
この製品は「のどの痛み、発熱に」ということで、
・解熱鎮痛剤のイブプロフェンが1日600mg
・喉の炎症を抑えるトラネキサム酸が1日750mg
入っています。それぞれ市販のかぜ薬に配合できる最大用量ですね。
他の成分に関しては一般的な風邪薬とそれほど違いはありません。
咳や鼻水などもあれば総合感冒薬でも良いと思いますが、痛みや発熱だけであれば解熱鎮痛剤だけの製品を使った方が良いかもしれません。
自分の症状にはどちらが良いか、記事を読んで判断していただけたらと思います。
基本情報
・製造販売元:佐藤製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 600mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
トラネキサム酸 | 750mg | 喉の腫れや痛みを抑える |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 12mg | 痰を出しやすくする |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 3.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
イブプロフェン | 600mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
トラネキサム酸 | 750mg | 喉の腫れや痛みを抑える |
ブロムヘキシン塩酸塩 | 12mg | 痰を出しやすくする |
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 3.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
・カプセル剤:12カプセル、24カプセル(カプセルの中に液体が入っています)
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ストナアイビージェルEX』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- イブプロフェン
- NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
- 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
- トラネキサム酸
- 抗炎症作用があり、喉の腫れや痛みを軽減します。
- 腎機能に問題がある方は用量の調整が必要です。透析を受けている方で痙攣の報告あり。
- できた血栓が残りやすくなる可能性があります。血液凝固に関わる疾患がある方は注意を。
- ブロムヘキシン塩酸塩
- 気道の粘液をサラサラにし、痰を切れやすくする効果があります。
- 使用開始時には一時的に痰の量が増えることがあります。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2カプセル | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃痛が起こる方もいるので一応注意してください。
15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
(「かぜ薬の製造販売承認基準について」より)
医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。(メフェナム酸は微妙)
国際的には小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されていますが、市販薬ではイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
- イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
- この製品はジドブジンとの併用は禁忌となっています。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
- 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
- 喘息治療中の方
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 血栓:血栓が溶けにくくなるので、血栓症の方は注意を。
- また、ピル(特にエストロゲンを含む低用量ピル)との併用は血栓のリスクを高める可能性があるので注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するものであり、風邪そのものを治すものではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この製品の説明書では「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンにより胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ったものにした方が良いかと思います。
(アセトアミノフェンは短期間であれば問題ないとされています)
また、ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
- トラネキサム酸
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
トラネキサム酸は1歳未満でも使いますね。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
「のどの痛み、発熱に」ということで、
・イブプロフェンが医療用と同じ600mg/日
・トラネキサム酸が市販薬では最高用量の750mg/日
となっているのが特徴でしょうか。
イブプロフェンは、かぜ薬に配合できるのは基本的に1日450mgまでなのですが、最近は1日600mgの製品が出てきてますね。
大人に1日450mgは少ないので、痛みや発熱に使うのであれば600mgは欲しいところ。
トラネキサム酸が入ってるのはそれほど珍しくないのですが、750mg/日入っている製品はあまり多くないですね。
医療用では1日1,500mg使うことが多いです。750mgでも少ないのですが仕方ないですね。
咳止めや鼻水の成分については他の一般的な風邪薬と同じです。
去痰薬としてブロムヘキシンが入っています。
ジヒドロコデインのような中枢性鎮咳薬は痰を硬くするので、できれば去痰薬は入っていた方が良いですね。
全体的に、トラネキサム酸が入っている以外は他の風邪薬とそれほど違いはありません。
で、トラネキサム酸が750mg/日入っているから喉の痛みによく効くか?というと何とも言えないところです。
咳や鼻水などの症状もあるならこういう風邪薬(総合感冒薬)で良いと思いますが、
・症状が喉の痛みだけ
・痛みが酷い
という場合はロキソプロフェンも良いかと思います。効果が高いし値段も安いです。

効果・使用方法・おすすめ製品【薬剤師が解説】 今回は「ロキソプロフェン」について解説します。 現在、医療用としては一番使われているNSAIDsではないでしょうか。効果と副作用のバランスについては定評がありますね…
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
評価は高めです。効かなかったという方はそれほどいませんでしたね。
「値段が高め」と「飲みにくい」という意見がそれなりにありました。
のどが痛い時に使う薬なので、カプセルが大きいのはちょっとネックですね。
でも丸っこい形状なのでスルッといくかな?
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
12カプセル | 1,650円 |
24カプセル | 2,640円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
12カプセル | 1,500~1,650円 | 750~825円 |
24カプセル | 1,900~2,500円 | 475~625円 |
※1日分のは、1日6カプセルで計算
※2025年2月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
トラネキサム酸が配合されている風邪薬は総じて高めなのですが、これはさすがに高いかも?
上に書いたロキソプロフェンなら12錠入りで200~300円のがあるんですよね。
1日3回で4日分ですが、1日当たり50~75円くらい。
症状に合わせてどういう薬を使うか判断していただけたらと思います。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ストナアイビージェルEX』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
イブプロフェンとトラネキサム酸が市販の風邪薬としては最大用量入っていて、「のどの痛み、発熱に」のコンセプト通りにはなっていると思います。
総合感冒薬としてもバランスの良いものではあるのですが…
ちょっと値段が高いですね。
ドラッグストアに行った時にたまたま安かったら買っておいてもいいかな?
症状が痛みや発熱だけであれば解熱鎮痛剤だけの製品を使うことも選択肢に入れておいてください。
必要のない成分はできるだけ飲まない方が良いと思います。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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