今回は「アスピリン」について解説します。
解熱鎮痛剤の代名詞のような薬ですね。
今は医療用では痛み止めとして使うことはほとんどありませんが、市販薬としてはまだよく使われていますね。
アスピリンについては書こうか迷ったのですが、注意していただきたい点もあるので記事にしました。
この記事では、アスピリンの効果や特徴について、薬剤師の観点から詳しく解説していきます。
ちなみに、個人的には解熱鎮痛剤としてアスピリンを使うのはあまりおすすめできません。
アスピリンの基本情報
ここの項目はマニアックだと思うので、興味のある方だけ読んでみてください。
どうでもいい情報も載せています(大体はWikipediaの情報です)。
120年以上の歴史があります。
昔々、柳の葉や樹脂を痛み止めとして使っていたそうです(ネアンデルタール人も使っていたとかいないとか)。
19世紀になって柳からサリチル酸が分離され、しばらくはそのサリチル酸が解熱鎮痛剤として使われていたようです。
そして、1897年にバイエル社によって「アセチルサリチル酸」が合成されました。アセチルサリチル酸は世界で初めて人工合成された医薬品だそうです。
このアセチルサリチル酸の商標名が「アスピリン」となります。
(なので、正確には成分名はアセチルサリチル酸なのですが、日本薬局方ではアスピリンが正式名称になっているので、この記事でもアスピリンと記載させていただきます。)
日本では1900年に「Aspirin」が商標登録され、邦文商標の「アスピリン」、「あすぴりん」、「阿必林」は1902年に登録されているそうです(バイエルのサイトより)。
ちなみに、サリチル酸の方は胃への負担が大きいので今は飲み薬としては使われません。
イボを取ったりするのに使われていますね。
アスピリンはNSAIDsの一つ
アスピリンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一つです。
現在使われている内服のNSAIDsでは最も古いものになりますね。
強い炎症を抑える「ステロイド」という種類の薬がありますが、NSAIDsは名前の通りステロイドではありません。
ステロイドではないけれど抗炎症作用・鎮痛作用があるものの総称ですね。
NSAIDsには構造式の違いからいくつかの系統があります。
アスピリンは「サリチル酸系」と呼ばれるものになります。
アスピリンは確かにNSAIDsの一つなのですが、今はあまり解熱鎮痛剤としては使われていません(使わないこともないけど)。
血をサラサラにする作用があるので、脳梗塞や心筋梗塞に対して抗血小板薬として使われています。
NSAIDsの効果と作用機序
他の記事にも書いてますが、こちらにも書いておきます。
内容はほとんど同じなので折り畳みにしておきます。
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痛みが起こる仕組み
組織がダメージを受けた時に細胞から遊離したアラキドン酸が、シクロオキシゲナーゼ(以下:COX)という酵素の働きによってプロスタグランジン(以下:PG)になります。
このPGの作用によって腫れ、熱感などが出てきます。
また、血液からブラジキニンという物質が出てくるのですが、これは神経を過敏にして痛みを感じさせます。
PGはこのブラジキニンの働きを強める作用もあります。
NSAIDsの作用機序
NSAIDsの作用機序は、このCOXの働きを阻害することでPGの合成を抑制します。
なので自分はNSAIDsの事を勝手に「抗プラスタグランジン薬」と呼んでいます。
PGの働きを抑えることで炎症を抑え、ブラジキニンによる疼痛も抑えます。
で、これが「ダメージを受けた部位」のみで作用(COX-2阻害)してくれれば良いのですが、「関係ない部位」でも作用(COX-1阻害)してしまうのですね。
PGは血小板の凝集作用、末梢の血管拡張作用、血圧低下作用などがあります。
これらも阻害されてしまうので、出血しやすくなったり(アスピリンはこれを利用して抗凝固薬として使う)、血圧が上がったりします。
胃の粘膜の血流量も減ることで胃粘液が減って、胃の防御力が下がってしまいます。
「痛み止めは胃に負担がかかる」というのはこれの事ですね。
また、腎臓の動脈が収縮することで腎臓の血流量が減少し、腎機能が低下してしまいます。
その結果いろいろありまして~、ナトリウムや水分の再吸収が促進。
それにより血圧上昇や浮腫みなどが出てきます。
体内の水分量が増えるため心臓の負担も大きくなり、心不全が悪化します。
医療用ではCOX-2を選択的に阻害する薬があり、こちらは胃への負担が少なくなっています(消化器系の合併症が約50%少ない)。
解熱作用
体温の上昇にもまたPGが関わっています。
風邪などによって発熱の情報を持つPGが作られると、それが脳の視床下部の体温調節中枢というところを刺激します。
この刺激を受け取った体温調節中枢は、体に「体温を上げろ~!」と指示を出します。
で、発熱を起こすんですね。生体防御反応の一つです。
NSAIDsはPGの合成を抑えることで発熱も抑えることができます。
ただ、解熱に関しては大人でもアセトアミノフェンを使うことの方が多いですね。
風邪をひいたとき、頭痛や喉の痛みがあればロキソプロフェンが処方されることもありますが、発熱だけでNSAIDsが処方されることはあまりないと思います。
発熱に対してアスピリンが処方されるのは…見た事がないですね。
海外では小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されていますが、日本ではイブプロフェンは小児の解熱に適応がありません。なぜかは分かりませんけど。
(適応外として使うことはあります)
ちなみに、医療用NSAIDsには解熱に適応のない薬が10種類ほどあります。
NSAIDsと一括りに言っても、使い方はそれぞれですね。
アスピリンの効果時間
これに関してはちょっと曖昧です。すみません。
医療用医薬品の「バファリン配合錠A81」の添付文書の情報を見てみると、
・tmax:0.39±0.14hr(最高血中濃度に到達するまでの時間)
・t1/2:0.40±0.13hr(生物学的半減期。血中濃度が半分になるまでの時間)
となっています。
この「バファリン配合錠A81」は抗血小板薬として使うアスピリンなのですが、痛み止めとして使う量よりも少なくなっています。
痛み止めとして使う場合は1回に最低でも500mg前後使うのですが、量が多い分Tmaxは多少遅延すると思われます。
また、アスピリンは吸収された後、主に肝臓で代謝を受けてサリチル酸になります。このサリチル酸も作用するとなると効果時間も伸びるかなと。
ということで、効果があるのは飲んでから30分~2、3時間でしょうか。曖昧で申し訳ないです。
ただ、この辺は個人差があります。体重や飲む量によっても変わります。
ちなみに、抗血小板作用の持続時間は単純に半減期では測れません。こちらに関しては7~10日間くらいは持続します。
「アスピリン・ジレンマ」について
「アスピリン・ジレンマ」という言葉があります。
これはアスピリンを痛み止めとしてしか使わない場合は気にしなくて良いのですが、注意した方が良いことでもあるので一応書かせていただきます。
特別マニアックな話になるので、興味のある方だけ読んでみてください。
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Wikipediaにはこう記載されています。
「アスピリン・ジレンマとはアスピリンの投与量により血栓形成抑制効果が減弱されたり(多量)増強されたり(少量)する現象。同一薬剤が投与量によって、全く逆の作用が見られる」
自分も大学ではこういう風に習いました。
「アスピリンは少量では抗血小板作用を示すけど、鎮痛作用を示す量では抗血小板作用はなくなるよ」と。
なので、「抗血小板薬としてアスピリンを飲んでる人が痛み止めとしてアスピリンを追加で飲むと、抗血小板作用がなくなるので注意」という事ですね。
ただ、これは根拠のあることではないようですね。
まず、なぜ上に書いてあるような事が言われているのか、そこから解説しようと思います。
NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを阻害する、と上でも書きましたが、
アスピリンはCOXを阻害することで、血小板では血を固める作用を持つトロンボキサンA2(TXA2)という物質の生成を抑制します。血を固めるものの作用を抑えるので、血はサラサラになりますね。
一方で血管内皮細胞では、血をサラサラにする作用を持つプロスタグランジンI2(PGI2)の生成を抑制することで、血を固める作用を示します。
血小板と血管内皮細胞とで、相反する作用を示すんですね。
こうなるとプラマイゼロになりそうですが、それぞれの作用の時間が異なります。
・血小板の方は不可逆的(作用が長い)
・血管内皮細胞の方は可逆的(作用が短い)
(正確にはちょっと違いますけど、こんな感じでOKです)
血小板への作用は7~10日間続きます。
対して、血管内皮細胞の方はアスピリンの量が少ないほど早く戻ります。
言い換えると、
血をサラサラにする効果は長く続いて、血を固める効果はアスピリンの量が少ないほど早く切れます。
アスピリンが少量であれば血を固める作用が短いので、血をサラサラにする作用の方が強く出ます。
その結果、血をサラサラにする作用が現れます。
ここで、アスピリンの量を増やすとどうなるか?
血を固める作用の時間も伸びてしまうので、血をサラサラにする作用が弱くなってしまいます。
もう一つ。
アスピリンは血管内皮細胞のCOXよりも血小板のCOXに対して作用しやすい性質があります。
このため、アスピリンの量が少ない時は血小板のCOXだけを阻害して血をサラサラにする作用を示します。
アスピリンの量が増えると血管内皮細胞の方のCOXも阻害されて血を固める作用が表れてしまいます。
アスピリンの量が少ない時は血をサラサラにする。
アスピリンの量が多くなると血をサラサラにする効果が弱くなる。
これが「アスピリン・ジレンマ」と呼ばれるものになります。
なので、抗血小板薬として使われるアスピリンは81mgとか100mgを1日1回服用となっています(324mgまでは増量可能です)。
対して、解熱鎮痛剤として使われるものは1回500mg以上使われることが多いです。
ただ、アスピリンの量によって実際に抗血小板薬としての治療効果に差が出るのかを調べた試験があるのですが、
・高用量群(500~1,500mg)
・中等量群(160~325mg)
・低用量群(75~150mg)
の間で、脳卒中や心筋梗塞、血管死などの心血管イベントの低減効果に有意差はなかった、とされています。
「(抗血小板薬としてのアスピリンの)至適用量は75~150mg/日と推奨されている。また、ガイドラインでは、325mg/日が上限とされているものが多い。」となっていますが、明確な根拠はないみたいですね。
実際のところ、アスピリンの量を増やしても抗血小板作用が弱くなることはないが、増やしても抗血小板作用が強くなることもないといったところでしょうか。
なので、アスピリンを抗血小板薬として用いる場合、低用量でなければいけないのではなく、低用量で十分効果があるという事ですね。
かといって、単純に「抗血小板薬としてアスピリンを服用してる人が、解熱鎮痛目的でアスピリンを追加で服用しても大丈夫」とはなりません。
やっぱり胃に負担がかかりすぎますね。
低用量のアスピリンでも長期間服用する人(基本的には長期間の服用が前提です)は胃がやられることがあるので胃薬が一緒に処方されます(アスピリンと胃薬が一緒になった医療用医薬品もあります)。
あと、「150mg以上だと脳梗塞の再発リスクが上昇した」というデータもあるみたいなので、本当によく分かりません。
抗血小板薬としてのアスピリンを服用中の方は、痛み止めとしてさらにアスピリンを服用するのは控えた方が良いかと思います。
アスピリン以外のNSAIDsではどうなのか?
血小板のCOXに対して、
アスピリンは非可逆的に阻害するのに対して、
アスピリン以外のNSAIDsは可逆的に阻害する
そうです。
アスピリン以外のNSAIDsにも抗血小板作用があるにはあるけど、すぐに効果がなくなるので抗血小板薬としては使えない、ということみたいですね。
長々と書いてきましたが、自分なりの結論としては「抗血小板薬としてアスピリンを飲んでる人は、市販の痛み止めはアセトアミノフェンにしておいた方が無難」です。
抗血小板作用が実際どうなるか分からない以上、わざわざ危険を冒すこともないでしょう。
一時の痛みを抑えるために脳梗塞が再発したら目も当てられません。
そもそも抗血小板薬を服用してるということは通院してることになるので、ちゃんと病院で処方してもらった方がいいですね。
医師の監督下でNSAIDsを使うのであれば安心でしょうし。
実際のところ、抗血小板薬のアスピリンを服用中でもNSAIDsはしょっちゅう処方されていますし、それで問題があった方も見た事はありません。
ちなみに、抗血小板薬として使われるアスピリンには、
・「バイアスピリン錠100mg」
・「アスピリン腸溶錠100mg」
・「バファリン配合錠A81」
などがあります。
これらを服用中の方は「こういうこともあり得る」くらいには知っておいた方が良いかと思います。
アスピリンの使用方法
ここではアスピリンの具体的な使い方について書きます。
製品の添付文書(説明書)と違うことを書いてるかもしれません。使用する際は自己責任でお願いします。
痛みを抑えるために使う場合
医療用の場合「1回500~1,500mg、1日1,000~4,500mgを経口投与」となっています。
1日4,500mgが最大用量ですね。
市販薬の場合は製品によって変わってきますね。例として、
・「バイエルアスピリン」:1回500mg、1日3回まで
・「バッサリンAs」:1回660mg、1日2回まで
・「バファリンライト」:1回440mg、1日3回まで
となっています。
1回500mgまでのは1日3回OK、1回量が多いものは1日2回まで、という感じでしょうか。
大体どの製品も「なるべく空腹時をさけて」と書いています。
アセトアミノフェンやイブプロフェンと比べると胃への負担は大きいです。
その分、胃粘膜保護の「合成ヒドロタルサイト」や「乾燥水酸化アルミニウムゲル」を配合しているものが多いですね。
なるべくならそういう製品を選んだ方が良いかと思います。
あと服用間隔ですが、
・1日3回の製品は4時間程度
・1日2回の製品は6時間程度
となっているかと思います。
ただ、1回440mgだろうが660mgだろうが「1日3回まで、4時間程度空けて」で問題ないと思います。
アスピリンは医療用のでも小児の解熱・鎮痛には適応がありません。
川崎病に使うくらいですね。
子どもにはアセトアミノフェンかイブプロフェンをおすすめします。
熱を下げるために使う場合
市販薬に関しては痛みで使う場合と同じになっていますね。
医療用の方は「1回500~1,500mgを頓用。原則1日2回まで。1日最大4,500mgを限度とする」となっています。
痛みに対して使う場合と同じと思って良いでしょうね。
他の記事でも書いてますが、解熱剤を使う目安は
「熱が〇〇℃以上」ではなくて、「体が辛いかどうか」で決めて良いと思います。
一般的には、38.5℃以上になったら解熱剤を使うように医師から指示されることが多いかと思いますが、これもあまり気にしなくて大丈夫です。
38℃以上であっても特に辛くなければ薬を使う必要もないですし、37℃台でも辛いなら薬を使えば良いと思います。
服用間隔は痛みで使う場合と同じく4時間空ければ十分です。
ただ、解熱目的でアスピリンはあまりおすすめしません。これを使うメリットがないです。
ダメっていうことではないのですが、アセトアミノフェンで良いかと思います。
アセトアミノフェンが効かない、何らかの理由でアセトアミノフェンを飲めない(手に入らないとか)、という場合だけNSAIDsを使うと良いでしょう。
禁忌や副作用、飲み併せなどの注意点
アスピリンは他の市販の解熱鎮痛剤と比べると注意点が多いかもしれませんね。
ここでは副作用や他の薬との飲み併せなどについて説明します。
禁忌
次の状態にある方は飲まないようにしてください。
・消化性潰瘍
・重篤な血液障害
・重篤な肝障害
・重篤な腎障害
・重篤な心機能不全
・出血傾向
・アスピリン喘息又はその既往
・妊娠後期(28週以降)(出産予定日12週以内)
副作用
消化性潰瘍
NSAIDs全般に言えることですが、胃に負担がかかることがあります。
アスピリンは他の市販薬と比べるとこの副作用は出やすいでしょう。
胃が強い方でもなるべくなら「合成ヒドロタルサイト」や「乾燥水酸化アルミニウムゲル」が配合された製品を選んだ方が良いかと思います。
アスピリンは特に抗血小板作用があります。胃に負担がかかって胃内で出血を起こした場合、その出血も止まりにくくなります。
なるべく食直後服用が望ましいですね。
アスピリン喘息
NSAIDsにより喘息発作が誘発されることがあり、これをアスピリン喘息といいます。
気管支喘息の10%くらいはこのアスピリン喘息とも言われていて、NSAIDsの副作用としては無視できないものですね。
ちなみに、「アスピリン喘息」とは言いますがアスピリン以外のNSAIDsでも起きます。
飲み薬だけでなく、シップや塗り薬でも起きます。
気管支喘息の方が解熱鎮痛剤を使う場合はアセトアミノフェンにしておいた方が無難かと思います。
出血
これはアスピリン特有ですね。
他のNSAIDsでも起こりえますが、「アスピリン・ジレンマ」のところに書いてある通りあまり問題にはなりません。
抗血小板作用は7~10日間持続します。
手術、心臓カテーテル検査又は抜歯前1週間以内の患者さんは、医師の指示なしにアスピリンを使うのはやめた方が良いでしょう。
(抗血小板薬としてアスピリンを使っていても抜歯で薬を止めることは現在はありませんが、歯科医師にはアスピリンを服用してる事は初診時に伝えておいた方が良いでしょうね)
あと、出血しやすい方もいるかと思います。ぶつけた記憶もないのになぜかアザが出来ているとか。
そういう方もアスピリンは避けた方が良いかな、と思います。
他の薬との飲み併せ
併用禁忌はありません。併用注意がたくさんあります。
併用注意
医療用のアスピリンの添付文書に書いてあるものをそのまま載せておきます。
薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
---|---|---|
抗凝固剤 クマリン系抗凝固剤 (ワルファリンカリウム) | クマリン系抗凝固剤の作用を増強し、出血時間の延長、消化管出血等を起こすことがあるので、クマリン系抗凝固剤を減量するなど、慎重に投与すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合したクマリン系抗凝固剤と置換し、遊離させる。 また、本剤は血小板凝集抑制作用、消化管刺激による出血作用を有する。 |
抗凝固剤 血液凝固阻止剤 (ヘパリン製剤、ダナパロイドナトリウム、第Xa因子阻害剤(リバーロキサバン等)、抗トロンビン剤(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩等)、トロンボモデュリン アルファ等) | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある |
血小板凝集抑制作用を有する薬剤 (チクロピジン塩酸塩、シロスタゾール、クロピドグレル硫酸塩、トロンボキサン合成酵素阻害剤(オザグレルナトリウム)、プロスタグランジンE1製剤、E1及びI2誘導体製剤(ベラプロストナトリウム等)、サルポグレラート塩酸塩、イコサペント酸エチル等) | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
血栓溶解剤 (ウロキナーゼ、t-PA製剤等) | 出血の危険性が増大するおそれがあるので、観察を十分に行い、注意すること。 | 本剤は血小板凝集抑制作用を有するため、これら薬剤との併用により出血傾向が増強されるおそれがある。 |
糖尿病用剤 (ヒトインスリン等) | 糖尿病用剤の作用を増強し、低血糖を起こすことがあるので糖尿病用剤を減量するなど、慎重に投与すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合した糖尿病用剤を遊離させる。 また、本剤は大量で血糖降下作用を有する。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの副作用(骨髄抑制、肝・腎・消化器障害等)が増強されることがある。 | 本剤は血漿蛋白に結合したメトトレキサートと置換し、遊離させる。 また、本剤はメトトレキサートの腎排泄を阻害すると考えられている。 |
バルプロ酸ナトリウム | バルプロ酸ナトリウムの作用を増強し、振戦等を起こすことがある。 | 本剤は血漿蛋白に結合したバルプロ酸ナトリウムを遊離させる。 |
フェニトイン | 総フェニトイン濃度を低下させるが、非結合型フェニトイン濃度を低下させないとの報告があるので、総フェニトイン濃度に基づいて増量する際には臨床症状等を慎重に観察すること。 | 本剤は血漿蛋白に結合したフェニトインと置換し、遊離させる。 |
炭酸脱水酵素阻害剤 (アセタゾラミド等) | これら薬剤の副作用を増強し、嗜眠、錯乱等の中枢神経系症状、代謝性アシドーシス等を起こすことが報告されている。 | 本剤は血漿蛋白に結合したこれら薬剤と置換し、遊離させる。 |
副腎皮質ホルモン剤 (ベタメタゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン等) | サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。 | 機序は不明である。併用時に、副腎皮質ホルモン剤を減量するとサリチル酸系製剤の血中濃度が増加したとの報告がある。 |
リチウム製剤 (炭酸リチウム) | 類薬(インドメタシン等)でリチウム中毒を起こすことが報告されている。 | 類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、リチウムの腎排泄を低下させる。 |
チアジド系利尿剤 (ヒドロクロロチアジド) | 類薬(インドメタシン等)でチアジド系利尿剤の作用を減弱させることが報告されている。 | 類薬(インドメタシン等)は腎のプロスタグランジン生合成を抑制し、チアジド系利尿剤の作用を減弱させることがある。 |
尿酸排泄促進剤 (プロベネシド、ベンズブロマロン) | これらの薬剤の作用を減弱させることがある。 | サリチル酸製剤は尿酸の排泄を抑制することが知られているため、これら薬剤の効果が減弱すると考えられる。 |
乳酸ナトリウム | 本剤の作用を減弱させることがある。 | 乳酸ナトリウムにより尿がアルカリ性となり、サリチル酸の尿中排泄が増加し、血中濃度が治療域以下になることがある。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 インドメタシン、ジクロフェナクナトリウム等 | (1)これら薬剤の血中濃度を低下させるおそれがある。 (2)消化器系の副作用を増強させるおそれがある。 (3)出血及び腎機能低下を起こすことがある。 | (1)本剤との併用により、これら薬剤の血漿蛋白結合部位からの遊離置換によると考えられる。 (2)、(3)機序不明 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 オキシカム系消炎鎮痛剤 (ピロキシカム等) | 両剤又は一方の薬剤の副作用の発現頻度を増加させ、消化性潰瘍、胃腸出血の発現が高まるおそれがある。 | 両剤ともにプロスタグランジン生合成阻害作用を有するためと考えられている。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 スリンダク | 消化器系の副作用の発現率が上昇する。 また、スリンダクの活性代謝物(スルフィド体)の血中濃度が低下する。 | 機序不明 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、スルピリン | 本剤の血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告がある。 | 血小板のシクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)と本剤の結合を阻害するためと考えられる。 |
非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤 COX-2選択的阻害剤 (セレコキシブ) | 低用量の本剤(1日325mg以下)とセレコキシブを併用した場合、セレコキシブのみを服用したときに比べて消化性潰瘍等の発生率が高くなることが報告されている。 | 主に本剤併用によるNSAIDsの消化管障害誘発によると考えられる。 |
ドネペジル塩酸塩 | 消化性潰瘍を起こすことがある。 | コリン系が賦活され胃酸分泌が促進される。 |
β-遮断剤 (プロプラノロール塩酸塩等) | 降圧作用が減弱することがある。 | 本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる。 |
アンジオテンシン変換酵素阻害剤 (カプトプリル等) アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤 (サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物) アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤 (バルサルタン等) 直接的レニン阻害剤 (アリスキレン) | (1)降圧作用が減弱することがある。 (2)腎機能を悪化させるおそれがある。 | (1)本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、プロスタグランジンを介した降圧効果を減弱させる。 (2)本剤の腎プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。 |
ループ利尿剤 (フロセミド等) | (1)これらの薬剤の利尿作用を減弱させるおそれがある。 (2)サリチル酸中毒が発現するおそれがある。 | (1)本剤が腎のプロスタグランジン生合成を抑制することにより、これら薬剤の作用を減弱させるためと考えられる。 (2)腎の排泄部位において両剤の競合が起こり、サリチル酸誘導体の排泄が遅れるためと考えられる。 |
ニトログリセリン | ニトログリセリンの作用を減弱させるおそれがある。 | 本剤がプロスタグランジン生合成を抑制することにより、ニトログリセリンの血管拡張作用を減弱させる。 |
タクロリムス水和物、シクロスポリン | 腎機能障害が発現することがある。 | 腎機能障害の副作用が相互に増強されると考えられる。 |
プロスタグランジンD2、トロンボキサンA2受容体拮抗剤 (セラトロダスト、ラマトロバン) | ヒト血漿蛋白結合に対する相互作用の検討(in vitro)において、本剤によりこれら薬剤の非結合型分率が上昇することがある。 | これら薬剤が本剤と血漿蛋白結合部位で置換し、遊離型血中濃度が上昇すると考えられる。 |
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI) (フルボキサミンマレイン酸塩、塩酸セルトラリン等) | 皮膚の異常出血(斑状出血、紫斑等)、出血症状(胃腸出血等)が報告されている。 | SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血傾向が増強すると考えられる。 |
アルコール | 消化管出血が増強されるおそれがある。 | アルコールによる胃粘膜障害と本剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、相加的に消化管出血が増強すると考えられる。 |
それぞれ簡単に解説していますが、長くなったので折り畳みにしておきます。
併用注意についての簡単な説明
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・上から4つはそのままなので分かりやすいですね。
血をサラサラにする成分を複数使う事になるので出血しやすくなります。
・糖尿病薬はいろいろありますが、全部がアスピリンと併用注意というわけではないです。
インスリン製剤(注射のやつ)や、インスリンの分泌を促す薬、あとはメトグルコ(メトホルミン)という薬あたりが該当します。
現在主に使われている内服薬(DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬)だと問題ないので、ご自身がどういう種類の薬を飲んでるか確認しておくと良いでしょう。
・メトトレキサートは免疫抑制剤です。よく関節リウマチに使われていますね。
おそらく一緒に痛み止めも処方してもらっていると思うので、市販薬を追加して使用しない方が良いと思います。
・バルプロ酸はてんかんの薬ですが、気持ちを落ち着かせたり、片頭痛の予防にも使ったりします。
微妙なさじ加減が必要な薬なので、痛み止めは医師に処方してもらった方が安心かもしれないですね。
・フェニトインもてんかんの薬です。
この薬は指数関数的に血中濃度が上がる性質があるのと、治療域と中毒域が近いので注意ですね。
フェニトイン自体も併用禁忌・併用注意の薬が多いので、自分の判断で他の薬は使わない方が良いかと思います。
医師に相談して処方してもらいましょう。
・炭酸脱水酵素阻害剤はちょっと特殊な利尿剤です。「ダイアモックス」という薬ですね。
緑内障やメニエールに使われます。
これに関してはそれほど気にしなくても良いかと思います。アスピリンの量が多いと問題になりますけど。
・副腎皮質ホルモン剤はいわゆるステロイドと呼ばれるものですね。いろんな病態に使われます。
NSAIDsを併用することも多いですが、胃への負担はかかりやすくなります。
・リチウム製剤は気分安定剤です。躁病や双極性障害などに使われます。
NSAIDsを使ってはダメという事はないのですが、
・手が震える
・意識がぼんやりする
・眠くなる
・めまいがする
・言葉が出にくくなる
・吐き気がする
・下痢をする
・食欲がなくなる
・口が渇く
・お腹が痛くなる
などの複数の症状が出た場合はリチウム中毒の可能性もあります。
腎機能が低下している方は注意してください。
・チアジド(サイアザイド)系利尿剤、ループ系利尿剤は高血圧や浮腫に使われます。
血圧が上がってきた、浮腫みが出てきた、息切れするなどの症状が出てきたらアスピリンは中止してください。
・尿酸排泄促進剤は高尿酸血症・痛風に使われる薬です。
高尿酸血症の人はアスピリンは使わない方が良いですね。他のNSAIDsにしましょう。
・乳酸ナトリウムはちょっとよく分からないのですが、輸液に入っているのかな?たぶん電解質補正かと。
点滴してる最中に市販のアスピリンを飲む人もいないでしょうし気にしなくていいかな。
・非ステロイド系解熱鎮痛消炎剤はNSAIDsのことです。
アスピリンと他のNSAIDsは併用しないようにしましょう。
・ドネペジルは認知症に使われる薬です。
ドネペジル自体がちょっと消化器系の副作用が出やすいので、アスピリンではない痛み止めにした方が良いかもしれないですね。胃の調子が悪くないなら気にしなくても良いです。
・β-遮断剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤、直接的レニン阻害剤は主に高血圧や心不全などに使われます。β-遮断薬は頻脈などにも使われますね。
血圧が上がってきたらアスピリンは減量・中止してください。まず問題ないと思いますけど。
あと、アスピリンに限らずNSAIDs全般は腎臓に負担がかかります。
・ループ利尿剤は高血圧や浮腫に使われます。
血圧に関しては数値が問題なければ使っても良いですが、浮腫が悪化するようならアスピリンは中止してください。これは他のNSAIDsでも同じです。
・ニトログリセリンは狭心症に使われる薬です。舌下錠やテープ剤がありますね。
アスピリン以外のNSAIDsでも同じですが…そこまで心配は要らないかと思います。
・タクロリムス水和物、シクロスポリンは免疫抑制剤です。臓器移植における拒絶反応の抑制、重症筋無力症、乾癬などに使われます。
こういった疾患等がある方が痛み止めを使う場合は主治医に処方してもらった方が良いでしょう。
タクロリムス(プロトピック)軟膏というアトピー性皮膚炎に使われる外用薬もありますが、こちらは気にしなくて大丈夫です。
・セラトロダスト(ブロニカ)は気管支喘息、ラマトロバン(バイナス)はアレルギー性鼻炎に使われる薬です。
気管支喘息がある方はアスピリンは避けてください。
ラマトロバンの方は気にしなくて良いと思います。
・選択的セロトニン再取り込み阻害剤はうつ病やパニック障害に使われる薬です。
アザができるなどあれば、アスピリン以外の痛み止めにした方が良いですね。
・アルコールは…控え目に。
ここに書いてあることはあまり気にしなくて大丈夫ですが、
・痛み止めの重複はダメ
・出血しやすくなるものがある
の2点は注意してください。
妊娠中・授乳中の方
妊娠中
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
妊娠期間の延長、動脈管の早期閉鎖、子宮収縮の抑制、分娩時出血の増加につながるおそれがある、とされています。
長期連用した場合は、母体の貧血、産前産後の出血、分娩時間の延長、難産、死産、新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告があります。
また、ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告があるそうです。
妊娠後期でなければ大丈夫かというと、「シクロオキシゲナーゼ阻害剤(NSAIDs)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告もある」のであまりお勧めはできないですね。
動物実験(ラット)で催奇形性作用があらわれたとの報告もあります。
妊娠中の方は使うとしてもアセトアミノフェンにしておいた方が良いですが、
そもそも妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(と言うか、必ず受診してください)
授乳中
授乳中の方に関しては心配いらないです。
通常使う量であれば問題ありません。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)について
市販の解熱鎮痛剤を頭痛に使う方も多いかと思います。
たまになら良いのですが、連用していると薬が効かなくなってきたり、頭痛が慢性化することがあります。
その場合、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。
市販薬では「アスピリン」、「アセトアミノフェンとカフェインの併用」などが原因となることが多いですが、他の鎮痛剤が原因になる事もあります。
以下の症状に当てはまる場合は注意が必要です。
・頭痛が月に15回以上ある
・月に10回以上頭痛薬を飲んでる
・薬を飲んでも効かなくなってきた
・朝起きた時から頭痛がある
これらが当てはまる人は、頭痛外来や脳外科などを受診してみてください。
他の疾患の可能性もあるので、頭痛が続いてる場合は必ず医師に相談してください。
アスピリンを含む市販の解熱鎮痛剤
アスピリンを含む市販の解熱鎮痛剤を紹介していきます。
それほど数は多くないですね。
アスピリン単体の製品
アスピリン単体のは1つしか見当たりませんでした。他にあるのかな?
製品名 | アスピリン 1回量 |
---|---|
バイエルアスピリン | 500mg |
これです。
30錠で1,000円弱。1回あたり30円くらいでしょうか。
解熱鎮痛剤がアスピリンのみで、
他の成分を配合している製品
製品一覧
クリック・タップで開きます。
製品名 | アスピリン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|
ケロリン | 600mg | 無水カフェイン:60mg ケイヒ末:60mg |
ケロリンA錠 | 600mg | 無水カフェイン:50mg ケイヒ末:50mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:100mg |
ケロリン錠S | 600mg | 無水カフェイン:50mg |
後藤散 | 450mg | 無水カフェイン:50mg ケイヒ末:100mg カンゾウ末:100mg |
後藤散 いたみどめ顆粒 | 450mg | 無水カフェイン:50mg ケイヒ末:100mg カンゾウ末:100mg |
後藤散 いたみどめ顆粒G | 450mg | 無水カフェイン:50mg ケイヒ末:100mg カンゾウ末:100mg |
バッサリンAs | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
バファリンA | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
バファリンライト | 440mg | 乾燥水酸化アルミニウムゲル:200mg |
バリアペイン | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
ベネスロン | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
アスピリンの量は1回440~660mg。
用法は製品によって1日2回まで、1日3回まで、と異なっています。
でもこの量であればすべて1日3回までで良いかと思います。
その他の成分に関しては、生薬はお好みで良いですが、「カフェイン」はなくて良いと思います。
「合成ヒドロタルサイト」や「乾燥水酸化アルミニウムゲル」は入っていた方が良いかなと思います。
アスピリンとアセトアミノフェンの合剤
アスピリンと他の解熱鎮痛剤の組み合わせは、アセトアミノフェンとの合剤のみでした。
作用機序の違うものを少量ずつ組み合わせる方法は、場合によっては効果的ですが…
解熱鎮痛剤の場合は効果は増さずに副作用だけが増すことがあります。
なので基本的にはここに載っている製品はおすすめしません。
製品一覧
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製品名 | アスピリン 1回量 | アセトアミノフェン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|---|
エキセドリンA錠 | 500mg | 300mg | 無水カフェイン:120mg |
エキセドリンプラスS | 500mg | 300mg | 無水カフェイン:120mg アリルイソプロピルアセチル尿素:30mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:70mg |
ケロール | 500mg | 300mg | 無水カフェイン:50mg ブロモバレリル尿素:200mg |
ケロリンT | 600mg | 100mg | 無水カフェイン:60mg ケイヒ末:60mg |
ヘデクカプセル | 300mg | 200mg | 無水カフェイン:66.7mg ブロモバレリル尿素:66.7mg 乾燥水酸化アルミニウムゲル:66.7mg |
ヘデクパウダー | 300mg | 200mg | 無水カフェイン:66.7mg ブロモバレリル尿素:66.7mg |
解熱鎮痛剤が2種類入ってるというだけでもおすすめできないのですが、それに加えて、
「アリルイソプロピルアセチル尿素」や「ブロモバレリル尿素」を含む製品はおすすめしません。
理由は、下記の通りです(以前の記事と同じ)。少し長いので折り畳みにしています。
「アリルイソプロピルアセチル尿素」と「ブロモバレリル尿素」について
クリック・タップで開きます。
作用
もともとは鎮静剤、睡眠薬です。
医療用医薬品の添付文書では「体内でBr–(臭素)を遊離し、神経細胞の興奮性を抑制することにより、鎮静、催眠作用を現す」と書かれています。
要は、脳を麻痺させるわけですね。
痛みを抑えるというより、痛みを感じにくくする、といったところでしょうか。
2つとも習慣性医薬品となります。
なぜか日本ではいまだに使われていますが、現在は海外ではほぼ使われません。
副作用
眠気、依存症、呼吸抑制などが出る場合があります。
睡眠薬として使われる量よりはかなり少ないですが、服用後は自動車の運転等危険を伴う機械の操作はしないようにしてください。
依存症も問題になります。服用後、薬が切れてくるとと不安感が出てきて、薬を飲むと不安感が消えます。
これで薬が手放せなくなるんですね。薬漬けというやつです。
連用してる人が急に薬を止めると、まれに痙攣発作、せん妄、振戦、不安等の離脱症状があらわれることがあります。
やめる場合は徐々に減量するなどしましょう。
というか、こうなってしまった方は受診してください。
ほかに、呼吸抑制の危険性もあります。
通常は意識をしなくても呼吸は行われるものですが、この命令が脳から出されなくなるんですね。
これは他の睡眠剤でも起こり得ます。
過量摂取による急性中毒症状としては、中枢神経症状(四肢の不全麻痺、深部反射消失、呼吸抑制等)が主なものであり、覚醒後に幻視、全身痙攣発作、神経炎、神経痛等が起こる場合があります。
オーバードーズ(意識的な過剰摂取)による死亡例があり、自殺に使われたこともあります。
以上のような事があるので、海外では販売禁止の国もあります。
使用する際の注意点
長期連用は避けましょう。
痛み止めの基本的な使い方はあくまで頓服、「症状があるときだけ」です。
もし「薬を飲まないと落ち着かない」という状態であればすでに依存が形成されている可能性があります。
受診した方が良いでしょう。
これらの成分が含まれる製品を使用する際には、用法用量を厳守し、長期間の連続使用は避けることが重要です。
できれば、これらの成分が含まれていない製品を選ぶことをお勧めします。
あと、カフェインについて。
カフェインも頭痛や頭重感を和らげる効果があります。
ただ、市販薬に含まれている量で効果があるかと言われると疑問です。
ここの製品に入っているカフェインの量はそれほど多いわけではありません。
なので、カフェインの有無は気にしなくて良いかと思いますが、一応「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」には注意してください。
おすすめしたい製品
基本的にアスピリンを解熱鎮痛剤として使用するのはおすすめしませんが、それでもアスピリンが使いたいのであれば、アスピリン単独、または胃粘膜保護の成分が入ったものが良いと思います。
他の成分は要らないです。
となると、以下の製品ですね。
製品名 | アスピリン 1回量 | その他の成分 |
---|---|---|
バイエルアスピリン | 500mg | |
バッサリンAs | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
バファリンA | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
バファリンライト | 440mg | 乾燥水酸化アルミニウムゲル:200mg |
バリアペイン | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
ベネスロン | 660mg | 合成ヒドロタルサイト:200mg |
ただ、Amazon、yahoo、楽天を見てみると、売ってるのは下の3つだけでした。
『バイエルアスピリン』
Amazonだと30回分で900円。
1回分が30円。
『バファリンA』
Amazonだと45回分で1,188円。
1回分が26.4円。
『バファリンライト』
Amazonだと10回分で564円。
1回分が56.4円。
これだけを見ると、『バファリンライト』は買うことないですね。
『バファリンA』で良いかな?胃薬も入ってるし。
まとめ
アスピリンは昔からある有名な解熱鎮痛剤ですが、現在は医療用では抗血小板薬としてしか使われなくなっていますね。
個人的にはあまりおすすめしません。
やっぱり一番の問題は胃への負担でしょうか。
とはいえ、胃に負担がかかるのは他のNSAIDsも同じですね。程度の問題だと思います。
腎障害に関しては他のNSAIDsも同じだと思われます。
抗血小板作用はアスピリンの大きな特徴の一つなので、出血には注意してください。
アスピリンをおすすめしないのは、「他に代替可能な薬がある」からですね。
副作用が少なく安全性の高いアセトアミノフェン、効果に定評があるロキソプロフェン。
「この2つは効かない!アスピリンの方が効く!」という方はもちろんアスピリンで良いと思います。
効かない薬を使う事は何の意味もないですし。
大切なのは「自分に合った薬を使う」ということですね。
ただ、薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)には注意してください。
痛み止めは日常的な使用は避けて、症状があるときだけの頓服での使用が基本になります。
記事中によく出てくるアセトアミノフェンについては下の記事にまとめています。
効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回からは解熱鎮痛剤の各主成分について詳しく解説していこうと思います。 まずは「アセトアミノフェン」について。 おそらく解熱鎮痛剤としては一番使われているであ…
痛みや発熱の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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