前回は『アレグラFX』について書きましたが、今回は同じ第二世代抗ヒスタミン薬の『アレジオン20』について書こうと思います。
(アレグラFXについはこちら→『アレグラ®FX』の成分と効果【薬剤師が解説】)
用法などに多少の違いがありますが、基本的な事はアレグラと同じになりますね。
ただ、抗ヒスタミン薬は人によって効果や副作用にかなり違いがあります。
自分に合ったものが見つかると良いですね。
ちなみにこれもスイッチOTC(医療用だったものが市販でも売られるようになった)になります。
『アレジオン20』は基本的には医療用の「アレジオン」と同じになりますが、一通り解説していこうと思います。
アレジオン20の基本情報
・製造販売元:エスエス製薬
・成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
エピナスチン塩酸塩 | 20mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
・包装
6錠、12錠、24錠、48錠
(PTP包装)
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成分の解説
この製品には成分としては1種類のみ入っています。
(1種類なので折り畳みにはしていません)
エピナスチン塩酸塩
・分類:「抗ヒスタミン薬」となります。
その中でも比較的新しい「第二世代」となります。医療用の「アレジオン」の販売開始は1994年なので新しくもないですけど。
・効果:アレルギー反応を引き起こすヒスタミンという物質の働きをブロックします。
これにより、鼻水やくしゃみ、痒みなどのアレルギー症状を緩和します(抗ヒスタミン作用)。
主な作用はこの「抗ヒスタミン作用」なのですが、ロイコトリエンなどアレルギーに関係する他の化学伝達物質の働きを抑える作用も持っています。
第一世代は鼻づまりにはあまり効果がないのですが、第二世代は鼻づまりにも多少効果があります。
もう一つ、エピナスチンは気管支の収縮を抑制する作用もあるので、気管支喘息にも適応があります。
あくまで補助的な感じではありますが。
あと第一世代よりは効き目が表れるのが遅めではあるのですが、その代わり作用時間が長めになっています。
即効性という点では第一世代の方が優れています。
第二世代も急性期に使うのですが、どちらかというと慢性の症状によく使われますね。
といっても、エピナスチンの作用の発現は早めで、最高血中濃度に達するまでの時間は1.9時間くらいです。
あと第一世代よりも抗コリン作用はかなり少なめです。ここが特にメリットですね。
・臨床での使用例:あらゆるアレルギー疾患に使われます。
アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎や湿疹の痒みなど、鼻水や痒みがあればこの系統を使います。
体の痒みだけではなくて、目の痒みにも使いますね。抗ヒスタミンの目薬もありますし。
エピナスチンは気管支喘息にも適応がありますが、喘息に使用することはほぼありません。
医療用のエピナスチンは3歳から使えます。粉薬もありますね。
なので小児から高齢者まで幅広く使われています。
(医療用では、3歳~7歳未満は1日5~10mg、7歳以上は1日10~20mg、1日1回になります)
花粉症を含む季節性アレルギーには、その季節が始まる直前から服用を開始して、その季節が終わるまで続けるのがセオリーです。症状が出始める前から服用開始する、という事になるので、花粉の予測などをチェックしておくと良いでしょうね。
・副作用と注意点:第一世代と違い副作用は少なめです。
第二世代は脳に移行しにくいため眠気は起きにくいですが…
エピナスチンにはちゃんと「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」の記載がありますね。
医療用アレジオンの「インタビューフォーム」という資料があるのですが、それによると臨床試験の段階で発生した眠気は2.84%となっています。
(前回書いたアレグラの方は8.40%だったのでアレジオンの方が眠気は少ないと思いますが…)
肝機能の数値が上がったという報告もあるので、長期で飲む場合は注意してください。
この製品の添付文書でも肝臓病には禁忌となっています。医療用ではそうではないんですけどね。
・薬物相互作用:特にありません。使いやすいですね。
・製品内含量(成人):アレジオン20の1回分には20mg入っています。1日1回のタイプなので1日20mgになります。
医療用の「アレジオン」と同じ量になります。
用法・用量と注意点
アレジオン20の用法・用量
・15歳以上:1回1錠・1日1回寝る前
となっています。
医療用のアレジオンは特に寝る前の指定はないのですが、寝る前で処方されることが多いですね。
日中に眠気が出ないように、というより、夜間や朝方の症状を抑えるためでしょうか。
食後でなくて大丈夫です。
というより、食後服用は空腹時服用よりも最高血中濃度が67%に低下したというデータがあります(医療用アレジオンのインタビューフォームより)。
約3分の2になってしまうんですね。
15歳未満の方は服用しないでくださいとなっています。
ん~、医療用のだと7歳以上は1日20mg使えるんですけどね。
フェキソフェナジンもそうですが、市販のはあくまで大人用なんですね。
あと子どもの場合はやっぱり病院で処方してもらった方が安心ですね。
注意してほしいこと
注意点はそれほどないですが一応書いておきます。
- 眠気・口渇:第一世代よりも少ないとは言え、やっぱりこの系統は眠気や口の渇きは出ます。
特に飲み始めの頃は注意してください。
この製品の添付文書にも「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」の記載があります。
ただ、なんともなければもちろん大丈夫です。 - 腎機能が悪い方:高齢者など腎機能が低下してる方は薬が体に残りやすくなります。
眠気や口の渇きなどの副作用が出る場合は飲む量を減らすなど調節した方が良いかと思います。 - 服用期間: 1週間ほど飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
たぶんこの成分は合ってないかと。
あと長期で服用する人も多いのですが、あまり長期だと肝機能障害等の副作用が起こる可能性もあります。
病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
この系統は結構種類があるのですが、人によって効果や副作用の出方が全然違います。
合ってないなと感じたらやめた方が良いですね。他にも選択肢はあります。
妊娠中の方
妊娠中の方については、禁忌ではないのですが…
医療用アレジオンの添付文書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という書き方になっています。
また、こういう記載があります。
「妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。また、妊娠前及び妊娠初期試験(ラット)では受胎率の低下が、器官形成期試験(ウサギ)では胎児致死作用が、いずれも高用量で認められている。」
通常用量であればどうなのか?というところですね。
米国FDA基準では「C」です。
ここに分類されるものは、「動物生殖試験では有害作用があることが証明されており、ヒトでの試験は実施されていないもの」または「ヒト・動物ともに試験は実施されていないもの」であり、「潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合にのみ使用すること」となっています。
まあ結局は添付文書に書いてあるように「有益性が危険性を上回るなら使ってOK」ということですが…
妊娠してる方に実験するなんて倫理上できるわけがなく、データがないんですよね。
第二世代の抗ヒスタミン薬には、妊娠中の方が使っても安心な薬が他にもあります。
あえてこれを使う必要はないと考えます。
動物実験では高用量であるとはいえ異常があったのは間違いないわけですし。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
授乳中の方
あと授乳中の方ですが、
この製品の添付文書では「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けてください」となっています。
ただ、授乳に関しては特に問題ないと考えます。
Mothers’ Milk基準では「L3(概ね適合)」で「児に不都合な影響が出る可能性がある。またはごく軽微で危険性のない有害作用しか示されていない」となっています。
これを読むと少しおっかない感じですが…
多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しません。
20mgの1%だと0.2mgですが、エピナスチンは小児には体重1kgあたり0.25~0.5mg使用します。
となると、乳児の体重が1kgもあれば特に問題ないことになります。
ということで、授乳に関してはあまり気にしなくて良いかと思います。
アレジオン20の特徴と利点と個人的な感想
結構メジャーな第二世代抗ヒスタミン薬ですね。
医療用ではもっと新しいのが主流になってきていますが、まだまだ現役です。
アレルギー性鼻炎や湿疹などの痒みだけでなくて、風邪をひいた時の鼻水とかにもよく使われます。
(この製品のサイトの「よくあるご質問」のところでは「かぜによる鼻炎症状にはご使用にならないでください」と書いてますけどね。でも使えます)
やっぱり第一世代よりも副作用が少なめで使いやすいと思います。
第二世代は鼻づまりにも少しは効果がありますしね。
ただ、鼻づまりに効果があると言っても、やっぱり抗ヒスタミン単独ではあんまり効かないです。
上にも書きましたが、この系統は本当に個人差が大きいです。効果も副作用も。
病院でアレジオンを処方してもらった経験があり、「効果と副作用のバランスが良いな」と感じた方が市販のを買って使用する、というのであれば良いのですが、そうでないなら最初から大容量のは買わない方が良いと思います。
まずは小容量のを買って試してみましょう。
この『アレジオン20』には6錠(6日分)の包装のがあるので、まずはそれでお試しした方が良いですね。
あと、アレルギー症状が鼻だけであれば点鼻薬という選択肢もあります。
飲み薬と違って全身性の副作用も少なく、直接鼻に噴霧するのでなんとなく効いてる感じがします。なんとなく。
ただ、点鼻薬には抗ヒスタミン薬だけでなくてステロイドや血管収縮剤が入ってるものもあります。
この点は注意してください。
でも鼻づまりがひどい方は、血管収縮剤が入ってるものを症状がひどい時だけ使う、という方法もあるかと思います。
おそらくこの『アレジオン20』単独では鼻づまりの解消はあまり期待できません。
夜中に鼻呼吸ができなくて「朝起きたら喉がイガイガする~」という人は点鼻薬も検討してみると良いかと思います。
前に書いた「アレグラ(フェキソフェナジン)」との違いとしては、用法でしょうか。
フェキソフェナジンは1日2回ですが、こちらは1日1回寝る前です。
こちらの方が楽と言えば楽ですね。
他は特別違いはないですね。効果については本当に人それぞれです。
使用した方の口コミ・レビュー
「ものログ」というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
全体的には肯定的な意見が多かったですね。
全然効かないという人ももちろんいます。こればっかりは仕方ないですね。使ってみないと分かりません。
「1日1回だから良い」という意見は多かったですね。一応それが売りですもんね。
やっぱり1日2回や3回だと忘れることがありますよね。
朝に飲み忘れちゃうと日中に症状がひどくなるし、寝る前に飲んでおけば次の日の夜まで効果が続くというのは利点だと思います。
ただ、24時間効くとは書いていますが…これも人によります。
一口に成人と言っても40kgの人もいれば80kgの人もいます。同じ量で同じ効き目が出るはずがないんです。
医薬品ってこの辺がテキトーなんですよね。
「眠気が出にくい」という意見も多かったです。
この製品は寝る前の服用なので、日中の眠気は感じにくいでしょうね。
風邪薬で眠くなる方はこちらを試してみるのも良いかもしれません。
値段に関しては、
Yahooショッピングで見ると、6錠入れで送料込みで大体800円くらいですね。1錠133円くらい。
医療用のアレジオン錠20mgの薬価は1錠38円。後発(ジェネリック)だと17~24円くらい。
って考えると市販のはすごく高いのですが、処方してもらうとなると診察代とかもかかりますもんね。
でも医療保険が使えるから3割負担になるし…やっぱり病院の方が安いかな?
短期間で良いなら市販、長期間前提なら病院の方が良いですね。
まとめ
この記事では『アレジオン20』の主要成分である「エピナスチン塩酸塩」の効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
1日1回で長く効く、眠くなりにくい、というのが利点でしょうか。
この製品は『アレグラFX』と同じく、もともと医療用だったものを市販した「スイッチOTC」というものになります。
実績がすでに十分あり、副作用がそれほど出ないものが対象となるはずなので安心ではあります。
ただ、医療用と同じ成分量であるため、医療用と同じ注意が必要という事は知っておいていただきたいです。
本来であれば医師の診察を受け、処方されて初めて使用できた薬です。
以前は医療用よりも少ない量で出すことが多かったのですが、最近は「医療用と同じ量を配合!」みたいなのが流行って?います。良いのか悪いのか。
予期せぬ副作用が出ることもあります。服用して体調が悪化した場合は速やかに医師の診察を受けるようにしてください。
この薬はたぶん大丈夫でしょうけど。
鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページ【https://www.ssp.co.jp/product/all/alesion20/】を参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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