「チアミン(ビタミンB₁)」の解説 
作用・使用上の注意・製品一覧

「チアミン(ビタミンB₁)」についての簡単な解説です。

目次

チアミン(ビタミンB₁)を含む市販薬の製品一覧

解説記事を書いたことのある製品を載せています。

※ここでご紹介している製品がすべてではありません。
あと、すでに製造中止になっている製品もあるかもしれません。
そのへんはご了承くださいますようお願い申し上げます。

風邪薬(総合感冒薬)

クリック・タップで開きます。

製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。

製品名1日あたりの成分量
エスタックイブ24mg
新ルルAゴールドs24mg
新ルル-A錠s24mg
ルルアタックCX25mg
ルルアタックCX
プレミアム
25mg
ルルアタックEX25mg
ルルアタックEX
プレミアム
25mg
ルルアタックNX25mg

市販の風邪薬に配合できる最大用量が1日25mgになります。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)

風邪薬に入っているチアミンには
ベンフォチアミン」と「チアミン硝化物」の2種類があります。
これについては後述します。

総合感冒薬(かぜ薬)の一覧表もあるので見てみてください。
製品ごとの主要成分も載せています。

分類・働き

ビタミンB₁の化学構造式

チアミン
ベンフォチアミン
チアミン硝化物

全部ビタミンB₁なのですが、結構違うものですね。

他にも「フルスルチアミン」とか「チアミンジスルフィド」とかいろいろありますが、「チアミン」と付いてたら全部ビタミンB₁だと思っていただいて良いかと思います。

分類

ビタミン」です。
その中でも「水溶性ビタミン」になります。

ちなみにビタミンとは「生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称」です(Wikipediaより)。

脂溶性ビタミンは肝臓に貯蔵されますが、水溶性ビタミンは原則毎日摂る必要があります。
水溶性ビタミンは過剰に摂取した場合は尿中に排出されるため、一般的に過剰症はみられないとされています。
ベンフォチアミンは脂溶性を高めたものですが、これについては後述します)

働き

糖からエネルギーを作り出すのに必要なビタミンです。

ビタミンB1が不足すると食欲不振、疲労、だるさなどの症状が出てきます。
さらに不足すると、脚気(足のむくみ、しびれ、動悸・息切れ)や、脳症などの症状が出ます。

重篤な場合は死亡する事もあるので、かなり重要なビタミンですね。

玄米ではなく精白米を食べるようになった時代に脚気が流行ったのは有名な話ですね。

効果や使用方法

効果

  • 消耗性疾患
  • 甲状腺機能亢進症
  • 妊産婦、授乳婦
  • はげしい肉体労働時等

こういう状態のときにはビタミンB₁の要求量がかなり上昇します。

風邪薬に入れてるのはそれを補う目的ですね。

…が、別に入っていなくても良いと個人的には思っています。
あっても害にはならないけど、その分値段が安い方がうれしいかな。

「ベンフォチアミン」と「チアミン硝化物」の違い

今まで書いた事のある市販の風邪薬では「ベンフォチアミン」と「チアミン硝化物」の2種類がありました。
その違いを簡単に書いておきます。

ベンフォチアミン

  • 脂溶性で体内貯留性が高い
    • ベンフォチアミンは脂溶性のため体内で長時間作用します。利用率も高め。
    • 疲労や体力低下が長引く場合に適しており、持続的なエネルギー供給を助けます。

長引く疲労や体力低下、慢性的な症状を持つ人向け。
仕事で忙しい人や、風邪が長引いているときに適しています。

チアミン硝化物

  • 即効性
    • 水溶性で速やかに吸収されるため、風邪の急性症状で早く効果を得たい場合に適しています。

風邪の初期段階や軽度の疲労に良い。
早く元気になりたい人や、軽い体調不良をすぐに改善したい場合に向いています。

まとめるとこんな感じ。

成分名主な特徴適している状況
ベンフォチアミン持続性が高い
疲労に良い
慢性的な疲労
長引く症状
チアミン硝化物即効性がある
吸収が早い
軽い疲労感
急性の症状
(風邪初期)

ビタミンB₁は水溶性ビタミンですが、ベンフォチアミンはベンゾイル基を付けることで脂溶性を高めています
ただ、脂溶性で吸収(細胞膜を通過しやすい)や持続性が向上しても、体内で調節されて必要以上に蓄積することはありません

この2つの違いが出るのは、吸収速度や持続性などの細かい点です。
チアミンは風邪薬の補助的な位置づけですし、主成分(解熱鎮痛剤や抗ヒスタミン薬など)ほど効果の差が重要視される事はないでしょう。

選ぶ際には特に気にしなくても良いかと思います。
(そもそも入ってなくても良いと思います)

医療用の使用例

医療用でももちろんあるのですが、外来ではあんまり使われるものでもないんですよね。

大体の方は通常の食事で足りてるわけで、あえてこれを処方する意味があるのかな?と思います。
処方されてる人も「なんか疲れやすくて」と先生に話したら処方された、という感じですね。

ただ、TPN(中心静脈栄養)と呼ばれる高カロリーの輸液を投与する場合は必須になります。

用法・用量

市販薬の風邪薬の場合は
1回約8mg1日3回(1日24~25mg)
となっていますね。
最大で1日25mgです。

医療用だと
チアミン塩化物塩酸塩として、通常1日5~100mg
(ベンフォチアミンだと1日6.915~138.3mg)
となっています。

市販の風邪薬の場合は補助的なものなので、量的な事はあまり気にしなくてもいいでしょうね。

使用上の注意点

副作用

医療用のビタミンB₁である「アリナミンF」の添付文書を見ると、
一応副作用として「発疹、そう痒感、悪心、胸やけ、胃痛、胃部不快感、下痢、口内炎」があるのですが…

副作用というものの注意点として「臨床試験の間に出たものすべてを記録しないといけない」というのがあります。
その薬を飲んでる間に出た症状、と言う事になりますが、薬によるものではないものも含まれてしまいます

ビタミンB₁はいろんな食材にも含まれているものですし、ここに関しては心配しなくていいかと思います。

また、ビタミンB₁は「水溶性ビタミン」のため、過剰に摂取しても尿として排泄されます。
ベンフォチアミンは脂溶性ですが、一般的な使用量では安全ですし蓄積による過剰症の心配もありません。

1日10g以上のチアミン塩酸塩を2週間程度摂取し続けた場合に、頭痛いらだち不眠速脈などの症状が確認されています。
また、3g以上でも毒性が示されているそうです。

一応摂り過ぎには注意ですが、頑張ってもなかなか1日3gは摂れないですね。
(市販の風邪薬1日分が25mgとすると、3gは120日分)

ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意ですね。

相互作用

ビタミンB₁は特に飲み併せが悪いものはありません。

似たものでビタミンBというのがありますが、こちらは「レボドパ」というパーキンソン病に使う薬の効果を弱めることがあります。
パーキンソン病を治療中の方が市販薬を使う場合は、ビタミンB₆が入っていないかどうかを確認してください。
通常の食事から摂取する程度では問題になりませんので、そこは安心してください。

他の成分についてはこちらから。
成分の一覧表

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