
この製品の特徴は、
・抗ヒスタミン薬がカルビノキサミン(他の製品ではあまり見かけない)
・1日2回の服用でいい持続性
といったところでしょうか。
カルビノキサミンは第一世代抗ヒスタミン薬ですが、この成分が使われている製品は市販薬全体で見ても数種類しかないと思います。
他の成分が効かなかった人は試してみる価値はあるかと思います。
1日2回の製品は楽で良いのですが、デメリットもあります。
自分の症状にはこの「1日2回の製品」で良いのか、「1日3回の製品」が良いのか、それとも「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」が良いのか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

基本情報
・製造販売元:大正製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
塩酸プソイドエフェドリン | 120mg | 鼻づまりを和らげる |
マレイン酸カルビノキサミン | 12mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 100mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
塩酸 プソイドエフェドリン | 120mg | 鼻づまりを和らげる |
マレイン酸 カルビノキサミン | 12mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 100mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
・24カプセル、48カプセル
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『パブロン鼻炎カプセルSα』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- 塩酸プソイドエフェドリン
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- マレイン酸カルビノキサミン
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2カプセル | 2回(12時間ごと) |
カプセルの中に速く溶ける顆粒とゆっくり溶ける顆粒が入っていて、即効性を確保しながらも効果が長持ちするように作られてますね。なので1日2回でOK。食後でなくて大丈夫です。
また、「12時間ごとに」と書いてますが、8時間程度空いていれば良いかと思います。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
この製品は15歳以上となっていますが、こども用として『パブロン鼻炎カプセルSα小児用』というのがあります。
『パブロン鼻炎カプセルSα小児用』は「7~14歳:1回1カプセル・1日2回」となっています。
で、1カプセル中の成分量は『パブロン鼻炎カプセルSα』1カプセル中の成分量と全く同じなんですよね。意味が分かりません。
それならこの『パブロン鼻炎カプセルSα』も「7歳~14歳:1回1カプセル・1日2回」で使えると思いますが。
ちなみにですが、希望小売価格は
『パブロン鼻炎カプセルSα』24カプセル:1,452円
『パブロン鼻炎カプセルSα小児用』12カプセル:1,452円
となっています。小児用は純粋に倍ですね。買う人いるのかな?
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
- MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
- 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミンだけなら問題ないのですが、プソイドエフェドリンは長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)
ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)
カルビノキサミンはデータがありません。
他の第一世代抗ヒスタミン薬は妊娠してる方に禁忌のものはないのでこれも大丈夫だとは思いますが、確証はありません。
ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- ベラドンナ総アルカロイド
- プソイドエフェドリン
の2つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
製品の内容自体はそれほど変わったところはありません。
- 抗ヒスタミン薬:アレルギー症状を抑える
- 抗コリン薬:鼻水や涙の分泌を抑える
- 血管収縮剤:鼻づまりを解消する
の3つが入っていますが、これらは他の製品でも入っています。
(カフェインは補助的なものと思ってください)
この製品の特徴は、抗ヒスタミン薬に「カルビノキサミン」を使っているところでしょうか。
カルビノキサミンは市販薬全体でも見ても数製品しか使っていないと思います。かなりレア。
良し悪しは何とも言えないのですが、「他の成分をいろいろ使ったけど効かない」という人は試してみる価値があるかと思います。
また、この製品は「1日2回の服用でいい」持続性の製品ですね。
「速く溶ける顆粒」と「ゆっくり溶ける顆粒」をカプセルに詰めているので、速めの効果を担保しつつも持続性も両立させています。
で、風邪薬でもそうなのですが、1日2回にすることで1日量が少なくなってしまいます。
1回に使える成分量の上限があるからですね。
成分名 | この製品の1日量 | 鼻炎薬の最大1日量 |
---|---|---|
プソイドエフェドリン | 120mg | 180mg |
カルビノキサミン | 12mg | 16mg |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
無水カフェイン | 100mg | 300mg |
成分名 | この製品 の1日量 | 鼻炎薬の 最大1日量 |
---|---|---|
プソイドエフェドリン | 120mg | 180mg |
カルビノキサミン | 12mg | 16mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 0.6mg |
無水カフェイン | 100mg | 300mg |
こんな感じです。カフェインはどうでも良いですが、
・プソイドエフェドリンとベラドンナ総アルカロイドは最大量の2/3
・カルビノキサミンは最大量の3/4
となっています。
これが「1日2回製品」のデメリットですね。
1回量の上限が決まっている以上、1日量はどうしても少なくなってしまいます。
症状が軽く、昼に飲むのを忘れる、という人には良いかと思います。
あともう一つ、抗ヒスタミン薬単独の薬と違い、この製品には血管収縮剤が入っています。
長期での服用はお勧めできません。
抗ヒスタミン薬単独のを基本に使いつつ、鼻づまりの症状がある時にピンポイントで使う方が良いかと思います。
長期での使用が前提なのであれば抗ヒスタミン薬はなるべく第二世代が良いかと思います。副作用が少なめです。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
良い評価の最初の人の意見でもありますが、他が効かなくてもこれは効く、という意見がチラホラありました。
抗ヒスタミン薬は人によって効き方が全然違います。
こればっかりは使ってみないと分かりません。
自分に合った成分が見つかったら覚えておいた方が良いですね。
あと、眠気やだるさは出るけど効果はある、と。
これは個人的な見解であって一般論ではないのですが、抗ヒスタミン薬は眠気や口渇などの副作用が強いものほど効果も高いと感じます。
第二世代は確かに副作用は少ないのですが、効き目が弱いな…と感じることも多いんですよね。
第二世代にもいろいろあります。最近のは副作用が少なく効果が高めなのも出てますね。医療用の「ビラノア」とか。まだ市販薬としては出てないですけど。
あと、第一世代はキレが良いので効果を感じやすい、という事もあるかと思います。
他の意見としては、1日1回でもある程度効果があるという意見もいくつかありましたね。
眠気が気になる方は夜だけ服用、カフェインで眠れなくなる方は朝だけ服用、という使い方でも良いかもしれません。
製品ごとに用法・用量というのはありますが、その辺はご自身の症状に合わせて調節しても全然問題ありません。飲みすぎなければ。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
24カプセル | 1,452円 |
48カプセル | 2,420円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
24カプセル | 1,080~1,380円 | 180~230円 |
48カプセル | 1,800~2,500円 | 150~208円 |
※1日分のは、1日4カプセルで計算
※2025年2月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
2024年4月に見た時は24カプセルので1,000円弱のがあったんですけどね。インフレだから?
この成分量でこれなら普通かと。安くはないですね。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『パブロン鼻炎カプセルSα』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴としては、
・1日2回の服用でいい持続性
・抗ヒスタミン薬がカルビノキサミン
といった点でしょうか。
「1日2回の製品」は楽なのですが1日量が少なくなりがちです。効果が弱いと感じる方は「1日3回の製品」を試してみると良いでしょう。
抗ヒスタミン薬は人によって効き方が違います。
この製品に入っているカルビノキサミンは他の製品ではあまり見かけません。
他の薬が合わなかった方も試してみる価値はあるかと思います。
ただ、血管収縮剤が入っているので長期での使用を想定していません。あくまで短期間の使用にとどめておいてください。
アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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