「アスコルビン酸(ビタミンC)」の解説 
作用・使用上の注意・製品一覧

「アスコルビン酸(ビタミンC)」についての簡単な解説です。

目次

アスコルビン酸(ビタミンC)を含む市販薬の製品一覧

解説記事を書いたことのある製品を載せています。

※ここでご紹介している製品がすべてではありません。
あと、すでに製造中止になっている製品もあるかもしれません。
そのへんはご了承くださいますようお願い申し上げます。

風邪薬(総合感冒薬)

クリック・タップで開きます。

製品名をクリック・タップすると、その製品の解説記事にいきます。

製品名1日あたりの成分量
エスタックイブ300mg
ベンザブロックIP
プレミアム
500mg
ルルアタックFxa300mg

市販の風邪薬に配合できる最大用量が1日500mgになります。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)

「エスタックイブ」と「ルルアタックFXa」は「アスコルビン酸」、
「ベンザブロックIPプレミアム」は「アスコルビン酸カルシウム」の形で入っています。

アスコルビン酸カルシウムだと約90%がアスコルビン酸になるので、「ベンザブロックIPプレミアム」にはアスコルビン酸が約450mg入っていることになります。たぶん。

総合感冒薬(かぜ薬)の一覧表もあるので見てみてください。
製品ごとの主要成分も載せています。

分類・働き

アスコルビン酸の化学構造式

「ハイシー顆粒」の添付文書より

分類

ビタミン」です。
その中でも「水溶性ビタミン」になります。

ちなみにビタミンとは「生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、その生物の体内で十分な量を合成できない炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称」です(Wikipediaより)。

脂溶性ビタミンは肝臓に貯蔵されますが、水溶性ビタミンは原則毎日摂る必要があります。
水溶性ビタミンは過剰に摂取した場合は尿中に排出されるため、一般的に過剰症はみられないとされています。

ただチアミン(ビタミンB₁)もそうですが、アスコルビン酸(ビタミンC)もあまりに摂り過ぎるのはやめた方が良いでしょう。
これについては後述します。

働き

コラーゲンの合成に関わっています。

コラーゲンについて
コラーゲンとは血管や骨などを構成するたんぱく質で、これを合成するためにビタミンCが必要です。
「じゃあコラーゲンそのものを摂取すればいいじゃない」と思うかもしれませんが、コラーゲンはそのままの形では吸収されません
一度アミノ酸やペプチドに分解されてから吸収され、体内でさまざまな用途に使われます。そのため、摂取したコラーゲンが全てコラーゲンとして利用されるわけではありません。

また、「コラーゲンを摂取したからお肌がプルプルになる」といった効果は科学的には十分に証明されておらず、期待しすぎない方が良いでしょう。
最近では「低分子コラーゲンだから吸収される」と謳う製品もありますが、低分子であっても吸収されたコラーゲンが直接お肌や関節に効くという証拠は乏しいのが現状です。

効果を感じる場合もあるようですが、気分的な要素が大きいかもしれませんね。
プラセボ効果はバカにはできませんが、詐欺商品が多いのも事実なので買う際にはお気をつけて。

ビタミンCが不足するとコラーゲンの合成が低下して、骨、皮膚、血管、歯などが弱くなります。
ビタミンC欠乏が数週間から数ヵ月続くと壊血病を引き起こしますが、これは極端に不足した場合です。現代の日本ではほぼ見られません。
1日10mg程度摂っていれば壊血病を防ぐことができますが、日本人は平均してその10倍くらい摂取しています。

ビタミンCには他にも、毛細血管の抵抗力を高めて出血傾向を改善する働きがあります。
アスコルビン酸が欠乏すると血小板が減少し血液凝固時間が延長しますが、アスコルビン酸を投与すると血液凝固能が上昇するとされています。

他にもメラニン色素の生成を抑制したり、抗酸化作用などもありますね。

一部の研究では、風邪の症状の持続時間を短縮する効果が報告されています。
風邪の予防効果については否定的な見解が多いですが、「子供ではビタミンCが風邪を予防する効果は大きかった」という報告もあります。
効果に関してはまだ議論の余地があり、今後の研究が待たれるところですね。

効果や使用方法

効果

風邪薬に配合されている理由としては、

1.消耗性疾患により要求量が増えるため

風邪を引くと体内でビタミンCの消費が増えるため、通常時よりも多く必要になります。
ビタミンCを摂取することで、免疫機能をサポートし回復を早める助けになります。

2. 風邪症状の期間短縮

上にも書いてますが、一部の研究ではビタミンCを摂取することで風邪症状の期間が短縮されることが示されています。

ということかと思います。

正直、なくても良いとは思いますが…あっても邪魔にはならないですね。
特に症状の期間短縮に関しては、本当であれば摂るに越したことはないですね。

ただ、あくまでも補助的な役割であることは変わりありません。

医療用の使用例

一応、適応はいろいろとありまして、

  • 壊血病などのビタミンC欠乏症の予防・治療
  • 消耗性疾患・妊産婦・授乳婦・はげしい肉体労働時など、ビタミンC需要増大時の補給
  • 毛細管出血・薬物中毒・副腎皮質機能障害・骨折時の骨基質形成・骨癒合促進・肝斑・雀卵斑・炎症後の色素沈着・光線過敏性皮膚炎などビタミンCの欠乏又は代謝障害が関与すると推定される場合

という感じです。

ただ、外来で見ることはあまり無いですね。

皮膚科で肝斑(シミ)とか炎症後の色素沈着に使ったり、
鉄分の吸収を助けるので鉄欠乏性貧血の方に鉄剤と一緒に処方されたりします。

風邪の時に処方される事はまずありませんね。

用法・用量

そもそもビタミンCが入っている風邪薬自体が少ないのですが、
市販薬の風邪薬の場合は
1回100~150mg1日3回(1日300~450mg)
となっていますね。

医療用だと
通常成人1日50~2,000mgを1~数回に分けて
となっています。

ビタミンCの1日推奨摂取量が100mgなので、風邪薬に入っている1日300mgは十分かと思います。

一部のサイトでは「風邪のときには3g~6gの摂取が推奨される」といった主張もありますが、現代の日本人の平均摂取量が1日100mg前後で健康を維持できていることを考えると…
大量摂取の必要性についてはちょっと疑問ですね。

使用上の注意点

副作用

摂り過ぎると吐き気や下痢などが出る場合があります。
通常の摂取量で問題になる事はないでしょう。

水溶性ビタミンなので基本的には過剰症というのは出にくいのですが、長期間大量に摂取すると体が過剰な状態に慣れてしまって、摂取を急に中止すると壊血病に似た症状が出る可能性があるようです。

あと、ビタミンCを過剰摂取すると血清シュウ酸値が上昇します。
このため、「ビタミンCをたくさん摂ると尿路結石(シュウ酸カルシウム)ができやすくなる」という話がありますが…これは今では否定されています。
むしろ、ビタミンCがシュウ酸とカルシウムの結合を阻止していると。

ただ、長期間極端に大量摂取を続けた場合、シュウ酸の排泄負担が増えることで腎障害につながる可能性があると言われています。
日常的な摂取量では心配することはないと思います。

また、少し特殊な状況ではありますが、
虚血状態(心血管疾患など)により細胞中の酸素濃度が低下してるときに1日10g以上のビタミンCを摂ると、活性酸素が増えて細胞を障害する可能性があるとのことです。
ただ、これもまだハッキリした事は分かりません。
医薬品の上限が2,000mgでもありますし、あまり大量に摂ることでデメリットが生じる可能性があるのであれば、素直に2,000mg程度までにしておいた方が無難かと思います。

どんなものでも摂り過ぎには注意しましょう。普通に摂る分には問題ありません。

ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意してください。

尿検査について

副作用ではないのですが、尿検査の前にビタミンCをサプリメントなどから摂るのは控えた方が良いでしょう。

ビタミンCは水溶性ビタミンであり、尿中に排泄されます。

ビタミンCは強い還元作用があるので、尿中のビタミンCが多いと尿試験紙の中の酸化反応によって発色するブドウ糖潜血ビリルビン亜硝酸塩はその作用が弱められて偽陰性になることがあります

ビタミンCを1,000mg摂った場合には尿中のビタミンCは100mg/dL以上の濃度になり、1日程度時間が経ってもまだ高い濃度を維持している可能性があります。

尿糖の場合は50mg/dLまでは大丈夫だそうですが、サプリメントなどからビタミンCを摂っている方は検査の2~3日前には止めた方が良いでしょうね。

通常の食事や果物から摂る程度では問題になる事はあまりないかと思います。
(「1本にビタミンC1,000mg配合」とか書いてる「C1000 ビタミン〇モン」みたいのはもちろんダメ)

相互作用

ビタミンCは特に飲み併せが悪いものはありません。

鉄剤の吸収は良くなりますね。

また、パーキンソン病の薬の「レボドパ」の吸収も良くなるのですが、薬の効果や副作用に影響を与える可能性があるため、医師の指示の下で使用する必要があります。

他の成分についてはこちらから。
成分の一覧表

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