今回は症状特化型ではない『ストナファミリー』について解説したいと思います。
「ストナ」の症状特化型の製品については3つ書きましたが、症状特化型のは「今風邪をひいてて、こういう症状があるから」ということで購入すると思います。たぶん。
でも風邪をひいて症状が出ている時に風邪薬を買いに行くのはしんどいですよね。
常備薬として置いておくには症状特化型ではない、本来の意味での総合感冒薬の方が適しているかと思います。
どういう症状が出るかあらかじめ分かるものでもないですしね。
ということで、今回は高齢者から子どもまで安心して使えて、ちゃんと全般的な症状をカバーできる『ストナファミリー』について解説していきます。
ストナファミリーの基本情報
・製造会社:佐藤製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
デキストロメトルファン | 45mg | 咳を抑える |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
グアイフェネシン | 150mg | 痰を出しやすくする |
・包装
・錠剤:40錠、70錠
(瓶包装)
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それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が4種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
アセトアミノフェン
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・分類:「解熱鎮痛剤」ですね。たぶん一番使われている解熱鎮痛剤だと思います。
・効果:解熱鎮痛剤としてはかなり古い歴史があるのですが、いまだに作用機序は明らかになっていません。
一般的な鎮痛剤(NSAIDsといいます)は末梢において効果を発揮しますが、このアセトアミノフェンは中枢で働く、と考えられています。
中枢(脳や脊髄)において痛みを感じにくくしたり熱を下げたりしますが、平熱より下がる事はありません。
あと、一般的な解熱鎮痛剤(NSAIDsと言います)と違い抗炎症作用はほぼありません。
・臨床での使用例:小児から高齢者まで、あらゆる痛み・解熱に使っています。
作用機序が分からないのにもかかわらず、使われてる歴史が長く、その安全性・危険性はほぼ分かってて使いやすいからでしょうね。
「痛みや熱があったらまずはこれ。ダメなら違う薬」という感じです。
誰しも一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。
・副作用と注意点:安全性は高いとされていますが、副作用が全くないというわけではありません。
一番問題になるのは肝障害です。一番というか、ほぼこれです。
市販薬でも病院から出た場合でも、決められた用量を守っていれば安全性は高いです。
ただ、この成分はいろいろな市販薬に入っているので、自分でも気が付かないうちに過剰摂取してる、という事があります。
アルコールの摂取でも肝障害のリスクが高まります。
あと、アスピリン喘息に対してはNSAIDsよりは安全性が高いとされていますが高用量では喘息発作が誘発される可能性があります。喘息を持っている方は低用量から少しずつ増やす、という方法を取った方が良いかと思います。
NSAIDsと比べると胃への負担は軽めです。病院でも胃薬なしで処方されることが多いですね。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
炭酸リチウム | 他の鎮痛剤(インドメタシン、イブプロフェン等)で、 リチウムとの併用によりリチウムの血中濃度が上昇し、 リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
チアジド系利尿剤 | 他の鎮痛剤(インドメタシン等)で、 チアジド系利尿剤の作用を減弱することが報告されています。 |
アルコール | アルコール多量常飲者がアセトアミノフェンを服用したところ 肝不全を起こしたとの報告があります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
カルバマゼピン フェノバルビタール フェニトイン プリミドン リファンピシン イソニアジド | これらの薬剤の長期連用者は、肝薬物代謝酵素が誘導され、 肝障害を生じやすくなるとの報告があります。 |
特にアルコールに関しては、常飲者が多量のアセトアミノフェンを服用して急性肝不全で死亡した例があります。
通常の用量では問題にはならないと思いますが注意してください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には300mg入っています。1日900mg。
医療用では、大体1日に900~1,500mg使う事が多いです。
(最高では1日4,000mg使うことがありますが、1日1,500mgを長期で使う場合は定期的に肝機能検査をする必要があります)
他の市販薬と同等ですね(たぶん市販薬は1回300mgが上限)。
デキストロメトルファン
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・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性非麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
で、この「非麻薬性」というのが曲者でして…「麻薬じゃないですよ~」という事ではあるのですが、実際は「分類的には麻薬には入れてないけど麻薬と似てますよ」という事です。
麻薬性鎮咳薬のリン酸コデインの構造式と比べてみるとこんな感じ。
似てますよね?
医薬品にはよくこの「非〇〇」というのがあるのですが、これは「似ているもの」ということになります。
もちろん作用や副作用も似たものになります。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。
ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
・臨床での使用例:風邪の咳にはよく使われますね。かなり一般的なものだと思います。
風邪、気管支炎、肺炎、気管支拡張症など、いろいろな咳に使います。
・副作用と注意点:眠気は出やすいかもしれません。あとは吐き気や便秘でしょうか。
この辺は麻薬性の咳止めと同じですね。
あと、近年のオーバードーズ(過剰摂取)はこのデキストロメトルファンを使うことが増えてきてるようです。
法的には麻薬に分類されてないですが、作用は麻薬と同じです。
過剰に摂取すると、嘔気、嘔吐、尿閉、運動失調、錯乱、興奮、神経過敏、幻覚、呼吸抑制などいろいろな症状が出ます。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。
普通に使う場合は全然怖くない薬なんですけどね。
・薬物相互作用:併用禁忌はありません。併用注意がいくつかあるので載せておきます。
・選択的MAO-B阻害剤 セレギリン塩酸塩 ラサギリンメシル酸塩 サフィナミドメシル酸塩 | セロトニン症候群があらわれることがあります。 |
・薬物代謝酵素(CYP2D6) を阻害する薬剤 キニジン アミオダロン テルビナフィン等 | デキストロメトルファンの血中濃度が上昇することがあります。 |
・セロトニン作用薬 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 (SSRI)等 | セロトニン症候群等のセロトニン作用による症状があらわれることがあります。 |
・製品内含量(成人):この製品の1回分には15mg入っています。1日45mg。
医療用では1回15~30mg、1日1~4回使います。最高で1日120mg。
ただ、通常は1回15mg1日3回(1日45mg)で処方される事が多いです。この製品もそれと同じですね。
クロルフェニラミンマレイン酸塩
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・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
細かく言うと「ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第一世代)」となります。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。
あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
この製品に入っているのはd体とl体の両方が入ってるものですね。d体だけのものもあります。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットはありません。
・効果:気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水やくしゃみ、痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません。
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
病院ではあまりファーストチョイスにはならないかな?第二世代が効かない場合に使うといった感じです。
それに使うにしてもd体のみの薬がメインになって、あんまりdl体は使わないと思います。
・副作用と注意点:抗コリン作用により眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。私はですが。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
バルビツール酸系薬剤等 アルコール | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物 アトロピン硫酸塩水和物等 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
ドロキシドパ ノルアドレナリン | 血圧の異常上昇を来すおそれがあります。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には2.5mg入っています。1日7.5mg。
医療用では1回2~6mg、1日2~4回使うので最高で1日24mg使います。
それと比較すると少なめかもしれませんが、副作用の出やすさを考えると妥当かもしれませんね。
他の市販薬も1日量は同じですね。
グアイフェネシン
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・分類:「鎮咳去痰薬」になります。
・効果:気管支の分泌物を増やして痰の粘りをとり薄めることで、痰を出しやすくします。
あと、気道粘膜の刺激によって起こる咳も抑える効果があります。
・臨床での使用例:適応としては、風邪や気管支炎、上気道炎での咳や痰に使うのですが、医療用だと今は注射しかないみたいです。以前は錠剤や粉薬もあったのですが、現在は販売中止になっていますね。
市販の薬ではよく使われていますね。
・副作用と注意点:副作用はほとんどないようです。
胃の不快感、食欲不振、吐き気あたりがあるようですが、これはどんな薬でもあります。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):この製品の1回分には50mg入っています。1日150mg。
医療用では1日に300~900mg使われていました(現在は錠剤は販売中止)。
他の市販薬では250mg/日入ってるものがあるので、これはちょっと少なめですね。
ストナファミリーの主要成分の効果と注意点のまとめ
4種類の成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- アセトアミノフェン
- 解熱鎮痛剤で、痛みや熱を中枢神経系で抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあり、特にアルコールとの併用には注意が必要です。
- デキストロメトルファン
- 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
- 眠気や過剰摂取による副作用に注意が必要です。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- グアイフェネシン
- 痰を薄めて出しやすくしたり、咳を抑える作用があります。
- 特に注意点はないです。
用法・用量と注意点
ストナファミリーの用法・用量
・15歳以上:1回2錠・1日3回
・7~14歳:1回1錠・1日3回
7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
1錠あたりの成分量の問題ですね。
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
・食後の服用: 「食後なるべく30分以内に」となっています。
でもあまり心配は要らないです。
食欲がなくてご飯が食べられなくても、薬が飲めるなら飲んでOKです。
・眠気に注意:クロルフェニラミンやデキストロメトルファンで眠気が出やすい方もいるので注意してください。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
ただ、全然眠くならない方もいるので、そういう方は問題ないですね。
・服用期間: 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いかと思います。
デキストロメトルファンのオーバードーズの問題もあります。
この製品の添付文書にも「長期連用しないでください」と書いてありますね。
妊娠中の方
この製品の添付文書には「医師、薬剤師又は登録販売者にご相談ください」との記載があります。
この製品には4つの成分が含まれていますが、どの成分も豪州ADEC基準において「A」となっています。
基準A:「多数の妊婦および妊娠可能年齢の女性に使用されているが、形態異常や胎児に対する直接・間接の有害作用の頻度が増大するといういかなる証拠も確認されていない」
これは「今までの経験上、問題なかった」ということになります。
基本的には妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いとは思います。
(と言うか、必ず受診してください)
でも何かの理由で受診できない場合にはこういう製品を使って、とりあえず症状を抑えるのも良いでしょうね。
ただ、できれば短期間の方が良いと思います。
授乳中の方
この薬の添付文書には、授乳に関する記載はありません。
問題ないと思います。
Mothers’ Milk基準では、この風邪薬に入ってる成分の中で一番リスクの高いもので「L3(概ね適合)」となっています。
(アセトアミノフェンがL1、他3つがL3)
この製品の4つの成分は小児でも使えますし、問題ないでしょう。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
どうしても心配であれば、服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
ストナファミリーの特徴と利点と個人的な感想
必要最低限の成分のみ配合された総合感冒薬ですね。
各成分は安全性を重視して選ばれている感じです。
メーカーは、カフェイン・ジヒドロコデイン・メチルエフェドリンが入っていないのを売りにしているようです。
ビタミン類が入ってないのも良いですね。必要ないものを入れて値段が上がるのは勘弁です。
「ストナ」のシリーズはコンセプトがしっかりしてて好感が持てますね。
効果に関しては…何とも言えないですね。人それぞれです。
使用した方の口コミ・レビュー・値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じで、レビュー自体が少なくて参考になりませんでした。
使いやすいのは間違いないですね。
お子さんから高齢者まで使えますし。
眠くなるのは仕方ないですね。鼻水の薬は他の風邪薬と違いはありません。
値段に関しては、Yahooショッピング(送料含まず)で見ると、
40錠ので1,100~1,500円くらい。1日160~220円くらい。
70錠ので1,500~2,000円くらい。1日130~170円くらい。
総合感冒薬の中ではかなり安い方ですね。
これに対抗できるのは『新ルル-A錠s』、『エスタック総合感冒』くらいでしょうか。
まとめ
この記事では『ストナファミリー』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
特徴としては、
・必要最低限の成分数・成分量
・子供から高齢者、授乳中の方でも安心して使える(妊娠中でもまあまあ安全)
・値段が安い
といったところでしょうか。
風邪をひいて「咳がひどい」「鼻水がひどい」など特定の症状がひどい場合はそれに特化した製品を買うのも良いと思いますが、事前に用意しておく常備薬としては悪くないと思います。
以前書いた『新ルル-A錠s』は色々な成分が入っている割にとても安くて良いのですが、「誰でも使える」という点ではこちらの『ストナファミリー』の方が優れているかもしれませんね。
あと圧倒的に安い『エスタック総合感冒』もおすすめです。こちらは5歳から使えますし。
風邪薬の常備薬としてはこの辺を置いておくと良いかなと思います。個人的に。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページを参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
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