
この製品の特徴は、
- 生薬が4種類入っている
- 血管収縮剤と抗ヒスタミン薬が多め
といったところでしょうか。あと値段も安めです。
生薬に関しては正直どうでもいいのですが、血管収縮剤と抗ヒスタミン薬は市販の鼻炎薬に配合できる最大量が入ってますね。他の製品を使って「なんかいまいち…」と感じた方でも、これだと効果があるかもしれません。
(ただ、鼻水や涙の分泌を抑える抗コリン薬は入っていません)
また、この製品は1日3回服用となっています。
1日3回飲むのは面倒かもしれませんが、1日2回の製品よりも1日の成分量が多くなるのがメリットでもあります。
自分の症状にはこの「1日3回の製品」が良いのか、「1日2回の製品」で十分なのか、それとも「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」が良いのか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

基本情報
・製造販売元:JNTLコンシューマーヘルス
・成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン塩酸塩 | 180mg | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 12mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
サイシン(細辛)エキス | 30mg | 抗アレルギー、鎮咳、去痰など |
カンゾウ(甘草)末 | 300mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
シンイ(辛夷)エキス | 21mg | 鼻炎、蓄膿症、鼻づまりなどの緩和 |
ショウキョウ(生姜)末 | 100mg | 発汗を促し、熱をさげる |
無水カフェイン | 90mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン 塩酸塩 | 180mg | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 12mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
サイシン(細辛)エキス | 30mg | 抗アレルギー、鎮咳、去痰など |
カンゾウ(甘草)末 | 300mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
シンイ(辛夷)エキス | 21mg | 鼻炎、蓄膿症、鼻づまりなどの緩和 |
ショウキョウ(生姜)末 | 100mg | 発汗を促し、熱をさげる |
無水カフェイン | 90mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
45錠、90錠
(3錠ずつ袋に入っています)
各成分の効果・注意点
『アネトン アルメディ鼻炎錠』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- サイシン(細辛)エキス
- 抗アレルギー、鎮咳、去痰などの作用があります。
- 海外製の漢方薬は腎毒性のある物質が含まれている可能性があるので注意。
- カンゾウ(甘草)末
- 咳を鎮めたり、喉の痛みを和らげます。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- いろいろな漢方薬に含まれているので併用には注意を。
- シンイ(辛夷)エキス
- 鼻炎、蓄膿症、鼻づまりに使われます。漢方薬でも鼻の症状にしか使われません。
- 特に注意点はありません。
- ショウキョウ(生姜)末
- 体を温めたり、胃腸の働きを良くしたりする効果があります。
- 血液をサラサラにする作用があるため、抗凝固薬の効果を高めてしまう可能性がありますが、市販薬に含まれている程度の量では心配はいらないでしょう。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 3錠 | 3回 |
11~14歳 | 2錠 | 3回 |
「食後に」と書いてますが、気にしなくて良いでしょう。
1包に3錠入ってるタイプです。生薬入りのはこういうのが多いですね。
「1包を服用した残りを保管する場合は、袋の口を封をするように折り返し、5日以内に服用してください」
とのことです。
11歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
量の問題でしょうか。1回1錠なら7歳くらいからは使えそうですが。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の説明書では禁忌になっているので注意してください。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
- MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
- 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- カンゾウ(甘草):過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。
- 漢方薬を飲んでる方は注意してください。カンゾウが入っていないものであれば問題ありません。
- カンゾウの解説記事にカンゾウが含まれる漢方薬を載せている(109種類)ので、気になる方は見てみてください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)
ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)
クロルフェニラミンについては特に問題はありません。
生薬は短期間の使用で問題が生じることは少なく、この製品に入っている量であれば心配は要らないでしょう。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- プソイドエフェドリン
- クロルフェニラミン
の2つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は、
- 生薬が4種類入っている
- プソイドエフェドリンとクロルフェニラミンの量が、市販の鼻炎薬の最大量
という事でしょうか。
まず生薬ですが、それぞれの生薬の量を原生薬に換算すると、
- サイシン(細辛):約300mg?
- カンゾウ(甘草):300mg
- シンイ(辛夷):約260mg?
- ショウキョウ(生姜):100mg
という感じかと。
カンゾウとショウキョウは「末」ということで、原生薬の量はそのままです。
サイシンとシンイは「エキス」となっています。凝縮したものですね。
原生薬として〇〇mgという表記がないので正確には分かりませんが、他の製品と同程度と考えると、
- サイシン:エキス1mg≒原生薬10mg
- シンイ:エキス1mg≒原生薬12.5mg
となります。
それぞれケタが1つ少ない感じです。
無いよりは良いのでしょうけど補助的ですね。
それよりも、プソイドエフェドリンやクロルフェニラミンの量が多めである事の方が大きいでしょうか。
この2つは市販の鼻炎用内服薬に配合できる最大量が入っています。
一般的な総合感冒薬と比べると、
この製品 | 一般的な総合感冒薬 | |
プソイドエフェドリン | 180mg | 135mg |
クロルフェニラミン | 12mg | 7.5mg |
この製品 | 一般的な総合感冒薬 | |
プソイドエフェドリン | 180mg | 135mg |
クロルフェニラミン | 12mg | 7.5mg |
という感じです。
鼻炎だけでなく、風邪をひいた時でも症状が鼻水・鼻づまりくらいでしたら、総合感冒薬ではなくこういう製品を使うのも良いでしょうね。
ただ、この製品には抗コリン薬(鼻水や涙の分泌を抑える)が入っていません。
鼻水を抑える効果は少し落ちるかもしれませんが、口渇や便秘が気になる方は抗コリン薬が入ってない方が良いでしょうね。
抗ヒスタミン薬は多めに入っているので、くしゃみや目のかゆみなどがある方には良いかもしれません。
抗コリン薬はこれらの症状にはあまり関係ありません。
眠気はちょっと出やすいかも。
動悸や眠気などの副作用が出る場合は、成人でも1回2錠にしたり調節してみてください。
他の薬で効果がいまいちに感じた方は、この製品は選択肢の一つになると思います。
ただ、血管収縮剤は長期間使用するものではありません。
アレルギー性鼻炎の方は、抗ヒスタミン薬単独のを基本に使いつつ、鼻づまりの症状がひどい時などにピンポイントで使う方が良いかと思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効き目に関しては肯定的な意見が圧倒的に多かったですね。レビューってそういうものかもしれないけど。
副作用に関しては人それぞれとしか言えません。
眠気も口渇も全然ない、という人もいれば眠くなるし口も渇くという人もいます。
ただ、「他の薬と比べて口が渇かない」といった意見がチラホラ。
こういう人たちは、多分今までベラドンナ総アルカロイドなどの抗コリン薬が入ったものを服用していたのかもしれませんね。あれは口がかなり渇くので。
眠気に関しては他の薬よりは強めかと思います。
この製品の抗ヒスタミン薬はクロルフェニラミンですが、これは眠気の強い第一世代、しかもdl体です。入っている量も他の風邪薬などと比べると多め。
この製品で眠くならない方は他の薬でも眠くならないんじゃないかな?
カフェインが入っているとはいえ微量ですしね。
「生薬が入っているから安心」みたいな声もありましたが、この製品において生薬は補助的な位置づけです。
それよりもクロルフェニラミンやプソイドエフェドリンが他の一般的な市販薬より多い量が入っているので、副作用には注意してください。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
45錠 | 1,320円 |
90錠 | 2,200円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
45錠 | 700~1,200円 | 140~240円 |
90錠 | 1,200~2,200円 | 120~220円 |
※1日分のは、1日9錠で計算
※2025年3月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
決して高くはない、というか安いですね。
個人的には生薬4種類を抜いた製品をもっと安い値段で売って欲しいですけど。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『アネトン アルメディ鼻炎錠』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴としては、
・生薬が4種類も入っている(なくても良いと思うけど)
・抗ヒスタミン薬、血管収縮剤の量が多め
といった点でしょうか。
生薬はどうでも良いですが、抗ヒスタミン薬と血管収縮剤が多めなので、他の薬で鼻水・鼻づまりが解消しなかった場合でもこれは効果があるかもしれません。
ただ、アレルギー性鼻炎に使う場合、長期間の使用はしない方が良いと思います。
プソイドエフェドリンは交感神経刺激薬になるので、長期で服用しているといろいろな問題が出てくる可能性があります(血圧、血糖、前立腺、心疾患など)。
あくまで短期間の使用にとどめておいてください。
アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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