
この製品は『新コンタック600プラス』の後継となります。
ただ、服用回数や対象年齢などの変更があり、旧製品とは使い勝手が変わっているので注意してください。
この製品単独で見た場合、特徴というのは特にありません。生薬が一つ入っているくらい。
鼻炎用内服薬としては全体的に成分量が少なめです。かといって、値段が安いわけでもありません。
旧製品との違いや、旧製品の代替品の候補についても書いているので、興味のある方は読んでみてください。

基本情報
・製造販売元:佐藤薬品工業
(発売元:Haleonジャパン)
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン塩酸塩 | 105mg | 鼻づまりを和らげる |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 4.5mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
サイシン乾燥エキス (原生薬として) | 30mg (300mg) | 抗アレルギー、鎮咳、去痰など |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン 塩酸塩 | 105mg | 鼻づまりを和らげる |
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 4.5mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
サイシン乾燥エキス (原生薬として) | 30mg (300mg) | 抗アレルギー、鎮咳、去痰など |
・包装
カプセル剤:12カプセル、24カプセル
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『新コンタック600プラスs』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- サイシン(細辛)
- 抗アレルギー、鎮咳、去痰などの作用があります。
- 海外製の漢方薬は腎毒性のある物質が含まれている可能性があるので注意。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 1カプセル | 3回 |
「食後に」となっていますが、特に気にしなくてもいいでしょう。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
成人を1回1カプセルにしてしまっているので、小児には使えないですね。
錠剤にして成人を1回2錠とかにすれば15歳未満でも1回1錠で使えたと思いますが。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
- MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
- 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、プソイドエフェドリンは長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)
ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)
ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- プソイドエフェドリン
- クロルフェニラミン
- ベラドンナ総アルカロイド
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は特にないのですが、強いて言えば「サイシン(細辛)」が入っていることでしょうか。
サイシンが含まれている漢方薬はいくつかあり、
- 小青竜湯
- 麻黄附子細辛湯
- 苓甘姜味辛夏仁湯
の3つはアレルギー性鼻炎にも使われます。
これらの漢方薬には、サイシンは1日量として2~3g含まれています。
この製品には原生薬として1日300mgですね。大体10分の1。
あくまで補助的な感じでしょうね。
他の成分は、
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー症状を抑える
- 抗コリン薬:鼻水や涙の分泌を抑える
- 血管収縮剤:鼻づまりを解消する
の3つが入ってます。市販の鼻炎薬としてはよくある構成ですね。
ただ、各成分量は少なめです。
成分名 | この製品の1日量 | 鼻炎薬の最大1日量 |
---|---|---|
プソイドエフェドリン | 105mg | 180mg |
d-クロルフェニラミン | 4.5mg | 6mg |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
成分名 | この製品 の1日量 | 鼻炎薬の 最大1日量 |
---|---|---|
プソイドエフェドリン | 105mg | 180mg |
d-クロルフェニラミン | 4.5mg | 6mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
「15歳以上」限定であり「1日3回服用」するタイプであれば、鼻炎薬の上限まで配合しても良かったと思います。
サイシンも上限は1日3gです。この製品には300mgで10分の1。
すべて中途半端。
使っている成分は悪くないんですけどね。
プソイドエフェドリンは医療用でも鼻づまりに使います(「ディレグラ」「プソフェキ」)。
フェニレフリンが入っている製品を使うくらいならこっちの方が良いでしょう。
クロルフェニラミンも副作用が少なめの「d-体」の方です。
なんかもったいないですね。症状が軽めの人用でしょうか。
とはいえ、この製品には血管収縮剤(交感神経刺激薬)が入っています。
長期での使用はおすすめできません。
抗ヒスタミン薬単独のを基本に使いつつ、鼻づまりの症状がある時にピンポイントで使う方が良いかと思います。
長期での使用が前提なのであれば抗ヒスタミン薬はなるべく第二世代が良いかと思います。副作用が少なめです。
旧製品の『新コンタック600プラス』との比較など
以前は『新コンタック600プラス』という製品がありました。『新コンタック600プラスs』はその後継ですね。
ただ、新製品は旧製品の純粋なグレードアップ、という感じではありません。
新コンタック600プラスs | 新製品旧製品 新コンタック600プラス | |
対象年齢 | 15歳以上 | 7歳以上 |
服用回数 | 1日3回 | 1日2回 |
抗ヒスタミン薬 | d-クロルフェニラミン:4.5mg | クロルフェニラミン:8mg |
血管収縮剤 | プソイドエフェドリン:105mg | プソイドエフェドリン:120mg |
抗コリン薬 | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg |
生薬 | サイシン乾燥エキス:30mg | なし |
カフェイン | 120mg | 100mg |
新コンタック600プラスs | 新製品旧製品 新コンタック600プラス | |
対象年齢 | 15歳以上 | 7歳以上 |
服用回数 | 1日3回 | 1日2回 |
抗ヒスタミン薬 | d-クロルフェニラミン:4.5mg | クロルフェニラミン:8mg |
血管収縮剤 | プソイドエフェドリン:105mg | プソイドエフェドリン:120mg |
抗コリン薬 | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg |
生薬 | サイシン乾燥エキス:30mg | なし |
カフェイン | 120mg | 100mg |
旧⇒新の変更点は、
- 服用回数が1日3回になった
- 15歳未満は使えなくなった
- 成分構成・成分量が違う
となっています。
服用回数と対象年齢が変わって使い勝手が変わりました。「新しくなった」ではなくて「違うものになった」という認識で良いでしょうね。
クロルフェニラミンが「dl-体」から「d-体」になったのは良いですね。眠気は少なめになっているはずです。
プソイドエフェドリンはなんで減らしたのかな?
ベラドンナ総アルカロイドの1日量は変わらずです。
これだと1日3回にしたメリットがないですね。
今まで『新コンタック600プラス』を使っていた方が、そのまま「新しいの出たんだ。じゃあこれで良いや」とはならない感じです。
変更点が気にならないなら良いと思いますが。
『新コンタック600プラス』の代替薬候補
『新コンタック600プラス』の代わりとしては『パブロン鼻炎カプセルSα』が候補に挙がると思います。
新コンタック600プラス | パブロン鼻炎カプセルSα | |
抗ヒスタミン薬 | クロルフェニラミン:8mg | カルビノキサミン:12mg |
血管収縮剤 | プソイドエフェドリン:120mg | プソイドエフェドリン:120mg |
抗コリン薬 | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg |
カフェイン | 100mg | 100mg |
新コンタック600プラス | パブロン鼻炎カプセルSα | |
抗ヒスタミン薬 | クロルフェニラミン:8mg | カルビノキサミン:12mg |
血管収縮剤 | プソイドエフェドリン:120mg | プソイドエフェドリン:120mg |
抗コリン薬 | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg | ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg |
カフェイン | 100mg | 100mg |
抗ヒスタミン薬が違うだけで、他は成分量も含めてすべて同じになっています。
使い方も同じ1日2回です。
もし今まで『新コンタック600プラス』を使っていて代わりになる製品を探している人は『パブロン鼻炎カプセルSα』を試してみると良いかもしれません。
『パブロン鼻炎カプセルSα』は一応「15歳以上」となっています。
小児用は別製品として『パブロン鼻炎カプセルSα小児用』があります。
ただ、『パブロン鼻炎カプセルSα』も「7歳~14歳:1回1カプセル・1日2回」という使い方で、小児用と全く同じになるんですよね。興味のある方は記事を読んでみてください。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見はありませんでした。
まだレビュー自体が少ないですね。
値段について
メーカーの希望小売価格は「オープン価格」となってます。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
12カプセル | 1,100~1,800円 | 275~450円 |
24カプセル | 1,650~2,700円 | 206~338円 |
※1日分のは、1日3カプセルで計算
※2025年3月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
旧製品のは1日あたり170円弱のものがありましたが、ちょっと高くなってますね。
サイシンを入れたからかな?
市販の鼻炎薬としても少し高めとなっています。
例えば、『アネトン アルメディ鼻炎錠』というのは1日あたり150円以下で買えるものがあります。
ベラドンナ総アルカロイドは入っていませんが、プソイドエフェドリンやクロルフェニラミンは鼻炎薬としては最大量入っています。また、生薬がサイシンを含めて4種類も入ってますね。
興味のある方は下の記事を読んでみてください。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『新コンタック600プラスs』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
この製品の特徴は特にありません。
生薬のサイシンが入っていますが、量が少ないし大した効果は期待できないでしょうね。
全体的に成分量が少なめです。症状が軽い人用でしょうか。
といっても、鼻水に使われる成分は「かぜ薬」として販売されている製品よりは多く入ってます。
旧製品の『新コンタック600プラス』からは、1日の服用回数が違う、15歳未満は使えなくなった、などの変更点があるので注意してください。
また、血管収縮剤(交感神経刺激薬)が含まれているので長期の使用には向きません。
アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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