『平坂の鼻炎薬D』の特徴・効果・注意点【薬剤師が解説】

この製品の特徴は、

  • 構成がシンプル
  • 粉薬
  • 3歳から使える

ということでしょうか。あとデザインが独特ですね。他ではあまり見ない感じ。

鼻水や涙などを抑える抗コリン薬は入っていません。抗コリン薬の副作用が気になる方には良いと思います。
余計なものも入ってないので使いやすいですね。

粉薬の鼻炎薬は珍しいですね。他の製品だとカプセルや錠剤が多いでしょうか。これに関しては好みですね。

3歳から使えるのも珍しいのですが、これに関してはなんとも言えません。各家庭の判断にお任せするしかありませんが、小児の場合は基本的には受診をお勧めします。

アレルギー性鼻炎で長期使用が前提の場合は、なるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

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記事の内容については公平かつ独立した立場で書かれています。

基本情報

製造販売元:平坂製薬

・主な成分

成分名1日量(15歳以上の)はたらき
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
プソイドエフェドリン塩酸塩180mg鼻づまりを和らげる
無水カフェイン150mg頭痛・頭重感を和らげる
スクロールできます
成分名1日量
(15歳以上の)
はたらき
d-クロルフェニラミン
マレイン酸塩
6mg鼻水、くしゃみ、痒みを抑える
プソイドエフェドリン
塩酸塩
180mg鼻づまりを和らげる
無水カフェイン150mg頭痛・頭重感を和らげる

・包装

散剤:7包、21包

各成分の効果・注意点

『平坂の鼻炎薬D』の主要成分について、それぞれの効果と注意点を簡単にまとめています。

各成分名をタップ・クリックするとそれぞれの成分の簡単な解説記事にいきます。

  1. d-クロルフェニラミンマレイン酸塩
    • 鼻水やくしゃみ、痒みを抑えますが、鼻づまりにはあまり効きません。
    • 特に眠気には注意してください。
    • 抗コリン作用により、眼圧上昇や排尿困難などの副作用が出る可能性があります。
  2. プソイドエフェドリン塩酸塩
    • 鼻の粘膜の血管を収縮させることで充血をとり、鼻づまりを改善します。
    • 血圧上昇や頻脈などが現れることがあります。心疾患のある方は注意が必要です。
    • 閉塞隅角緑内障や前立腺肥大などの疾患を持つ方も注意してください。
    • 濫用等のおそれのある医薬品」に指定されています。
  3. 無水カフェイン
    • 血管拡張性の頭痛や片頭痛の症状をやわらげます。
    • 覚醒作用があるので眠気防止にも。
    • 副作用として、不眠や振戦(手の震え)、動悸、めまいなどがあります。

他の成分の薬を探してる方はこちらから。
成分の一覧表

使い方(用法・用量)

年齢1回の服用量1日の服用回数
15歳以上1包(0.8g)3回
11~14歳2/3包(0.53g)3回
7~10歳1/2包(0.4g)3回
3~6歳1/3包(0.27g)3回

15歳未満の服用量について、製品の説明書には「2/3包」とかしか書いてないので一応(〇g)と書いておきました。
1回0.27gとかだとなかなか難しいですね。1回の量が多少多かったり少なかったりしても、1日量が大体合っていればそれほど問題にはなりません。

「食後に」となっていますが、特に気にしなくても良いでしょう。服用間隔は4時間はおいてください。

「1日3回」となっていますが、症状がある時だけ使う(頓用)というのでも良いかと思います。
「1日3回まで」ですね。調節して服用してみてください。

3歳未満の乳幼児には服用させないこと、とのことです。
7歳未満とかだと小児科を受診した方が良いかと思いますが。

製品全体としての注意点

注意してほしいこと

いくつか注意点を書いておきます。

  • 高血圧・心臓病・甲状腺機能障害・糖尿病・前立腺肥大による排尿障害のある方は禁忌となっています。
    • プソイドエフェドリンによってこれらの症状が悪化する可能性があります。
    • 一時的に使用する分にはそれほど問題ないと思いますが、この製品の添付文書では禁忌になっているので注意してください。
  • 眠気に注意:眠気が出る可能性があるので注意してください。
    • 服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください」となっています。ただ、全然眠くならない方もいるのでそういう方は問題ないですね。
  • モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬を服用中の方:交感神経刺激作用が強く出て、血圧上昇などが起こる場合があります。
    • MAO阻害薬はパーキンソン病の治療に使われる薬です(「セレギリン」「エフピー」「アジレクト」など)。
    • 併用禁忌ではありませんが、血圧上昇や頻脈などあるなら減量・中止してください。
  • 抗コリン作用:口の渇きや目のかすみ、眼圧上昇、排尿困難、便秘などの症状が出る可能性があります。
    • 気になる場合は減量または中止してください。
  • 服用期間:「長期連用しないでください」となっています。
    • 5~6日飲んでみても効果が実感できなければやめた方が良いと思います。 
    • 抗ヒスタミン薬だけなら問題ないのですが、血管収縮剤は長期で服用するものではありません。鼻づまりがひどい時だけピンポイントで使う方が良いでしょう。
    • 病院で処方してもらった方が安く済む場合も多いので、アレルギー性鼻炎で長期服用が前提なら受診した方が良いかと思います。

合ってないなと感じたらやめた方が良いと思います。他にも選択肢はあります。

妊娠・授乳中の使用について

大事な事ですが、対象者が限られるため折り畳みにしておきます。

クリック・タップで開きます。

妊娠中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

プソイドエフェドリンBriggs基準:リスク5「原則として妊娠中の投与は避けることが望ましい」となっています。

ただし、この成分が入っている医療用医薬品の「ディレグラ」では、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という記載になっています。
また、「妊娠初期に塩酸プソイドエフェドリンを服薬した母親の940例の出生児に奇形発生の危険率は増加していない」というデータもあります。(参考 :Prescribing medicines in pregnancy 4th edition)

ただ、「胎盤血管収縮および腹壁破裂のリスクの可能性」があるとの記載があるものもあります。(MSDマニュアル)

鼻水・鼻づまりがひどいなら点鼻薬目のかゆみや涙が出るなら点眼薬、という選択肢もあります。

服用するにしても短期間の使用にとどめておいた方が無難だとは思います。
原則として、妊娠している方は市販薬を使わず、受診して医師に薬を処方してもらった方が良いと思います。
(というか、必ず受診してください)

授乳中の方

この製品の説明書では
服用前に医師、薬剤師又は登録販売者に相談してください
という書き方になっています。

ただ、それほど問題はないと考えます。

Mothers’ Milk基準では、この製品中の成分で一番リスクの高いもので、

  • プソイドエフェドリン
  • クロルフェニラミン

の2つが「L3(概ね適合)」となっています。

「多くの薬は母親が飲んだ量の1%未満しか母乳中に移行しない」という事を考えると過剰な心配はいらないかと思います。

心配であれば授乳後に薬を服用すると良いでしょう。次の授乳までに薬はかなり分解されてます。
4時間程度時間を空けて、服用できるタイミングで服用してください。

心配な方は、薬を服用中は粉ミルクを使うという手もあります。

妊娠・授乳中の薬物治療に関して不安を持つ方も多いかと思います。
そういう方の相談に乗ってくれる機関があるのでそこのサイトのリンクを貼っておきます。
妊娠と薬情報センター:https://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

製品の特徴や利点、個人的な感想

この製品の特徴は、

  • 構成がシンプル
  • 粉薬である
  • 3歳から使える

といったところでしょうか。

カフェインはどうでもいいとして、主成分は

  • 抗ヒスタミン薬のd-クロルフェニラミン1日6mg
  • 血管収縮剤のプソイドエフェドリン1日180mg

の2つですね。
2つとも鼻炎用内服薬としては最大量配合されています。
特に、プソイドエフェドリンが1日180mg入っている製品はそれほど多くありません。

鼻水などの分泌全般を抑える抗コリン薬は入っていませんが、医療用では抗コリン薬は鼻水に使うことはないですし、これが標準的とも言えますね。
この製品でも鼻水や涙が抑えられない人は抗コリン薬が入ったものを選ぶと良いかもしれません。
(抗コリン薬:ベラドンナ総アルカロイドなど)

余計な成分も入ってないですし、シンプルで使いやすいと思います。

また、この製品は粉薬です。カプセルや錠剤が多いので粉は珍しいですね。

大人でもカプセルや錠剤が苦手という方は一定数いますし、そういう人にとっては良いですね。
逆に、粉が苦手という方も多いのでなんとも言えないですけど。とにかく選択肢が増えるのは良い事です。

この製品は3歳から使えることになっています。粉薬で量の調節ができるから、というのもあるでしょうね。

ただ、市販薬を使うのはせめて7歳くらいからの方が良いのでは?と思います。
これは何か根拠があって書いてることではないので無視していただいて構わないのですが、小児の場合は症状を正確に訴えることができないため、本当にアレルギー性鼻炎かどうか分かりません。他の病気の可能性もありますし、医師の診察を受けた方が無難でしょう。

量としては問題ありません。一般的には3歳だと成人の1/3の量を使うので、この製品もそれに則ってますね。

一般的に、小児科ではこどもの鼻水には第二世代の抗ヒスタミン薬を使います(成人でもそうですけど)。副作用も第一世代より少ないです。
鼻づまりには「ロイコトリエン拮抗薬」という種類の薬を使います。「オノン(プランルカスト)」や「キプレス(モンテルカスト)」という薬で、お子さんがいる方は見たことがある方も多いと思います。
(「キプレス(モンテルカスト)」の小児用のはアレルギー性鼻炎には適応はないのですが、効果がないわけではありません。成人の場合はほぼ必ず使用します)

「3歳から使える」とされていても、それは「安心して使って大丈夫」という意味ではありません。
市販薬では「〇歳から使える」と表現されますが、それは「副作用がない」とか「効果が確実」という意味ではありません。特に小さなお子さんの場合は症状の原因がはっきりしないことも多く、受診した方が安全です。

どうしても病院に行く時間がない時は良いと思いますが、基本的には受診して薬を処方してもらった方が良いかと思います。未就学児であればお金がかからない自治体がほとんどだと思いますし。

この製品を使用するにしても、長期間の使用はおすすめできません。これはこどもでも大人でも同じです。

アレルギー性鼻炎には第二世代抗ヒスタミン薬を使うのが基本となります。
でもそれを使いながらも症状が悪化した時などにこの製品を頓用として使用するには良いと思います。

市販薬の場合、「本剤を服用中は他の鼻炎薬等を使用しないで」となっていますが、症状がひどい時は一時的に複数の抗ヒスタミン薬を使うことはよくあります。

使用した方の口コミ・レビュー、値段など

探したのですが、なぜか口コミとかレビューは見当たりませんでした。残念。

悪い製品ではないと思いますけどね。メーカーさんも小さいけどしっかりしてるっぽいし。

値段について

メーカーの購入ページを見ると、

7包715円
21包1,595円

ということでした。

Yahooショッピング・楽天(送料含まず)で見てみると、

包装値段1日分に換算
7包715円307円
21包950~1530円136~219円

※1日分のは1日3包で計算
※2025年3月時点です。

こんな感じでした。Amazonは高め(21包で1599円)。

通販サイトだと7包のは楽天のみでした。メーカーの値段と同じですね。
21包の方はそれほど高くはないと思います。

パッケージのデザインが独特なので店頭でも探しやすそう。

この記事を読んで「買おうかな?」と興味を持たれた方へ

まとめ

この記事では『平坂の鼻炎薬D』について、各成分の効果と注意点、個人的な感想、使用者のレビューなどをご紹介しました。

この製品の特徴は、

  • 構成がシンプル
  • 粉薬である
  • 3歳から使える

ということでしょうか。

抗ヒスタミン薬と血管収縮剤は鼻炎薬としての最大量が入っていますが、抗コリン薬は入っていません。
他の鼻炎薬で口の渇きや便秘などが気になる方は抗コリン薬が入ってない方が良いでしょう。

粉薬であるのが良いのかどうかは人によりけりですね。他の製品の口コミを見ると、「錠剤(カプセル)が大きくて飲みにくい」という方がそこそこいるので、そういう方には良いですね。粉薬だと量の調節も簡単です。

3歳から使えるのは良いのですが…これに関しては各家庭の判断に任せるとしか言いようがありません。
自分がドラッグストアの店員だとして、3歳のこどもに飲ませる薬の相談をされたら迷わず受診を勧めますけど。
使うにしても受診までの短期間ですね。

大人でも長期の使用には向きません。できれば症状がひどい時だけ頓用で使用するようにしてください。

アレルギー性鼻炎の場合は長期使用が前提になるかと思いますが、長期使用の場合はなるべく「第二世代抗ヒスタミン薬だけの製品」にした方が良いかと思います。
「第二世代が効かない」「鼻づまりがひどい」という時だけ「第一世代を使ってみる」「血管収縮剤を使う」という事をしてみてください。

※第二世代抗ヒスタミン薬については下の記事にまとめてあります。

他の鼻炎薬については一覧を作ってあるのでこちらを見てみてください。まだ数は少ないですが。
鼻炎薬の一覧表

鼻炎の症状で悩まされる方々にとって、この情報が少しでもお役に立てば幸いです。

ただし、ご紹介した内容は一般的な情報に基づいており、個々の体調や症状によって適切な対応は異なる場合があります。

効果を感じられない場合や、症状が改善しない場合は、適切な医療機関を訪れることをお勧めします

上の方でも紹介しましたが、再度リンクを貼っておきます

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