくする効果があります。
- 使用開始時には一時的に痰の量が増えることがあります。
- トラネキサム酸
- 抗炎症作用を有し、喉の痛みや腫れを軽減します。
- 腎機能に問題がある方は用量の調整が必要です。
- アセトアミノフェン
- 中枢で作用する解熱鎮痛剤で、抗炎症作用はほぼありませんが、痛みや熱を効果的に抑えます。
- 安全性は高いですが肝障害のリスクがあり、アルコールとの併用には特に注意が必要です。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- デキストロメトルファン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 眠気や過剰摂取による副作用に注意が必要です。
- 無水カフェイン
- 中枢興奮・鎮痛剤として、覚醒作用を持ち、頭痛や眠気防止に効果的です。
- 副作用には不眠や振戦、動悸があり、他のキサンチン系薬剤や中枢神経抑制剤との併用に注意が必要です。
用法・用量と注意点
新ルルAゴールドDXαの用法・用量
・成人(15歳以上):1回3錠
・11歳以上15歳未満:1回2錠
・7歳以上11歳未満:1回1錠
それぞれ1日3回の服用になります。
7歳未満の方は服用しないでくださいとなっています。
単純の量の問題ですね。
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
・食後の服用:「食後なるべく30分以内に」となっています。
ただ、特別胃に負担がかかるものもなく、食事の影響のあるものもないので、あまり気にしないで良いかと思います。
・血栓:血栓が溶けにくくなるので、血栓症の方は注意を。
また、ピル(特にエストロゲンを含む低用量ピル)との併用は血栓のリスクを高める可能性があるので注意してください。
・服用期間:風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いですね。
一つ気になるのはデキストロメトルファンのオーバードーズでしょうか。
長期の連用はしない方が良いかと思います。
妊娠中の方
妊娠している方については、短期間の使用であれば問題ないと考えます。
問題になるかもしれないのは、ロートエキスやメチルエフェドリンによって、胎児が頻脈を起こすことがある、ということでしょうか。
この2つは入っているとは言え量も少なめです。あまり心配は要らないかと思います。
催奇形性についてはどの成分も報告はありませんが、データそのものが少ないので何とも言えません。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
あと授乳中の方ですが、
まず問題になるのはカフェインです。カフェインは簡単に母乳中に移行します。
この薬を飲んでる間は、他のカフェインを含むものを飲まないようにした方が良いですね。
といっても、この薬に入ってるカフェインの量は少なめです。あまり心配は要らないと思います。
あと、クレマスチンについては「授乳を避けさせること」となっていますが…
クレマスチンって子どもも使うんですよね。子ども用のシロップもあるし。
母乳中に移行するとは言え、その量はわずかです。まず心配いらないと思います。
ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
新ルルAゴールドDXαの特徴と利点と個人的な感想
これぞ「総合感冒薬」って感じですね。なんでも入ってる。
特に咳に関しては効くのではないでしょうか。
それ以外にも、発熱、喉の痛み、鼻水、だるさ、頭痛、関節痛、なんでもござれ。
ただし、これはメリット・デメリットがあります。
基本的に薬というのは「必要な成分を必要な分だけ使う」というのが鉄則だと思っています。
過ぎたるは猶及ばざるが如しです。
どんな良薬も、量が多くなれば毒となります。
薬の種類が多くなれば多くなるほど、副作用の発現率は高くなっていきます。
いろいろと症状があればこれを飲んでも良いと思いますが、症状が収まってきたら止めるか、その症状にピンポイントに使える薬に変えるのも手だと思います。
でも何にでも効くというのは良いですね。一つ家に置いておいても良いかもしれませんね。
使用した方の口コミ・レビュー
『ものログ』と『@コスメ』というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
特に「7歳から使えるのが良い」という意見が多かったです。
たしかに他ではあまり無いかもしれないですね。
具体的に「○○に効いた」というのはあまり無かったです。
公式ホームページには症状ごとの改善率みたいな表はありませんでした。
あれがあると何に効くかが分かりやすいんですけどね。
まとめ
この記事では『新ルルAゴールドDXα』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
この製品はとにかくいろいろな成分が入ってる、というのが特徴でしょうか。
風邪をひいたときにどういう症状が出るかが先に分かっていれば良いのですが、そうではないですからね。
こういう何にでも効く(可能性がある)ものを用意しておくのも良いかもしれませんね。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページ【https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/products/details/lulu_a_gold_dx_alpha/】を参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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