
この製品の特徴としては、
- 口中で溶かしたり嚙み砕いて服用できるチュアブル錠みたいな設計
- 抗ヒスタミン薬・抗コリン薬・血管収縮剤が市販の鼻炎用内服薬としては最大用量
といったところでしょうか。
ただ、血管収縮剤(鼻づまりの薬)が最大用量入っていると言っても、この製品は鼻づまりへの効果は期待できません。
鼻水やくしゃみ、痒みなどへの効果は高いと思います。
特に「鼻水を抑える」という事に関してはこれ以上強い市販薬はなかなか無いかと思います。
使い方が限られますが、使い方次第では悪くない薬かもしれません。
自分の症状にこの製品は使えるのかどうか、記事を読んで判断していただけたらと思います。
ちなみにメントール味だそうです。さわやか。

基本情報
・製造販売元:佐藤製薬
・成分
成分名 | 1日量(15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
フェニレフリン塩酸塩 | 30mg | 鼻づまりを和らげる? |
ベラドンナ総アルカロイド | 0.6mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 80mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
成分名 | 1日量 (15歳以上の) | はたらき |
---|---|---|
d-クロルフェニラミン マレイン酸塩 | 6mg | 鼻水、くしゃみを抑える |
フェニレフリン 塩酸塩 | 30mg | 鼻づまりを和らげる? |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.6mg | 鼻水や涙を抑える |
無水カフェイン | 80mg | 頭痛・頭重感を和らげる |
・包装
12錠、24錠
(PTP包装)
各成分の効果・注意点
『ストナリニ・サット』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。
- d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
- 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
- 特に眠気には注意してください。
- 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
- フェニレフリン塩酸塩
- 「鼻の粘膜の血管を収縮させて、鼻づまりを改善します」とのことですが、「経口投与されたフェニレフリンは鼻づまりを解消しない」との結論が出ています(FDAより)。
- 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
- ベラドンナ総アルカロイド
- 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
- 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
- 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
- 無水カフェイン
- 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
- 覚醒作用があるので眠気防止にも。
- 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
使い方(用法・用量)
年齢 | 1回の服用量 | 1日の服用回数 |
---|---|---|
15歳以上 | 2錠 | 3回 |
「服用間隔は 4 時間以上おいてください」とのことです。
食後である必要はないですね。
この製品は「噛むか、口の中で溶かして服用」するタイプで、いわゆるチュアブル錠のような設計になっています。
水でそのまま飲むことも可能です。外出中に使う場合は良いかもしれませんね。
ちなみにメントール味だそうです。
「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。
「錠剤を湿気の多い所に放置した場合やわらかくなることがあります」とのことです。保管場所には注意してください。
15歳未満は服用しないでくださいとのことです。
これは多分、フェニレフリンが成人の適応しかないからだと思われます(現場の判断で使う事はあります)。
製品全体としての注意点
注意してほしいこと
いくつか注意点を書いておきます。
- 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
- 「服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
- 高血圧・心疾患のある方:フェニレフリンによって血圧上昇や頻脈等が出る可能性があります。
- 内服の場合は副作用もほぼないと思いますが、一応注意してください。
- 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
- 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
- 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
- この製品の添付文書にも書いてますが、5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。
- 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
- 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。
妊娠・授乳中の使用について
大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。
クリック・タップで開きます。
妊娠中の方
この製品の説明書では
「服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください」
という書き方になっています。
フェニレフリンは、Briggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。
医療用のフェニレフリン、「ネオシネジンコーワ注」の添付文書では、
「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で、胎児毒性(低酸素血症)が報告されている。」
との記載があります。
豪州ADEC基準ではB2となっていて、「ヒト胎児への有害作用の発生頻度の増加は観察されていない」とのことです。
動物実験では毒性あり、ヒト胎児では今のところ有害事象なし、というところです。
ただ、これは注射剤での話です。内服の場合は吸収後にすぐに代謝を受けて他の物質に変化します。
代謝後の物質がどうなのか?というデータはありません。
クロルフェニラミンやベラドンナ総アルカロイドについては特に問題はありません。
鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬、目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。
服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)
授乳中の方
この製品の説明書には、授乳に関しては特に何も記載がありません。
Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、
- クロルフェニラミン
- フェニレフリン
- ベラドンナ総アルカロイド
の3つが「L3(概ね適合)」となっています。
「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。
心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。
また、ベラドンナ総アルカロイドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。
心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。
製品の特徴や利点、個人的な感想
この製品の特徴は、「抗ヒスタミン薬・血管収縮剤・抗コリン薬が内服用鼻炎薬として最大量入っている」という事でしょうか。
ただ、フェニレフリンは効果が短すぎて「実際にフェニレフリンの鼻粘膜収縮作用を証明した報告はほとんどない」という事です。吸収後すぐに代謝を受けてしまうんですね。
また、2023年にFDA(アメリカ食品医薬品局)により「経口投与されたフェニレフリンは鼻づまりを解消しない」との結論が出ています。
医療用の場合、内服の血管収縮剤で鼻に使うのはプソイドエフェドリンだけです。
鼻づまり解消目的で飲み薬を買う場合はプソイドエフェドリンが入っているものにした方が良いでしょうね。
一応記事を載せておきます。

作用・使用上の注意・製品一覧 「プソイドエフェドリン」についての簡単な解説です。 プソイドエフェドリンを含む市販薬の製品一覧 解説記事を書いたことのある製品を載せています。 ※ここでご紹介し…
この製品は鼻づまりへの効果は期待できないと思って良いでしょう。
(クロルフェニラミンも鼻づまりにはあまり効果がありません)
抗ヒスタミン薬と抗コリン薬は市販薬としての最大用量入っていて、総合感冒薬に含まれている量よりも多いですね。
この製品 | 一般的な総合感冒薬 | |
d-クロルフェニラミン | 6mg | 3.5mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.6mg | 0.3mg |
この製品 | 一般的な総合感冒薬 | |
d-クロルフェニラミン | 6mg | 3.5mg |
ベラドンナ 総アルカロイド | 0.6mg | 0.3mg |
こんな感じで、それぞれ倍くらい入ってます。そもそも鼻炎薬と総合感冒薬では配合できる量が違います。
鼻水やくしゃみ、目の痒みなどの症状には効果がありそうですね。
鼻炎だけでなく、風邪をひいた時でも症状が鼻水くらいでしたら、総合感冒薬ではなくこういう製品を使うのも良いでしょうね。
抗ヒスタミン薬はd-クロルフェニラミンを使っていて、第一世代の中では眠気は少なめだと思います。
dl-体のクロルフェニラミンを使うよりは良いでしょう。
(ただ単に「クロルフェニラミン」と書いてるのは全てdl-体になります)
「鼻水を抑える」という事だけを考えると、これ以上に強い市販薬はなかなか無いと思います。
もう一つの特徴として、この製品はチュアブル錠なので水がなくても服用できます。外出先で使うのに便利ですね。
噛まずにそのまま水などで飲みこんでもOKです。
アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となりますが、それを使いながらも仕事中や外出先で急に鼻水が止まらなくなった時などにこの製品を頓用として使うには便利かもしれませんね。
(市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります)
逆に言うと、それ以外の使い方はあまりお勧めできません。
血管収縮剤としてフェニレフリンが入っているのは残念ですが、使い方次第では悪くない薬かと思います。
使用した方の口コミ・レビュー、値段など
「ものログ」というサイトの口コミです。
良い評価としては、
といった具合。
否定的な意見としては、
といった感じ。
驚くほどレビューが少ないです。あんまり使われてないみたいですね。
これだと実際に使った感じがどうなのかちょっと分かりにくいです。
薬の効き方は人それぞれでなので、自分に合っていればそれで良いと思います。
値段について
メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、
12錠 | 1,100円 |
24錠 | 1,980円 |
ということでした。
Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、
包装 | 値段 | 1日分に換算 |
12錠 | 530~1,000円 | 265~500円 |
24錠 | 1,100~2,000円 | 275~500円 |
※1日分のは、1日6錠で計算
※2025年3月時点です。
ん~、高いですね。
成分量が多いのと、チュアブル錠である事を考慮してもちょっと高いような気がします。
アレルギー性鼻炎は第二世代抗ヒスタミン薬を基本に使った方が良いかと思います。安いのがありますし。
ただちょっと効果が弱めではあるので、こういう製品を頓用で使うというのが良いかもしれませんね。
あと、同じような薬で『コルゲンコーワ鼻炎ジェルカプセルα』というのがあります。
1日あたりの価格は『コルゲン~』は『ストナ~』の3分の1くらいです。
この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ
まとめ
この記事では『ストナリニ・サット』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。
特徴は、
- かみ砕いたり口中で溶かして服用できるチュアブル錠のような設計
- 抗ヒスタミン薬・抗コリン薬・血管収縮剤が市販の鼻炎用内服薬としては最大用量
といった点でしょうか。
この製品の血管収縮剤はフェニレフリンですが、これは鼻づまりへの効果は期待できません。
鼻水やくしゃみ、痒みなどへの効果は高いと思います。
個人的に考えるこの薬の使い方としては、
- 標準的な量の第二世代抗ヒスタミン薬を服用中の方が、
- 日中に症状が悪化したときに頓用で使う
といった感じでしょうか。
これ以外では良い使い方が思いつきませんし、これ以外の使い方はあまりお勧めできません。
血管収縮剤と抗コリン薬が入っている時点で長期間の服用には向きません。
あくまで頓用、ピンポイントですね。
で、頓用で使うのであれば別にこの製品でなくても良いかと思います。ちょっと高いし。
個人的には、普段は第二世代抗ヒスタミン薬を単独で使用し、鼻づまりがひどい時だけ血管収縮剤の点鼻薬を頓用で使用する、という方法をお勧めします。
(血管収縮剤の点鼻薬はクセになるので注意が必要です。自分はクセになりました)
第二世代抗ヒスタミン薬の製品については下の記事にまとめているので、興味のある方は読んでみてください。

血管収縮剤の点鼻薬は、例えばこんなのがあります。

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。
ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。
効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします。
上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます
コメント