『パブロンエースPro』(製造終了)の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】
新製品『パブロンエースPro-X』との比較も。

『パブロンエースPro』はすでに製造終了となっています。

記事は消そうかなと思ったのですが、残ってる在庫分がまだ販売されているのでしばらくは残しておきます。
製造が終わってると情報を探すのも難しくなりますしね。

ついでに、新製品である『パブロンエースPro-X』との比較もしておきます。
※『パブロンエースPro-X』については下の記事に書いてます。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
⇒風邪薬(総合感冒薬)一覧

基本情報

・製造販売元：大正製薬

・主な成分

成分名	1日量(15歳以上の)	はたらき
イブプロフェン	600mg	熱をさげ、痛みを和らげる
カルボシステイン	750mg	気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける
アンブロキソール塩酸塩	45mg	痰を出しやすくする
ジヒドロコデインリン酸塩	24mg	咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩	60mg	気管支をひろげ、咳を鎮める
クロルフェニラミンマレイン酸塩	7.5mg	鼻水、くしゃみを抑える
リボフラビン(ビタミンB₂)	12mg	ビタミン補給

成分名	1日量 (15歳以上の)	はたらき
イブプロフェン	600mg	熱をさげ、痛みを和らげる
カルボシステイン	750mg	気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける
アンブロキソール塩酸塩	45mg	痰を出しやすくする
ジヒドロコデイン リン酸塩	24mg	咳を抑える
dl-メチルエフェドリン 塩酸塩	60mg	気管支をひろげ、咳を鎮める
クロルフェニラミン マレイン酸塩	7.5mg	鼻水、くしゃみを抑える
リボフラビン (ビタミンB₂)	12mg	ビタミン補給

・包装

• 錠剤：18錠、36錠（PTP包装）
• 微粒：6包、12包

各成分の効果・注意点

先に書いておきますが、『パブロンエースPro』と『パブロンエースPro-X』の違いは、
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩
・塩酸プソイドエフェドリン
の２つの成分の違いだけでした。

『パブロンエースPro』には「メチルエフェドリン」が入ってて「プソイドエフェドリン」が入ってない。
『パブロンエースPro-X』には「プソイドエフェドリン」が入ってて「メチルエフェドリン」が入ってません。
（メチルエフェドリンとプソイドエフェドリンは市販の風邪薬には同時に配合できない決まりになっています）

他は量を含めて全部同じでした。

『パブロンエースPro』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

1. イブプロフェン
   • NSAIDsの一種。痛みや熱、炎症を抑えます。
   • 胃に負担がかかることがあります。アスピリン喘息にも注意を。
2. カルボシステイン
   • 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
   • 上気道炎や気管支炎、気管支喘息や副鼻腔炎などに使用されます。
   • 副作用は非常に少ないですが、内服後数日経ってから固定薬疹が出ることが稀にあります。
3. アンブロキソール塩酸塩
   • 去痰薬の気道潤滑薬で、気道の滑りを良くし痰を出しやすくします。
   • 気管支炎や気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、副鼻腔炎などに使用されます。
   • 副作用は少なく幅広い年齢層に使いやすい成分です。
4. ジヒドロコデインリン酸塩
   • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
   • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
   • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
   • 依存形成の可能性があり、「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
   • 12歳未満は禁忌です（呼吸抑制のリスクが高い）。
5. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
   • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
   • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
   • 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
6. クロルフェニラミンマレイン酸塩
   • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
   • 特に眠気には注意してください。
   • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
7. リボフラビン(ビタミンB2)
   • 水溶性ビタミンで、代謝やエネルギー産生に関与します。
   • 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがあります。
   • 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方（用法・用量）

剤形	年齢	1回の服用量	1日の服用回数
錠剤	15歳以上	3錠	3回
微粒	15歳以上	1包	3回

「食後なるべく30分以内に」となっています。
イブプロフェンで胃に負担がかかることがあるので一応食後の方が良いかと思いますが、それほど心配しなくても大丈夫です。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

イブプロフェンが入っていると15歳未満には使えないことになっています。
（「かぜ薬の製造販売承認基準について」より）

医療用のイブプロフェンは小児の解熱に適応がないんですよね。
滅多にないですが、ライ症候群を警戒して、という事だと思います。

ライ症候群
極めてまれですが、小児がインフルエンザや水痘・帯状疱疹にかかってる間にアスピリンなどのサリチル酸系の解熱鎮痛剤を飲むと発症する事があります。
症状は、脳浮腫や頭蓋内圧の上昇によって激しい吐き気・嘔吐、けいれん、意識障害、高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖などが短期間に発現して、死に至ることもあります。

イブプロフェンはサリチル酸系ではなくて、プロピオン酸系と呼ばれるものになります。
ライ症候群と確定された症例はすべてアスピリン及びジクロフェナクとの併用例となります。他のNSAIDsに関しては禁忌にはなっていません。
インフルエンザ脳症についても問題になるのはジクロフェナクです。（メフェナム酸は微妙）

国際的に小児の解熱にはアセトアミノフェンかイブプロフェンが推奨されているのに、市販薬だとイブプロフェンが使えないのは少しもったいないですね。

15歳未満の方はアセトアミノフェンが入ってるものにしましょう。
大人の方でも解熱だけが目的の場合はアセトアミノフェンが良いと思います。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

• ジドブジン(商品名：レトロビル、コンビビル)服用中の方は注意してください。
  • イブプロフェンと併用すると出血傾向が強まる可能性があります。
  • この製品はジドブジンとの併用は禁忌となっています。

• 眠気に注意：眠気が出る可能性があるので注意してください。
  • 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。

• 喘息：イブプロフェンによって喘息発作が誘発される事があります。
  • 他の風邪薬や解熱鎮痛剤で喘息の症状が出た事がある人は、解熱鎮痛剤としてはアセトアミノフェンだけが入ってる風邪薬を選ぶと良いかと思います。

• 喘息治療中の方
  • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
  • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません（喘息発作には禁忌）。

• 抗コリン作用：口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
  • 気になる場合は減量または中止してください。

• 服用期間：「5日間を超えて服用しないでください」となっています。
  • 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3～4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
  • ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

製品の特徴や利点、個人的な感想

発熱、痛み、咳、鼻水、痰などいろいろな症状に効果が期待できるかと思います。

特徴としては去痰薬が2種類入ってることでしょうか。
（カルボシステインとアンブロキソール）

病院ではこの2種類を併用することは多いです。というか、痰がからんでる患者さんにはほぼ必須ですね。
作用機序の違うものを併用するとより効果が高まります。

ただ、アンブロキソールは医療用と同じ量が入っていますが、カルボシステインは医療用の半分程度ですね。

市販の風邪薬には基本的に中枢性の鎮咳薬が入っていますが、痰を硬くする可能性があります。
痰がからんで咳が出る人には逆効果になったりすることもあります。

なのでせめて咳が出る時に使う風邪薬には、この製品のように去痰薬が入っているものを選んだ方が良いかと思います。
市販薬に配合される去痰薬は、この製品に入っている2種類以外ではブロムヘキシンなどがあります。

解熱鎮痛剤はイブプロフェンが1日600mg。市販の風邪薬としては最大用量です。
アセトアミノフェンが1日900mgの薬より少しは強いかもしれません。
その分、こどもが使えなくなるのが残念ですが。

市販の風邪薬としては、全体的なバランスは悪くないかと思います。

特に痰のからむ咳が出る人にはなかなかこれ以上のは無いかもしれません。もう製造してないけど。

『パブロンエースPro-X』と比較した感想

上にも書きましたが、『パブロンエースPro』と『パブロンエースPro-X』の違いは、

「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」
「塩酸プソイドエフェドリン」
のどちらが入っているか、だけです。

『パブロンエースPro』には「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」が入ってて、
『パブロンエースPro-X』には「塩酸プソイドエフェドリン」が入ってます。

両方とも「エフェドリン」という名前が付いてることからも分かりますが、この2つは同じ系統（交感神経刺激薬）になります。
それもあって、この2つは市販の風邪薬には同時に配合できない決まりになっています。

ただ、同じ系統とは言っても効果に違いはあります。
「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」は主に気管支拡張に、
「塩酸プソイドエフェドリン」は主に鼻粘膜血管の収縮に用います。

なので「どちらがいいか？」ではなくて、
・咳にはメチルエフェドリンが入っている『パブロンエースPro』
・鼻づまりにはプソイドエフェドリンが入ってる『パブロンエースPro-X』
が、それぞれ効果が高いかと思います。

今まで咳がひどくて『パブロンエースPro』を使って効果があった人が、そのまま新製品である『パブロンエースPro-X』を使うと、咳に対しては少しもの足りなく感じるかと思います。

対象とする人が変わっちゃってますね。なんでこんな事をしたのかな？

『パブロンエースPro』は現在製造終了しています。
まだ販売はされているようですが、在庫がなくなり次第販売も終わると思われます。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「のどの痛みがかなり軽減されました！1回分飲んだだけでもかなり違う」
「飲んですぐ爆睡してくれていつもより早めに楽になってました」
「解熱鎮痛効果や痰を出しやすくする効果があり、とても楽になります」

といった具合。

否定的な意見としては、

「眠くならないようであればもっと良いかも」
「高かったけど鎮痛効果がいまいちな気がします」
「風邪の症状に効いて良いのですが便秘になり腹痛になる」

といった感じ。

喉の痛みに効いた、という声が多かった感じです。

ただ眠気は出ると。カフェインも入ってませんしね。

あと便秘についても書いてありますね。ジヒドロコデインやクロルフェニラミンによるものだと思います。

眠気や便秘については個人差が大きいかと思います。

あと値段が高いって意見もチラホラ。

値段について

Yahooショッピング（送料含まず）で見てみると、

剤形	包装	値段	1日分に換算
錠剤	18錠	2,483円	1,241.5円
	36錠	1,570円	392.5円
微粒	6包	1,085円 1,340円	542.5円 670円
	12包	なし

※1日分のは、錠剤は1日9錠、微粒は1日3包で計算
※2025年1月時点です。

こんな感じでした。
錠剤は18錠のと36錠のが1つずつ、微粒は6包のが2つありました。微粒の12包のはもうありませんでしたね。

36錠より18錠の方が高かったりしてよく分からないことになってます。高いのは確かですね。プレミアかな？

まとめ

この記事では『パブロンエースPro』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この記事を書き始めてから製造終了になってるのを知ったのですが、せっかくだし残しておきます。
新製品と旧製品の比較という意味もありますし。

新製品ついては下の記事に書いてます。

正直な感想としては「なんでリニューアルしたんだろう…？」という感じです。

新製品には末尾に「-X」とついてるので単純にパワーアップしてると思ってたのですがそういう感じではありません。

咳止めを減らして鼻づまりの方に重点を置いた、という事になりますが…
それなら別の製品として出せばよかったのかな、とも思います。

そこはメーカーの思惑があるんでしょうけどね。

風邪薬に限らず市販薬には似た名前のものが多く混乱しがちです。

特にこの製品みたいに旧製品から新製品に変わるとき、「今までこれだったし、新しいこれでいいや」とは思わず、成分を見て購入していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
⇒風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。