前回は「アセトアミノフェン」について解説しました。
⇒「アセトアミノフェン」についての詳細ガイド 効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】
今回は「イブプロフェン」について解説していきます。
アセトアミノフェンと同じく、イブプロフェンもその安全性の高さから市販薬にはよく使われていますね。
解熱鎮痛剤はもちろん、総合感冒薬にもよく配合されています。
この記事では、イブプロフェンの効果や安全性、特徴について、薬剤師の観点から詳しく解説していきます。
イブプロフェンの基本情報
ここの項目はマニアックだと思うので、興味のある方だけ読んでみてください。
どうでもいい情報も載せています。
50年以上の歴史があります。
イブプロフェンの医療用医薬品の先発品は「ブルフェン」というのですが、これの販売開始は「1971年11月」となっています(ブルフェンの添付文書より)。
これを書いてるのは2024年7月ですから、約51年前ですね。半世紀も前。
アセトアミノフェンは100年以上の歴史がありますが、こちらも十分に実績のある薬ですね。
市販薬では、1985年にエスエス製薬が日本で初めてイブプロフェンを配合した製品、「イブ(EVE)」を発売したそうです(エスエス製薬のサイトより)。
これが40年ほど前。
そう考えると、市販の解熱鎮痛剤はあまり進歩してないですね。
ロキソプロフェンが市販薬として買えるようになった、というくらいでしょうか。
イブプロフェンはNSAIDsの一つ
イブプロフェンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一つです。
(読み方は「エヌセイズ」なのですが、自分は最後の小さい「s」を抜いて「エヌセイド」と言ってます。「エヌセイズ」と言ってる人はあまり見た事ありません)
強い炎症を抑える「ステロイド」という種類の薬がありますが、NSAIDsは名前の通りステロイドではありません。
ステロイドではないけれど抗炎症作用・鎮痛作用があるものの総称ですね。
医療用のNSAIDsには30種類くらいありますが、イブプロフェンはその中でも安全性の高いものですね。
小児にも使われています。というか、ほとんど小児にしか使われていません。
NSAIDsには構造式の違いからいくつかの系統があって、イブプロフェンは「プロピオン酸系」と呼ばれるものになります。(ちなみにロキソプロフェンもプロピオン酸系です)
NSAIDsの効果と作用機序
アセトアミノフェンの記事にも書いてますが、こちらにも書いておきます。
内容は同じです。
痛みが起こる仕組み
組織がダメージを受けた時に細胞から遊離したアラキドン酸が、シクロオキシゲナーゼ(以下:COX)という酵素の働きによってプロスタグランジン(以下:PG)になります。
このPGの作用によって腫れ、熱感などが出てきます。
また、血液からブラジキニンという物質が出てくるのですが、これは神経を過敏にして痛みを感じさせます。
PGはこのブラジキニンの働きを強める作用もあります。
NSAIDsの作用機序
NSAIDsの作用機序は、このCOXの働きを阻害することでPGの合成を抑制します。
なので自分はNSAIDsの事を勝手に「抗プラスタグランジン薬」と呼んでいます。
PGの働きを抑えることで炎症を抑え、ブラジキニンによる疼痛も抑えます。
で、これが「ダメージを受けた部位」のみで作用(COX-2阻害)してくれれば良いのですが、「関係ない部位」でも作用(COX-1阻害)してしまうのですね。
PGは血小板の凝集作用、末梢の血管拡張作用、血圧低下作用などがあります。
これらも阻害されてしまうので、出血しやすくなったり(アスピリンはこれを利用して抗凝固薬として使う)、血圧が上がったりします。
胃の粘膜の血流量も減ることで胃粘液が減って、胃の防御力が下がってしまいます。
「痛み止めは胃に負担がかかる」というのはこれの事ですね。
また、腎臓の動脈が収縮することで腎臓の血流量が減少し、腎機能が低下してしまいます。
その結果いろいろありまして~、ナトリウムや水分の再吸収が促進。
それにより血圧上昇や浮腫みなどが出てきます。
体内の水分量が増えるため心臓の負担も大きくなり、心不全が悪化します。
医療用ではCOX-2を選択的に阻害する薬があり、こちらは胃への負担が少なくなっています(消化器系の合併症が約50%少ない)。
解熱作用
体温の上昇にもまたPGが関わっています。
風邪などによって発熱の情報を持つPGが作られると、それが脳の視床下部の体温調節中枢というところを刺激します。
この刺激を受け取った体温調節中枢は、体に「体温を上げろ~!」と指示を出します。
で、発熱を起こすんですね。生体防御反応の一つです。
NSAIDsはPGの合成を抑えることで発熱も抑えることができます。
ただ、解熱に関しては大人でもアセトアミノフェンを使うことの方が多いですね。
風邪をひいたとき、頭痛や喉の痛みがあればロキソプロフェンが処方されることもありますが、発熱だけでNSAIDsが処方されることはあまりないと思います。
海外では小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されていますが、日本ではイブプロフェンは小児の解熱に適応がありません。なぜかは分かりませんけど。
(適応外として使うことはあります)
なので、イブプロフェンが含まれている市販薬は15歳未満には使えないことになっています。
(個人的には気にしないで使って良いと思いますけど。日本がおかしいだけなので)
ちなみに、医療用NSAIDsには解熱に適応のない薬が10種類ほどあります。
NSAIDsと一括りに言っても、使い方はそれぞれですね。
イブプロフェンの効果時間
医療用医薬品の「ブルフェン」の添付文書の情報を見てみると、
・tmax(最高血中濃度に到達するまでの時間):2.1±0.2hr
・t1/2(生物学的半減期。血中濃度が半分になるまでの時間):1.8±0.1hr
となっています。
薬を飲んでから1~2時間くらいで効いてくると思います。
粉々に砕いて飲めば多少は速く効いてくるかもしれません。
で、飲んで2時間ほどで最高血中濃度に。
最高血中濃度に達してから2時間弱で血中濃度は半分になります。たぶんこのくらいになると効果は弱くなってるかと。
つまり、効果が出てるのは飲んでから1.5~4時間くらいの間でしょうか。
アセトアミノフェンと比べると立ち上がりが遅いですね。
そして半減期も短いです。つまり効果が切れるのも速いです。
個人的には、これならアセトアミノフェンの方が使いやすいと思います。
実際、現場ではあまり使われません。
ただ、この辺は個人差があります。体重や飲む量によっても変わります。
イブプロフェンの使用方法
ここではイブプロフェンの具体的な使い方について書きます。
製品の添付文書(説明書)と違うことを書いてるかもしれません。使用する際は自己責任でお願いします。
痛みを抑えるために使う場合
医療用の場合「1回200mg、1日3回まで」となっています。
市販薬の場合は製品によって変わってきます。
基本的にはイブプロフェン単剤のものは「1回150~200mg、1日3回まで」となっています。
イブプロフェン以外の成分が入っているものは「1日2回まで」となっているものもありますね。
効果には個人差があるとはいえ、大人で1回150mgはちょっと弱いかな、と。
胃が弱い方や喘息がある方以外は1回200mgで良いかと思います。
服用間隔は4時間ほど空ければ問題ないでしょう。
できれば食後に服用した方が良いですが、胃への負担はそれほど強くありません。
胃が弱い方でなければ食後でなくても大丈夫かと思います。
また、市販薬だと15歳未満は使えないのですが、医療用の場合は、
・5~7歳:1日量 200~300mg
・8~10歳:1日量 300~400mg
・11~15歳:1日量 400~600mg
を3回に分けて使います。
解熱で使う場合は問題になることもありますが、痛みで使う場合は問題ないので(実際に現場では使ってる)、もし家にアセトアミノフェンがなくイブプロフェンの製品がある場合は、上のを参考に使ってみても良いでしょう。
立場上、おすすめはできませんけど。
熱を下げるために使う場合
市販薬に関しては痛みで使う場合と同じになっていますね。
医療用の方は「1回200mgを頓用。原則1日2回まで。1日最大600mgを限度とする」となっていますので、結局は痛みで使うのと同じですね。
解熱剤を使う目安ですが、
「熱が〇〇℃以上」ではなくて、「体が辛いかどうか」で決めて良いと思います。
一般的には、38.5℃以上になったら解熱剤を使うように医師から指示されることが多いかと思いますが、これもあまり気にしなくて大丈夫です。
38℃以上であっても特に辛くなければ薬を使う必要もないですし、37℃台でも辛いなら薬を使えば良いと思います。
服用間隔は痛みで使う場合と同じく4時間空ければ十分です。
また、日本ではイブプロフェンは15歳未満には解熱の適応がありません。
これは「ライ症候群」を警戒してのようです。
ただ、一応適応外として「1回5~10mg/kg(体重)、6~8時間ごと(1回最大400mg、あるいは1日最大40mg/kg)」として使うこともあります。
NSAIDsとして一括りにされてしまいますが、ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていませんね。
ただ、解熱目的で使う場合は子どもでも大人でもアセトアミノフェンで良いかと思います。
アセトアミノフェンが効かない、何らかの理由でアセトアミノフェンを飲めない(手に入らないとか)、という場合だけNSAIDsを使うと良いでしょう。
禁忌や副作用、飲み併せなどの注意点
イブプロフェンは安全性が高く小児も使えますが、いくつか注意点もあります。
ここでは副作用や他の薬との飲み併せなど、注意するべき点について説明します。
禁忌
次の状態にある方は飲まないようにしてください。
・消化性潰瘍
・重篤な血液障害
・重篤な肝障害
・重篤な腎障害
・重篤な心機能不全
・重篤な高血圧症
・アスピリン喘息又はその既往
・ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中
・妊娠後期(28週以降)
副作用
アセトアミノフェンと同じくらい安全性が高いですが、一応以下のことに注意してください。
消化性潰瘍
NSAIDs全般に言えることですが、胃に負担がかかることがあります。
ただ、イブプロフェンはその中でも優しめですね。
短期間の使用であれば問題になる事はないでしょう。
胃薬を併用しなくても大丈夫だと思いますが、過去に胃潰瘍をやったことのある方は注意してください。
なるべく食後服用の方が望ましいですが、必ずというほどでもないですね。
アスピリン喘息
NSAIDsにより喘息発作が誘発されることがあり、これをアスピリン喘息といいます。
気管支喘息の10%くらいはこのアスピリン喘息とも言われていて、NSAIDsの副作用としては無視できないものですね。
ちなみに、「アスピリン喘息」とは言いますがアスピリン以外のNSAIDsでも起きます。
飲み薬だけでなく、シップや塗り薬でも起きます。
医療用の「ブルフェン」の添付文書では、アスピリン喘息又はその既往歴のある患者には禁忌となっています。
気管支喘息の方が解熱鎮痛剤を使う場合はアセトアミノフェンにしておいた方が無難かと思います。
他の薬との飲み併せ
併用禁忌
ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)とは併用禁忌になります。
機序は不明ですが、血友病患者において出血傾向が増強したとの報告があります。
併用注意
併用注意のものは結構多いですね。
医療用の「ブルフェン」の添付文書に書いてあるものをそのまま載せておきます。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
クマリン系抗凝血剤 ワルファリン | クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)の作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。 | ワルファリンの血漿蛋白結合と競合し、遊離型ワルファリンが増加するためと考えられる。 |
アスピリン製剤 (抗血小板剤として投与している場合) | アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。 | 血小板シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とアスピリンの結合を阻害するためと考えられる。 |
抗凝血剤 ワルファリン等 抗血小板剤 クロピドグレル等 選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) フルボキサミン、パロキセチン等 | 消化管出血が増強されるおそれがある。 | 相互に作用を増強すると考えられる。 |
リチウム製剤 炭酸リチウム | リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告があるので、併用する場合にはリチウムの血中濃度をモニターするなど観察を十分に行い、慎重に投与すること。 | プロスタグランジン合成阻害作用により、腎でのナトリウム排泄が減少してリチウムクリアランスを低下させ、リチウムの血中濃度が上昇すると考えられる。 |
チアジド系利尿薬 ヒドロクロロチアジド ループ利尿薬 フロセミド | これら利尿薬の作用を減弱するとの報告がある。 | プロスタグランジン合成阻害作用により、水・ナトリウムの体内貯留が生じるためと考えられる。 |
ACE阻害剤 エナラプリル等 β遮断剤 プロプラノロール等 | 降圧作用が減弱するおそれがある。 | プロスタグランジン合成阻害作用により、血管拡張作用及び水・ナトリウムの排泄が抑制されるためと考えられる。 |
タクロリムス水和物 | 急性腎障害があらわれたとの報告がある。 | プロスタグランジン合成阻害作用による腎障害がタクロリムス水和物の腎障害を助長するためと考えられる。 |
ニューキノロン系抗菌剤 エノキサシン水和物等 | 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で併用により痙攣があらわれたとの報告がある。 | ニューキノロン系抗菌剤のGABA阻害作用が併用により増強されるためと考えられる。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。 | プロスタグランジン合成阻害作用により腎血流が減少し、メトトレキサートの腎排泄が抑制されることにより、メトトレキサートの血中濃度が上昇すると考えられる。 |
コレスチラミン | 本剤の血中濃度が低下するおそれがある。 | コレスチラミンは陰イオン交換樹脂であり、消化管内で本剤と結合して本剤の吸収が遅延・抑制されると考えられる。 |
スルホニル尿素系血糖降下剤 クロルプロパミド、グリベンクラミド等 | 血糖降下作用を増強(低血糖)することがあるので、用量を調節するなど注意すること。 | これらの薬剤の血漿蛋白結合と競合し、遊離型薬剤が増加するためと考えられる。 |
CYP2C9阻害作用を有する薬剤 ボリコナゾール、フルコナゾール | 本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 | これらの薬剤は本剤の代謝酵素(CYP2C9)を阻害するためと考えられる。 |
それぞれ簡単に解説していますが、長くなったので折り畳みにしておきます。
併用注意についての簡単な説明
クリック・タップで開きます。
・ワルファリンは脳梗塞や心筋梗塞に使われる薬です。
出血傾向が見られたら、イブプロフェンを減量または中止した方が良いでしょう。
・アスピリンは痛み止めとして使うよりも少ない量(100~200mg)で抗血栓薬として使います。
「バイアスピリン」や「アスピリン腸溶錠」という名前の薬です。
でもこれらを服用中でもNSAIDsは普通に使われますね。
気になる方は痛み止めはアセトアミノフェンを使いましょう。
・クロピドグレルなどの抗血小板薬は脳梗塞や心筋梗塞に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は抗うつ剤です。
これらを服用中でもNSAIDsは使われますが、胃の調子をみながらですね。
・リチウム製剤は気分安定剤です。躁病や双極性障害などに使われます。
NSAIDsを使ってはダメという事はないのですが、
・手が震える
・意識がぼんやりする
・眠くなる
・めまいがする
・言葉が出にくくなる
・吐き気がする
・下痢をする
・食欲がなくなる
・口が渇く
・お腹が痛くなる
などの複数の症状が出た場合はリチウム中毒の可能性もあります。
腎機能が低下している方は注意してください。
・チアジド(サイアザイド)系利尿剤、ループ系利尿剤は高血圧や浮腫に使われます。
血圧が上がってきた、浮腫みが出てきた、息切れするなどの症状が出てきたらイブプロフェンは中止してください。
・ACE阻害剤、β遮断剤は高血圧や心不全などに使われます。
血圧が上がってきたらイブプロフェンは減量・中止してください。まず問題ないと思いますけど。
・タクロリムスは免疫抑制剤です。臓器移植における拒絶反応の抑制、重症筋無力症などに使われます。
こういった疾患等がある方が痛み止めを使う場合は主治医に処方してもらった方が良いでしょう。
タクロリムス(プロトピック)軟膏というアトピー性皮膚炎に使われる外用薬もありますが、こちらは気にしなくて大丈夫です。
・ニューキノロン系抗菌剤は細菌性感染症で使われます。ウイルス性疾患である風邪には通常は使われません。
よく使われるのはクラビット(レボフロキサシン)、オゼックス(トフスロキサシン)、ジェニナック(ガレノキサシン)、グレースビット(シタフロキサシン)、ラスビック(ラスクフロキサシン)あたりでしょうか(ジェニナックとラスビックはまだ後発品が出てません)。
プロピオン酸系のNSAIDs(イブプロフェン、ロキソプロフェン等)との併用で痙攣が出る可能性があります。
こういう抗菌剤を使っている場合はアセトアミノフェンの方が良いでしょうね。
・メトトレキサートは免疫抑制剤です。よく関節リウマチに使われていますね。
おそらく一緒に痛み止めも処方してもらっていると思うので、市販薬を追加して使用しない方が良いと思います。
・コレスチラミンは高コレステロール血症に使う薬ですが…今はほとんど使われていません(1回9gも粉薬を飲まなくちゃいけないやつ)。
一緒に飲んでもイブプロフェンの吸収が悪くなるだけです。副作用が出やすくなるとかではありません。
・スルホニル尿素系血糖降下剤は糖尿病の薬です。
この種類の薬はだいぶ使われなくなってきてますが、まだまだ現役ですね。
この種類の薬自体が低血糖を起こしやすいので注意してください。
・CYP2C9阻害作用を有する薬剤というのは、要はイブプロフェンの代謝を妨げる薬の事です。
イブプロフェンの効き目が強く出ることがあるのですが、胃の調子をみながら使えば問題ないと思います。
ここに書いてあることはあまり気にしなくて大丈夫ですが、上記の薬を服用中の方は「一応そういう可能性もあるんだな」と思っておいてください。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
イブプロフェンによって胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠中の方はアセトアミノフェンの方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
妊娠後期でなければ大丈夫かというと、「シクロオキシゲナーゼ阻害剤(NSAIDs)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告もある」のであまりお勧めはできないですね。
妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(と言うか、必ず受診してください)
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)について
市販の解熱鎮痛剤を頭痛に使う方も多いかと思います。
たまになら良いのですが、連用していると薬が効かなくなってきたり、頭痛が慢性化することがあります。
その場合、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。
市販薬では「アスピリン」、「アセトアミノフェンとカフェインの併用」などが原因となることが多いですが、他の鎮痛剤が原因になる事もあります。
以下の症状に当てはまる場合は注意が必要です。
・頭痛が月に15回以上ある
・月に10回以上頭痛薬を飲んでる
・薬を飲んでも効かなくなってきた
・朝起きた時から頭痛がある
これらが当てはまる人は、頭痛外来や脳外科などを受診してみてください。
他の疾患の可能性もあるので、頭痛が続いてる場合は必ず医師に相談してください。
イブプロフェンを含む市販の解熱鎮痛剤
イブプロフェンを含む市販の解熱鎮痛剤は多くの製品が販売されています。
ここでは製品の種類ごとに紹介していきます。
イブプロフェン単体の製品
個人的には、ここに載せている製品しかおすすめしません。
製品一覧
クリック・タップで開きます。
製品名 | イブプロフェン 1回量 |
---|---|
イブ | 150mg |
イブ<糖衣錠> | 150mg |
イブプロフェン ソフトカプセル200「キョーワ」 | 200mg |
インテタームIB | 200mg |
セデナフェンピュア | 150mg |
ノーエチ錠IP | 150mg |
ノーシンエフ200 | 200mg |
フェリア | 150mg |
プレミナスS | 200mg |
メリドンIB | 200mg |
リングルアイビー | 150mg |
リングルアイビーα200 | 200mg |
リングルアイビー錠α200 | 200mg |
1回150mgか200mgですね。
胃が弱い方、喘息がある方でなければ1回200mgで良いかと思います。
製品ごとの差はないと思うので、単純に値段で選んでいいでしょうね。
解熱鎮痛剤がイブプロフェンのみで、
他の成分を配合している製品
製品一覧
クリック・タップで開きます。
製品名 | イブプロフェン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|
IB鎮痛薬F | 150mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
Vクイック鎮痛薬 | 150mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
アジェンテ鎮痛薬a | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
アダムA錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
アルテスミン ファースト | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
アルテスミン ファーストDX | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 酸化マグネシウム:90mg |
イーナ錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
イブA錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
イブA錠EX | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
イブクイック頭痛薬 | 150mg | 酸化マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
イブクイック頭痛薬DX | 200mg | 酸化マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ウイルクエストIPa | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
エルペインコーワ | 150mg | ブチルスコポラミン臭化物:10mg |
新オムニンP錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
カイゲンパック IB顆粒 | 150mg | 無水カフェイン:80mg カンゾウ末:100mg シャクヤクエキス:41.667mg |
カイテキIB錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
カンピオーネα(s) | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
グットエイドEVs | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
クレーモアIPa | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
クレーモアファースト | 150mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ケロリンIBカプレット | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
コナリスIP | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
コナリスIPs | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ウラック | 150mg | シャクヤクエキス:166.7mg カンゾウエキス:116.67mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:83.33mg |
スカイブブロンEX | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
スカイブブロンファースト | 150mg | メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
スグナIB | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
スグナIP錠DX | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 酸化マグネシウム:100mg |
スパロミンエース | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
スペジオンIP | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
セシオンHDファースト | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
セダックス錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
セデスキュア | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
チンツーミンIPコート | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ディパシオEXエース | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:90mg |
ディパシオIPa | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
JSネルベンエースA錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ネルベンエースA錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ノーシンピュア | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ノーシンピュア (ピルケース入り) | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
オトナノーシンピュア | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
のどぬ~る鎮痛カプセルa [鎮痛カプセルa] | 150mg | トラネキサム酸:140mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:69.5mg |
ノンフィーブ | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ヒストミン解熱鎮痛薬 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ビタトレール クイックEX錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
フツナロンEV錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
プレミナスEX [IBU鎮痛薬EX] | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
プレミナスEXs | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:90mg |
プレミナスIP | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
プレミナスIPクイックa | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:70mg |
ポパドンIP錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
解熱鎮痛錠IP | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
メディペイン | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
メディペインDX | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:90mg 酸化マグネシウム:90mg |
メリドンEV錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
メルヂンゴールド | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
ユニペイン | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
ユニペインDX | 200mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:90mg 酸化マグネシウム:90mg |
リコリプラスエースa | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
リコリプラスクイック | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg グリシン:60mg |
ルキノン解熱鎮痛薬 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
レナートEV錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
レビューA錠 | 150mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg |
イブプロフェンは150mgか200mg。
その他の成分はほとんど「アリルイソプロピルアセチル尿素」と「カフェイン」の組み合わせですね。
同じ内容の製品ばかり。
その他の成分に関してはお好みで良いと思いますが、
個人的には「アリルイソプロピルアセチル尿素」や「ブロモバレリル尿素」を含む製品はおすすめしません。
理由は、下記の通りです(以前の記事と同じ)。少し長いので折り畳みにしています。
「アリルイソプロピルアセチル尿素」と「ブロモバレリル尿素」について
クリック・タップで開きます。
作用
もともとは鎮静剤、睡眠薬です。
医療用医薬品の添付文書では「体内でBr–(臭素)を遊離し、神経細胞の興奮性を抑制することにより、鎮静、催眠作用を現す」と書かれています。
要は、脳を麻痺させるわけですね。
痛みを抑えるというより、痛みを感じにくくする、といったところでしょうか。
2つとも習慣性医薬品となります。
なぜか日本ではいまだに使われていますが、現在は海外ではほぼ使われません。
副作用
眠気、依存症、呼吸抑制などが出る場合があります。
睡眠薬として使われる量よりはかなり少ないですが、服用後は自動車の運転等危険を伴う機械の操作はしないようにしてください。
依存症も問題になります。服用後、薬が切れてくるとと不安感が出てきて、薬を飲むと不安感が消えます。
これで薬が手放せなくなるんですね。薬漬けというやつです。
連用してる人が急に薬を止めると、まれに痙攣発作、せん妄、振戦、不安等の離脱症状があらわれることがあります。
やめる場合は徐々に減量するなどしましょう。
というか、こうなってしまった方は受診してください。
ほかに、呼吸抑制の危険性もあります。
通常は意識をしなくても呼吸は行われるものですが、この命令が脳から出されなくなるんですね。
これは他の睡眠剤でも起こり得ます。
過量摂取による急性中毒症状としては、中枢神経症状(四肢の不全麻痺、深部反射消失、呼吸抑制等)が主なものであり、覚醒後に幻視、全身痙攣発作、神経炎、神経痛等が起こる場合があります。
オーバードーズ(意識的な過剰摂取)による死亡例があり、自殺に使われたこともあります。
以上のような事があるので、海外では販売禁止の国もあります。
使用する際の注意点
長期連用は避けましょう。
痛み止めの基本的な使い方はあくまで頓服、「症状があるときだけ」です。
もし「薬を飲まないと落ち着かない」という状態であればすでに依存が形成されている可能性があります。
受診した方が良いでしょう。
これらの成分が含まれる製品を使用する際には、用法用量を厳守し、長期間の連続使用は避けることが重要です。
できれば、これらの成分が含まれていない製品を選ぶことをお勧めします。
あと、カフェインについて。
カフェインも頭痛や頭重感を和らげる効果があります。
ただ、市販薬に含まれている量で効果があるかと言われると疑問です。
ここの製品を見ると1回に80~90mg含まれていますが、この量はコーヒー1杯に入ってる量と同等ですね。
なので、カフェインの有無は気にしなくて良いかと思いますが、一応「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」には注意してください。
このカテゴリーでちょっと特殊な製品
このカテゴリーはほぼ同じ内容の製品ばかりですが、2つだけ変わった製品があったので紹介します。
・『エルペインコーワ』
イブプロフェンとブチルスコポラミン臭化物の組み合わせです。
ブチルスコポラミンは抗コリン薬と呼ばれるもので、消化管や胆道、泌尿器、子宮などの動きを抑えることで痛みを緩和します。
『エルペインコーワ』は特に「生理痛専用薬」と謳っていますね。
ただ、男性でもお腹が痛くて下痢してる時に使えますね(感染性の胃腸炎にはダメ)。
・『のどぬ~る鎮痛カプセルa [鎮痛カプセルa]』
『のどぬ~る』は喉に直接噴霧する『のどぬ~るスプレー』が有名ですが、飲み薬もあるんですね。
この製品はイブプロフェンとトラネキサム酸、乾燥水酸化アルミニウムゲルが配合されています。
トラネキサム酸はのどの炎症を抑え、
乾燥水酸化アルミニウムゲルは胃の粘膜を保護します。
風邪をひいて、症状が喉の痛みや発熱だけであれば、総合感冒薬ではなくてこの製品でも良いでしょうね。
解熱鎮痛剤が2種類(イブプロフェンと他のが1種類)の製品
ほぼ全てイブプロフェンとアセトアミノフェンの合剤です。
ただ、イブプロフェンとアセトアミノフェンの同時、または交互服用は推奨されていません。
作用機序の違うものを少量ずつ組み合わせる方法は、場合によっては効果的ですが…
解熱鎮痛剤の場合は効果は増さずに副作用だけが増すことがあります。
なので基本的にはここに載っている製品はすべておすすめしません。
「イブプロフェン」+「アセトアミノフェン」
製品一覧
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製品名 | イブプロフェン 1回量 | アセトアミノフェン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|---|
エーアイプレミアム | 195mg | 195mg | 無水カフェイン:120mg 合成ヒドロタルサイト:270mg |
カイテキIP錠 プレミアム | 150mg | 65mg | 無水カフェイン:80mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
スグナIP錠 プレミアム | 150mg | 65mg | 無水カフェイン:80mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:100mg |
セシオンHD プレミアム | 195mg | 195mg | アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 無水カフェイン:80mg 酸化マグネシウム:90mg |
ディパシオL | 130mg | 130mg | 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:115mg |
テラポニン頭痛薬 プレミアム | 195mg | 195mg | ブロモバレリル尿素:100mg 無水カフェイン:80mg 酸化マグネシウム:90mg |
ノーシンアイ頭痛薬 | 150mg | 65mg | |
バファリンルナi | 130mg | 130mg | 無水カフェイン:80mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:70mg |
バファリン プレミアム | 130mg | 130mg | 無水カフェイン:80mg アリルイソプロピルアセチル尿素:60mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:70mg |
バファリン プレミアムDX | 160mg | 160mg | 無水カフェイン:50mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:70mg |
ユニペイン プレミアム | 195mg | 195mg | ブロモバレリル尿素:100mg 無水カフェイン:80mg 酸化マグネシウム:90mg |
ルナールi | 150mg | 65mg | 無水カフェイン:60mg |
その他
製品は3つのみです。
製品名 | 主成分 | 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|---|
サリドンWi | イブプロフェン イソプロピルアンチピリン | 50mg 150mg | 無水カフェイン:50mg |
ナロンエースT | イブプロフェン エテンザミド | 144mg 84mg | ブロモバレリル尿素:200mg 無水カフェイン:50mg |
ナロンエース プレミアム | イブプロフェン エテンザミド | 150mg 500mg | 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
おすすめしたい製品
イブプロフェンを含む製品はたくさんありますが、
おすすめしたいのは「イブプロフェン単剤」の製品です。
その他の成分も入ってないやつ。
アセトアミノフェンのときと同様ですね。
個人的な見解ですが、薬の使い方の大原則として、
「必要な成分を必要な量だけ」という考え方があります。
薬は成分の種類が増えれば増えるほど副作用は出やすくなります。
なるべく成分の種類が少ない製品の方が使いやすいですね。
ということで、個人的におすすめできるのは
「イブプロフェン単体の製品」のところに書いていたものになります。
同じ表を再度載せておきます。
イブプロフェン単独の製品一覧
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製品名 | イブプロフェン 1回量 |
---|---|
イブ | 150mg |
イブ<糖衣錠> | 150mg |
イブプロフェン ソフトカプセル200「キョーワ」 | 200mg |
インテタームIB | 200mg |
セデナフェンピュア | 150mg |
ノーエチ錠IP | 150mg |
ノーシンエフ200 | 200mg |
フェリア | 150mg |
プレミナスS | 200mg |
メリドンIB | 200mg |
リングルアイビー | 150mg |
リングルアイビーα200 | 200mg |
リングルアイビー錠α200 | 200mg |
繰り返しになりますが、胃が弱い方や喘息がある方でなければ1回200mgで良いかと思います。
というか、胃が弱い方や喘息がある方はNSAIDsではなくてアセトアミノフェンの方が良いと思います。
あとは値段ですね。
1回200mgの製品の値段をAmazonで見てみると、
・『インテタームIB』:30回分で708円(23.6円/回)
・『ノーシンエフ200』:32回分で1,588円(49.6円/回)
・『リングルアイビーα200』:36回分で1,482円(41.2円/回)
・『リングルアイビー錠α200』:12回分で598円(49.8円/回)
でした(2024年7月21日時点のです)。
(『イブプロフェンソフトカプセル200「キョーワ」』、『プレミナスS』、『メリドンIB』はAmazon、yahoo、楽天のどこにもありませんでした)
一番安いのが『インテタームIB』ですね。
1錠あたりイブプロフェンが100mgなので、60錠で30回分です。
他のは1錠(カプセル)あたり200mg入っているので15歳以上しか使えませんが、この製品は1錠100mgなので子どもでも使えますね。
(製品の説明ではもちろん「15歳未満は服用しないこと」となっています)
あと、有名なのはやっぱり『イブ』ですね。
日本で初めてイブプロフェンを市販薬に配合したそうです。
(『イブ』が見当たらなかったので、糖衣錠の方を載せておきます)
「イブ」で検索すると『イブA錠』ばかり出てきますが、そちらは「アリルイソプロピルアセチル尿素」が入っているのでおすすめしません。
まとめ
イブプロフェンは市販薬としてはよく使われている解熱鎮痛剤ですね。
多くの総合感冒薬にも配合されています。
NSAIDsの中でも安全性は高いと思いますが、効果は人によっては物足りなく感じるかもしれませんね。
実際のところ、大人にイブプロフェンが処方されることはそれほど多くはありません。
安全性はアセトアミノフェンの方が上、
効果はロキソプロフェンの方が上、
といった感じでしょうか。立ち位置としては微妙なところですね。
ただ、効果や副作用の出方は人それぞれです。
大切なのは「自分に合った薬を使う」ということですね。
アセトアミノフェンの記事でも同じ事を書いていますが、
市販の製品選びに関しては、イブプロフェン単独の製品が一番シンプルで使いやすいです。
他の成分が配合されている製品については、その成分の効果や副作用を理解して選ぶことが重要だと思います。
特に、鎮静成分やカフェインの有無については注意が必要です。
個人的にはこれらが含まれている製品はおすすめしません。
また、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の可能性を考えると、日常的な使用は避けて、症状があるときだけの頓服での使用が基本になります。
記事中によく出てくるアセトアミノフェンについては下の記事にまとめています。
効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回からは解熱鎮痛剤の各主成分について詳しく解説していこうと思います。 まずは「アセトアミノフェン」について。 おそらく解熱鎮痛剤としては一番使われているであ…
痛みや発熱の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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