
『新ルル-A錠s』の特徴は、中枢性の鎮咳薬が2種類入っている、という事くらいでしょうか。
咳・痰に関する成分は全部で4種類入ってます。咳に重点を置いてるみたいですね。
他の成分もまんべんなく入っています。抗コリン薬が入ってないくらい。
「新ルル」のシリーズは他に
- 『新ルルAゴールドDXα』
- 『新ルルAゴールドs』
がありますが、内容的にはそれほど変わらないですね。
総合感冒薬って大体似たようなものですけど。
「ゴールド」が付いてない分、この『新ルル-A錠s』は格下に見えるかもしれませんが、そういうわけでもありません。
比較表を載せておきます。詳しくはそれぞれの記事を見てみてください。
(この記事) | 『新ルル-A錠s』新ルルAゴールドs』 | 『新ルルAゴールドDXα』 | 『|
解熱鎮痛剤 | アセトアミノフェン | アセトアミノフェン | アセトアミノフェン |
鼻水の薬 | クレマスチン | クレマスチン ベラドンナ総アルカロイド | クレマスチン ベラドンナ総アルカロイド |
咳止め | ジヒドロコデイン メチルエフェドリン ノスカピン | ジヒドロコデイン メチルエフェドリン ノスカピン | デキストロメトルファン メチルエフェドリン |
痰の薬 | グアヤコールスルホン酸 | ブロムヘキシン | ブロムヘキシン |
喉の薬 | なし | なし | トラネキサム酸 |
ビタミン剤 | ビタミンB1 | ビタミンB1 | なし |
カフェイン | 75mg | 75mg | 60mg |
『新ルルAゴールドDXα』にはトラネキサム酸が入っていますが、量が少ないので効果に関してはあまり期待できないでしょう。
他2つとの違いは抗コリン薬が入っているかいないか、という事だけ考えてもらえれば良いかと思います。
鼻水がひどい方は抗コリン薬が入っている方が良いですが、口渇や便秘が気になる方、緑内障や前立腺肥大がある方はこちらの『新ルル-A錠s』の方が安心して使えるかもしれません。
基本情報
・製造販売元:第一三共ヘルスケア
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
グアヤコールスルホン酸カリウム | 240mg | 痰を出しやすくする |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ベンフォチアミン (ビタミンB1誘導体) | 24mg | ビタミン補給 |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クレマスチンフマル酸塩 | 1.34mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
ノスカピン | 48mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
グアヤコールスルホン酸 カリウム | 240mg | 痰を出しやすくする |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
ベンフォチアミン (ビタミンB1誘導体) | 24mg | ビタミン補給 |
・包装
- 錠剤:45錠、90錠、135錠
(瓶包装)
各成分の効果・注意点
『新ルル-A錠s』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- アセトアミノフェン
- 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
- クレマスチンフマル酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 他の第一世代抗ヒスタミン薬と比べると持続的。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- ノスカピン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
- 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- グアヤコールスルホン酸カリウム
- 気道の分泌を増やすことで痰を薄めて出しやすくします。
- 弱い消毒作用もあるそう。
- 特に注意点はありません。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- ベンフォチアミン(ビタミンB1誘導体)
- 水溶性ビタミンで、糖からエネルギーを作り出すのに必要です。
- 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 3錠 | 3回 |
12~14歳 | 2錠 | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
ただ、それほど胃に負担のかかるものや食事の影響を受けるものもないのであまり気にしなくて良いと思います。
12歳未満の方は服用しないでくださいということになっています。
ジヒドロコデインが入ってるからですね。
と言っても、以前は小児でもコデインは使ってましたけどね。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息治療中の方
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって、胎児が頻脈を起こす可能性はあります。
この2つは入っているとは言え量も少なめです。あまり心配は要らないかと思います。
もう一つ、グアヤコールスルホン酸についての情報が不足しています。
この成分が入ってる他の市販薬を調べてみると、妊娠中も使えるものがありました。
かつ、他の去痰薬で妊娠中に使ってはダメなものはない、という事を考えると問題はなさそうですが、データが不足している以上、ハッキリした事は言えません。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
ただ、そこまで心配することもないかと思います。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- クレマスチン:「L4(悪影響を与える可能性あり)」
となっています。
でもクレマスチンって1歳未満でも使えるんですよね。小児用のシロップもあるし。
他には、
- ジヒドロコデイン:「L3(概ね適合)」
となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
グアヤコールスルホン酸もデータはありませんが、乳児が去痰薬を多少服用したところで問題になる事はありません。
他の去痰薬は普通に使いますしね。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
構成としては同じ「ルル」シリーズの『新ルルAゴールドs』とほぼ同じです。
こちらの『新ルル-A錠s』は抗コリン薬が入ってない、去痰薬が違う、というだけですね。
この『新ルル-A錠s』の特徴は、中枢性鎮咳薬が2種類入ってる、くらいでしょうか。
去痰薬にグアヤコールスルホン酸を使っているのは風邪薬としては珍しいですが、特徴というほどの事でもないですね。逆に、なんでこんなのを使ってるのかな?とは思いますけど。
中枢性の鎮咳薬として、ジヒドロコデインとノスカピンの2つが入っています。
この組み合わせは「ルル」のシリーズに多いかもしれません。
ジヒドロコデインは痰を硬くしますが、ノスカピンはそういう事はないようですね。
ノスカピンの効果に関してはいまいち分かりませんけど。
さらに気管支拡張薬のメチルエフェドリン、去痰薬のグアヤコールスルホン酸が配合されているので、咳・痰に関するものが全部で4種類入ってることになりますね。多め。
ただ、グアヤコールスルホン酸は医療用でも使われていないし、効果もいまいちよく分かりません。
消毒の作用があるようなので、トローチなどに使われることが多いみたいですね。
鼻水に関してはクレマスチンのみ。
第一世代の抗ヒスタミン薬ですが、この成分は持続性です。長めに効くものですね。
ちなみに鼻づまりには効果は期待できません。
抗コリン薬は入っていません。口渇や便秘が気になる人は抗コリン薬が入ってない方が良いでしょう。
ただ、もちろん鼻水を止める効果は弱くなります。
熱・痛みにはアセトアミノフェンが1日900mg。これは決して多くはないのですが、市販の風邪薬の上限なので仕方ないですね。
痛みがひどい方はイブプロフェンが1日600mg入っている薬の方が多少は良いかもしれません。それほど変わらないと思いますが。
また、立場上お勧めはできませんが、アセトアミノフェンだけが入っている解熱鎮痛剤をちょっと足す、という方法もあります。(1回の量が500~600mgになるように)
※アセトアミノフェンが入っている解熱鎮痛剤の記事も書いてます。

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あと細かい事ですが、丸っこい糖衣錠なのは良いですね。スルッと飲み込めます。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効果に関しては人それぞれですね。
全然効かないという人もいれば効きすぎるという人もいます。
『新ルルAゴールドs』と同じく、こちらでも咳について言及してる人がいなかったのが残念。
「小さい頃からルルなので」みたいな人もいましたね。
以前は7歳くらいから使えたと思います。何年か前にジヒドロコデインが12歳以上になってしまったんですよね。
あとやっぱり「飲みやすい」という声が多めでした。やっぱり糖衣錠は良いですね。
ツルンとしてるから喉が痛い時でもすんなり飲めます。
あとは、瓶なので持ち運びがしやすいと。ここは意見が分かれるところだと思います。
1錠(カプセル)ごとに包装されてるPTP包装の方が良いという人もいますしね。好みですね。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
45錠 | 1,650円 |
90錠 | 2,695円 |
135錠 | 3,410円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
45錠 | 1,100~1,800円 | 220~360円 |
90錠 | 1,600~2,300円 | 160~230円 |
135錠 | 1,900~3,100円 | 127~207円 |
※1日分のは、1日9錠で計算
※2025年2月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
45錠のは普通ですが、90錠・135錠は安いですね。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『新ルル-A錠s』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴としては、中枢性の鎮咳薬が2種類入っている、ということでしょうか。
気管支拡張剤と去痰薬も入っているので、咳・痰に関する成分は全部で4つですね。
去痰薬はグアヤコールスルホン酸で、これは風邪薬よりは咳止めに入っている事が多いです。医療用のがないので効果に関してはいまいちよく分かりません。
抗コリン薬が入ってないですが、それ以外は全て入れたって感じの製品ですね。
いろんな症状があるうちはこういうのも良いのですが、症状が限定されてきたらそれに合ったものを使う方が良いでしょう。
値段に関しては安い部類に入ると思います。
入っている成分が他の風邪薬と比べて少ないかと言われると全然そんなこともないですしね。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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