
『ベンザブロックL』は鼻づまりに効果が期待できる「プソイドエフェドリン」が配合されているのが特徴でしょうか。
その分「メチルエフェドリン」が入っていないので、咳には弱いかもしれません。
「のどからのかぜに、銀のベンザ」と謳ってはいますが、喉の症状に対しては特に優れている点はありません。
喉が痛くてこの薬を買おうかと迷っている方は、この薬が本当にご自身の症状に合っているかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。
基本情報
・製造販売元:アリナミン製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 450㎎ | 熱をさげ、痛みを和らげる |
塩酸プソイドエフェドリン | 135mg | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛をやわらげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 450㎎ | 熱をさげ、痛みを和らげる |
塩酸プソイドエフェドリン | 135mg | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛をやわらげる |
・包装
- 『ベンザブロックL錠』(錠剤):30錠、45錠(瓶包装)
- 『ベンザブロックL』(カプレット):18錠、30錠(PTP包装)
(※カプレットとは、カプセルみたいな形の錠剤です)
各成分の効果・注意点
『ベンザブロックL』の5種の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- イブプロフェン
- NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
- 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
- 塩酸プソイドエフェドリン
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
剤形 | 年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|---|
錠剤 | 15歳以上 | 3錠 | 3回 |
カプレット | 15歳以上 | 2錠 | 3回 |
※錠剤は『ベンザブロックL錠』、カプレットは『ベンザブロックL』です
「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。でもそれほど心配しなくても大丈夫です。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。(メフェナム酸は微妙)
国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
- イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
- この製品の添付文書には記載がないですが、医療用のイブプロフェンはジドブジンとの併用は禁忌となっています。
- 喘息治療中の方:ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の説明書では「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンにより胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
また、ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECというオーストラリアの危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
総合的に見ると、妊娠してる(可能性のある)方はこの薬は避けた方が無難かと思います。
もっと安全性の高い薬は他にありますが、
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
- プソイドエフェドリン
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、この製品を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
発熱、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水、鼻づまりなどいろいろな症状に効果が期待できるかと思います。
プソイドエフェドリンが入ってる風邪薬は珍しいですね。それほど種類はないと思います。
鼻炎薬として販売してるものだと結構あると思いますが。
そのプソイドエフェドリンが入っているので、鼻づまりに対しても効果を期待できるかもしれません。
(医療用だと1日240mg。この製品は1日135mgなので半分くらい)
他の風邪薬では「鼻水・鼻づまりに」と書いてあっても、鼻づまり用の成分が入ってないものが大半です。
ただ、「のどからのかぜに、銀のベンザ」と謳ってはいるのですが、喉の症状に特化してる薬ではないですね。
喉の痛みに対してはイブプロフェンが入っていますが、1日450mgと少なめです。
1日600mg配合されている製品もある中、この量は中途半端ですね。
喉の炎症を抑えるトラネキサム酸が入っているわけでもありません。
咳にはジヒドロコデインのみ。他の製品だとメチルエフェドリンも一緒に入っていることが多いです。
メチルエフェドリンとプソイドエフェドリンは一緒に配合できないので仕方ないですけど。
ということで、咳に対しても比較的弱め。
また、去痰薬(カルボシステインやアンブロキソールなど)が入ってないので、痰がからむ咳が出る人は違う製品にした方が良いかと個人的には思います。
なぜこの製品を「喉からの風邪に」ということにしたのか不思議です。
鼻づまりがある方以外には、この製品を選ぶメリットはないように思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
肯定的な意見は、ほとんど「喉の痛みに効く」といったものばかりでした。
ん~、鎮痛に関しては他の風邪薬と大差ないか、ちょっと弱いくらいなんですけどね。
プラセボ(偽薬)効果というやつですね。暗示は大事です。
薬って「効くと思って飲めば効く」という部分が大きいですからね。
また、珍しくプソイドエフェドリンが入っているのに鼻づまりについて書いてる人が一人も見当たりませんでした。
鼻づまりで困ってる人が「喉からの風邪に」と言ってるこの製品は選ばないですよね。
なんか売り方を間違えているような気がするのですが…
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
ベンザブロックL錠 (錠剤) | 30錠:1,650円 45錠:2,178円 |
ベンザブロックL (カプレット) | 18錠:1,815円 30錠:2,618円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
剤形 | 包装 | 値段 | 1日分に換算 |
ベンザブロックL錠 (錠剤) | 30錠 | 1,000~1,800円 | 303~545円 |
45錠 | 1,200~2,200円 | 240~440円 | |
ベンザブロックL (カプレット) | 18錠 | 1,300~1,700円 | 433~567円 |
30錠 | 1,500~2,400円 | 300~480円 |
※1日分のは、錠剤は1日9錠、カプレットは1日6錠で計算
※2025年1月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
安いので1日240円くらい。風邪薬としては普通ではあるのですが…
この成分構成でこの値段ならちょっと高いかな~と思います。
この記事を読んでそれでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ベンザブロックL(錠)』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
この製品の特徴は、鼻づまりにもちゃんと効果が期待できる、という事でしょうか。
レビューではそれについて誰も書いていませんでしたけど。
「のどからのかぜに、銀のベンザ」とテレビCMでは言ってますが、喉の症状については他の薬より優れている点はありません。なんでこんなキャッチコピーにしたのかな?
パッケージやCMに惑わされず、成分構成や成分量を見て自分に合っている薬かどうかを判断していただけたらと思います。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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