『セピー®鼻炎ソフトN』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は、抗ヒスタミン薬と抗コリン薬が鼻炎用内服薬として最大量入っている、というのが特徴でしょうか。
血管収縮剤もちゃんとプソイドエフェドリンですね。

生薬とかビタミン剤とか余計なものが入ってないし、使いやすいかと思います。値段も安め。

鼻水を抑えるという事に関しては、これより強い製品はないと思います。同等のはありますけど。

長期で使用するものではありませんが、鼻水が酷い時に頓用で使用する飲み薬としては悪くないかと思います。

アレルギー性鼻炎で長期使用が前提の場合は、なるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

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基本情報

製造販売元:ゼリア新薬工業

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
プソイドエフェドリン塩酸塩120mg鼻づまりを和らげる
ベラドンナ総アルカロイド0.6mg鼻水や涙を抑える
無水カフェイン120mg頭痛・頭重感を和らげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
プソイドエフェドリン
塩酸塩
120mg鼻づまりを和らげる
ベラドンナ
総アルカロイド
0.6mg鼻水や涙を抑える
無水カフェイン120mg頭痛・頭重感を和らげる

・包装

カプセル剤:12カプセル、24カプセル
(PTP包装・中身は液状)

各成分の効果・注意点

『セピー鼻炎ソフトN』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  2. プソイドエフェドリン塩酸塩
    • 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
    • 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  3. ベラドンナ総アルカロイド
    • 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
    • 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
  4. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上1カプセル3回

食後の指定はありません。

「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
成人を1回1カプセルにしてしまっているので、小児には使えないですね。1回2カプセルとかにすれば15歳未満でも1回1カプセルで使えたと思いますが。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
    • プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
    • 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
      (抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。 
    • 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、プソイドエフェドリンは長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
    • 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。

合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

プソイドエフェドリンBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。

ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)

ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)

ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。

鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • プソイドエフェドリン
  • クロルフェニラミン
  • ベラドンナ総アルカロイド

の3つが「L3(概ね適合)」となっています。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、抗ヒスタミン薬と抗コリン薬が鼻炎用内服薬としては最大量入ってる、という事でしょうか。

鼻水を抑えるという事に関してはこれより強いのはないでしょう。
(同等の製品はあります)

入っている成分は、

  • 抗ヒスタミン薬:アレルギー症状を抑える
  • 抗コリン薬:鼻水や涙の分泌を抑える
  • 血管収縮剤:鼻づまりを解消する

の3つ。市販の鼻炎薬としてはよくある構成です。
(カフェインは補助的なもの)

成分名この製品の1日量鼻炎薬の最大1日量
d-クロルフェニラミン6mg6mg
ベラドンナ総アルカロイド0.6mg0.6mg
プソイドエフェドリン120mg180mg
成分名この製品
の1日量
鼻炎薬の
最大1日量
d-クロルフェニラミン6mg6mg
ベラドンナ
総アルカロイド
0.6mg0.6mg
プソイドエフェドリン120mg180mg

血管収縮剤のプソイドエフェドリンが180mg入っていたら最強だったんですけどね。惜しい。
強ければ良いというものではないですが、1日1~2回にしたりと量の調節は自分でできますしね。

風邪のときでも症状が鼻水・鼻づまりだけであれば、こういう製品を使うのも良いでしょう。

クロルフェニラミンも副作用が少なめの「d-体」の方です。
医療用では1回2mgなので、この製品は医療用と同じですね。
(医療用の徐放錠は1回6mgですが)

また、この製品の血管収縮剤はプソイドエフェドリンです。フェニレフリンと違って効果はあるとされています。
120mgはちょっと少なめですが、この量でも効果は認められています。

オールP鼻炎ソフトカプセルA』の抗コリン薬を0.4⇒0.6mgに増やした、純粋な強化版ですね。
ただ、『オールP』は7歳から使えますが『セピー』は15歳以上限定です。
その分『セピー』は成人が1回1カプセルとなっています。

成人が使う場合は『セピー』で良いと思いますが、抗コリン薬が多めなので口渇は出やすいかと思います。

アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
でもそれを使いながらも、仕事中や外出先で急に鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりが悪化した時などにこの製品を頓用として使うには便利かと思います。

市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「効き過ぎるくらいなので、1日1回で十分なくらい」
「通年性アレルギー性鼻炎の友」

といった具合。

否定的な意見としては、

「眠気は出ないけど喉は渇く」
「もうちょっと安いといいけど」
「置いてあるドラッグストアが限られる」

といった感じ。

評価は高めですね。
「よく効く」としか書いてないので何に効いてるのかがちょっと分かりませんけど。

「1日1回使用」の方が2人いました。こういう風に調節して使うと良いと思います。

第二世代抗ヒスタミン薬は基本ではあるのですが、効果がちょっと弱いと感じることも多いでしょうね。自分もそうです。
症状がひどいときには、こういう第一世代や抗コリンが入ったのを一時的に併用するのも良いでしょう。

ただ、やっぱり眠気や注意力の低下、口渇は出やすいので注意してください。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

12カプセル1,078円
24カプセル1,738円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
12カプセル500~1,000円125~250円
24カプセル650~1,400円81~175円

※1日分のは1日3カプセルで計算
※2025年3月時点です。

こんな感じでした。
Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

「もうちょっと安いといいけど」というレビューがあったので高いのかな?と思ったのですが、十分安いと思います。定価だとちょっと高いけど。

第二世代の抗ヒスタミン薬だと1日あたりの値段はもっと安くなりますが、「鼻水を抑える」という効果だけで見るとこちらの製品の方がコストパフォーマンスは良いでしょうね。

ちなみに、上にちょっと書いた『オールP鼻炎ソフトカプセルA』より成分量が多いのにこちらの方が安いです。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『セピー鼻炎ソフトN』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

抗ヒスタミン薬と抗コリン薬が鼻炎薬としては最大量入っています。

「鼻水を抑える」という点においては、これより強い製品はないでしょうね。
他にも同じ量が入った製品はありますけど。

多少の副作用には目を瞑ってでも鼻水を止めたいという時には使えると思います。

血管収縮剤もちゃんとプソイドエフェドリンですね。1日120mgですがこの量でも効果は認められています。
ただ、長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。

アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。

※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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