『ストナ®プラスジェルEX』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品は「つらい咳、痰に」ということで、咳止めが3つ、去痰薬が2つ入っています。

咳・痰の成分が5種類も入っているのはなかなか無いですね。

ただ症状によっては、咳止めの入ってない去痰薬のみの製品を使うことも考えた方が良いかと思います。

自分の症状にはどういう薬が合っているのか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

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基本情報

製造販売元:佐藤製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
カルボシステイン750mg気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける
ブロムヘキシン塩酸塩12mg痰を出しやすくする
ジヒドロコデインリン酸塩24mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
ノスカピン48mg咳を抑える
アセトアミノフェン900mg熱をさげ、痛みを和らげる
ジフェニルピラリン塩酸塩4mg鼻水、くしゃみを抑える
無水カフェイン50mg頭痛・頭重感を和らげる
リボフラビン(ビタミンB₂)12mgビタミン補給
ヘスペリジン90mgビタミン補給?
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
カルボシステイン750mg気道の粘液や粘膜を正常な状態に近づける
ブロムヘキシン塩酸塩12mg痰を出しやすくする
ジヒドロコデイン
リン酸塩
24mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
ノスカピン48mg咳を抑える
アセトアミノフェン900mg熱をさげ、痛みを和らげる
ジフェニルピラリン
塩酸塩
4mg鼻水、くしゃみを抑える
無水カフェイン50mg頭痛・頭重感を和らげる
リボフラビン
(ビタミンB₂)
12mgビタミン補給
ヘスペリジン90mgビタミン補給?

・包装

・カプセル剤:12カプセル、24カプセル(カプセルの中に液体が入っています)
(PTP包装)

各成分の効果・注意点

『ストナプラスジェルEX』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. カルボシステイン
    • 去痰薬の気道粘液修復薬で、痰をサラサラにして粘膜を正常化し、痰を出しやすくします。
    • 上気道炎や気管支炎、気管支喘息や副鼻腔炎などに使用されます。
    • 副作用は非常に少ないですが、内服後数日経ってから固定薬疹が出ることが稀にあります。
  2. ブロムヘキシン塩酸塩
    • 気道の粘液をサラサラにし、痰を切れやすくする効果があります。
    • 使用開始時には一時的に痰の量が増えることがあります。
  3. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  4. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  5. ノスカピン
    • 中枢性の非麻薬性鎮咳薬で、咳を抑える効果があります。
    • 分泌を抑制せず、痰の排出も妨げられないそうです。
    • 副作用や依存性はあまりなく使いやすいですね。
  6. アセトアミノフェン
    • 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
    • いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
    • 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
  7. ジフェニルピラリン塩酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります(抗コリン作用は強め)。
  8. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
  9. リボフラビン(ビタミンB₂)
    • 水溶性ビタミンで、代謝やエネルギー産生に関与します。
    • 不足すると口唇炎や角膜炎などを起こすことがあります。
    • 摂り過ぎても尿として排泄されるため過剰症のリスクはほぼありません。
  10. ヘスペリジン
    • ビタミンPというビタミン様物質(ビタミンではないです)。生薬の「陳皮」の主成分。
    • 抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用、免疫力アップなどの作用があるそう。
    • 血圧や狭心症の薬の中には、併用すると効き目が強くなったり弱くなったりする可能性がある薬があります。一応注意してください。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上2カプセル3回
12~14歳1カプセル3回

「食後なるべく30分以内に」となっていますが、特に問題になるものは入ってないので心配は要らないです。

12歳未満は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 風邪薬は症状を緩和するものであり、風邪そのものを治すものではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
    • ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

メチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、量が少なめなのであまり心配は要らないかと思います。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

とはいえ、そこまで心配する事もないかと思います。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン:「L3(概ね適合)

となっています。

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

「つらい咳、痰に」ということで、

  • ジヒドロコデイン(中枢性鎮咳薬)
  • ノスカピン(中枢性鎮咳薬)
  • メチルエフェドリン(気管支拡張剤)
  • カルボシステイン(去痰薬)
  • ブロムヘキシン(去痰薬)

と、咳・痰に関する成分が5つも入っています。

今まで書いてきた風邪薬の中では一番多く、これ以上に「咳症状特化型」のはありませんでした。
(咳止め2つ・去痰薬2つとか、咳止め3つ・去痰薬1つとかはありました)

ジヒドロコデインは痰を硬くして出しにくくするため、痰が絡んだ咳が出る場合はなるべく使わないか、使う時は去痰薬もセットで使った方が良いかと思います。
この製品には2種類の去痰薬が入っているのでそこは良いですね。

ノスカピンは中枢性鎮咳薬ではあるのですが、痰を硬くしないという特性があるようです。

発熱や鼻水などの成分も他の風邪薬と同等のものが入っているので、咳以外には効かないということでもありません。

ただ、鼻水の薬のジフェニルピラリンは抗コリン作用が強めです(クロルフェニラミンの50~100倍)。
口の渇きや便秘などは他の風邪薬よりも出やすいかもしれません。

また、この製品のコンセプトを根っこから否定することになってしまいますが、小児の急性期
・去痰薬のみ
・去痰薬+咳止め
で比較した場合、「去痰薬+咳止め」の方が症状が長引く、というデータがあります。
(「急性咳嗽を主訴とする小児の上気道炎患者へのチペピジンヒベンズ酸塩の効果」より)

この論文の場合、咳止めは違うもの(チペピジン)ですが、作用としては同じです。

もともと咳というのは、細菌やウイルスなどの異物を外に追い出す防御反応です。
これを無理やり止めるとその異物が長時間滞留することになり、気管支炎や肺炎に移行する場合もあるのであんまり良くないですね。

基本的に咳止めは、風邪の急性期が過ぎた後、乾いた咳が続くときに使うものです。
痰が絡んだ咳が出ているときは、なるべく去痰薬だけの製品を使った方が良いかと思います。
(まだ記事にはしてないですが、『ストナ去たんカプセル』とか)

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「めちゃくちゃ効くのが早い」
「咳がだいぶ落ち着いて効果が感じられた」
「他の咳止めは効かなかったが、これは効いた」

といった具合。

否定的な意見としては、

「粒が大きくて2つ1度に飲むと喉に詰まりそう」
「眠くなるというより頭が回らなくなる」
「高いだけであまり効果なし。病院行った方がいい」

といった感じ。

評価は高めですね。
これが効かないのであれば他の咳止めも効かないでしょうね。
病院に行って吸入を処方してもらった方が良いと思います。

「値段が高め」と「飲みにくい」という意見は他のストナシリーズと同じですね。
のどが痛い時はちょっと大変かも。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

12カプセル1,650円
24カプセル2,640円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
12カプセル1,050~1,650円525~825円
24カプセル1,400~2,500円350~625円

※1日分のは、1日6カプセルで計算
※2025年2月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

実際には、12カプセルはほとんどが「1,628円」、24カプセルのもほとんどが「2,398円」で横並びでした。

ん~…いろいろと入ってはいるのですが、この内容でこの値段はちょっと高いかな~と思います。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『ストナプラスジェルEX』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品は「つらい咳、痰に」ということで、咳止め3つ+去痰薬2つ入っているのが特徴ですね。
これだけ入っているのはなかなか無いと思います。

ただちょっと値段が高いかな~と。病院に行く手間を考えると何とも言えないですけどね。
風邪の治りかけで咳だけが続いててわざわざ病院に行くほどでもない、という時などには良いかもしれないですね。

また、痰が絡んだ咳が出るときに咳止めを使うと、風邪の治りが遅くなる可能性があります。
去痰薬だけの製品を使うという事も選択肢の一つとして考えていただければと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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