『オールP鼻炎ソフトカプセルA』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品の特徴は、7歳から使える、というくらいでしょうか。
他の鼻炎薬は15歳以上限定が多いんですよね。こども用のは「〇〇小児用」と別の製品になってたりしてて。

成分構成は、第一世代抗ヒスタミン薬を主とする鼻炎薬としては標準的なものになります。
悪いところは特に見当たりません。使いやすそう。

第二世代の抗ヒスタミン薬を使いながらも、症状が悪化した時などに頓用で使用するのに適しているかと思います。

問題は、店頭だとこれが『オールP鼻炎ソフトカプセルA』だと気づきにくい事でしょうか。
上の写真の通り、パッケージの表面に製品名が載ってないんですよね(側面や裏面には書いてる)。

で、この製品は『オムニン鼻炎カプセルS』と同じ内容になっています。製造販売元も同じ(発売元が違う?)。
包装が違うだけですね。こちらは32・64カプセル。向こうは24・64カプセル。
ということで、この記事は『オムニン鼻炎カプセルS』とほぼ同じになっています。

アレルギー性鼻炎で長期使用が前提の場合は、なるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

基本情報

製造販売元:オール薬品工業

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg鼻水や涙を抑える
プソイドエフェドリン塩酸塩120mg鼻づまりを和らげる
無水カフェイン120mg頭痛・頭重感を和らげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg鼻水や涙を抑える
プソイドエフェドリン
塩酸塩
120mg鼻づまりを和らげる
無水カフェイン120mg頭痛・頭重感を和らげる

・包装

カプセル剤:32カプセル、64カプセル
(PTP包装・中身は液体)

各成分の効果・注意点

『オールP鼻炎ソフトカプセルA』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  2. ベラドンナ総アルカロイド
    • 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
    • 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
  3. プソイドエフェドリン塩酸塩
    • 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
    • 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  4. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2カプセル3回
7~14歳1カプセル3回

「食後に」となっていますが、特に気にしなくてもいいでしょう。

「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。

7歳未満の方は服用しないでくださいとのことです。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
    • プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
    • 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:プソイドエフェドリンの作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
      (抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。 
    • 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、プソイドエフェドリンは長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
    • 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。

合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

プソイドエフェドリンBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。

ただ、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)

ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)

ベラドンナ総アルカロイドによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、これは量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。

鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • プソイドエフェドリン
  • クロルフェニラミン
  • ベラドンナ総アルカロイド

の3つが「L3(概ね適合)」となっています。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は特にありません。
7歳から使えるというのは一応特徴かな?

鼻炎薬としてはとても標準的な製品ですね。使いやすいと思います。

成分としては、

  • 抗ヒスタミン薬:アレルギー症状を抑える
  • 抗コリン薬:鼻水や涙の分泌を抑える
  • 血管収縮剤:鼻づまりを解消する

の3つ。市販の鼻炎薬としてはよくある構成です。
(カフェインは補助的なもの)

成分量は、抗ヒスタミンのクロルフェニラミンは鼻炎薬としての最大量が入ってます。
抗コリンと血管収縮は3分の2ですね。7歳から使えるようにしたからかな?

成分名この製品の1日量鼻炎薬の最大1日量
d-クロルフェニラミン6mg6mg
ベラドンナ総アルカロイド0.4mg0.6mg
プソイドエフェドリン120mg180mg
成分名この製品
の1日量
鼻炎薬の
最大1日量
d-クロルフェニラミン6mg6mg
ベラドンナ
総アルカロイド
0.4mg0.6mg
プソイドエフェドリン120mg180mg

抗コリンと血管収縮がちょっと少ないですが、それでも市販のかぜ薬よりは多いですね。
風邪のときでも症状が鼻水・鼻づまりだけであれば、こういう製品を使うのも良いでしょうね。

使い勝手は悪くないと思います。

クロルフェニラミンも副作用が少なめの「d-体」の方です。
医療用では1回2mgなので、この製品は医療用と同じですね。
(医療用の徐放錠は1回6mgですが)

また、この製品の血管収縮剤はプソイドエフェドリンです。フェニレフリンと違って効果はあるとされています。
120mgはちょっと少なめですが、この量でも効果は認められています。

アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
でもそれを使いながらも、仕事中や外出先で急に鼻水が止まらなくなったり、鼻づまりが悪化した時などにこの製品を頓用として使うには便利かと思います。

市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります。

あと、ネットで調べると同じ製品なのに「リゾチーム」が入ってるものが出てきます。
(KEGG DRUG(医薬品のデータベース)の添付文書でも「リゾチーム」が入ってました)

リゾチームは消炎酵素剤といって、昔はよく喉の炎症に使われてましたね。
(他にも「ダーゼン」とか「エンピナース」とか)

消炎酵素剤は有効性が確認できない(プラセボと変わらない)ということで、現在は使われていません。

現在販売されている『オールP鼻炎ソフトカプセルA』にはリゾチームは入ってないはずです。
入っていたら相当古い製品かも?

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「不思議なくらい効いてくれてます。今ではこの薬がなかったらと思うと怖いくらい」
「量も入ってて安い」
「子どもに使えるので助かってる」

といった具合。

否定的な意見としては、

「ものすごく眠くなる」
「喉はかなり乾く」

といった感じ。

評価は高めですね。
「高いアレ◯オンより良いと思う」とかいった意見も。

第二世代抗ヒスタミン薬は基本ではあるのですが、効果がちょっと弱いと感じることも多いでしょうね。自分もそうです。
症状がひどいときには、こういう第一世代のを一時的に併用するのも良いでしょう。

ただ、やっぱり眠気や注意力の低下は出やすいので注意してください。

値段について

メーカーの希望小売価格は分かりませんでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
32カプセル805円・1310円151円・246円
64カプセル1,280円120円

※1日分のは1日6カプセルで計算
※2025年3月時点です。

こんな感じでした。全然販売されてないですね。
32カプセルは2ヵ所、64カプセルのは1ヵ所からしか販売されていません。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

32カプセルの805円のは送料が550円となってるので合計で1,355円。ほぼ同じですね。
64カプセルのは送料が710円かかるので実質1,990円。1日あたり187円くらい。

ん~、微妙ですね。高いってわけではないのですが。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『オールP鼻炎ソフトカプセルA』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

第一世代の抗ヒスタミン薬をメインとする鼻炎薬としては、とても標準的な製品かと思います。
特に悪いところはないかと。値段もそれなり。

7歳から使用できるのも地味ですが良いかもですね。他の製品だと15歳以上限定が多いと思います。こどもには小児用の製品を別に買わないといけなかったり。

抗ヒスタミン薬は最大量、抗コリン薬もそれなりに配合されてて、とにかく「鼻水を抑えたい」という時には良いと思います。

ただ、血管収縮剤(交感神経刺激薬)が含まれているので長期の使用には向きません。
できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。

アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。

※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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