『プレコール®持続性カプセル』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

『プレコール持続性カプセル』は1日2回の服用で良い、というのが特徴ですね。

昼飲むのを忘れてしまう・めんどう、という方には合ってるのでないでしょうか。
夜間~明け方の症状にも対応できそうですね。

解熱鎮痛剤としてピリン系のものが入っているので、ピリン系にアレルギーがある方は使えません。
また、去痰薬が入っていないので痰が絡む咳が出る方にもお勧めできません。

この薬がご自身に合っているかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

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目次

基本情報

製造販売元:第一三共ヘルスケア

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
イソプロピルアンチピリン300㎎熱をさげ、痛みを和らげる
アセトアミノフェン450mg熱をさげ、痛みを和らげる
クロルフェニラミンマレイン酸塩7.5mg鼻水、くしゃみを抑える
ジヒドロコデインリン酸塩12mg咳を抑える
dl‒メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
カンゾウエキス末118mg
(原生薬として983mg)
咳を鎮め、のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める
無水カフェイン75mg頭痛をやわらげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
イソプロピル
アンチピリン
300㎎熱をさげ、痛みを和らげる
アセトアミノフェン450mg熱をさげ、痛みを和らげる
クロルフェニラミン
マレイン酸塩
7.5mg鼻水、くしゃみを抑える
ジヒドロコデイン
リン酸塩
12mg咳を抑える
dl‒メチルエフェドリン
塩酸塩
60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
カンゾウエキス末118mg
(原生薬として983mg)
咳を鎮め、のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める
無水カフェイン75mg頭痛をやわらげる

・包装

12カプセル、24カプセル、36カプセル
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『プレコール持続性カプセル』の7種の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. イソプロピルアンチピリン
    • 痛みや炎症を抑えます。抗炎症作用は弱めとされています。
    • ピリン系です。アレルギーのある方は避けてください。「NSAIDs」には含まれません。
    • 単独で使われることはなく、他の解熱鎮痛剤と一緒に使います。
  2. アセトアミノフェン
    • 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
    • いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
    • 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
  3. クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  4. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  5. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  6. カンゾウエキス末
    • 咳を鎮めたり、喉の痛みを和らげます。
    • 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
    • いろいろな漢方薬に含まれているので併用には注意を。
  7. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2カプセル2回(朝・夕)

「食後なるべく30分以内に」となっています。
ただ、それほど問題になるものは入ってないので、あまり心配しなくても大丈夫です。
カンゾウみたいな生薬・漢方薬は空腹時に飲むのが一般的ですね。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

それぞれの成分を単独で見た場合、ジヒドロコデインが12歳未満には禁忌になっていますが、15歳未満でダメなものはありません。

ただ、イソプロピルアンチピリンは
「1日の配合量は300mgに限り、同時に配合するアセトアミノフェンの配合量は450mgに限る」
という決まりがあり、これのため量を減らすことができないんですね。たぶん。

量を減らすことができないので、15歳未満に使える用量の設定もできないと。
たぶんそういう事だと思われます。
個人的には「12~14歳は1回1カプセルで良いじゃない」と思いますけど。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • ピリン系:イソプロピルアンチピリンがピリン系の解熱鎮痛剤になるので、ピリン系にアレルギーがある方は飲まないでください
  • 喘息:喘息発作が誘発される可能性があります。
    • 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
  • カンゾウ(甘草)過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。
    • 他にも漢方薬を飲んでる方は注意してください。カンゾウが入っていないものであれば問題ありません。
    • カンゾウの解説記事にカンゾウが含まれる漢方薬を載せている(109種類)ので、気になる方は見てみてください。
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
    • ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません

豪州ADECというオーストラリアの危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こすことがある、という事もありそうです。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分で一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン
  • クロルフェニラミン

の2つが「L3(概ね適合)」となっています。

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。

母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たような咳止めだと他に「デキストロメトルファン」というのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えるとあまり心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

成分としては、発熱や痛み、鼻水、咳など風邪の全般的な症状に効果が期待できそうです。

痰や鼻づまりには期待できません。

この製品の特徴は、1日2回の服用でいい、というところでしょうか。

メーカーのサイトによると、
「本製品は特殊コーティングにより、胃で溶ける速溶性顆粒と腸で溶ける遅溶性顆粒時間差で溶け出すように設計されています」
とのことです。
カプセルの中に2種類の顆粒が入っているんですね。

風邪薬に限らず昼の薬を飲み忘れることは多いですし、こういうのも良いかもしれないですね。

解熱鎮痛剤はピリン系のイソプロピルアンチピリンと、アセトアミノフェンです。

ピリン系の解熱鎮痛剤はそれだけで避けられがちですが、ピリン系にアレルギーのある方でなければ特に心配することはありません。
他の解熱鎮痛剤があまり効かない人には選択肢の一つになるかもしれませんね。

咳止めはジヒドロコデインとメチルエフェドリンが入っていますが、ジヒドロコデインは他の一般的な風邪薬の半分の量ですね。大体の製品には1日24mg入っています。

これはたぶん1日2回の製品だからでしょうね。
1日24mgにして1回12mgにしてしまうと、医療用で使う1回10mgを超えてしまいます。

これは持続性にしたことでのデメリットになるでしょうか。

生薬の甘草(カンゾウ)を入れてるのはそれを補う目的もあるかもしれません。
甘草単独の漢方薬は咳に使います。
ただ、この製品に入っている量は少なめです。

去痰薬は入っていません。
ジヒドロコデインは痰を硬くするので、痰の絡んだ咳に対しては逆効果になる可能性があります。
痰が気になる方は去痰薬(カルボシステインアンブロキソールなど)が入った風邪薬を選んだ方が良いでしょう。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「飲んで30分もすると体温が落ち着いてきたのを感じられ、喉の痛みや関節痛も治る」
「1日朝晩に飲むので、お昼飲まなくて良くて楽」
「喉痛い時に飲むと、次の日には痛くない最強薬」

といった具合。

否定的な意見としては、

「一週間飲んでもだらだら良くならず、効いてるのか?(と感じる)」
「喉の症状への効果は今一つ」
「症状が重いときは途中で効き目が薄くなるかも」

といった感じ。

意外と評価が高くて個人的にはびっくりです。

やっぱり「1日2回でいいのが助かる」といった声が多かったです。
あと「喉の痛みに効く」という方が多かったですね。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

12カプセル1,100円
24カプセル1,815円
36カプセル2,310円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
12カプセル800~1,200円267~400円
24カプセル約1500円約250円
36カプセル1,800~2,300円200~256円

※1日分のは、1日4カプセルで計算
※2025年1月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

250円前後であれば高くはないですね。市販の風邪薬では普通かな?

まとめ

この記事では『プレコール持続性カプセル』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は「1日2回の服用でいい」、というのが特徴でしょうか。
けっこうお昼の薬って忘れちゃいますよね。私は忘れます。

他の特徴としてはピリン系の解熱鎮痛剤が入っているということでしょうか。
これに関してはメリットとは思いませんが。

「昼の薬は飲み忘れる・めんどくさい」
「ピリン系が良い!」
「抗コリン薬は入ってない方がいいな」

こういう方は選択肢の一つになるかもしれません。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

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