パブロンシリーズって、総合感冒薬のカテゴリーだけで23種類あるんですね。
一応全部書こうとは思いますが…いつになるやら。
今回は、パブロンシリーズの中の『パブロンエースPro-X』について書こうと思います。
「-X」が付いてない『パブロンエースPro』というのもあったのですが、それの新製品みたいですね。
今まで風邪薬についていくつか書いてきましたが、正直似たり寄ったりなんですよね。
この製品は2023年の8月に出た新しめのものになりますが、中身が他とどう違うのか見ていきたいと思います。
パブロンエースPro-Xの基本情報
・製造会社:大正製薬
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
イブプロフェン | 600mg | 熱をさげ、痛みを和らげる |
カルボシステイン | 750mg | 気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける |
アンブロキソール塩酸塩 | 45mg | 痰を出しやすくする |
ジヒドロコデインリン酸塩 | 24mg | 咳を抑える |
塩酸プソイドエフェドリン | 135mg | 鼻づまりを和らげる |
クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 7.5mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
リボフラビン(ビタミンB2) | 12mg | ビタミン補給 |
・包装
- 錠剤:18錠、36錠(PTP包装)
- 微粒:6包、12包
※このリンクはアフィリエイトリンクです。
それぞれの成分の解説
この製品には主な成分が7種類入ってます。
それぞれ解説していきますが、少し長くなるので折り畳みにしておきます。
興味のある方は読んでみてください。
※それぞれの成分の解説は、基本的には他の記事のと同じです。
製品内含量のところに少し固有のコメントをつけてるだけです。
イブプロフェン
クリック・タップで開きます。
・分類:いわゆる「解熱鎮痛剤」です。その中でもNSAIDsと呼ばれるものですね。一般的なものです。
50年ほど前から使われていて実績は十分ですね。
・効果:体内で痛みや炎症の原因となる特定の物質の作用を抑えることによって、頭痛や筋肉痛などの痛みを和らげる効果があります。
また、熱を下げるのを助ける作用もあります。
一般的な解熱鎮痛剤は小児に使えない事が多いのですが、これは小児にも適応があり使いやすいですね。
よく小児の頭痛などに処方されます。
国際的にも小児の解熱にはこのイブプロフェンかアセトアミノフェンが推奨されています。
(日本では小児の解熱には適応がありません。痛み止めとしてだけです。)
・臨床での使用例:いろいろな痛みや発熱に使えます。他の解熱鎮痛剤と同じですね。
ただ、あまり成人の方に処方されてるのは見ないかな?医師の好みもあると思いますが。
やっぱりどちらかと言うと小児に使う事の方が多いと思います。
・副作用と注意点:一番は胃に負担がかかる、という事でしょうか。胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化性潰瘍には禁忌となってます。
風邪のように短期間の使用であれば問題になることはないと思いますが、空腹時には飲まないようにした方が良いと思います。
あと、喘息をもってる方も注意してください。「アスピリン喘息」を誘発する可能性があります。
普段から痛み止めを飲んでいる方は、これを一緒に飲むと飲みすぎになる可能性があります。薬局で相談してみるといいでしょう。
長期間の服用は腎臓に負担がかかりますが、風邪のときに使うように短期間であれば問題ありません。
妊娠後期(28週以降)の方には禁忌となっています。胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものした方が良いかと思います。
・薬物相互作用:作用機序は不明ですが、ジドブジンというHIV感染症に使う薬とは併用禁忌になっています。血友病患者さんで出血しやすくなったとか。
イブプロフェンは、他の薬と一緒に使うときに注意が必要な成分があります。
特に、血をサラサラにする薬、一部の心臓病や高血圧の治療薬、そして特定の感染症や痛み・炎症を治療する薬との併用は、副作用のリスクを高めることがあります。
これらの薬をすでに使用している方は、イブプロフェンを含む製品を使う前に、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
イブプロフェンの併用注意の一覧です。(クリック・タップで開きます)
ワルファリン | ワルファリンの作用を増強するおそれがあります。 |
アスピリン | アスピリンの血小板凝集抑制作用を減弱するとの報告があります。 |
・抗凝血剤 ワルファリン等 ・抗血小板剤 クロピドグレル等 ・選択的セロトニン 再取り込み阻害剤(SSRI) フルボキサミン、 パロキセチン等 | 消化管出血が増強されるおそれがあります。 |
炭酸リチウム | リチウムの血中濃度が上昇し、リチウム中毒を呈したとの報告があります。 |
・チアジド系利尿薬 ヒドロクロロチアジド ・ループ利尿薬 フロセミド | これら利尿薬の作用を減弱するとの報告があります。 |
・ACE阻害剤 エナラプリル等 ・β遮断剤 プロプラノロール等 | 降圧作用が減弱するおそれがあります。 |
タクロリムス水和物 | 急性腎障害があらわれたとの報告があります。 |
・ニューキノロン系抗菌剤 エノキサシン水和物等 | 他の非ステロイド性消炎鎮痛剤で併用により痙攣があらわれたとの報告があります。 |
メトトレキサート | メトトレキサートの作用を増強するおそれがあります。 |
コレスチラミン | 本剤の血中濃度が低下するおそれがあります。 |
スルホニル尿素系血糖降下剤 クロルプロパミド、 グリベンクラミド等 | 血糖降下作用を増強(低血糖)することがあります。 |
CYP2C9阻害作用を有する薬剤 ボリコナゾール、フルコナゾール | イブプロフェンの血中濃度が上昇するおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には200mg入っています。1日600mg。
医療用のと同じ量ですね。市販の風邪薬だと珍しいかな?
十分効果的な量かなと思います。
カルボシステイン
クリック・タップで開きます。
・分類:「去痰薬」の中の「気道粘液修復薬」になります。
・効果:痰そのものをサラサラにしたり、粘膜を正常化して線毛の運動を改善することで痰を出しやすくします。
水道管を流れるヘドロに例えると、下に書いてあるアンブロキソールは水道管の中をコーティングして滑りやすくして、カルボシステインはヘドロを水っぽくして流しやすくする、という感じでしょうか。
・臨床での使用例:痰が絡む咳とか、慢性の気管支炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)によく使われます。
あと副鼻腔炎によく使われますね。小児だと滲出性中耳炎の排膿にも使われます。
排痰・排膿だと真っ先に使われる薬ですね。
・副作用と注意点:カルボシステインは一般的に非常に安全性が高いと考えられています。
実際私の経験としても、何千人もの患者さんにこの薬を渡していますが、副作用が報告された例はほとんどありませんでした。
ただし、ごく稀に薬疹が出る方もいますので、使用に際しては一応注意してください。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には250mg入っています。1日750mg。
病院では1回250~500mg使います。アンブロキソールも入っているので量としてはまぁ十分かなと思います。
アンブロキソール塩酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「去痰薬」の中の「気道潤滑薬」です。
・効果:気道や肺表面の活性物質の分泌を促進したり、線毛(粘膜の表面にある毛みたいな細胞。異物を喉の方に運ぶ)の動きを良くして痰を出しやすくすることで、咳を抑えたり呼吸を楽にします。
・臨床での使用例:痰が絡む咳とか、慢性の気管支炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)によく使われます。
あと、痰だけではなくて副鼻腔炎にも膿を出すのに使われます。
・副作用と注意点:副作用は胃部不快感くらいでしょうか。これはどの薬でも有り得るので仕方ないですね。
ただ、副作用が出た人は私はあまり見た事がありません。薬疹が出る方がたまにいますが。
小児から高齢者まで使いやすい薬だと思います。
でもこの成分に対してアレルギーがある方はもちろん避けてください。
・薬物相互作用:特にありません。
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には15mg入っています。1日45mg。
これは病院で処方されるときと同じ量になりますね。量としては十分だと思います。
ジヒドロコデインリン酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「鎮咳薬」。いわゆる「咳止め」ですが、その中でも「中枢性麻薬性鎮咳薬」に分類されます。
・効果:咳中枢を抑制することで咳が出るのを抑えます。
もともと咳というのは、肺や気管などの呼吸器を守るために、外から入ってきた異物(ほこりとかウイルスとか)を外に追い出す生体防御反応です。ほこりとかウイルスなどを気道の粘膜上にあるセンサーが感じ取ると脳にある咳中枢に信号が送られて咳が出るのですが、それを抑えるという事ですね。
あとは消化管の動きを抑制する効果もあります。
・臨床での使用例:基本的には強い咳に対して使います。できれば痰の絡んでない乾いた咳の時がいいです。
あと消化管の動きを抑制するので下痢止めとしても使いますね。
ただ、どちらの使い方でもあまり長期間は使いません。頓服という感じで症状が強い時だけ使います。
・副作用と注意点:この成分は効果的な鎮咳薬ですが、使用には慎重さが求められます。
特に、以下の副作用や注意点に留意する必要があります。
まず、痰が絡んだ咳に対しては使いにくいです。痰を硬くするので余計に痰が出しにくくなる可能性があります。
副作用としては、便秘、麻痺性イレウス(腸閉塞)、悪心・嘔吐、排尿障害、依存性、眠気、呼吸抑制、気管支痙攣などがあります。この中でも便秘(下痢止めとしても使うので)、眠気、悪心・嘔吐は出やすいです。
あと、以前から問題になっている「オーバードーズ(過剰摂取)」の大半はこのコデインのようです。
市販で買えるとは言え麻薬の一種には変わりありません。
長期間の使用や高用量の使用は依存性を引き起こす恐れがあるため、指示された用量を厳守し、症状の改善が見られない場合は専門家に相談してください。
・薬物相互作用:他の薬と一緒に飲むことで副作用が出やすくなる事があるので、普段飲んでる薬がある方は薬局で相談してみてください。
下に相互作用の表を載せておきます。
モノアミン酸化酵素阻害剤 三環系抗うつ剤 β-遮断剤 アルコール | フェノチアジン系薬剤、バルビツール酸系薬剤等呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあります。 |
ワルファリン | ワルファリンの作用が増強されて出血しやすくなることがあります。 |
抗コリン作動性薬剤 | 麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には8mg入っています。1日24mg。
医療用では1回10mg、1日3回まで使います。
他の大体の市販薬と同じ量ですね。
塩酸プソイドエフェドリン
クリック・タップで開きます。
・分類:「交感神経刺激薬」になります。
自律神経には交感神経と副交感神経と2つあって、そのうちの交感神経の方に働くものですね。
交感神経には大きく分けて「α受容体」と「β受容体」という2種類の受容体があって、プソイドエフェドリンはその両方に作用するのですが、α受容体の方により強く作用を発揮する「α刺激薬」として使われます。
・効果:鼻の粘膜の血管にあるα受容体を刺激することで、血管が収縮して鼻粘膜の充血や腫脹を軽減します。
そうすることで鼻づまりを改善します。
ただ、交感神経の受容体は全身のあちこちにあるので、思わぬ副作用が出ることがあります。
・臨床での使用例:日本にはこの成分単独の医療用医薬品はないのですが、「抗ヒスタミン薬」と一緒になっている薬があります(「ディレグラ」「プソフェキ」)。
抗ヒスタミン薬は鼻水やくしゃみは抑えますが、鼻づまりを解消する効果はあまりありません。
このプソイドエフェドリンを一緒に配合することで、鼻水・鼻づまりの両方に効果を発揮するんですね。
鼻づまりがひどいアレルギー性鼻炎には効果的ですね。
あと、この成分ではないのですが、他の「α刺激薬」では点鼻薬という形で直接鼻に噴霧して使うものがあります。
全身性の副作用もあまりなく使いやすいのですが、結構クセになるので注意が必要ですね(私もクセになった事があって、抜け出すのにかなり時間がかかりました…)。
内服でも点鼻でも、短期間の使用にとどめておいた方が良いですね。
・副作用と注意点:副作用はあまりないですが、血圧上昇や頻脈、血圧上昇による反射性の徐脈が起こる場合があります。心疾患を持ってる方は注意してください。
特に、重症の高血圧や冠動脈疾患の方は禁忌になります。
あと、甲状腺機能亢進症の方は交感神経刺激作用が強く表れることがあります。
腎機能が低下してる方も注意してください。この成分はあまり肝臓で分解されないので、腎機能が悪いと成分がそのままの形で体に残りやすくなります。結果として副作用が起きやすくなります。
・薬物相互作用:いくつか併用注意があります。
・交感神経系に対し抑制的に作用する降圧剤 メチルドパ レセルピン | 塩酸プソイドエフェドリンの交感神経刺激作用により、降圧作用が減弱することがあります。 |
・交感神経刺激薬 | 同じ系統なので、塩酸プソイドエフェドリンの心血管に対する作用が増強されることがあります。 |
・選択的MAO-B阻害剤 セレギリン | 血圧上昇等が起こるおそれがあります。 |
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には45mg入っています。1日135mg。
さきほど書いた「ディレグラ」では、通常1回120mg、1日240mg使います。
1回60mgと1回120mgを比較したデータがあります。それによると、もちろん1回120mgの方が鼻づまりには優れた効果を発揮しているのですが、1回60mg(1日120mg)でも効果は認められています。
1日135mgでも十分な効果を期待できるんじゃないかと思います。
他のメーカーの風邪薬も同じ量ですね。決まりでもあるのかな?
クロルフェニラミンマレイン酸塩
クリック・タップで開きます。
・分類:「抗ヒスタミン薬」と呼ばれるものです。
細かく言うと「ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬(第一世代)」となります。
第一世代と第二世代は似たようなものですが、多少効果や副作用が変わってきます。
あと、クロルフェニラミンマレイン酸塩には「d(ディー)体」と「l(エル)体」というのがあります。
この製品に入っているのはd体とl体の両方が入ってるものですね。d体だけのものもあります。
l体の方は抗ヒスタミン作用があんまりなくて眠気の副作用があります。特にメリットはありません。
・効果:気管支や血管の細胞、知覚神経にあるH1受容体というところにヒスタミンという物質がくっつくことで鼻水やくしゃみ、痒みが出るのですが、その受容体をブロックすることで症状を抑えます。
ただ、鼻水を抑える効果はありますが、鼻づまりの方にはあまり効きません。
(製品の説明書には「くしゃみ、鼻みず、鼻づまりなどの症状をおさえます」と書いてますけど)
この成分には抗ヒスタミン作用の他に、抗嘔吐作用や抗コリン作用というものがあります。
第二世代と比べると効果の発現が早めですね。
「抗コリン作用」とは、薬が体内の特定の受容体に作用して、口の乾燥や目の焦点調節の問題、便秘などの副作用を引き起こすことです。これにより、リラックスしたり眠くなったりする効果もあるため、使用時にはこれらの点に注意が必要です。
・臨床での使用例:アレルギー性疾患全般に使っています。
アレルギー性鼻炎、上気道炎の鼻水・くしゃみ、蕁麻疹、湿疹など。
とにかく鼻水とくしゃみ、痒みがあればこの系統を使います。
病院ではあまりファーストチョイスにはならないかな?第二世代が効かない場合に使うといった感じです。
それに使うにしてもd体のみの薬がメインになって、あんまりdl体は使わないと思います。
・副作用と注意点:この成分は注意点が多いです。
抗コリン作用というものにより眼圧が上昇したり、排尿困難や尿閉などが現れることがあるので、
閉塞隅角緑内障、前立腺肥大など下部尿路閉塞疾患がある方には禁忌となります。
(と言っても、この2つの疾患を持ってる方は大体治療されているので大丈夫な場合が多いです。主治医に訊いてみてください)
出やすい副作用としては眠気や口渇があります。
ただ、すごく個人差が大きいので何ともない人は本当に何ともありません。それでも最初に飲んだ後は注意してください。
口渇については特に問題にはならないですが、結構カラッカラになって不快です。私はですが。
・薬物相互作用:併用注意のものがあるので載せておきます。
バルビツール酸系薬剤等 アルコール | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
モノアミン酸化酵素阻害剤 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
抗コリン作動性薬剤ブチルスコポラミン臭化物 アトロピン硫酸塩水和物等 | 相互に作用を増強することがあるので、併用する場合には減量するなどしてください。 |
ドロキシドパ ノルアドレナリン | 血圧の異常上昇を来すおそれがあります。 |
併用禁忌というわけではないので、なんか眠いな~、ふらふらするな~と感じたら風邪薬の量を減らして様子をみてください。
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には2.5mg入っています。1日7.5mg。
医療用では1回2~6mg、1日2~4回使うので最高で1日24mg使います。
それと比較すると少なめかもしれませんが、副作用の出やすさを考えると妥当かもしれませんね。
他の市販薬も1日量は同じですね。
リボフラビン(ビタミンB2)
クリック・タップで開きます。
・分類:そのまんま「ビタミン剤」ですね。その中でも「水溶性ビタミン」となります。
ビタミンには脂溶性と水溶性がありますが、水溶性は摂り過ぎた場合でもおしっこの中に出てしまうので副作用というものはほぼありません。
ちなみに、栄養剤などのビタミン剤を飲んでおしっこが黄色くなるのはこれのせいです。
・効果:糖やたんぱく質、脂質の代謝(体の中の化学反応により物質が変化する事)、エネルギー産生の補酵素として働きます。
皮膚や爪、髪の毛の細胞の産生にも関わっています。
不足すると口唇炎、口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎、角膜炎などを起こします。
・臨床での使用例:上に書いてますが、不足すると出てくる症状(口唇炎、口角炎、舌炎、皮膚炎、結膜炎、角膜炎)があればとりあえず使っておく、という感じです。飲みすぎても悪いものではないですし。
あと脂質の代謝にも関わっているということで、高コレステロール血症にも適応はありますが、こちらではほぼ使われません。
昔はよく「風邪をひいたらビタミン剤の点滴」をしていたようですが、今はダメみたいですね。
値段は高いものではないですが、風邪ひいた人がみんなそれをやっていたら医療費がバカにならないですしね。
・副作用と注意点:一応、副作用として「下痢、悪心・嘔吐、胃膨満、腹部膨満」があるのですが…
副作用というものの注意点として「臨床試験の間に出たものすべてを記録しないといけない」というのがあります。
その薬を飲んでる間に出た症状、と言う事になりますが、薬によるものではないものも含まれてしまいます。
ビタミンB2はいろんな食材にも含まれているものですし、ここに関しては心配しなくていいかと思います。
あと、先にも書きましたがビタミンB2は「水溶性ビタミン」になるので摂り過ぎても排泄されます。
過剰摂取による過剰症というものがありません。
ただ、薬に含まれている添加剤に対してアレルギー症状を起こすこともあるので、そこは注意です。
・薬物相互作用:ビタミンB2にはありません。
・製品内含量(成人):パブロンエースPro-Xの1回分には4mg入っています。1日12mg。
病院で口角炎や皮膚炎に使う場合は1日5~20mgでしょうか。
まあこんなもんかな?という感じですね。別になくてもいいけど、とは思いますけど。
パブロンエースPro-Xの主要成分の効果と注意点のまとめ
7つの成分について解説してきましたが、まとめると以下のようになります。
- イブプロフェン
- 解熱鎮痛剤。痛みや炎症を抑え、風邪の不快感を軽減します。
- 副作用として胃に負担がかかることがあり、アスピリン喘息の誘発などのリスクにも注意が必要です。
- カルボシステイン
- 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
- 痰が絡む咳や慢性気管支炎などに使用され、副作用は非常に少ないですが、稀に薬疹が出ることがあります。
- アンブロキソール塩酸塩
- 去痰薬の中の気道潤滑薬で、気道の滑りを良くし痰を出しやすくします。
- 慢性気管支炎やCOPDなどで使用され、副作用は少なく幅広い年齢層に使いやすい成分です。
- ジヒドロコデインリン酸塩
- 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制して咳を抑えます。
- 乾いた咳や下痢に対して使用されますが、痰を硬くする可能性や依存性、眠気などの副作用に注意が必要です。
- 塩酸プソイドエフェドリン
- 鼻の粘膜の血管を収縮させて、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 抗コリン作用により眼圧上昇や排尿困難などの副作用があり、特に眠気に注意が必要です。
- リボフラビン(ビタミンB2)
- 水溶性ビタミンで、体内の代謝やエネルギー産生に関与します。
- 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがありますが、摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
用法・用量と注意点
パブロンエースPro-Xの用法・用量
- 錠剤: 15歳以上の方は、1回3錠・1日3回
- 微粒: 15歳以上の方は、1回1包・1日3回
15歳未満の方は服用しないでくださいということになっています。
これはイブプロフェンが入っているからですね。
ライ症候群を警戒して、という事だと思いますが…
イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。
仕方ないので15歳未満の方は大人しくアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
・食後の服用: 「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンによって胃に負担がかかることがあるので、一応食後の方が良いかと思います。
・眠気に注意:クロルフェニラミンやジヒドロコデインで眠気が出やすい方もいるので注意してください。
「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。
この風邪薬にはカフェインが入っていないので、他の風邪薬と比べると眠気が出やすいかもしれません。
ただ、全然眠くならない方もいるので、そういう方は問題ないですね。
・喘息:イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、イブプロフェンではなくてアセトアミノフェンが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。
・高血圧・心疾患のある方:塩酸プソイドエフェドリンによって血圧上昇や頻脈等が出る可能性があります。
一時的に使用する分には問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
・ジドブジン(商品名:レトロビル、コンビビル)服用中の方は禁忌となっています。
・服用期間: 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。
3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診断を受けた方が良いかと思います。
ジヒドロコデインのオーバードーズの問題もあります。
長期の連用はしない方が良いかと思います。
妊娠中の方
妊娠後期(28週以降)の方は禁忌です。
(この風邪薬の添付文書には「出産予定日12週以内の妊婦は飲まないで」という書き方になっています)
イブプロフェンによって胎児の動脈管(心臓と大動脈をつなぐ血管)が収縮した、という報告があります。
妊娠後期の方はアセトアミノフェンという解熱鎮痛剤が入ったものにした方が良いかと思います。
あとジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません。
豪州ADECというオーストラリアの危険度分類があるのですが、それによればジヒドロコデインの分類はAとなり、
「多くの妊婦と妊娠可能年齢の女性によって服用されており、それによって先天奇形の発症率の上昇や、間接・直接の胎児に対する有害作用が確認されていない」
ということで、今までの使用経験上では大丈夫だったよ、ということになります。
ただ、違う基準(Briggs基準)によると「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準によるとリスク5となっていて「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
総合的に見ると、妊娠してる(可能性のある)方はこの薬は避けた方が無難かと思います。
他に使える風邪薬はありますしね。
あと、やっぱり妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
漢方薬などの選択肢もありますしね。
授乳中の方
この薬の添付文書には「授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること」と書いてあります。
ただ、こちらに関しては特に問題ないと考えます。
「Mothers’ Milk」基準というのがあるのですが、この風邪薬に入ってる成分の中で一番リスクの高いものでも
「L3(概ね適合)」となっています。
(ジヒドロコデイン、プソイドエフェドリン、クロルフェニラミンの3つが「L3」)
ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは安全に使用可能となっています。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
あと、この薬を飲んでる間は粉ミルクを使うという手もあります。
パブロンエースPro-Xの特徴と利点と個人的な感想
「総合感冒薬」ですね。
発熱、頭痛、のどの痛み、咳、鼻水、鼻づまり、痰などいろいろな症状に効果があるかと思います。
特徴としては、去痰薬が2種類入ってることかな?と思います。
この製品の他には、前に書いた『パブロンSゴールドW』が去痰薬2種類入ってますね。
この製品と同じ成分・同じ量です。
(『パブロンSゴールドW』の記事はこちら↓
『パブロンSゴールドW』の成分と効果【薬剤師が解説】)
カルボシステインとアンブロキソールの組み合わせは、病院でもよく使いますね。
痰や喉の痛みがあったら必ずと言って良いほど使われてます。
パブロンはこの組み合わせが好きなのかな?私も好きです。
去痰薬の入っていない風邪薬だと、咳止めが2種類入ってることが多いのですが…
中枢性の鎮咳薬って痰を硬くするんですよね。
痰がからんで咳が出る人には逆効果になったりすることもあります。
なので基本的には咳止め+去痰薬の組み合わせが良いかな、と個人的には思います。
あと塩酸プソイドエフェドリンが入ってるのも良いですね。
ちゃんと「鼻づまり」にも効果あるし。
血圧高い人とかは使いにくいけど。
ちょっともったいないのは、解熱鎮痛剤がイブプロフェンであること。
これがアセトアミノフェンだったら、もっと幅広い人が使えたんですけどね~。
ただイブプロフェンの量は医療用と同じなので、解熱・鎮痛への効果は高めだと思います。
あと、カフェインが入ってないのも珍しいですね。
カフェインに敏感で夜に飲むと眠れなくなる、という人も安心して使えます。
日中に少し眠くなるかもしれませんけど。
個人的な結論としては、「高血圧や心疾患がなく・妊娠していない成人」であれば、悪くない選択肢だと思います。
ただ、新しめの製品にしては特別何か新しい成分が入ってるわけでもなく…。
ん~、これなら他のでも代用は可能ですね。悪いけど。
使用した方の口コミ・レビューなど
ものログというサイトの口コミです。
まず良い評価の方は、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
ん~、良い評価の方は「よく効く」とか「良いと思う」という感じで抽象的。
対して、否定的な方は結構具体的に書いてくれてるので真実味がありますね…。
成分を見ればそれほど効果がないって事はないと思うのですが…。
あと値段が高いって意見がチラホラ。
Yahooショッピングで見ると、36錠の一番安いので1,484円でした(2024年3月16日時点)。
送料が660円ってなってるので2,000円超えますね。
(ちなみに、メーカーの希望小売価格は36錠で2,178円)
36錠だと4日分。1日500円くらい。
前に書いた『エスタック総合感冒』だと1日120円くらい(その時の値段によるけど)。
ん~…どうでしょう?入ってる成分はもちろん違うのですが。
自分だと1日500円はちょっと躊躇しちゃうかな…?
あと効果に関してですが、公式ホームページには症状ごとの改善率のグラフがありました。
(このページ→https://brand.taisho.co.jp/pabron/pro/)
これによると、悪寒・関節の痛み・くしゃみ・筋肉痛・のどの痛みに対してはよく効いたみたいですね。
痰に関してはそれほどでした。あれ…?
副作用は、傾眠・口渇が少し出てたようですね。鼻水の薬のクロルフェニラミンのせいですね。
これは仕方ないかなと。
まとめ
この記事では『パブロンエースPro-X』の主要成分、それぞれの効果、用法・用量、そして実際の使用者の声をご紹介しました。
この製品は使える人が少しだけ限られてしまいますが、使える人にはいい風邪薬だと思います。
どんな症状に対してもちゃんと成分が入ってますし。
特に去痰薬が2種入ってる+プソイドエフェドリンが入ってるのは珍しいかな?
他にもあったらごめんなさい。
ただ、値段が高いのがネックかな、と。
去痰薬が2種入ってる同じパブロンシリーズの『パブロンSゴールドW』の方は、
Yahooショッピングで値段を見ると、1日あたりの値段がこれの半分くらいなんですよね。
あっちはイブプロフェンではなくてアセトアミノフェンだし、プソイドエフェドリンが入ってないですが…
逆に言うと誰でも使いやすいです。で、値段も安いと。
興味のある方はご自身でも比較してみてください。
↓で『パブロンSゴールドW』について書いてます。
『パブロンSゴールドW』の成分と効果【薬剤師が解説】
自分なら…これは買わないかもしれませんね。値段が安くなればかなり良い製品だと思いますけどね。
製品自体は新しくても中身は特別新しいわけではなかったです。少し期待したのに。
風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
詳細な情報やご購入を検討される方は、公式ホームページを参照してください。
皆様の健康維持に役立つ情報をこれからも提供していきます。
※このリンクはアフィリエイトリンクです。
コメント