今回は「ロキソプロフェン」について解説します。
現在、医療用としては一番使われているNSAIDsではないでしょうか。
効果と副作用のバランスについては定評がありますね。
第1類医薬品ということで購入には少し手間がかかりますが、これが市販で買えるようになったのは選択肢が増えてありがたいですね。
この記事では、ロキソプロフェンの効果や特徴について、薬剤師の観点から詳しく解説していきます。
ロキソプロフェンの基本情報
ここの項目はマニアックだと思うので、興味のある方だけ読んでみてください。
どうでもいい情報も載せています。
比較的新しめ。それでも40年くらいの歴史があります。
ロキソプロフェンは日本で開発された薬で、三共株式会社(現在の第一三共株式会社)が1986年に『ロキソニン』を販売開始しています。
飲み薬だけでなく、テープ剤や塗り薬も出てますね。
以前は劇薬だったのですが、2010年頃にその指定が外れてます。
その後に市販薬として販売されるようになりました。
アセトアミノフェン(カロナール)の500mg錠でさえ劇薬なんですけどね。
劇薬の基準がちょっとよく分かりません。
Wikipediaによると、日本、メキシコ、ブラジルでよく使われているそう。
欧米では使われてないのかな?使いやすい薬だと思いますけどね。
ちなみに、医療用のロキソプロフェンにはなぜか頭痛の適応がありません(普通に使いますけど)。
市販されたときにCMで「頭痛に」と言っててちょっと不思議な感じがしましたね。
ロキソプロフェンはNSAIDsの一つ
ロキソプロフェンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一つです。
現在使われている内服のNSAIDsではかなり使われているものですね。たぶん一番?
強い炎症を抑える「ステロイド」という種類の薬がありますが、NSAIDsは名前の通りステロイドではありません。
ステロイドではないけれど抗炎症作用・鎮痛作用があるものの総称ですね。
NSAIDsには構造式の違いからいくつかの系統があります。
アスピリンは「プロピオン酸系」と呼ばれるものになります。
この系統は多い方ですね。市販薬でよく使われるイブプロフェンもプロピオン酸系です。
NSAIDsの効果と作用機序
他の記事にも書いてますが、こちらにも書いておきます。
内容はほとんど同じなので折り畳みにしておきます。
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痛みが起こる仕組み
組織がダメージを受けた時に細胞から遊離したアラキドン酸が、シクロオキシゲナーゼ(以下:COX)という酵素の働きによってプロスタグランジン(以下:PG)になります。
このPGの作用によって腫れ、熱感などが出てきます。
また、血液からブラジキニンという物質が出てくるのですが、これは神経を過敏にして痛みを感じさせます。
PGはこのブラジキニンの働きを強める作用もあります。
NSAIDsの作用機序
NSAIDsの作用機序は、このCOXの働きを阻害することでPGの合成を抑制します。
なので自分はNSAIDsの事を勝手に「抗プラスタグランジン薬」と呼んでいます。
PGの働きを抑えることで炎症を抑え、ブラジキニンによる疼痛も抑えます。
で、これが「ダメージを受けた部位」のみで作用(COX-2阻害)してくれれば良いのですが、「関係ない部位」でも作用(COX-1阻害)してしまうのですね。
PGは血小板の凝集作用、末梢の血管拡張作用、血圧低下作用などがあります。
これらも阻害されてしまうので、出血しやすくなったり(アスピリンはこれを利用して抗凝固薬として使う)、血圧が上がったりします。
胃の粘膜の血流量も減ることで胃粘液が減って、胃の防御力が下がってしまいます。
「痛み止めは胃に負担がかかる」というのはこれの事ですね。
また、腎臓の動脈が収縮することで腎臓の血流量が減少し、腎機能が低下してしまいます。
その結果いろいろありまして~、ナトリウムや水分の再吸収が促進。
それにより血圧上昇や浮腫みなどが出てきます。
体内の水分量が増えるため心臓の負担も大きくなり、心不全が悪化します。
医療用ではCOX-2を選択的に阻害する薬があり、こちらは胃への負担が少なくなっています(消化器系の合併症が約50%少ない)。
解熱作用
体温の上昇にもまたPGが関わっています。
風邪などによって発熱の情報を持つPGが作られると、それが脳の視床下部の体温調節中枢というところを刺激します。
この刺激を受け取った体温調節中枢は、体に「体温を上げろ~!」と指示を出します。
で、発熱を起こすんですね。生体防御反応の一つです。
NSAIDsはPGの合成を抑えることで発熱も抑えることができます。
ただ、解熱に関しては大人でもアセトアミノフェンを使うことの方が多いですね。
風邪をひいたとき、頭痛や喉の痛みがあればロキソプロフェンが処方されることもありますが、発熱だけでNSAIDsが処方されることはあまりないと思います。
海外では小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されていますが、日本ではイブプロフェンは小児の解熱に適応がありません。なぜかは分かりませんけど。
(適応外として使うことはあります)
ちなみに、医療用NSAIDsには解熱に適応のない薬が10種類ほどあります。
NSAIDsと一括りに言っても、使い方はそれぞれですね。
ロキソプロフェンはプロドラッグ
ロキソプロフェンはプロドラッグと呼ばれるものになります。
プロドラッグとは、薬が体の中に吸収された後に代謝(化学変化)を受けて薬効を発揮するものです。
NSAIDsは胃に負担がかかるのですが、これは薬が吸収された後だけではなくて吸収される時にも起こります。
アスピリンなどの他のNSAIDsはそのままの形で薬効を示すため、胃に入った時に胃に直接作用してしまいます。
ロキソプロフェンは胃に入った時には薬効を示しません。なので胃への直接の作用がないんですね。
なので他のNSAIDsよりも胃への負担が軽めとされています。
ただそれでも長期間飲んでいたり、1回の量が多いと胃に負担がかかります。
用法・用量はしっかり守ってください。
ロキソプロフェンの効果時間
医療用医薬品の「ロキソニン」の添付文書の情報では、
ロキソプロフェンの活性代謝物(薬効を示す成分)のデータは
・tmax:0.79±0.02hr(最高血中濃度に到達するまでの時間)
・t1/2:1.31±0.05hr(生物学的半減期。血中濃度が半分になるまでの時間)
となっています。
1時間弱で最高血中濃度に到達しますが、飲んでから30分程度すれば効果は出てくると思います。
効果があるのは飲んでから30分~3時間程度ですね。
ただ、この辺は個人差があります。体重や飲む量によっても変わります。
ロキソプロフェンの使用方法
ここではロキソプロフェンの具体的な使い方について書きます。
製品の添付文書(説明書)と違うことを書いてるかもしれません。使用する際は自己責任でお願いします。
痛みを抑えるために使う場合
医療用の場合、「1回60mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する」
となっています。
市販のロキソプロフェンは基本的には1回60mgを1日2回までの使用が推奨されていますが、すべての製品に「再度症状が現れた場合には3回目を服用できます。」と記載されています。
つまり、医療用と同じく1回60mgを1日3回まで使用できます。
服用間隔は4~5時間程度空ければ良いでしょう。
胃への負担が軽めとは言ってもなるべく空腹時には飲まない方が良いと思います。
胃粘膜を保護する成分が入ってる製品もあるので、そういうのを使うのも良いでしょうね。
で、これはおすすめする訳ではないのですが、
医療用では痛みがひどい時に「1回120mg」で使うことがあります(親知らずを抜いた時とか)。
1回60mgで効かない場合、1回120mgで試してみても良いでしょう。
この場合は6時間以上空けて1日2回までにしてください。1回120mgを1日3回飲んで、何日かで胃潰瘍になってしまった人もいます。そうなると大部分の痛み止めが使えなくなって悲惨なことになります。
1日2回まででも必ず短期間にしてください。できれば胃薬も飲んでた方が良いですね。
あと、ロキソプロフェンは小児の適応がありません。
子どもにはアセトアミノフェンかイブプロフェンをおすすめします。
(体重が40kg程度あればロキソプロフェンも使って良いと思いますけどね)
熱を下げるために使う場合
市販薬に関しては痛みで使う場合と同じになっていますね。
医療用の方は「1回60mgを頓用。原則として1日2回まで、1日最大180mgを限度」となっています。
痛みに対して使う場合と同じと思って良いでしょうね。
他の記事でも書いてますが、解熱剤を使う目安は
「熱が〇〇℃以上」ではなくて、「体が辛いかどうか」で決めて良いと思います。
一般的には、38.5℃以上になったら解熱剤を使うように医師から指示されることが多いかと思いますが、これもあまり気にしなくて大丈夫です。
38℃以上であっても特に辛くなければ薬を使う必要もないですし、37℃台でも辛いなら薬を使えば良いと思います。
服用間隔は痛みで使う場合と同じく4時間空ければ十分です。
ただ、解熱だけが目的でロキソプロフェンはあまり使わないですね。
ダメっていうことではないのですが、アセトアミノフェンで良いかと思います。
熱もあるけど頭痛もある、関節も痛いなど、痛みも併発してるときにロキソプロフェンを使うのが一般的です。
禁忌や副作用、飲み併せなどの注意点
ロキソプロフェンは「第1類医薬品」というだけあって、他の市販の解熱鎮痛剤と比べると注意点が多いかもしれません。
ここでは副作用や他の薬との飲み併せなどについて説明します。
禁忌
次の状態にある方は飲まないようにしてください。
・消化性潰瘍
・重篤な血液障害
・重篤な肝障害
・重篤な腎障害
・重篤な心機能不全
・アスピリン喘息又はその既往
・妊娠後期(28週以降)(出産予定日12週以内)
アスピリンとの違いは「出血傾向」が有るか無いかですね。
ロキソプロフェンは禁忌にはなりません。
副作用
発疹
それほど多いわけではないのですが、ロキソプロフェンで発疹が出る方がちょくちょくいます。
経験がある方は他の痛み止めにしておいた方が良いでしょう。
消化性潰瘍
NSAIDs全般に言えることですが、胃に負担がかかることがあります。
ロキソプロフェンはプロドラッグではあるのですが、作用上やっぱり胃に負担がかかります。
胃が強い方でもなるべくなら胃粘膜保護の成分が配合された製品を選んだ方が良いかと思います。
あと、なるべく食直後服用が望ましいですね。
アスピリン喘息
NSAIDsにより喘息発作が誘発されることがあり、これをアスピリン喘息といいます。
気管支喘息の10%くらいはこのアスピリン喘息とも言われていて、NSAIDsの副作用としては無視できないものですね。
ちなみに、「アスピリン喘息」とは言いますがアスピリン以外のNSAIDsでも起きます。
飲み薬だけでなく、シップや塗り薬でも起きます。
気管支喘息の方が解熱鎮痛剤を使う場合はアセトアミノフェンにしておいた方が無難かと思います。
高血圧・浮腫
そこまで多いわけではないのですが、血圧が上がったり浮腫みが出る方がいます。
NSAIDsは作用上、どうしても体に水分を貯めやすくなるんですね。
血管内の水分量が増えると血圧が上がり、血管から細胞の隙間に水分が漏れ出して浮腫みが出てきます。
腎機能が悪い方、心機能異常のある方は注意してください。特に高齢の方ですね。
他の薬との飲み併せ
併用禁忌はありません。併用注意がいくつかあります。
併用注意
医療用の「ロキソニン」の添付文書に書いてあるものをそのまま載せておきます。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
クマリン系抗凝血剤 ワルファリン | 抗凝血作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 | 本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により血小板凝集が抑制され血液凝固能が低下し、抗凝血作用に相加されるためと考えられている。 |
第Xa因子阻害剤 エドキサバントシル酸塩水和物等 | 出血の危険性を増大させるおそれがある。 | 抗血栓作用を増強するためと考えられている。 |
スルホニル尿素系血糖降下剤 クロルプロパミド等 | 血糖降下作用を増強するおそれがあるので注意し、必要があれば減量すること。 | 本剤のヒトでの蛋白結合率は、ロキソプロフェンで97.0%、trans-OH体で92.8%と高く、蛋白結合率の高い薬剤と併用すると血中に活性型の併用薬が増加し、作用が増強されるためと考えられている。 |
ニューキノロン系抗菌剤 レボフロキサシン水和物等 | 痙攣誘発作用を増強することがある。 | ニューキノロン系抗菌剤は、中枢神経系の抑制性神経伝達物質であるGABAの受容体への結合を阻害し、痙攣誘発作用を起こす。本剤の併用により阻害作用を増強するためと考えられている。 |
メトトレキサート | 血中メトトレキサート濃度を上昇させ、作用を増強することがあるので、必要があれば減量すること。 | 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 |
リチウム製剤 炭酸リチウム | 血中リチウム濃度を上昇させ、リチウム中毒を起こすことがあるので血中のリチウム濃度に注意し、必要があれば減量すること。 | 機序は不明であるが、本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し血中濃度が上昇するためと考えられている。 |
チアジド系利尿薬 ヒドロクロロチアジド等 | 利尿・降圧作用を減弱するおそれがある。 | 本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、水、ナトリウムの排泄を減少させるためと考えられている。 |
降圧剤 ACE阻害剤 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等 | 降圧作用を減弱するおそれがある。 | 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、降圧作用を減弱させる可能性がある。 |
降圧剤 ACE阻害剤 アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等 | 腎機能を悪化させるおそれがある。 | 本剤のプロスタグランジンの生合成抑制作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
それぞれ簡単に解説していますが、少し長いので折り畳みにしておきます。
併用注意についての簡単な説明
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・ワルファリンは脳梗塞や心筋梗塞、第Xa因子阻害剤は脳梗塞や静脈血栓塞栓症に使われます。
ロキソプロフェンもNSAIDsなので併用注意にはなっていますが、普通に使われますね。一応注意してください。
・スルホニル尿素系血糖降下剤は糖尿病の薬です。インスリンの分泌を促す薬ですね。
その中でもグリベンクラミド(オイグルコン)、グリメピリド(アマリール)がここに該当します。
表に書いてあるクロルプロパミドはもう無いんじゃないかな?
低血糖はちょっと怖いので慎重に使ってください。
・ニューキノロン系抗菌剤は細菌性感染症に使われます。
特に高齢の方で痙攣が現れやすいので注意してください。
・メトトレキサートは免疫抑制剤です。よく関節リウマチに使われていますね。
おそらく一緒に痛み止めも処方してもらっていると思うので、市販薬を追加して使用しない方が良いと思います。
・リチウム製剤は気分安定剤です。躁病や双極性障害などに使われます。
NSAIDsを使ってはダメという事はないのですが、
・手が震える
・意識がぼんやりする
・眠くなる
・めまいがする
・言葉が出にくくなる
・吐き気がする
・下痢をする
・食欲がなくなる
・口が渇く
・お腹が痛くなる
などの複数の症状が出た場合はリチウム中毒の可能性もあります。
腎機能が低下している方は注意してください。
・チアジド(サイアザイド)系利尿剤、ACE阻害剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤等は高血圧、心不全などに使われます。
血圧が上がってきた、浮腫みが出てきた、息切れするなどの症状が出てきたらロキソプロフェンは中止してください。
ここに書いてあることはあまり気にしなくて大丈夫ですが、上記の薬を服用中の方は「一応そういう可能性もあるんだな」と思っておいてください。
あと上には載ってないですが、他のNSAIDs(アスピリンやイブプロフェン)とも一緒には使わないでください。
妊娠中・授乳中の方
妊娠中
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
動物実験(ラット)で分娩遅延及び胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)の収縮が報告されています。
妊娠後期でなければ大丈夫かというと、
「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には、必要最小限にとどめ、適宜羊水量を確認するなど慎重に投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある」
とのことなので、避けた方が良いでしょう。
基本的に、妊娠中はNSAIDs全般は避けた方が良いです。
妊娠中の方は使うとしてもアセトアミノフェンにしておいた方が良いですが、
そもそも妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(と言うか、必ず受診してください)
授乳中
こちらに関しては特に問題ないと思います。
「ロキソニン」の添付文書では
「分娩後14日目のラットに14C-ロキソプロフェンナトリウム水和物を2mg/kg経口投与後、乳汁中濃度は血液中濃度に比較し投与後4時間で4.3倍、投与後6時間で3.9倍であった」
となっていますが、そもそも投与後4時間、6時間だと血中濃度はかなり下がっています。
心配であれば授乳後にロキソプロフェンを服用すると良いでしょう。次回の授乳までにはかなり分解(代謝)されています。
こちらのサイトでもロキソプロフェン(ロキソニン)は安全とされていますね。
もしそれでも心配であればロキソプロフェンではなくてアセトアミノフェンが良いと思います。
アセトアミノフェンは体重が5㎏でも使えますからね。多少乳汁中に移行しても問題ないでしょう。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)について
市販の解熱鎮痛剤を頭痛に使う方も多いかと思います。
たまになら良いのですが、連用していると薬が効かなくなってきたり、頭痛が慢性化することがあります。
その場合、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。
市販薬では「アスピリン」、「アセトアミノフェンとカフェインの併用」などが原因となることが多いですが、他の鎮痛剤が原因になる事もあります。
以下の症状に当てはまる場合は注意が必要です。
・頭痛が月に15回以上ある
・月に10回以上頭痛薬を飲んでる
・薬を飲んでも効かなくなってきた
・朝起きた時から頭痛がある
これらが当てはまる人は、頭痛外来や脳外科などを受診してみてください。
他の疾患の可能性もあるので、頭痛が続いてる場合は必ず医師に相談してください。
ロキソプロフェンを含む市販の解熱鎮痛剤
ロキソプロフェンを含む市販の解熱鎮痛剤を紹介していきます。
それほど数は多くないですね。
ロキソプロフェン単体の製品
製品一覧
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製品名 | ロキソプロフェン 1回量 |
---|---|
5COINS PHARMA ロキソプロフェン錠「RX」 | 60mg |
ナロンLoxy | 60mg |
ナロンLoxy ロキソプロフェンT液 | 60mg |
ハリー解熱鎮痛薬L | 60mg |
ビタトレール ロキソプロフェンS | 60mg |
ピタリノールLX | 60mg |
ユニペインL | 60mg |
ロキソニンS | 60mg |
ロキソプロフェン錠「AX」 | 60mg |
ロキソプロフェン錠「GX」 | 60mg |
ロキソプロフェン錠「JG」 | 60mg |
ロキソプロフェン錠「LS」 | 60mg |
ロキソプロフェン錠「クニヒロ」 | 60mg |
ロキソプロフェン錠M | 60mg |
いろんな会社が販売していますが、中身はどこも同じですね。1錠中に60mg含まれています。
唯一『ナロンLoxy ロキソプロフェンT液』というのが液体タイプですね。
『ロキソニンS』というのが医療用の『ロキソニン』と同じ第一三共の製品ですが…
値段は高めですね。
12回分で600円くらいします。
あとはいわゆる後発になりますが、例えば下の「クニヒロ」は医療用でもちゃんとロキソプロフェンの後発品を出してますね。
なんかこれ、yahooショッピングだと12回分で154円で売ってるのですが…(2024年7月30日時点)
他のところでも300円ちょっとで売ってるし、安いですね。
解熱鎮痛剤がロキソプロフェンのみで、
他の成分を配合している製品
製品一覧
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製品名 | ロキソプロフェン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|
コルゲンコーワ鎮痛解熱 LXα | 60mg | トラネキサム酸:140mg |
ロキソニンSクイック | 60mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
ロキソニンSプラス | 60mg | 酸化マグネシウム:33.3mg |
ロキソニンSプレミアム | 60mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:50mg メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
ロキソニンSプレミアム ファイン | 60mg | シャクヤクエキス:36mg ヘスペリジン:30mg メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
『ロキソニンSクイック』
『ロキソニンSプラス』
の2つは、ロキソプロフェン+胃粘膜保護の成分が入ってますね。
(『バファリンEX』というのもあったのですが、販売中止になってました)
『コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα』は喉の炎症に使うトラネキサム酸が入っています。
喉の痛みがあるときには良いかな?
『ロキソニンSプレミアムファイン』は筋肉の緊張を和らげるシャクヤク、ビタミン様物質のヘスペリジン、胃粘膜保護のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが入っています。
ヘスペリジンはどうでもいいですが、シャクヤクが入っているのが独特ですね。
メーカーは「生理に伴う痛みに」と謳っていますが、肩こりからくる頭痛などにも良いかもしれません。
パッケージはピンクを基調としていて明らかに女性がターゲットですね。
こんなの↓
『ロキソニンSプレミアム』はアリルイソプロピルアセチル尿素が入っている時点で個人的にはアウトです。
おすすめできません。
理由は、下記の通りです(以前の記事と同じ)。少し長いので折り畳みにしています。
「アリルイソプロピルアセチル尿素」と「ブロモバレリル尿素」について
クリック・タップで開きます。
作用
もともとは鎮静剤、睡眠薬です。
医療用医薬品の添付文書では「体内でBr–(臭素)を遊離し、神経細胞の興奮性を抑制することにより、鎮静、催眠作用を現す」と書かれています。
要は、脳を麻痺させるわけですね。
痛みを抑えるというより、痛みを感じにくくする、といったところでしょうか。
2つとも習慣性医薬品となります。
なぜか日本ではいまだに使われていますが、現在は海外ではほぼ使われません。
副作用
眠気、依存症、呼吸抑制などが出る場合があります。
睡眠薬として使われる量よりはかなり少ないですが、服用後は自動車の運転等危険を伴う機械の操作はしないようにしてください。
依存症も問題になります。服用後、薬が切れてくるとと不安感が出てきて、薬を飲むと不安感が消えます。
これで薬が手放せなくなるんですね。薬漬けというやつです。
連用してる人が急に薬を止めると、まれに痙攣発作、せん妄、振戦、不安等の離脱症状があらわれることがあります。
やめる場合は徐々に減量するなどしましょう。
というか、こうなってしまった方は受診してください。
ほかに、呼吸抑制の危険性もあります。
通常は意識をしなくても呼吸は行われるものですが、この命令が脳から出されなくなるんですね。
これは他の睡眠剤でも起こり得ます。
過量摂取による急性中毒症状としては、中枢神経症状(四肢の不全麻痺、深部反射消失、呼吸抑制等)が主なものであり、覚醒後に幻視、全身痙攣発作、神経炎、神経痛等が起こる場合があります。
オーバードーズ(意識的な過剰摂取)による死亡例があり、自殺に使われたこともあります。
以上のような事があるので、海外では販売禁止の国もあります。
使用する際の注意点
長期連用は避けましょう。
痛み止めの基本的な使い方はあくまで頓服、「症状があるときだけ」です。
もし「薬を飲まないと落ち着かない」という状態であればすでに依存が形成されている可能性があります。
受診した方が良いでしょう。
これらの成分が含まれる製品を使用する際には、用法用量を厳守し、長期間の連続使用は避けることが重要です。
できれば、これらの成分が含まれていない製品を選ぶことをお勧めします。
あと、カフェインについて。
カフェインも頭痛や頭重感を和らげる効果があります。
ただ、市販薬に含まれている量で効果があるかと言われると疑問です。
おすすめしたい製品
おすすめできるのは、ロキソプロフェン単体、またはロキソプロフェン+胃粘膜保護だけのものです。
単体のものはどれでも良いです。値段で決めて良いでしょう。
店舗によっておいてる製品が違うと思うので、そこで売ってるもので良いと思います。
その他の成分として胃粘膜保護の成分だけが入ってるものは以下の2つです。
製品名 | ロキソプロフェン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|
ロキソニンSクイック | 60mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
ロキソニンSプラス | 60mg | 酸化マグネシウム:33.3mg |
『ロキソニンSクイック』
Amazonだと12回分で776円。
1回分が64.7円。
『ロキソニンSプラス』
Amazonだと12回分で643円。
1回分が53.5円。
この2つの違いが分かりません。別にどちらでも良いと思います。
というか、やっぱり値段で考えるとロキソプロフェン単体の方が断然安いですよね。
再度載せておきますが、
『ロキソプロフェン錠「クニヒロ」』
yahooショッピングだと12回分で154円。しかも送料無料。
1回分が12.8円。
正直、胃粘膜保護の成分(制酸剤)がどの程度効果があるのか分かりません。
単体で飲んで何ともない人はこれで良いと思いますし、胃の調子が悪くなる人は胃薬も買って一緒に飲むと良いでしょう。牛乳でも良いかも(牛乳も制酸剤と同じような効果になります)。
第1類医薬品は店舗で買う場合は薬剤師がいるところでないと買えませんが、薬剤師がいないドラッグストアも多いと思います。
調剤薬局なら確実に薬剤師はいますが、市販薬を置いていない調剤薬局もあります。
ネットで買う場合は簡単なアンケートに答えるだけで買えますね。ほんとザルです。
まとめ
大人が市販の痛み止めを使う場合、他に疾患がなければロキソプロフェンが一番良いと個人的には思います。
効果も高いし副作用もそれほどありません。値段もそれほど高くないですし。
アセトアミノフェンの方が確かに安全性は高いです。通常用量においては。
でも効かなければ意味がありません。
ロキソプロフェン60mgと同等の効果を得ようとすると、
アセトアミノフェンは1,000mg程度は使う必要があります。
この場合、1日3回使うとなるとアセトアミノフェンは1日3,000mgになります。
これはちょっとどうなのか?あまりおすすめできません。
アセトアミノフェンを1回に500~600mg使っても効果がないのであれば、増量するのではなくてロキソプロフェンを使った方が良いかな、と個人的には思います。
といっても、効果には個人差があります。
大切なのは「自分に合った薬を使う」ということですね。
あと毎回書いてますが、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)には注意してください。
痛み止めは日常的な使用は避けて、症状があるときだけの頓服での使用が基本になります。
記事中によく出てくるアセトアミノフェンについては下の記事にまとめています。
効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回からは解熱鎮痛剤の各主成分について詳しく解説していこうと思います。 まずは「アセトアミノフェン」について。 おそらく解熱鎮痛剤としては一番使われているであ…
痛みや発熱の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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