『メジコン®せき止め錠Pro』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品はデキストロメトルファン単独のものですね。

特徴としては、医療用で通常使われる量と同じ量、ということでしょうか。
現在市販されている咳止めの中では、もっとも多い量となっています。

ただし、症状によっては効果は期待できないどころか、かえって症状が悪化する可能性もあります。
デキストロメトルファンの急性上気道炎(つまり風邪、感冒)への有効性は示されていません。

ご自身の症状に本当にこの薬が合っているのか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

※当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しており、提携リンクを通じて行われる購入から報酬を得ています。
記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

基本情報

製造販売元:シオノギヘルスケア

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
デキストロメトルファン
臭化水素酸塩水和物
90mg咳を抑える
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
デキストロメトルファン
臭化水素酸塩水和物
90mg咳を抑える

・包装

錠剤:20錠・40錠
(PTP包装)

成分の効果・注意点

「デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物」については下の記事に書いてます。

ここには効果と注意点などを簡単に書いておきます。

  • デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物
    • 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。とされていますが、急性上気道炎に対する有効性は示されていません。
    • 吐き気や眠気、めまいなどの副作用が出る可能性があります。重大な副作用として呼吸抑制あり。
    • セロトニン症候群の危険性あり。パーキンソン病薬や抗うつ剤を服用中の方は注意してください。
    • 乱用による死亡例あり。通常用量であれば心配いりません。適正な使用を。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2錠3回

「食後」の指定はありません。

「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
4時間程度空けて「1日3回まで」ですね。調節して服用してみてください。

15歳未満には服用させないこと、とのことです。
医療用の「メジコン錠」は成人への適応しかないからでしょうか。
「メジコン配合シロップ」は3ヵ月から使えます。3ヵ月だと1回2.5mg・1日3~4回という感じ。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
    • 全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • MAO阻害薬・SSRIを服用中の方:製品の説明書には書いてないですが、セロトニン症候群があらわれることがあります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • SSRIは抗うつ剤です(「パロキセチン」「エスシタロプラム」「セルトラリン」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、興奮・意識障害震え・けいれん発汗・発熱などがあれば中止して受診してください。
  • 服用回数:「5~6 回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師等に相談を」となっています。
    • こういう咳止めは咳を一時的に鎮めるだけのものであり、咳の原因を治すものではありません。症状が長引いている場合は医師の診察を受けてください。
    • オーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

薬物乱用について

近年、ジヒドロコデインに変わって乱用が増加してきているのが、このデキストロメトルファンです。
(ジヒドロコデインも咳止めです)

デキストロメトルファンは通常使う量であれば安全な成分ですが、高用量を摂取オーバードーズ)することで多幸感幻覚作用解離性作用を引き起こすことがあります。

特に若年層の間で薬物乱用の報告があり、一部の国では販売規制が設けられています。

乱用は重篤な副作用を引き起こす可能性があり、特に呼吸抑制意識障害セロトニン症候群横紋筋融解症(筋肉の壊死により急性腎不全を起こす)などが発生するリスクがあります。
日本でも急性中毒による死亡例があります。

必ず用法・用量を守って使用してください

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

デキストロメトルファンは
豪州ADEC基準A(多数の妊婦に使用経験あるけど、有害事象が増えたという証拠はない)
Briggs基準適合1(妊娠中の投与に適する)
となっています。

外来でも妊娠中の方にはデキストロメトルファンが処方されますね。
安全性でいうと咳止めの中ではこれが一番実績があるでしょうか。

とはいえ、服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には何も記載がありません。

問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、デキストロメトルファンは「L3(概ね適合)」となっています。

そもそもデキストロメトルファンは生後3ヵ月から使えますしね。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

デキストロメトルファン単独の製品ですね。分かりやすいです。

1回30mg・1日3回(1日90mg)となっていて、医療用で通常使われるのと同じ量ですね(医療用のは最大1日120mgまで使えますが)。
今のところ、1日量を90mgに設定している製品は他にありません。市販の咳止めでは間違いなく一番多いでしょう。

「鎮咳去痰薬の製造販売承認基準」というものがあり、それでは1日60mgまでとはなっているのですが、これはその基準を超えてますね。
風邪薬や鼻炎薬でもそうですが、医療用で使われている量で安全性の高いものはOKな場合があるようですね。
(解熱鎮痛剤のイブプロフェンも一応450mgまでとなってるのに600mg入ってる市販薬があります)

効果に関しては医療用と同じ、と思って良いでしょう。
(効果があるかどうかは別として)

市販の風邪薬や咳止めにはジヒドロコデインが入っていることが多いですが、それで眠気や便秘、吐き気などの副作用が気になる方には選択肢の一つにはなると思います。

効果についてはあまり期待しない方が良いでしょう。
近年の研究では、成人では鎮咳作用はほとんど示されず、乳幼児でもプラセボ(偽薬)と差がない事が分かっています。
一応下の記事にも書いてます。

中枢性の鎮咳薬は、あくまで痰の絡まない咳(乾性咳嗽)に使うものですが、痰の絡まない咳の原因もさまざまです。
咳喘息、アトピー性咳嗽、胃食道逆流症、百日咳、気管結核、マイコプラズマ、薬によるものなどいろいろあります。

製品の説明書にも書いてある通り、5~6回使用しても良くならないようであれば受診して原因をはっきりさせた方が良いでしょう。

風邪の他の症状がほぼ良くなったのに咳だけが続いてる(感染後咳嗽)ときなどには使えます。
風邪をひいた時の咳に使う場合も、できれば頓用の方が良いでしょう。夜に咳が出て寝付けない時とか。

痰が絡んでいるときはなるべく使わない方が良いのですが、もし使う場合はせめて去痰薬も一緒に使った方が良いかと思います(去痰薬も効果はいまいちかもしれませんけど)。

去痰薬は以下のような成分があります。
解説記事にその成分を含む製品一覧も載せてるので興味があれば見てみてください。
カルボシステイン
アンブロキソール
ブロムヘキシン
グアイフェネシン
グアヤコールスルホン酸

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「2日くらい飲んで咳がひいていった」
「コデインだと便秘になりがちでしたがメジコンは便秘にはならなかった」
「超小粒で飲みやすい」

といった具合。

否定的な意見としては、

「この薬のお陰で治ったのか時間が経って治ったのかは結局わからない」
「少し頭がクラクラするような症状がでて怖かった」

といった感じ。

大体の方は飲んで数日すれば良くなってますね。薬のおかげかどうかは分かりませんが。

便秘にはなりにくいですね。コデインやジヒドロコデインで便秘になる方には良いかもしれません。

錠剤は確かに超小粒です。医療用の薬でも「メジコン錠」より小さいのはなかなか無いですね。
PTPから出す時に落とさないように注意してください。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

20錠1,529円
40錠2,541円

ということでした。

Yahooショッピング、Amazon(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
20錠1,050~1,500円315~450円
40錠2,980円447円

※1日分のは1日6錠で計算
※2025年4月時点です。

こんな感じでした。もっと高いのもあるのですが、希望小売価格よりも高いのは除外してます。
20錠のはYahooショッピングのです。40錠のはYahooにはなくてAmazonのです。

5箱セットとか10箱セットとかのもありましたね。
普通はまとめ買いの方が安いんですけど、これは特に安くなってなかったですね。

安いので1錠(15mg)あたり52.5円くらいでした。
医療用「メジコン錠15mg」の薬価は今(2025年4月時点)は8.6円(前は5.7円でした)なので、それと比べるとやっぱり高いですね。

というか、たくさん売っててびっくりしました。医療用のは品薄なのに。
OTCの方がメーカーさんは儲かりますもんね。仕方ないですね。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『メジコンせき止め錠Pro』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品はデキストロメトルファン単独の咳止めですね。
成分量は医療用のとほぼ同じです。

コデイン類と比べると安全性が高く、便秘や眠気が気になる方には選択肢の一つにはなりますが、風邪の咳に対する有効性ははっきりしません

咳がひどくて眠れない、咳のし過ぎで腹筋が筋肉痛(自分がコロナ感染後にそうでした)、というときには症状を和らげられる可能性がありますが、一時的な使用にとどめておいた方が良いでしょうね。
基本的に中枢性の鎮咳薬は、痰の絡まない咳に頓用で使用するもので、長期で使用するものではありません。

痰の絡む咳には使わない方が良いかと思います。痰が出しにくくなって、かえって症状が悪化する可能性があります。
痰が絡んだ咳が出る場合は去痰薬を使用した方が良いでしょう(それも効果はいまいちだけど)。

また、高用量での乱用による中毒・死亡例も報告されています。
用法・用量は必ず守ってください

咳の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や症状が改善しない場合は、医療機関を受診することをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA