
『パブロンゴールドA』には特徴らしき特徴はありません。
特徴がないのが特長でしょうか。
入っている成分に目新しいものはなく、クセがありません。
かといって、他の市販薬と比べて成分構成が変とか成分量が少ないということもありません。
12歳から使えますし値段も安い、まさに家庭の常備薬といったところですね。
「昔からあるから」という理由で今も人気がありますが、その内容をしっかり理解して使っている方は少ないのではないでしょうか。
この記事を読んで、ご自身に合ったものなのかを判断して使用していただけたらと思います。
基本情報
・製造販売元:大正製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
グアイフェネシン | 180mg | 痰を出しやすくする |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛を和らげる |
リボフラビン(ビタミンB₂) | 12mg | ビタミン補給 |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
グアイフェネシン | 180mg | 痰を出しやすくする |
ジヒドロコデイン リン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩 | 60mg | 気管支をひろげ、咳を鎮める |
アセトアミノフェン | 900mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
無水カフェイン | 75mg | 頭痛を和らげる |
リボフラビン (ビタミンB₂) | 12mg | ビタミン補給 |
・包装
- 錠剤:130錠、210錠(瓶包装)
- 微粒:28包、44包
各成分の効果・注意点
『パブロンゴールドA』の7種の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- グアイフェネシン
- 痰を薄めて出しやすくしたり、咳を抑える作用があります。
- 特に注意点はないです。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
- 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
- 便秘、眠気などの副作用に注意を。
- 依存形成の可能性があり、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
- dl-メチルエフェドリン塩酸塩
- 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
- 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- アセトアミノフェン
- 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
- いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
- 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
- リボフラビン(ビタミンB2)
- 水溶性ビタミンで、代謝やエネルギー産生に関与します。
- 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがあります。
- 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
使い方(用法・用量)
剤形 | 年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|---|
錠剤 | 15歳以上 | 3錠 | 3回 |
12~14歳 | 2錠 | 3回 | |
微粒 | 15歳以上 | 1包 | 3回 |
12~14歳 | 2/3包 | 3回 |
「食後なるべく30分以内に」となっています。
ただ、それほど問題になるものは入ってないので、あまり気にしなくても良いかと思います。
12歳未満の方は服用しないでくださいということになっています。
ジヒドロコデインが入っているからですね。
15歳以上の方でも眠気などが出る方は少し量を減らしてください。
逆に14歳とかでも体重が50㎏くらいあれば15歳以上の量で良いと思います。
微粒の12~14歳の「2/3包」はちょっと難しいですが、半分よりちょっと多い、くらいの認識で良いかと思います。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 喘息治療中の方
- 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
- ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる場合は減量または中止してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
- ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECというオーストラリアの危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
28週以前であれば問題はなさそうですが、メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こすことがある、という事もありそうです。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には
「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分で一番リスクの高いもので、
- ジヒドロコデイン
- クロルフェニラミン
- グアイフェネシン
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たような咳止めだと他に「デキストロメトルファン」というのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。
メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えるとあまり心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
いろいろな症状に対して効果が期待できる総合感冒薬ですね。
ただ、特徴と言えるものはありません。
添付文書の最初に書いてある製品紹介では
「グアイフェネシンをはじめ 7 種類の有効成分を配合し、せき、たん、のどの痛みなどのかぜの諸症状を改善するかぜ薬です」
と書いてて、グアイフェネシンを前面に出してますね。
グアイフェネシンが配合されている風邪薬はそれほど多いわけではないので確かに珍しいかもしれませんが、別にグアイフェネシンが特別優れているというわけではありません。
去痰薬ではカルボシステインやアンブロキソールの方がメジャーですね。
そしてグアイフェネシンの量も多くはありません。
風邪薬には1日最大250mg配合できるのですが、この製品は1日180mgです。
もちろん、入ってないよりは良いと思います。
咳止めはジヒドロコデインとメチルエフェドリン。
痰が絡む咳が出る場合、基本的には咳止めは使用しない方が良いかと個人的には思います。
痰の排出が難しくなり、かえって風邪の治りが遅くなる可能性があります。
痰が絡む咳が出る場合は、せめて1種類でも去痰薬が入っている製品を選んでください。
解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンが900mg/日入っていますが、ちょっと少ない。
といっても、これが市販の風邪薬では最大用量なので仕方ないですね。
熱や痛みがひどい方は、イブプロフェンが1日600mg入っている風邪薬の方が効果があるかもしれません。
全体的に特徴が無いのですが、使いやすくもありますね。
12歳から使えるのもメリットだと思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
効果に関しては肯定的な意見の方が圧倒的に多かったですね。効かなかったというのを探すのが大変なくらい。
上には載せてないですが、「昔から飲んでるから」とか「昔からよく買ってる」とか、「昔から~」というのが目につきました。
やっぱり昔から飲んでるものって安心感がありますよね。
錠剤タイプと微粒タイプがありますが、「粉の方が効く」といった意見も多かったです。
1回分の成分量は同じですが、粉の方が多少吸収が速いからかな?
あとは「錠剤は瓶だから持ち運びにくい」といった意見も。
粉の方は1包が1回分なので、お昼の分を職場に持って行くとなると粉の方がいいかも?
否定的な意見の方の3つに関しては、他の風邪薬も同様です。この製品に限った事ではありません。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
錠剤 | 130錠:2,057円 210錠:3,025円 |
微粒 | 28包:2,057円 44包:3,025円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で一番大きい包装のを見ると、
剤形 | 値段 | 1日分に換算 |
錠剤(210錠) | 1,700~3,000円 | 74~130円 |
微粒(44包) | 1,500~3,000円 | 107~214円 |
※1日分のは、錠剤は23日分、微粒は14日分で計算
※2025年1月時点です。
こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。
1日分が100円を切るってなかなか無いと思います。
希望小売価格でも高いってわけではないですし、値段については良心的ですね。
他の風邪薬と比べて成分量が少ないわけでもないし、これは安いと思います。
ただ、使い切る前に使用期限が切れそう。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『パブロンゴールドA』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
この製品は「特徴がないのが特長」といったところでしょうか。
クセのある成分は含まれていません。
12歳から使えるのも良いし、なにより値段が安いです。
まさに常備薬、という感じですね。
ただ、その分「〇〇の症状がひどい!」というときには少し物足りないと思います。
そういう時はその症状に特化した製品を買うと良いでしょう。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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