『持続性パブロン錠』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品の特徴は名前の通り「持続性」であることですね。
1日2回の服用でOKです。

ただ、1日2回にしたことで1日の成分量が少なめになっているものがあります。
この製品の場合は、イブプロフェンとジヒドロコデインが他の風邪薬よりも少なめですね。

去痰薬も入っているしバランスとしては悪くないのですが、成分量としては中途半端。
特に熱や痛みに対しては弱いと思います。

1日2回にすることでのメリット・デメリットがあるので、ご自身の症状に合っているかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

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基本情報

製造販売元:大正製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
イブプロフェン400mg熱をさげ、痛みを和らげる
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩3.5mg鼻水、くしゃみを抑える
ジヒドロコデインリン酸塩16mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
アンブロキソール塩酸塩45mg痰を出しやすくする
リボフラビン(ビタミンB28mgビタミン補給
スクロールできます
成分名1日量(15歳以上の)はたらき
イブプロフェン400mg熱をさげ、痛みを和らげる
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
3.5mg鼻水、くしゃみを抑える
ジヒドロコデイン
リン酸塩
16mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
アンブロキソール塩酸塩45mg痰を出しやすくする
リボフラビン
(ビタミンB2
8mgビタミン補給

・包装

・錠剤:18錠、30錠
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『持続性パブロン錠』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. イブプロフェン
    • NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
    • 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
  2. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  3. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  4. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  5. アンブロキソール塩酸塩
    • 去痰薬の気道潤滑薬で、気道の滑りを良くし痰を出しやすくします。
    • 気管支炎や気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、副鼻腔炎などに使用されます。
    • 副作用は少なく幅広い年齢層に使いやすい成分です。
  6. リボフラビン(ビタミンB₂)
    • 水溶性ビタミンで、代謝やエネルギー産生に関与します。
    • 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがあります。
    • 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上3錠2回(朝・夕)

「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
でもあまり心配は要らないです。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)

医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。

ライ症候群
極めてまれですが、小児がインフルエンザや水痘・帯状疱疹にかかってる間にアスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛剤を飲むと発症する事があります。
症状は、脳浮腫や頭蓋内圧の上昇によって激しい吐き気・嘔吐、けいれん、意識障害、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖などが短期間に発現して、死に至ることもあります。

イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。(メフェナム酸は微妙)

国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。

15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
    • 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
  • ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
    • イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
    • この製品の添付文書には記載がないですが、医療用のイブプロフェンはジドブジンとの併用は禁忌となっています。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用期間:「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
    • 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
    • ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の説明書では「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)

イブプロフェンにより胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)

また、ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もあります。
量が少ないのであまり心配は要らない思いますが。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。

Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン
  • クロルフェニラミン

の2つが「L3(概ね適合)」となっています。

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

特徴としては、名前の通り「持続性」ということですね。
1日2回の服用でOKです。

公式ホームページによると、
OTC薬初の技術として、2つの有効成分(イブプロフェンとアンブロキソール)を同時に持続化することに成功」したそうです。

錠剤が小さいというのも特徴の一つらしいです。
その分1回3錠とちょっと多めになってますけど。

で、「1日2回」にすることでのメリットはあるのですが、デメリットもあります。

他の風邪薬でもそうなのですが、「1日2回服用」となっている製品は「1日3回服用」の製品よりも1日の成分量が少なくなるものがあります。
この製品の場合は、イブプロフェンとジヒドロコデインですね。

説明がヘタクソすぎて少し長くなったので折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

医療用の場合は、1回の量が
・イブプロフェン:200mg
・ジヒドロコデイン:10mg
となっています。(それぞれ1日3回まで使います)

市販薬に配合できる1日の最大量は、
・イブプロフェン:600mg(基本的には450mg)
・ジヒドロコデイン:24mg
です。
1日3回服用する一般的な市販薬は上記の量を配合してる事が多いですね。

で、上記の量を単純に2分割すると1回の量が
・イブプロフェン:300mg(225mg)
・ジヒドロコデイン:12mg
になってしまい、医療用の1回量を超えてしまいます。

イブプロフェンジヒドロコデイン
医療用医薬品の1回量200mg10mg
市販薬に配合できる
1日の最大量
600mg
(基本的には450mg)
24mg
単純に2分割したとき300mg
(225mg)
12mg
イブプロフェンジヒドロコデイン
医療用医薬品の1回量200mg10mg
市販薬に配合できる
1日の最大量
600mg
(基本的には450mg)
24mg
単純に2分割したとき300mg
(225mg)
12mg

なので、「1日2回製品」の1回量は「1日3回製品」の1回量と同じになっていることが多いです。
1日量は単純に3分の2になります。

「市販薬の1回量」が「医療用の1回量」を超えることはできないでしょうし、これは仕方ないかと思います。

ジヒドロコデインは1回10mg・1日20mgにすれば良いのに、と思いますが、今のところそういう製品は見た事がありません。できないのかな?この辺はちょっとよく分かりません

d-クロルフェニラミンとメチルエフェドリンの2つは市販の風邪薬に配合できる最大用量が入っています。
この2つは市販薬に配合できる量がもともと少なく、1日2回でも1回量が医療用を超えることはありません。

アンブロキソールは微妙ですが、医療用では1回45mg・1日1回の徐放錠(カプセル)があります。
とりあえず1日45mg以下であれば、1日1回でも2回でも3回でも良さそうですね。

ということで、効き目を重視するのであれば普通の「1日3回」の製品を選んだ方が良いかもしれません。
1日2回の製品は成分量が中途半端になりがちです。
どうしても「昼に飲むのを忘れる・めんどくさい」という人は1日2回のでも良いと思いますけど。

実際の効き目としては、発熱・痛みには弱いと思います。咳はそれほど変わらないと思いますが。

去痰薬も入っているし、成分構成自体はそんな悪くないんですけどね。ちょっと中途半端。

かといって、これを1日3回にすると何の特徴もない製品になってしまいます。
選択肢はなるべく多い方が良いですね。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「ひき始めに飲みましたが即効性が良い」
「市販薬の中では効くほうだと思う」
「鼻水もくしゃみもピタリと止まる。めちゃくちゃ効くわ」

といった具合。

否定的な意見としては、

「効果が分からなくて…ただ今悪化中」
「お昼飲めないからと思ってこれにしてみたけど良くならない」
「すごく喉が渇く」

といった感じ。

効果に対する評価はいまいちでしょうか。
イブプロフェンが少なめですし、のどの痛みなどに対してはあまり効かないでしょうね。

大体の方は「1日2回で良いから買った」という感じでした。
1日3回でも良いという方は、他の製品を買った方が良いかもしれませんね。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

18錠1,670円
30錠2,154円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
18錠950~1,500円317~500円
30用1,200~2,200円240~440円

※1日分のは、1日6錠で計算
※2025年2月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

成分量で考えると1日200円以下でも良いような感じなので、高めですね。
持続性にする技術だかでコストがかかってるのかな?

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『持続性パブロン錠』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品の特徴はもちろん「1日2回の服用でいい」という事ですが…
1日2回の製品は、1回量の上限が医療用を超えられない以上、どうしても1日の総量が少なくなってしまいます。

1日2回で良いのは確かに利点ではあるのですが、効果が無ければ意味がありません。

症状の軽い方とか、「引きはじめにちょっと飲んでおこうかな」程度の使用に限られるかもしれないですね。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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