
この製品の特徴は、「血管収縮剤(鼻づまりの薬)が2つ入っている」ということでしょうか。
ただ、そのうち1つは効果は期待できません。
鼻水を抑える抗ヒスタミン薬、抗コリン薬は多めに入っています。
効果自体は他の製品と大差ないと思いますが、余計なものが入っているのが残念ですね。その分値段もちょっと高め。
「この薬が合っている」という人は良いのですが、「何飲もうかな?」と考えてる人はこの製品でなくて良いと思います。

基本情報
・製造販売元:小林薬品工業
・主な成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン塩酸塩 | 150mg | 鼻づまりを和らげる |
フェニレフリン塩酸塩 | 15mg | 鼻づまりを和らげる? |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
グリチルリチン酸二カリウム | 40mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
プソイドエフェドリン 塩酸塩 | 150mg | 鼻づまりを和らげる |
フェニレフリン塩酸塩 | 15mg | 鼻づまりを和らげる? |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.4mg | 鼻水や涙を抑える |
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみ、痒みを抑える |
グリチルリチン酸 二カリウム | 40mg | のどや鼻の粘膜の炎症を鎮める |
無水カフェイン | 120mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
錠剤:48錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ヒストミン鼻炎錠』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- プソイドエフェドリン塩酸塩
- 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
- 「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
- フェニレフリン塩酸塩
- 「鼻の粘膜の血管を収縮させて、鼻づまりを改善します」との事ですが、「経口投与されたフェニレフリンは鼻づまりを解消しない」との結論が出ています(FDAより)。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- グリチルリチン酸二カリウム
- 抗アレルギー・抗炎症作用があり、のどや鼻の粘膜の炎症をしずめる目的で配合されています。
- 低カリウム血症に注意。だるさや痺れ、こむら返りや麻痺などがあったら中止して受診してください。
- 甘草(カンゾウ)が入っている漢方薬を飲んでいる方は注意を。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2錠 | 3回 |
7~14歳 | 1錠 | 3回 |
食後の指定はありません。4時間は空けてください。
「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。
7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
- プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
- 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:交感神経刺激作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
- MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
- 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 漢方薬服用中の方:グリチルリチン酸は甘草(カンゾウ)という生薬に含まれる成分ですが、過剰摂取で偽アルドステロン症の副作用が出る場合があります。漢方薬を服用中の方は注意してください。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- 5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
プソイドエフェドリンはBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
ただし、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)
ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)
あとグリチルリチン酸ですが、医療用のグリチロンの添付文書には「グリチルリチン酸一アンモニウムを大量投与したときの動物実験(ラット)において腎奇形等が認められている」との記載があります。
ただ、この製品に入っている量であればまず問題はないかと思います。
ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
ただ、それほど問題はないと考えます。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- プソイドエフェドリン
- フェニレフリン
- クロルフェニラミン
- ベラドンナ総アルカロイド
の4つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は、血管収縮剤が2つ入っている、という事でしょうか。
プソイドエフェドリンとフェニレフリンですが、フェニレフリンに関しては「経口投与されたフェニレフリンは鼻づまりを解消しない」との結論が出ています。
なので実質プソイドエフェドリンのみと考えていいでしょう。
プソイドエフェドリンの量は150mg/日と鼻炎薬の中では多めの方です。他の製品だと120mg/日のことが多いですね。
抗ヒスタミン薬のd-クロルフェニラミンは6mg/日なので鼻炎薬としての最大量ですね。
ベラドンナ総アルカロイドも0.4mg/日入っているので、鼻水を抑えるという事に関しては効果は期待できると思います。
グリチルリチン酸が入っている鼻炎薬は他にもあるのですが、なんでこれを入れてるのかよく分かりません。
医療用のグリチルリチン酸が鼻炎に使われることはまずありません。市販薬だと使える成分が限られるので、とりあえず効果のありそうなものを入れてる、という感じでしょうか?
全体的に見ると、フェニレフリンとグリチルリチン酸が邪魔、という感じ。個人的にですけど。
ただこの2つを抜いてしまうと他の製品と変わらないので、差別化のためにあえて入れてるのでしょうね。
必要のない成分は飲まない方が良いです。薬の数が増えれば増えるほど、副作用の発現率は高まります。
アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
でもそれを使いながらも、仕事中や外出先で急に鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりが悪化した時などにこの製品を頓用として使うにはまあ良いかな?と思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
評価は高めです。
「よく効く」「安い」といったレビューが多いですね。
また、7歳から使えるというのもあり錠剤が小さめで飲みやすいみたいですね。
市販の鼻炎薬はカプセルのものが多いので、カプセルが飲みにくい方はこういう錠剤タイプの方が良いでしょう。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
48錠 | 1,650円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
48錠 | 1,470円 | 184円 |
※1日分のは1日6錠で計算
※2025年3月時点です。
Amazonだと1,498円、楽天にはありませんでした。
ん~どうでしょうね?安いとは思わないのですが。
余計な成分を入れてるせいか分かりませんが、高めな方だと思います。
この記事を読んで、それでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ヒストミン鼻炎錠』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
この製品の特徴は「血管収縮剤が2つ入っている」ということではあるのですが、フェニレフリンの方は鼻づまりへの効果は期待できません。
でもプソイドエフェドリンは150mg/日入っているので、この製品自体の鼻づまりへの効果は問題ないでしょうね。
抗ヒスタミン薬も最大量、抗コリン薬もそれなりに入っているので鼻水を抑える効果もあると思います。
余計な成分が入ってなければ悪くない製品だとは思いました。
ただ、長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。
アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
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