『ベンザ®鼻炎薬α』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は、

  • トラネキサム酸が入っている
  • 1日2回の服用でいい

ということが特徴になるでしょうか。

トラネキサム酸が入っている鼻炎薬は珍しいですね。でも鼻炎にはあまり関係ありません。
値段が高くなるだけ。

1日2回の服用で良いのはメリットもありますが、デメリットもあります。

効果の強さを求めるのであれば、この製品は選択肢には入らないと思います。
とはいえ、求めるものは人によって様々。ご自身の症状に合っているかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

アレルギー性鼻炎で長期使用が前提の場合は、なるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

基本情報

製造販売元:アリナミン製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
プソイドエフェドリン塩酸塩120mg鼻づまりを和らげる
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩4mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
トラネキサム酸420mg喉の腫れや痛みを抑える
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg鼻水や涙を抑える
無水カフェイン100mg頭痛・頭重感を和らげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
プソイドエフェドリン
塩酸塩
120mg鼻づまりを和らげる
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
4mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
トラネキサム酸420mg喉の腫れや痛みを抑える
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg鼻水や涙を抑える
無水カフェイン100mg頭痛・頭重感を和らげる

・包装

カプレット:12錠、24錠
(PTP包装)
※カプレットとはカプセルみたいな形の錠剤です。

各成分の効果・注意点

『ベンザ鼻炎薬α』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. プソイドエフェドリン塩酸塩
    • 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
    • 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  2. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  3. トラネキサム酸
    • 抗炎症作用があり、喉の腫れや痛みを軽減します。
    • 腎機能に問題がある方は用量の調整が必要です。透析を受けている方で痙攣の報告あり。
    • できた血栓が残りやすくなる可能性があります。血液凝固に関わる疾患がある方は注意を。
  4. ベラドンナ総アルカロイド
    • 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
    • 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
  5. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上1錠2回

「食後に」となっていますが、特に気にしなくてもいいでしょう。

15歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。
成人を1回1カプセルにしてしまっているので、小児には使えないですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
    • プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
    • 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:交感神経刺激作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
  • 血栓:血栓が溶けにくくなるので、血栓症の方は注意を。
    • また、ピル(特にエストロゲンを含む低用量ピル)との併用は血栓のリスクを高める可能性があるので注意してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
      (抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。 
    • 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
    • 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。

合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

プソイドエフェドリンBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。

ただし、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)

ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)

ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。

鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • プソイドエフェドリン
  • クロルフェニラミン
  • ベラドンナ総アルカロイド

の3つが「L3(概ね適合)」となっています。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
6~8時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、

  • トラネキサム酸が入っている
  • 1日2回の服用でいい

という事でしょうか。

トラネキサム酸が入っている鼻炎薬は珍しいですね。

ただ、これは製品の説明書にも書いてある通り「のどの痛みを和らげる」ものです。
鼻炎には関係ないと思いますが…
病院でも鼻炎にこれが処方されることはないですね。

ただ、トラネキサム酸には一応抗アレルギー作用もあります。多少は鼻の方にも意味があるかも?

とはいえ、量が中途半端。なんで420mgなのか。15歳未満も使用できる製品であれば1日420mgまでですが、この製品は15歳以上限定です。
1回375mgになるからかな?病院では1回500mgは使うんですけどね。

あと、この製品は1日2回タイプです。
1日2回の服用でいいのですが、持続性とは書いてません。たぶん持続性なんでしょうけど。

で、他の1日2回タイプの薬もそうなのですが、1日あたりの成分量が少なくなりがちです。1回で使える上限があるからですね。
例えば下の3つの成分ですが、

成分名この製品の1日量鼻炎薬の最大1日量
プソイドエフェドリン120mg180mg
d-クロルフェニラミン4mg6mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg0.6mg
成分名この製品
の1日量
鼻炎薬の
最大1日量
プソイドエフェドリン120mg180mg
d-クロルフェニラミン4mg6mg
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg0.6mg

となっています。

すべて最大量の3分の2ですね。1日2回タイプのデメリットです。

効果がいまいちなら1日3回飲んでも良いと思います。立場上おすすめできませんけど。

全体的に見ると、どうも中途半端。
トラネキサム酸も1日420mg程度では喉の炎症を抑える効果は期待できないでしょう。

どういう人に向けた製品なのかがよく分かりません。

また、この製品を使うにしても長期間の使用はおすすめできません。

アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
それだけでは症状が治まらないときだけこういう製品を頓用で使用する、という使い方であれば良いかと思います。

市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「花粉症ですがこれを飲むと調子いい」
「鼻炎によく効いて朝までぐっすり眠れる」
「1回で効果は持続する」

といった具合。

否定的な意見としては、

「強い眠気と喉の渇きがおこる」
「効くけどその代わり凄い喉が乾く」
「高いと思った」

といった感じ。

評価は悪くないですね。効果がないという人はいませんでした。

喉の渇きの事を書いてる人が数人。クロルフェニラミンもベラドンナ総アルカロイドも鼻炎薬ではよく使われる成分ですが、この製品はまだ成分量が少ない方です。
とはいえ風邪薬よりは多めに入っているので気になる方も多いでしょうね。

眠気や口渇が気になる方は1日1回にするなど調節してみてください。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

12錠1,518円
24錠2,398円

ということでした。
(ビックカメラ.comより)

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
12錠800~1,400円200~350円
24錠1,700~2,300円213~288円

※1日分のは1日3錠で計算
※2025年3月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

高いですね。風邪薬でもそうですが、トラネキサム酸が入っていると高くなりがちです。
で、そのトラネキサム酸は鼻炎にはあまり関係ありません。

そして、鼻炎に関係する成分は他の製品と比べると全体的に少なめです。

この製品を選ぶ理由は特に無いかと思います。

この記事を読んで、それでも「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『ベンザ鼻炎薬α』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品の特徴は、

  • トラネキサム酸が入っている
  • 1日2回の服用でいい

という事になると思いますが、トラネキサム酸は鼻炎には関係ないと思って良いでしょう。
量も少ないし意味はないと思います。

1日2回の服用で良いのはメリットもありますが、1日あたりの成分量が少なくなるというデメリットがあります。
もちろん、この量で丁度良いのであれば問題ないかと思います。

ただ、他の鼻炎薬よりも成分量が少なめなのに値段は高いです。
トラネキサム酸が入っているからだと思うのですが、さきほど書いた通りトラネキサム酸は鼻炎にはあまり関係ありません。
値段が高くなることに寄与しているだけな気がします。

個人的には、この製品を選ぶ理由は特に無いかと思います。

使うにしても長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。

アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。

※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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