『ベンザブロック®S』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

「鼻からのかぜに、黄色のベンザ」ということですが、鼻の症状に関して他の製品と違うところは
・抗コリン薬が入っている
というだけです。鼻づまりに対する成分は入っていません。
(クロルフェニラミンは鼻づまりにはあまり効果がありません)

トラネキサム酸も入っていますが、これは通常鼻の症状には使いません。喉の炎症にですね。
とはいえ、量が少ないので喉への効果はあまり期待できないかと思います。

バランスとしてはそれほど悪いとは思わないのですが、「鼻の症状に特化」しているかと言われると何とも言えない感じです。

この薬が本当に「あなたの症状に合った」ものなのか、記事を読んで判断していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

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基本情報

製造販売元:アリナミン製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
アセトアミノフェン900mg熱をさげ、痛みを和らげる
ヨウ化イソプロパミド6mg鼻水を抑える
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩3.5mg鼻水、くしゃみを抑える
トラネキサム酸420mg喉の腫れや痛みを抑える
ジヒドロコデインリン酸塩24mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン塩酸塩60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
無水カフェイン75mg頭痛・頭重感を和らげる
ヘスペリジン90mgビタミン補給?
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
アセトアミノフェン900mg熱をさげ、痛みを和らげる
ヨウ化イソプロパミド6mg鼻水を抑える
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
3.5mg鼻水、くしゃみを抑える
トラネキサム酸420mg喉の腫れや痛みを抑える
ジヒドロコデイン
リン酸塩
24mg咳を抑える
dl-メチルエフェドリン
塩酸塩
60mg気管支をひろげ、咳を鎮める
無水カフェイン75mg頭痛・頭重感を和らげる
ヘスペリジン90mgビタミン補給?

・包装

  • 『ベンザブロックS錠』(錠剤):36錠、60錠(瓶包装)
  • 『ベンザブロックS』(カプレット):18錠、30錠(PTP包装)
    (※カプレットとは、カプセルみたいな形の錠剤です)

各成分の効果・注意点

『ベンザブロックS』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. アセトアミノフェン
    • 痛みや熱を中枢において抑えますが、抗炎症作用はほぼありません。
    • いわゆる「NSAIDs」には含まれません。胃への負担も少なめです。
    • 安全性は高いですが、肝障害のリスクがあります。特にアルコール多飲者は併用に注意を。
  2. ヨウ化イソプロパミド
    • 抗コリン作用により鼻水や涙を抑えます。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方は注意を。
    • 口の渇きや便秘が起こりやすいです。
  3. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  4. トラネキサム酸
    • 抗炎症作用があり、喉の腫れや痛みを軽減します。
    • 腎機能に問題がある方は用量の調整が必要です。透析を受けている方で痙攣の報告あり。
    • できた血栓が残りやすくなる可能性があります。血液凝固に関わる疾患がある方は注意を。
  5. ジヒドロコデインリン酸塩
    • 中枢性麻薬性鎮咳薬で、咳中枢を抑制することで咳を抑えます。
    • 痰を硬くする可能性があるので、主に痰のからまない咳に使います。
    • 便秘、眠気などの副作用に注意を。
    • 依存形成の可能性があり「濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
    • 12歳未満は禁忌です(呼吸抑制のリスクが高い)。
  6. dl-メチルエフェドリン塩酸塩
    • 気管支拡張作用があり、咳を鎮めたり呼吸を楽にします。
    • 副作用には動悸や手の震えがあり、心疾患のある方は特に注意が必要です。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  7. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。
  8. ヘスペリジン
    • ビタミンPというビタミン様物質(ビタミンではないです)。生薬の「陳皮」の主成分。
    • 抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗酸化作用、免疫力アップなどの作用があるそう。
    • 血圧や狭心症の薬の中には、併用すると効き目が強くなったり弱くなったりする可能性がある薬があります。一応注意してください。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

剤形年齢1回の服用量1日の服用回数
ベンザブロックS錠
(錠剤)
15歳以上3錠3回
12~14歳2錠3回
ベンザブロックS
(カプレット)
15歳以上2錠3回
12~14歳1錠3回
剤形年齢1回の
服用量
1日の
服用回数
ベンザブロックS錠
(錠剤)
15歳以上3錠3回
12~14歳2錠3回
ベンザブロックS
(カプレット)
15歳以上2錠3回
12~14歳1錠3回

となっていますが、これだと12~14歳の量に差が出ますね。
S錠』の方は成人の2/3ですが、『S』の方は成人の1/2の量です。
仕方ないですけど。『S』の方は1日4回にすればいいのに。

「食後なるべく30分以内に」となっています。でもあまり心配は要らないです。

12歳未満は服用しないでくださいとのことです。
ジヒドロコデインが入っているからですね。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • 喘息治療中の方
    • 気管支拡張薬のメチルエフェドリンが入っているので、喘息を治療中の方はすでに服用(吸入)してる可能性があります。過剰摂取にならないように注意してください。
    • ジヒドロコデインは気道分泌の抑制と気管支を収縮させる作用もあるので、基本的には喘息には使いません(喘息発作には禁忌)。
  • 血栓:血栓が溶けにくくなるので、血栓症の方は注意を。
    • また、ピル(特にエストロゲンを含む低用量ピル)との併用は血栓のリスクを高める可能性があるので注意してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる方は抗コリン薬の入っていない製品を選ぶと良いでしょう。
      (抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミドなど)
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 風邪薬は症状を緩和するもので、風邪自体を治すわけではありません。3~4日服用しても症状が良くならない場合は、医師の診察を受けた方が良いかと思います。
    • ジヒドロコデインのオーバードーズ(過剰摂取)の問題もあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ジヒドロコデインは妊娠28週以降は推奨されません
豪州ADECという危険度分類ではジヒドロコデインの分類はAとなり、「今までの使用経験上では大丈夫だった」とのことです。
ただ、違う基準(Briggs基準)によるとリスク4の「妊娠28週以降は胎児への危険性が示唆される」という分類になっています。

ヨウ化イソプロパミドやメチルエフェドリンによって胎児が頻脈を起こす可能性もありますが、量が少ないのでそれほど心配はしなくても良いでしょう。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠してる方は市販薬は使わず受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書には
授乳中の人は本剤を服用しないか、本剤を服用する場合は授乳を避けること
と書いてあります。
ジヒドロコデインが入っているため、この記載があります。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品に入ってる成分中一番リスクの高いもので、

  • ジヒドロコデイン
  • クロルフェニラミン
  • トラネキサム酸

の3つが「L3(概ね適合)」となっています

ジヒドロコデインは基本的には「授乳を避けること」となっています。母乳に移行して乳児にモルヒネ中毒(傾眠、哺乳困難、呼吸困難等)が生じたとの報告があります。
母親に便秘や眠気などの副作用が出ている場合は授乳をやめた方が良いでしょうね。
似たようなものでデキストロメトルファンというのがあり、こちらは一応安全に使用可能となっています(効くかどうかは別)。

心配な方はジヒドロコデインが入っていない薬を選ぶようにしましょう。

メチルエフェドリンに関してはデータがありません。
基本的には「避けてください」と言われる事が多いですが、生後3ヵ月から使える製品も存在します。

トラネキサム酸は1歳未満でも使いますね。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
この場合、食後とかは気にしないでOKです。4~5時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

また、ヨウ化イソプロパミドは乳汁の分泌を抑えてしまう可能性があります。
入ってる量が少ないので問題ないかとは思いますが。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、抗コリン薬とトラネキサム酸が入っている、という事になるでしょうか?

抗コリン薬は分泌全般を抑えるので鼻水にも効果があります。口も渇くけど。

トラネキサム酸は一応抗アレルギー作用はありますが、鼻の症状には使いません。喉の炎症ですね。
入っている量が少ないので喉への効果もあまりないと思いますけど。

「鼻水・鼻づまりに」ということですが、鼻づまりに関してはそれほど効果は期待しない方が良いでしょう。

解熱鎮痛剤や咳止めについては他の風邪薬と同じような感じです。

なんていうか、悪くはないのですがあまり特徴のない総合感冒薬です。

で、この製品自体の事ではないのですが、ちょっと気になった事。
どうでもいい事なので折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

「喉からの風邪に」の『ベンザブロックL』と比較してみます。

ベンザブロックS
(鼻)
ベンザブロックL
(喉)
解熱鎮痛剤アセトアミノフェン:900mgイブプロフェン:450mg
咳止めジヒドロコデイン:24mg
メチルエフェドリン:60mg
ジヒドロコデイン:24mg
鼻水の薬d-クロルフェニラミン:3.5mg
ヨウ化イソプロパミド:6mg
クロルフェニラミン:7.5mg
鼻づまりの薬なしプソイドエフェドリン:135mg
喉の薬トラネキサム酸:420mgなし
ビタミン類ヘスペリジン:90mgなし
カフェイン75mg75mg
〇〇mgの数字は、成人の1日の量です。
スクロールできます
ベンザブロックS
(鼻)
ベンザブロックL
(喉)
解熱鎮痛剤アセトアミノフェン:900mgイブプロフェン:450mg
咳止めジヒドロコデイン:24mg
メチルエフェドリン:60mg
ジヒドロコデイン:24mg
鼻水の薬d-クロルフェニラミン:3.5mg
ヨウ化イソプロパミド:6mg
クロルフェニラミン:7.5mg
鼻づまりの薬なしプソイドエフェドリン:135mg
喉の薬トラネキサム酸:420mgなし
ビタミン類ヘスペリジン:90mgなし
カフェイン75mg75mg
〇〇mgの数字は、成人の1日の量です。

鼻づまりに使うプソイドエフェドリン:『L(喉)』に入ってて『S(鼻)』に入ってない。

喉の炎症に使うトラネキサム酸:『S(鼻)』に入ってて『L(喉)』に入ってない。

これ、逆だと思うのですが。なんでこんな成分構成にしたのかな?

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

「ものログ」というサイトの口コミです。

良い評価としては、

「よく効いた。喉もあまり乾かなかった」
「鼻からくる風邪の私にはすごく効く薬」
「クシャミ鼻水が出だしてもピタっと止まる」

といった具合。

否定的な意見としては、

「めちゃくちゃ眠くなるから注意」
「1箱(18錠)じゃ効かなかった気がする」
「量が少ないし風邪も全然治らない」

といった感じ。

評価は高めですね。否定的な意見があまりなかったです。

「喉の渇きがあまりない」という意見がチラホラ。
他の薬とそれほど変わらないし、ヨウ化イソプロパミドが入ってる分、喉・口は渇きそうですけど。

「鼻づまりに効いた」という人もいました。
プソイドエフェドリンが入っている『L』の方ではそういう意見は一つもなかったのに。不思議です。

値段について

メーカーの希望小売価格(税込)を見ると、

ベンザブロックS錠
(錠剤)
36錠:1,650円
60錠:2,178円
ベンザブロックS
(カプレット)
18錠:1,485円
30錠:1,958円

ということでした。

Yahooショッピング(送料含まず)で見てみると、

剤形包装値段1日分に換算
ベンザブロックS錠
(錠剤)
36錠1,100~2,000円275~500円
60錠1,500~2,100円225~315円
ベンザブロックS
(カプレット)
18錠1,000~1,300円333~433円
30錠1,400~2,100円280~420円

※1日分のは、錠剤は1日9錠、カプレットは1日6錠で計算
※2025年2月時点です。

こんな感じでした。Amazonとか楽天だとまた違うと思いますけど。

微妙な感じです。それほど高いってわけではないですけど。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『ベンザブロックS』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

「鼻からのかぜに、黄色のベンザ」ということですが、他の製品との違いは抗コリン薬が入っているくらいですね。
抗ヒスタミン薬のみの薬よりは鼻水は止まると思います。

市販の風邪薬として鼻水に使える成分は抗ヒスタミン薬と抗コリン薬くらいしかありません。
あとは各成分が自分に合っているかどうかですね。

ただ、この製品には鼻づまりに使う成分は入っていません。
クロルフェニラミンだけだと鼻づまりへの効果はあまり期待できないでしょう。

この製品自体は悪いものではないと思うのですが、普通の総合感冒薬ですね。
鼻の症状に特化しているかと言われると何とも言えない感じです。

症状が鼻だけであれば鼻炎薬を使った方が良いかと思いますが、「鼻の症状に特化した総合感冒薬」を探しているなら『パブロンセレクトN』が候補に挙がると思います。
記事を読んで判断していただけたらと思います。

他の風邪薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
風邪薬(総合感冒薬)一覧

風邪の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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